民主主義の根幹を踏みにじる菅直人・与謝野馨氏
主権者国民、選挙、政党、国会の関係を改めて確認しておく必要がある。
日本国憲法は主権者を国民と定めている。国民に実権があるのが日本の政治制度の根幹だ。
政治の主義主張を同じくする者が政治活動を実行する単位が政党である。政党は選挙に際して、主権者である国民に公約を提示して選挙を戦う。最近では政党が選挙に際して提示する公約体系を「マニフェスト」と称しているが、「マニフェスト」は言ってみれば主権者国民と交わす「契約書」である。
主権者国民は政党が示す公約体系=マニフェストを検証して、どの政党に国政を委ねるべきかを判断して投票する。主権者国民の多数の支持を獲得した政党が政権を担う。この政党は主権者国民に対して、契約書=マニフェストに記した約束を守る責任を負う。
このような形で、主権者国民の意思が政治に反映される。
このなかで、現在の政治に根本的な二つの重大問題が存在する。
第一は、自民党比例代表衆議院議員の与謝野馨氏が菅直人政権の閣僚として入閣したこと。
第二は、主権者国民が消費税大増税について、明確にNOの意思を示したにもかかわらず、菅直人氏が消費税大増税を強行推進していること。さらに言えば、主権者国民が不信任を明示した総理大臣が、総理の座に居座り続けていること。
これらのすべてを一言で表現するならば、「正統性がない」ということだ。
民主主義政治にとって欠かせないことは「正統性」である。統治が正統なものでなければ、権力行使は強制力をもたない。
与謝野氏は『民主党が日本経済を破壊する』との著書まで出版して民主党を攻撃してきた人物である。「立ち上がれ日本」も民主党を参院選で勝利させないために創設した党であり、与謝野氏はその共同代表に就任したのである。
与謝野氏は2009年8月の総選挙・小選挙区選挙で落選した。辛うじて国会議員の地位を得たのは、自民党の比例代表の候補者に名前を連ねたからであった。主権者国民が比例区で自民党に投票した、その投票によって衆議院議員にとどまることができたのである。
その与謝野氏が民主党政権の閣僚として入閣することは、民主主義の否定である。こんな単純明快なことすら理解できない人物が、閣僚の地位にあることは日本の恥である。恥を知らない、権力亡者は即刻、国政の場から退場するべきである。
与謝野氏が議員辞職して、一民間人として菅政権に入ったのなら、節操がないとの批判を伴うにせよ、日本の民主主義を否定する行動にはならなかった。しかし、与謝野氏は議員辞職することなく菅政権に入ったのである。主権者国民に対する冒涜、民主主義に対する冒涜と言わざるを得ない。
消費税問題は過去2回の国政選挙における最大の争点であった。藤井裕久氏、与謝野馨氏、野田佳彦氏、菅直人氏、玄葉光一郎氏がいずれも、所得税法附則104条を消費税増税の根拠として掲げるが、言語道断も甚だしい。
附則104条は、麻生政権が2009年の総選挙に向けて提示した、自公政権の政策公約なのである。2011年度中に消費税増税を含む税制抜本改革に必要な措置を取ることを定めたのだ。
これに対して鳩山民主党は、増税の前に官僚利権を切ることが先決であるとして、消費税増税を否定したのだ。衆議院任期中の消費税増税を完全否定して2009年8月総選挙を戦った。
結果は、言うまでもない。民主党が大勝した。この時点で、附則104条は実質的に効力を失ったのだ。
それにもかかわらず、スタンドプレーの菅直人氏は、2010年7月参院選に際して、突然消費税大増税を再び公約として取り出した。昨年6月17日のマニフェスト発表会見だ。菅直人氏は、民主党内で協議もせずに、独断専行で消費税大増税公約を提示したのだ。
幸い、健全な主権者国民が直ちに菅直人氏の「正統性のない」提案を全面否定した。参院選で菅直人民主党は惨敗したのである。
この参院選を菅直人氏は、「菅政権に対する信任投票である」と明示した。この参院選で民主党が大敗したことは、主権者国民が菅直人政権に不信任を突き付けたことを意味した。菅直人氏は、当然、この時点で首相の座を明け渡さねばならなかった。
消費税大増税公約は、主権者国民の意思によって、明確に否定されたのである。それにもかかわらず、菅-野田-与謝野-藤井の各氏は、所得税法附則104条に定めがあり、日本は法治国家だから、この法律の条文を遵守する方針だなどのたわごとを撒き散らしている。
この4人は民主主義の基本を踏みにじっており、参院で直ちに問責決議を可決すべきである。
民主主義の根幹を踏みにじる人物を主権者国民は糾弾しなければならない。これまでおとなしすぎた主権者がいよいよ行動を示すべき時期が近付いている。
エジプトでは民衆の蜂起に権力が銃砲を向けた。この行動が民衆蜂起のエネルギーを爆発させることを現政権は思い知ることになるだろう。
日本では悪徳ペンタゴンが、主権者国民を容易に抑圧し続けることができると考えているだろうが、そうは問屋がおろさない。日本の民衆が蜂起する時期が刻々と近付いているのである。
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