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2011年5月 2日 (月)

原発事故責任者に農林漁業損害を全面補償させよ

「原発被害ですか?」っていうと
「風評被害です」っていう。
こだまでしょうか。
いいえ枝野幸男です。

 金子みすずの詩がすっかり有名になったが、金子みすずが結局、世をはかなんで若くして自らその生涯を断ったことを見落とすことができない。
 
 政府はマスゴミを総動員して、「風評被害」なる言葉を前面に打ち出し、「風評被害」撲滅キャンペーンを張った。
 
 基準値以下の農林水産物が消費者から忌避されることを防ぐための行動であった。うっかりすると、この政府の行動は原発被害に苦しむ農林水産業者を支援する行動であるかのように思われてしまう。
 
3月21日付記事
「誰が、何を目的に、誰を救済しようとしているのか」
 
4月14日付記事
「原発重大事故責任を安全重視消費者に転嫁するな」
 
などに記述してきたが、この政府とマスゴミの行動は、安全を重視する消費者の慎重な行動を糾弾するものである。放射線量の安全性基準には、専門家によって大きな開きがある。高い数値でも問題がないとする者もおれば、低めの数値でも長い期間を考えれば軽視すべきでないとの声もある。
 
 このときに、消費者がより安全な選択を行うことは、消費者の主権にかかる判断であり、政府やマスゴミが、特定の姿勢を強制することは間違っている。安全性を重視して、リスクのある農林水産物を忌避する行動は、十分に尊重されるべきものだ。
 
 ところが、政府は安全基準を多くの基準のなかでは甘めに設定し、また、放射線量の計測も除染後の数値を用いるなど、明らかに消費者がリスクを感じるような手法を用いてきた。
 
 そのうえで、出荷制限および出荷自粛の規制をかける生産物とかけない生産物とを区分し、消費者に出荷制限のかかっていない生産物を積極的に購入するように呼びかけてきた。
 
 私が本ブログで指摘し続けてきたように、この行動には重大な裏があった。

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原子力損害賠償紛争審査会は4月28日に、原発事故の損害賠償の範囲に関する第一次指針を発表した。案の定、審査会はこの指針で避難指示区域以外での損害や風評被害については、「今後検討する」として、ひとまず対象外としたのである。
 
 つまり、菅-枝野ラインが、
①避難区域の拡大に頑強に抵抗し続けたこと
②政府が定めた基準値をクリアした農林水産物を消費者に強制的に食えと叫び続けてきたこと
③さらに、福島県の児童の被曝基準を明らかに高すぎる年間20マイクロシーベルトを引き下げることに頑強に抵抗していること

の理由が、生産者のためではなく、ただ、ひたすら政府と東電の損害賠償金額や財政支出を節約するためだけのものだったことが明らかになったのだ。
 
 こんなことが許されていいわけがない。
 
 農林水産業者にとっては、生産物が基準値を下回り、出荷制限を解除された方が、はるかに深刻な打撃を受けるのである。出荷制限が解かれても、市場価格は暴落しており、販売代金は激減している
 
 政府とマスゴミの「風評被害キャンペーン」の目的は、安全志向の消費者が加害者で、当該地域の農林水産業者が被害者であるとの図式を国民の頭に刷り込むことであった。このことにより、たとえ、農林水産業者に損害が発生しても、その原因は安全性を重視して、当該地域の農林水産物を買わない消費者が悪いのだとの印象を作り出すことにあるのだ。
 
 真実は「風評被害」ではなく「原発被害」である。原発被害の加害者は放射能を撒き散らした東京電力と政府である。農林水産業者が被害者であることに変わりはないが、消費者も同じ「被害者」なのだ。消費者を「加害者」に仕立て上げるのは、本当にたちの悪い謀略でしかない。
 
 消費者には確実に安全な道を選択させ、他方で、損害を蒙る農林水産業者の損害を全面的に補償すればよいのだ。原発被害の全面的な補償が人類史上最悪の原発事故を引き起こした当事者の最低限の責任である。
 
 また、未来のある子どもたちを核の危険に晒すべきでない。年間20ミリシーベルトの基準値を直ちに引き下げて、適正な対応を取らなければ、必ず将来に大きな禍根を残す。

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