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2011年4月 7日 (木)

厳正な事故賠償コスト強制が脱原発を誘導する

原発放射能放出事故・農林水産物汚染・消費抑制の関係を改めて整理して、基本を確認することが重要だ。
 
 すべての元凶は放射能事故にある。重要なことは地震は天災だが放射能事故は人災であることだ。
 
 放射能事故は津波で発生した。日本世界有数の地震国であると同時に津波国である。TSUNAMIという日本語は、そのまま国際語として通用する。それほど、津波は日本固有の自然現象である。
 
 1896年に明治三陸地震津波があった。東北地方太平洋岸に大きな津波が打ち寄せた。
 
 原発はこの世に存在する人造のファシリティーのうち、もっとも危険な存在である。その設置に際しては万全の安全対策を講じることが不可欠である。
 
 しかし、「絶対」はないから、原発保有そのものを断念するのが、人間の叡智である。賢者は最悪を想定するものである。
 
 東京電力と日本政府は、福島原発の構造設計において、1996年津波規模の津波への対応を怠ったその結果として、人類史上最悪の部類に属する重大な放射能事故を発生させた
 
 大気、河川水系、土壌、海洋を放射能物質で汚染してしまった。その一環として、農産物、水産物の放射能汚染が生じた。
 
 消費者が放射能に汚染された農産物や水産物を忌避することは当然の行動である。政府は万全の安全策を取らなければならない。保守的な規制数値を設定して、規制数値を上回る放射線が計測された農産物、水産物の出荷、販売、購入、摂取を回避するための万全の策を講じなければならない。
 
 テレビなどの電波を通じて周知徹底しなければならないことは、
「放射能に汚染されたリスクのある農産物や水産物を摂取することのないように万全の対応を取ること」
である。
 
 ところが、菅-枝野体制は、放射能に汚染された農産物や水産物を、「直ちに人体に害を与える水準の濃度」でない限り、できるだけ積極的に購入し、摂取することを奨励している。
 
 政府のこの行動は、一見すると罪のない農業労働者や漁業労働者の立場を大切に扱っているものに見える。放射能に汚染された農産物などを買わない、食べないとの行動を広く消費者が取り始めれば、農業や漁業が壊滅的な打撃を受けるから、できるだけ、そのような放射能に汚染された農産物や水産物を思い切って食べることが、被災地の人々を支援する行動であるかのような錯覚が生まれてくる。

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しかし、これは大間違いである。
 
 放射能に汚染された農産物、水産物を摂取することは避けるべきである。
 
 この行動が広がれば、農業や漁業関係者が壊滅的な打撃を受ける。だから、放射能に汚染されたものを積極的に食べろというのは間違っている
 
 大事なことは、物事の本質を明らかにして、誰が何に責任を負うのかをはっきりさせることである。
 
 問題の元凶は、東京電力と政府が、本来果たすべき責任を果たさずに、放射能放出という犯罪的な行為を引き起こしたことにある。薬害エイズ問題では、加害者が刑事責任を追及された。今回の事故でも、事故発生責任者の刑事責任が追及されなければならないはずだ。
 
 放射能放出という惨事を引き起こしてしまったことを踏まえ、リスクのある放射能汚染食物の摂取を回避すること、生産者等の損害を完全に補償することが求められているのだ。
 
 農業関係者、漁業関係者に対する損害賠償を完全に行うことが確約されるなら、大混乱は避けることができるのである。
 
 放射能に汚染された食物を積極的に食べろと言っているのは、菅-枝野ラインの政府だけである。彼らが、放射能に汚染された食物をどんどん食べろと言っているのは、農業関係者、漁業関係者を救済するためではない自分たちの責任を回避するためなのだ。
 
 放射能汚染が広がれば、東電と政府の損害賠償金額は際限なく拡大してゆく。この損害賠償のお金を節約するために、危険な食物を「安全だ」、「安全だ」と繰り返し、「風評被害を起こすな」、「放射能に汚染された食物を積極的に食え」と絶叫しているのだ。本当に悲しくなるほど卑劣な姿勢である。
 
 東電と政府はこのような惨事を引き起こしたことをまずは、心から深く謝罪するべきである。
 
 そして、すべての損害に対して、完全に補償することを確約するべきである。
 
 損害賠償金額は法外な規模に達することになるだろう。
 
 これが、危険な原子力を安易に取り扱った「コスト」なのである。
 
 この「コスト」を直視するなら、安易に「原子力平和利用」などの言葉を口にできなくなる
 
「原子力の平和利用」を「絶対」の安全性の下に実現することは不可能なのだ。
 
『東京原発』という題名の映画を見ていただきたい。主題は、原子力の安全神話に「絶対はない」というものである。
 
 エネルギー政策の基本方針に「脱原子力」を据えるしかないのだ。

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