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2011年3月26日 (土)

国民の生命と安全を守らない菅政権と東電の責任

本ブログにおいても、大地震および大津波発生後の政府対応、福島原発放射能漏出事故について、とりわけ重要な問題について、指摘を続けてきた。
 
 しかし、残念なことに、それらの重要事項について、重大な問題が発生してしまっている。災害が発生した場合、被災者の救援に全責任を負うのは政府である。また、原発事故発生の原因は電力会社と政府にある。責任ある当事者がその責任をまっとうすることが求められているが、残念ながら責任逃れの行動ばかりが際立っている。
 
 三つの重要事項を改めて列記する。
 
 第一は、原発事故に際して、周辺地域に居住する住民の生命と健康を守ることが最優先されなければならないのに、菅政権の対応が無責任の極を極めていることだ。
 
 原発から北西20キロ地点にある福島県浪江町では、原発事故発生後、コンスタントに100~330μSv/hの高濃度放射能が観測され続けている。政府は、この地点の放射能濃度の公表を中止してしまったが、おそらくいまも状況は変わっていないだろう。
 
 400日当たりの被ばく量は、1時間当たり被ばく量の約1万倍になる。上記福島県浪江町の場合、400日間の被ばく量
1Sv~3.3Sv
に達する。
 
 原子力関連事業に携わる専門労働者の法定被ばく量は年間0.05Svである。この上限値の20倍から60倍もの放射能被ばくが見込まれているのである。1Sv以上の被ばくで生命の危険が生じ、4Svの被ばくで死亡率が50%を超すと見られている。
 
 福島県浪江町のこの観測地点の住民が避難しなければならないことは明白である。
 
 米国をはじめ、諸外国は原発から半径80キロ以遠への避難を勧告した。
 
 菅-枝野体制は、危険極まりない20キロエリアに、住民を縛り付けているのだ。
 
 当初から対応が五月雨式であり、後手後手の対応が続いている。初めからあえて避難エリアを広範囲に取って、住民被害が万が一にも発生しないことを優先すべきであった。
 
 菅-枝野体制は、ようやく20-30キロエリア住民の避難に向けて動き始めたが、自主避難とは一体どういうことか。
 
 すべての行動から透けて見えることは、本ブログでもこれまで指摘してきた、「財政再建原理主義」である。彼らの考えは、「国民の生命を犠牲にしてでも、国民の健康を犠牲にしてでも、政府支出を切り詰めろ」というものだ。
 
 財務省主導の財政再建原理主義なのだ。それでは、彼らが国の将来を憂いて財政再建原理主義に進んでいるのかと言うとそうではない。官僚利権につながる政府支出は切り詰めない。つまり、官僚利権を温存したいがために、国民の生活の安全、生活の保障に対する支出は1円でも切り詰めろという考えなのだ。
 
 菅-枝野体制は、直ちに政府の全責任で避難エリアの大幅拡大を実行するべきである。少なくとも50キロエリアに拡大する必要があるのではないか。

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第二は、原発の冷却システム回復の作業において、防ぐことのできた被ばく事故が発生したことだ。政府は被ばく量上限を100mSvからいきなり、250mSvに引き上げたが、国民の生命、健康の安全を優先する視点からは正当化されない決定である。
 
 放射線に汚染された水に皮膚が接触して被ばく事故が発生したが、その後には、より深刻な被害が予想される体内被ばく事故も発生してしまった。
 
 電力会社幹部、政権中枢の者が率先して作業に取り組む際にだけ、この基準を適用するなら話はわかる。ところが、政府高官、電力会社幹部は、全員、遠隔地の安全な場所に身を置いているのではないか。
 
 政権幹部および電力会社責任者が一人でも現場に身を置いているのか。
 
 政権幹部や電力会社幹部が遠隔地の安全な場所に身を置いておいて、電力会社の下請け労働者に、全然対策も講じずに、悲惨な被ばく事故に遭わせて、どのような説明ができるというのだ。
 
 防護服、防護靴、防毒マスクは必須であり、さらに、厳格な放射線量管理がなければ、いかなる労働者にも作業を行わせるべきでない。
  
 また、作業は東京電力社員が行うべきで、3Kの仕事は下請けに丸投げは、企業の姿勢として正しくないのではないか。
 
 また、枝野氏が原発事故担当責任者になるなら、枝野氏は福島原発に移動して陣頭指揮に当たるべきである。また、電力会社の責任者の多くも、福島原発に移動して、現場で指揮を取るべきでないのか。
 
 第三は、責任ある当事者が責任ある行動を果たしていないことである。すでに述べたように、枝野氏が20キロ地点は避難する必要がない場所だと主張するなら、本人が福島県浪江町に移動するべきなのである。
 
 自分は遠隔の東京の安全な場所にいて、20キロ地点は安全だから、そこにいろというのは、通用しない。本当に泥をかぶって、身を持って安全を訴えるなら、現地に行って現場から安全性を訴えるのでなければ、まったく説得力はない。
 
 最高責任者は菅直人氏である。なぜ、このような重要な局面で毎日の記者会見をやめたのか。都合が悪くなると逃げる、菅直人氏の典型的な行動パターンである。
 
 こういうときであるからこそ、普段よりも頻繁に、国民に直接説明するべきである。
 
 菅直人氏は記者会見で、各種データをすべて迅速に開示していると言ったが、現実に最重要のデータが隠蔽されて発表されなくなった。
 
 発表されなくなったデータは、以下の三つである。
 
①原発2号炉の北西0.5キロ地点の事務本館北のデータ
②原発敷地内での最高放射線濃度
③原発から北西20キロにある福島県浪江町のデータ

 
 すべてを迅速に開示というなら、まずは、上記3種のデータを即刻開示するべきである。
 

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