小沢一郎氏の重要発言:国難だからこそ刷新が必要
小沢一郎民主党元代表がウォールストリートジャーナル紙のインタビューに応じた。小沢一郎氏は本来、2009年8月の総選挙後に内閣総理大臣に就任していたはずの人物である。
ところが、日本が米国の支配から脱し、独立する国家になることを阻止しようとする米国を中心とする勢力が謀略を仕掛けて、小沢氏を失脚させた。
小沢氏が民主党代表を辞任することになった直接の原因は、2009年3月3日の大久保隆規氏の誤認逮捕である。大久保氏は新政治問題研究会および未来産業研究会から受けた献金を事実通りに収支報告書に記載して報告した。それを東京地検は虚偽記載だとして大久保氏を起訴し、逮捕した。
ところが、2010年1月13日の第2回公判で、西松建設元総務部長の岡崎彰文氏が、二つの政治団体に実体があったことを証言した。岡崎氏は検察側証人でありながら、検察側主張を根底から覆す衝撃証言を示したのだ。つまり、2009年3月3日の大久保氏逮捕は誤認逮捕だったのであり、仮にこの誤認逮捕がなければ2009年8月総選挙を受けて小沢総理が誕生し、いまも小沢政権が続いていたはずなのだ。
この小沢氏がウォールストリートジャーナルのインタビューを受けた。
ネット上に一問一答が掲載されているので、詳細は一問一答をご覧いただきたいが、菅政権の下に置かれている日本の悲惨な現状を、心から憂慮していることが明確に示されている。
一問一答から、重要発言を以下に取り出した。
Q:東日本大震災と福島第1原発事故以降の政府の対応について、全般的にどう評価しているか。
A:・・・対応が遅く、放射能汚染に対する認識が甘い、というより、まったくないといってもいいくらいの菅内閣の対応だ。
・・・役所の積み上げと、査定に任せきりで、民主党が目指した国民主導・政治主導という政治の在り方とは程遠い実態になっている。・・・民主党が掲げてきた、政治家が自ら決断して政策を実行するということが行われていない。
Q:小沢氏が指揮を執っていれば、最初の段階でメルトダウンが起きて危ないということは国民に大きな声で言っていたか。
A:言うだろう。隠していたらどうしようもない。それを前提にして、対応策を考えねばならない。当面は福島の人だが、福島だけではない、このままでは。汚染はどんどん広がるだろう。
あれは黙っていたら、どんどん広がる。東京もアウトになる。ウラン燃料が膨大な量あるのだ。チェルノブイリどころではない。あれの何百倍ものウランがあるのだ。みんなノホホンとしているが、大変な事態なのだ。それは、政府が本当のことを言わないから、皆大丈夫だと思っているのだ。私はそう思っている。
Q:菅首相はアドバイザーを集めて意見を聞いている。聞き方がまずいのか。
A:・・・原発で食っている連中をいくら集めてもだめだ。皆、原発のマフィアだから。あなた方もテレビを見ていただろう。委員だの何だの学者が出てきて、ずっと今まで、大したことありません、健康には何も被害はありません、とかそんなことばかり言っていた。原子力で食っている人々だから、いくら言ったってだめなんだ。日本人もマスコミもそれが分からないのだ。日本のマスコミはどうしようもない。
Q:原子力エネルギーをどう考えるか。
A:しょせん、過渡的エネルギーとしてはある程度、大口電力供給のためにも仕方がない。だが、高レベルの廃棄物を処理できないからいずれ、新しいエネルギーを見出さなければいけない。そのように私は言ってきた。
Q:問責決議案や不信任案を提出する、提出しないとの話が出ているが、国難といわれる時期、そのような政治家の動きを国民はどう受け止めているとみるか。
A:困難な時だけ仲良く、仲良くというのは日本人の発想で、だからだめなのだと考える。日本のマスコミは全部そうだ。太平の時は誰でもいいのだ。・・・困難、危機の時だから、それにふさわしい人を選び、ふさわしい政権を作るのだ。日本人は発想が逆だ。・・・日本人は平和ぼけしているから。まあまあ争わないで、まあまあ仲良くという話になる。仲良くしたって、何も解決できない。当たり障りのない話をしているだけだ。波風立てずに、丸く丸く。これでは、政治家など要らない。
Q:菅首相を降ろせというなか、強いリーダーはいるのか。
A:何人でもいる。
