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2011年3月23日 (水)

震災生活支援・復旧補正予算編成に三大基本原則

未曾有の天災が日本列島を襲い、広範な地域に甚大な被害がもたらされた。とりわけ津波の被害は甚大であり、東北太平洋側沿岸部を中心にすさまじい傷跡を残した。
 
 こうした地域で被災された方には、衷心よりお悔やみとお見舞いの気持ちを表させていただきたい。自然の力はすさまじいが、一瞬のうちに多くのものを失った被災者の心情は言葉では言い表せぬものであると思う。
 
 依然として多数の方が行方不明となっており、今後も捜索者の方には人命救助に全力をあげていただくことをお願い申し上げたい。
 
 多くの同胞が、家屋を失い、肉親、家族を失い、友人を失い、故郷の田園風景を失った。避難所の生活環境は極めて厳しく、必要な食糧、燃料、衣料、寝具、薬品などが、依然として十分には供給されていない。
 
 こうした不測の事態に、絶大な役割が期待されるのが政府である。政府は万全の体制で被災者の生活支援に取り組まねばならないが、残念ながらこれまでの対応は極めて遅かった。とりわけ、被災者の命と健康を守るための物資の供給体制を整備するのに、時間がかかりすぎた。そのために、せっかく避難をしたにもかかわらず、避難所で命を失う事例も多数発生してしまった。
 
 どのように必要な物資を、物資を必要としている場所に搬送し、提供するのかを考察するのが、ロジスティックスである。残念ながら、これまでの政府の対応は、このロジスティックス構築の能力を欠くものであった。
 
 政府は福島原子力発電所から半径20-30キロの地域を屋内退避地域に指定したが、そのために、エリア外からの物資搬送者が、30キロ地点から内部に立ち入らないとの行動を招いた。政府の指示を素直に読めば、こうした行動が誘発されるのは明らかであり、そのために、20-30キロエリアで屋内退避する住民の手元に物資が供給されなくなった。
 
 同時に、ガソリン等の、エリア外への移動に不可欠な物資も供給されなかったから、20-30キロエリアに避難した住民は、放射能の危険にさらされながら、陸の孤島状態での兵糧攻めに遭遇する状況に置かれたのである。
 
 震災発生から10日以上たって、ようやく事態は改善に向かって動き始めたが、災害発生時の政府対応に備えが不足していた面を否めない。

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さて、これからの問題は、政府の財政対応である。これだけの巨大災害が発生したのだから、当然に、巨大な費用がかかることになる。政府はそのことを確実に認識しなければならない。
 
 菅政権は、2011年度本予算編成で、国会運営の壁に行き詰まっていた。本予算そのものは衆議院の優越で成立するものの、関連法案が参議院での与党少数により、成立の見通しが立っていない。菅政権は内閣総辞職か衆議院解散のいずれかを選択せざるを得ないところに追い込まれていた。
 
 さらに、追い打ちをかけたのは、菅直人氏が親しい関係を有していた外国人から政治献金を受けていた事実が判明したことである。何度も会食し、一緒に釣りにも出かけたことのある外国人籍の人物から政治献金を受け取っていた。罰金刑や禁固刑に処せられる可能性のある重大な法令違反を犯していたことが判明した。
 
 ところが、この局面で震災が発生したために、永田町では政治休戦が宣言され、菅政権は辛うじて延命できた。
 
 こうした事情で延命できたのであるから、菅政権は大震災に苦しむ国民の救済、支援に全精力を傾けなければならない。それが人の道である。
 
 具体的には、被災者の生命、健康、生活を支援するために、必要十分な財政支出を迅速に実行すること。また、生活関連、生産関連のインフラの復旧に全力をあげること。この二つの目的を達成するためには、かなりの規模の追加政府支出が必要になる。
 
 この点に関して、以下の三点が問題になる。
 
 第一は、財源をどのように調達するのかである。結論から言えば、国債の増発を行うか政府の埋蔵金を活用する以外に選択肢はない。
 
 他の政府支出を削減して財源にすることは、景気支持の視点から容認できない。使用済み燃料プールに水を注入するときに、その注入する水を、その燃料プールから引き抜いた水を使って注入するのでは効果がない。景気もこれと同じだ。
 
 他の政府支出を減らして災害復旧費に充てるのでは、景気に対するマイナス効果が極めて重大になる。
 
 また、この機に乗じて震災増税を実施しようとの悪だくみがあるが、言語道断の企てである。そのような企てを強行しようというのなら、その具体案決定の前に解散総選挙を実施する必要がある。
 
 第二は、このことと関連するが、すでに決定した予算の修正を行うべきでないことだ。子ども手当や高速道路無料化などの施策は、2009年8月の総選挙での民意を受けて決定されたものである。これらを廃止することは、民主党政権が実質的に自公政権に変質することを意味するのであり、そのようなグランドデザインの変更を民意の確認なく行うべきでない。どうしても、政策の根幹を変えようというのなら、解散総選挙が不可欠である。
 
 第三は、福島原発の放射能事故に付随するさまざまな被害に対して、政府と東京電力が完全な補償を行うことである。補正予算には、その内容を具体的に盛り込む必要がある。放射能事故は人災であり、被害を受けている多数の関係者に対して、政府と電力会社は全責任を負っている。
 
 菅政権が提出した2011年度本予算は史上最強の超デフレ予算である。補正予算編成を、国債増発を財源として編成しなければ、2011年に日本経済は確実に失速することになる。国民の関心が震災に集中している間に歪んだ政策が立案されないよう、最大の警戒が求められる。
 

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