震災復興政策財源には外貨準備を換金し充当せよ
統一地方選は民主党が大敗して終わった。東京都世田谷区では元衆議院議員の保坂展人氏が「世田谷から日本を再生」のスローガンを掲げて、民主党系候補、自民党系候補を破って初当選した。心から祝福申し上げたい。
保坂氏は原発停止も求めてゆくと述べている。真実を知る市民が増えれば政治は変わり得る。国民は菅直人氏の即時退陣を強く求めており、菅直人氏は政治の私物化をやめて、民意を尊重して即刻辞任するべきだ。
日本の政治が本格的におかしくなったのは、2010年6月2日からである。菅-仙谷-岡田-前原-枝野-野田-玄葉-渡部の民主党悪徳8人衆が、民主党を不当に乗っ取ってから、日本政治はダッチロールを開始した。
2009年8月の総選挙で、国民は民主党の小沢-鳩山ラインに政権を委ねたのである。ところが、上記悪徳8人衆は、正統性のないクーデターを挙行し、民主党中枢から小沢-鳩山ラインを一掃してしまった。この不正クーデターを契機に日本政治は大迷走を始めたのだ。
統一選後に菅降ろしの動きが本格化することが予想されるが、国民はこの動きを後押しするべきである。マスゴミは震災復興のさなかの政権交代を批判するだろうが、正統性のない政権がこのような重要局面を指揮することは、大きな禍根を後世に残すことになる。正統性のない政権を退場させ、危機のリーダーを適切に選出するべきである。
いま、何よりも優先して求められていることは、国民生活を守るための政府の迅速な行動である。巨大なインフラと生活の基盤が破壊され尽くした。この復旧を図るには、巨大な財政資金の投入が不可欠である。
ところが、菅-岡田体制は、政府支出の財源としての増税ばかりを追求して、いまのところ、何もしていない。4兆円の補正予算のうち、支出1.5兆円は本予算からの流用、財源2.5兆円は本予算の財源の流用で、この部分は第2次補正において増税で賄うことが検討されている。つまり、GDP押し上げ効果がゼロの補正予算を提示しているのだ。
日本経済は、これから急激な景気後退に向かう。倒産、失業の苦しみが国民生活を厳しく圧迫する。経済苦を原因とする自殺も急増するだろう。
財政政策のいろはに属することがらだが、財源を税収で吸収して景気対策を実施しても、景気浮揚効果はゼロである。景気を支えなくてはならないときには、意図的に財政赤字を拡大させることが正しい政策選択になる。
このような経済学の基本をも踏まえない財政運営は、財務省の専売特許であり、政権が財務省を指揮できず、逆に政権が財務省に指揮される場合に、この政策運営が表面化して、国民に災厄をもたらす。1997-98年、2000-03年に、政策逆噴射による日本経済崩壊はすでに経験済みである。
『金利・為替・株価特報』131号=2011年4月22日号を発行した。
タイトルは、
「経済危機に大増税で対応する冷血暗愚政権」
目次は以下のとおりである。
<目次>
1. 【株価】原発災害の適正な責任処理と東電株価
2. 【政策】経済危機下の大増税を推進する菅-岡田棄民政権
3. 【政策】日本復興政策財源のウルトラC
4. 【株価】長期化するバブル崩壊後四度目の株価暴落局面
5. 【経済】失業・倒産・経済苦自死が日本列島を覆う
6. 【政治】日本政治を浄化する方策
7. 【為替】円高ではない超ドル安の進行
8. 【金利】長期金利の乱高下に警戒すべし
9. 【投資】投資戦略
第3節に、「日本復興政策財源のウルトラC」と題して、震災復興経済政策の財源案を記述した。
詳細については、『金利・為替・株価特報』をご高覧賜りたいが、結論を示せば、日本の外貨準備を日本円に換金して、復興経済対策の財源に充てるべきだというものだ。
50兆円の規模で、3年間の事業として実施するべきだ。政府債務残高も増加しない。日本政府の資産の構成のうち、現在、ドル建て債券で保有している分の50兆円分が、国内の実物インフラ資産に振り変わるだけだ。
国民の視点から言えば、実質価値が確実に減少するドル建て金融資産で資産を保有するよりも、国内の実物インフラ資産で資産を保有する方が、はるかに賢明な資産保有である。
米国政府が不当な批判を示す可能性があるが、日本政府がその批判に左右される必要はない。
達増岩手県知事が述べるように、大震災で国民経済が急激に悪化するときに増税論議を行うことは適正でない。民主党の小沢-鳩山ライン、国民新党、社民党がこの正論を述べている。
1兆ドルもある外貨準備を日本円に換金して、大規模な経済復旧・復興経済対策を策定するべきである。
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