ウォルフレン著『誰が小沢一郎を殺すのか?』②
(その1)から続く
ウォルフレン氏は次のように総括する。
「省庁の高級官僚と、ビジネス界やメディア界の幹部からなる日本の政治エリートは、アメリカ政府が日本の超法規的で非公式な権力システムの存続を支援してくれる見返りに、日本を引き続きアメリカに隷属させようとしている。」
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誰が小沢一郎を殺すのか? 画策者なき陰謀 著者:カレル・ヴァン・ウォルフレン |
そのうえで、ウォルフレン氏は小沢一郎氏について、日本のどのジャーナリストよりも的確にその本質を表現する。
米官業政電の日米利権複合体による上記の密約に対して、ウォルフレン氏は次のように記述する。
「小沢氏はもちろんそのような密約を反故にしたいと考えている。なぜなら彼が対米関係でめざすのは、日本の主権を確立することにほかならないのだ。」
前段では小沢氏について、
「小沢氏は、日本が変わらなければならないことを知っている。しかも彼は本気でそれに取り組んでいる。そしてだからこそ、日本の旧態依然とした体制を変えまいと固執する勢力から見れば、そんな小沢氏は脅威なのだという事実を、我々ははっきりと認識しなければならない。」
と記述するのである。
ウォルフレン氏は日本の未来について、
「もし私の分析が正しければ、日本が真に独立することで、この国の政治家と政党政治は旧態依然とした状態から解放され、よりよい民主主義が日本にもたらされることになる。」
と述べる。
この意味での『日本の独立』こそ、私が拙著で主張した主題である。
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日本の独立 著者:植草一秀 |
だが、ハードルは決して低くない。ウォルフレン氏は、
「いまなお日本にはふたつの異なる階層が存在している」
と指摘する。
「すなわち、現実を知る手がかりを与えられたごく少数の人々と、政治を知らないか、あるいはたてまえの裏には本音があるかも知れないと疑ってはいても、その実態をしかと把握することのできない大多数の人々である。」
ウォルフレン氏は、次の言葉でこの著作を締めくくっている。
「本書の結びにあたって、私は次のような質問を日本のみなさんに投げかけようと思う。果たして日本には、これまで縛りつけられてきたものからの解放を望む大勢の人々がいるのだろうか。そして彼らの結集をはかることで、変化をもたらすことを可能とするような、ひとつの強い声を生み出し、やがては日本を変えていくことができるのであろうか、と。」
第二維新を成就するには、眠れる獅子=日本のサイレント・マジョリティーが立ち上がらねばならない。この巨大な山が動けば、必ず日本は変わる。
信頼を置ける米国ではない外国のジャーナリストが示してくれた、値千金の指摘を、日本国民が放置することは、あまりにももったいないことである。100万人の同志が新著を読み、情報を共有することが、大変革への第一歩になる。
(その3)に続く
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日本の独立 著者:植草一秀 |
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誰が日本を支配するのか!?政治とメディアの巻 販売元:マガジンハウス |
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売国者たちの末路 著者:副島 隆彦,植草 一秀 |
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知られざる真実―勾留地にて― 著者:植草 一秀 |
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