巨大災害に苦しむ国民に「地震増税」を企てる悪魔
未曾有の大地震・大津波に見舞われた日本。
国民が力を合わせてこの難局を乗り越えなければならない。
広範な地域における人命救出活動が展開されているが、自衛隊の動員を拡大して、生存者の救出に全力を挙げるべきだ。政府は自衛隊の動員を5万人から10万人に拡大する方針を示したが対応が遅すぎる。直ちに15万人体制を構築して、生存者の救出に全力を挙げるべきである。
福島原子力発電所の潜在的リスクが排除されていない。半径20キロの避難で十分とは言えないはずである。直ちに避難範囲を100キロ程度に拡張する必要があるのではないか。避難区域を拡大して被害が想定内に収まることと、避難区域を拡大せずに被害が想定外に発生することとを比較考量しなければならない。
こうした不測の事態の発生に対応して、政治休戦が申し合わされたのは当然であるが、このなかで、看過できない動きが見え始めたことに対して、政治を担う人々の良識ある行動が強く求められる。
民主党の菅直人氏と自民党の谷垣禎一氏が「地震増税」の可能性を検討しているとの報道が示された。大地震と大津波で国民生活が未曾有の困難に直面しているときに、国民を欺くような暴政を企てることに驚愕の念を禁じ得ない。
緊急、臨時の支出に対応するのが、本来、国債発行の意義である。震災対応の国債発行であるなら、当然のことながら、支出見合いのインフラが整備される。建設国債発行の要件も満たすはずである。
日本のマネーフローは、巨額の余剰資金を国内投資で吸収できず、その資金余剰が海外に供給されている状況にある。国債を発行しても国全体の資金余剰の状況に変化は生じない。
そもそも2011年度は超緊縮財政であり、何の災害が生じなくても、日本経済には強烈な下方圧力が生じる。ここに、震災の影響で、少なくとも短期的には強烈な景気下方圧力が生じる。
この震災不況の影響を緩和するためにも、追加で決定される補正予算の財源は国債発行以外にあり得ない。
こうした国民の存亡危急の機に乗じて、消費税大増税を実施してしまおうなどというのは、国民生活の困難に何の関心もない財務官僚以外には、発想の対象に浮かびようがない。
このような傍若無人の悪政提案を真に受けるところに、菅直人氏の歪んだ感性がはっきりと浮かび上がる。
まさか、このような提案が具体性を帯びるなどということがあるとは考えられないが、「地震増税」なる言葉が報道を通じて表面化したことに留意し、このような暴政が万が一にも具体性を帯びることがないように、主権者国民はしっかりと警戒の目を向けてゆかなければならない。
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