Q:強いリーダーの代表格というと小沢氏が思い浮かぶ。自分でやろうとの気持ちはあるのか。
A:私はもう老兵だから。老兵は消え去るのみ、とのマッカーサー元帥の言葉はご存知だろうか。消え去ろうと思っていたが、もう一仕事やらねばならないとは思っている。
Q:話題を変える。政治資金規正法違反の話は今、どういう状態で、今後、どういう方針で戦うのか。
A:どういう方針もなにもない。私は何も悪いことをしていない。これは官憲とマスコミによるものだ。旧体制の弾圧だからしようがない。調べてほしいのだが、私は何も不正な金はもらっていない。ただ、報告書の時期がずれていただけだ。こういった例は何百、何千とある。単に報告書を直して再提出するだけで済んでいた話だ、今まではずっと。なぜ、私だけが強制捜査を受けるのか。そこを全然、マスコミは考えない。
Q:震災に話を戻す。復興、復旧にこれからお金がかかっていく。もちろん労力も。一つは第2次予算が出るか出ないかで国会でもめている。第2次予算の緊急性と規模はどのようなものと考えるか。もう一つは、財源は増税にするのか、国債発行にするのか。そのへんはどのようにすべきか。
A:復旧に必要なことは、お金がどれくらいかかったって、やらなくてはならない。あのままでは住めなくなる。再臨界に達するかもしれない。あそこが爆発したら大変だ。爆発させないために放射能を出しっぱなしにしている。爆発するよりたちが悪い、本当のことを言うとだ。ずっと長年にわたって放射能が出るから。だから私は金の話じゃない。日本がつぶれるか、日本人が生き延びるかどうかという話だと言っている。・・・
Q:民主党が政権をとって間もない2009年10月、インタビューした際、自民党をつぶすことが目的だと言っていた。今回、発言を聞いていると、民主党政権に非常に批判的だが、自民党がむしろリーダーになった方がよいと、日本を救えると見ているのではないか。
A:・・・ 私が描いていた図とちょっと違うのは、民主党政権がもう少し愚直に政治に取り組んでくれることを期待していた。・・・どうにも民主党政権自体がおかしくなって、強烈な支持者であった人たちも、ちょっともう見放した格好になっている。
正面切って民主党を応援してくれていた人たちが、本当に一生懸命やっただけに、頭にきちゃって、こんな民主党ぶっつぶせ、もう一度やり直しだと言うくらい失望している。・・・だが私の最初の理想は変わらない。日本に議会制民主主義を定着させたいという理想は全然変わっていない。
Q:最後に、菅総理はどのぐらい総理の座にとどまるとみているか。
A:一日でも早く代わった方がいいと思う。
(一問一答の抜粋転載ここまで)
小沢氏は福島原発事故の重大性を極めて的確に認識している。菅政権はこの重大原子力事故の事実を国民の前に隠蔽した。その結果、極めて多数の国民が深刻な原子力被害を受けている可能性が極めて高い。この罪は万死に値すると言って過言でない。
米国は支配下のマスゴミを総動員して菅政権の擁護に全力をあげている。ジェラルド・カーティス氏を登場させる朝日の行動が典型的だ。
ウォールストリートの質問に明確に示されているように、
「国難の時期に政局を国民が容認しない」
が、菅政権を擁護するためのキーフレーズである。米国は民主党を完全に対米隷属政党に転換させようとしている。米国の目的は、民主党から自主独立派を一掃することにある。その最大の標的が小沢一郎氏である。
小沢氏は、国難に直面している時期だからこそ、それにふさわしい人を選び、ふさわしい政権を作ることを提唱する。間違いなくこれが正論である。「殺人政権」を温存するわけにはいかない。
小沢氏は明確に意欲を示している。エネルギー政策の大転換の方針も明確だ。日本が進むべきは「脱原発」の方向なのだ。
そもそも、菅直人氏の最大の原罪は、2009年8月の総選挙で示された主権者国民の意思を踏みにじっている点にある。しかも、菅直人氏は菅直人氏自身が菅内閣に対する信任投票だと位置付けた昨年7月11日の参院選で主権者国民から不信任の判定を受けている。1年も首相の座に居座ったのだから、もう思い残すこともないはずだ。
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