『隠された被曝労働~日本の原発労働者』
本ブログの読者が、イギリスのチャンネル4で放映された樋口健二氏が制作された
『隠された被曝労働~日本の原発労働者』
という放送プログラムのYOU TUBE映像を紹介くださった。
1995年に放送されたもので、すでに15年の時間が経過しているが、現在においても状況はまったく変わっていないようだ。
ぜひ、同番組をご高覧賜りたい。
『隠された被曝労働~日本の原発労働者』(その1)
『隠された被曝労働~日本の原発労働者』(その2)
『隠された被曝労働~日本の原発労働者』(その3)
法定限度以上の放射能を被曝する危険な労働を、電力会社が名もなき末端の労働者から金の力で購入し、放射能被曝の事実を闇に葬る行動が繰り返されてきた。
事故が生じるときに、放射能に被曝して生命の危険に晒されるのは、決まって最前線にいる末端の労働者である。
時間当たり賃金が極めて高い、違法ともいえる危険労働に従事する側には、そのような労働にありつかなければ生活を支えてゆけない事情がある。
あるいは、現実に夢も希望も持てなくなり、開き直って危険労働に身を晒してしまうこともあるのかも知れない。
相手の足元を見て、理不尽な危険労働、違法労働を下請け労働者に押しつける図式に疑問を感じなくなる感性が恐ろしいのである。
機械化が進んで、このような危険労働をすべてロボットが行えるようになるなら、問題は縮小するだろう。しかし、現実には、放射能を被曝する危険労働が広範に容認されているのが現実であり、その危険労働には、下請けの末端労働者の生命と健康が、金と引き換えに切り売りされているという現実がある。
原子力発電が、このような闇の労働に支えられない限り存続しえないのなら、原子力発電を継続することは許されない。
この問題だけではない。原子力発電では、ひとたび重大事故が発生するなら、狭隘な日本の国土の大半が汚染されてしまうリスクが現実のものになる。チェルノブイリの事故を日本に当てはめれば、日本列島全体が死の列島と化してしまう恐れが存在する。
日本は世界でも代表的な地震国のひとつである。同時に、歴史的に繰り返し巨大津波に襲われてきた国である。今回の福島原発事故も、わずか100年前に発生した津波よりも小規模の津波の発生によって引き起こされたものだ。
政府と電力会社、そして癒着する原子力関連学界は「万全の体制」を喧伝してきたが、その「万全の体制」がいかに杜撰で、無責任なものであったことか!テレビは、責任ある当事者の弁解だけを垂れ流しているが、例えば今回の事故を的確に予言してきた広瀬隆氏など、有能な批評者をなぜ一度も地上波に登場させないのか。
今回の事故を踏まえて、脱原発の方向に大転回することを検討しなければならない。
とはいえ、福島で発生してしまった事故がまだ収束していないから、当面はこの問題の解決に全力をあげなければならない。
電源を回復し、冷却システムを復旧させなければならないが、予断を許さない状況が続いている。冷却システムの復旧には、原子炉建屋およびタービン建屋内での作業が不可欠である。しかし、原子炉建屋もタービン建屋も、放射能濃度が非常に高くなっており、作業の難航が予想されている。
作業する労働者には、防護服、防護靴、防毒マスクの完全武装を装備させなければならない。電力会社は責任を持って、作業を行う労働者の完全装備を実現しなければならない。また、放射線量の厳格な管理も不可欠である。
国は、何の根拠も示さずに、被曝量上限を100mSvから250mSvに引き上げたが、正当性がない。直ちに100mSvに戻すべきである。
作業には東京電力幹部が先頭に立つべきである。原発事故に責任を負っているのは、末端の労働者ではなく、経営幹部である。少なくとも、対策本部は福島原発内に設置して、関係幹部は全員、福島原発に入って指揮を執るべきである。
また、原発から20-30キロ圏内の住民の避難について、「自主判断での退避」の指示が出たが、予想通り、背景に、政府の財政支出抑制の方針があった。菅政権の行動は、国民の生命と健康よりも財政支出の圧縮の方が大切であるとの考え方に基づいていることを示している。
他方で、官僚利権には一切手をつけない。官僚利権を削減することはせずに、国民の命を守る、健康を守るための政府支出は、たとえ死者が出ようとも、切り詰めたいのだ。
主権者国民の生命と健康を守ろうとしない政府には退場してもらうしかない。大災害が発生したから、被災者への対応を優先するために、倒閣勢力が政治休戦を提唱し、実行されてきたが、政府が何よりも大事な主権者国民の生命と健康を犠牲にして財政支出を切り詰めるというなら、このような政権には一刻も早く退場してもらわねばならない。
被災者の生活再建を考えるときに、何よりも必要になるのは「お金」である。著名人が「何か出来ることをしたい」と発言しているが、何よりも「お金」を出して、その「お金」が適切に使われることが重要である。
被災者の生活再建のためには、かなり巨額の「お金」が必要だ。その「お金」を誰がどのように負担するのかを短期日に決めようとしても無理だ。当面は国債発行で調達する以外にない。その国債の償還を迎えるときに、負担のあり方の論議をすればよい。10年国債を発行すれば、検討する時間が10年間も確保できる。
財源を最終的に誰がどの程度負担するかを決められないから、被災者支援の財政政策を決められないなどというのは、政治の責任放棄である。政府の予算措置策定に向けての動きが遅すぎる。
20-30キロ地域の住民の避難も政府の勧告による避難に切り替えるべきである。国民が不幸のどん底に突き落とされたときに、手も差し伸べられない政府なら、存在する意味はないのだ。
電力会社幹部は、原発の現場で作業の先頭に立って行動するべきだ。
菅政権幹部は、直ちに被災者救援の財政政策を直ちに策定するべきである。
その際に、増税実現などの邪悪な企てを混入すべきでない。負担の論議は、国債の償還までに時間をかけてじっくりと行えばよいのだ。
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