公正裁判実現のため裁判関係者情報を収集しよう
石川知裕衆議院議員、大久保隆規氏、池田光智氏に対する裁判が始まった。今後、小沢一郎民主党元代表の裁判も行われることになる。
日本の構造改革の最重要課題のひとつに、警察・検察・裁判所制度の近代化がある。これらの点について、フランス人権宣言はいまから200年以上も前に、大原則を定めているが、日本では、いまなお、その大原則が確立されていない。
この問題は、諸制度を構築する際に、国権を人権よりも重視するか、国権から人権を擁護することを重視するか、との問いにどう答えるのかに依存するものである。
明治維新を推進した二大巨頭は大久保利通と江藤新平であった。大久保が国権の強化のために民権=人権を軽視したのに対して、江藤新平は強力な国家権力を創出する以上、人権擁護、民権を確立することが重要であることを、命をかけて訴えた。
江藤新平は、この時代にあって、冤罪を生まないことの重要性を強烈に訴えたのである。初代司法卿に就任した江藤新平が存命し、明治維新の中心に居残れば、日本は人権尊重の国として発展したと考えられる。
これに対して大久保は国権の強化を重視して、人権を軽視した。警察・検察権力を内務省の管理下に置くとともに、司法権までをも行政権の下に置くことを主張した。
司法が行政権と一体である国権の支配下に置かれれば、司法が政治目的に利用されることは論を待たない。日本の秘密警察体質、暗黒国家体質は大久保利通が創設したと言って過言でないであろう。
明治が生んだ国家の宝であった江藤新平は、三権を独裁的に掌握した大久保利通の毒牙により、除族の上梟首(きょうしゅ)の刑に処せられた。明治の法典を無視する大久保の暴走により、日本の宝の命が奪われたのである。
大久保が創設した暗黒警察、暗黒司法の伝統はいまなお色濃く残されている。これが、現代日本の警察・検察・裁判所制度の前近代性をもたらす淵源である。
警察・検察に関しては三つの重大な問題がある。
第一は、刑事処分の決定が警察と検察の裁量に委ねられていることだ。そして、その運用において、「法の下の平等」と「罪刑法定主義」が完全に無視されている。刑事訴訟法248条の起訴便宜主義が拡大解釈され、法の支配が崩壊しているのだ。
このことが、政治目的による政敵抹殺と、警察・検察の巨大な天下り利権を生む源泉になっている。
第二は、刑事問題の取り扱いにおける「適正手続き」が完全に無視されていることだ。警察・検察による調書のねつ造、犯罪のねつ造などは日常茶飯事である。村木局長の事件が例外なのではない。村木局長の事件は「氷山の一角」である。
この問題を是正するには、取り調べ過程の全面・完全可視化が不可欠である。完全可視化は被疑者だけに適用するものでない。被害者、目撃者、逮捕者など、関係者すべての言動を完全可視化することによって、警察・検察の日常化している犯罪行為を防止しなければならないのだ。
取り調べの全面・完全可視化さえ、政府はいつまでたっても決めることすらできない。
第三は、公務員の守秘義務違反が放置されていることだ。検察庁職員による違法な秘密漏えいが深刻な人権侵害問題を引き起こしている。この犯罪を厳正に取り締まらなければならない。
もうひとつの重大な問題は、日本では公正な裁判が行われていないことだ。
この問題を鋭く抉り出したのは新藤宗幸氏である。新藤氏の『司法官僚』(岩波書店)は必読の書である。
司法官僚―裁判所の権力者たち (岩波新書) 著者:新藤 宗幸 |
最大の問題は、日本では日本国憲法第76条に定めのある、裁判官の独立が確保されていないことだ。裁判官の人事処遇のすべてが最高裁事務総局に支配されているため、裁判官は人事評価の悪化を覚悟しない限り、良心と法令にのみ拘束される判断を裁判で下せない。
大半の裁判官は、最高裁事務総局の指令に従って裁判を行っている。
最高裁事務総局は基本的に内閣総理大臣の人事権の下に置かれている。つまり、日本の裁判の大半は、行政権の長である内閣総理大臣の支配下にあるのが現実である。
裁判官のなかに、最高裁事務総局の指令に従わない心ある裁判官がいる。しかし、最高裁事務総局は誰がそのような反乱分子であるかを把握している。
したがって、政治目的で政敵を抹殺する際には、そのような正義派裁判官を担当判事にあてない。権力の狗(いぬ)である裁判官を担当判事にすれば、100%政敵を抹殺することができるのである。
つまり、政治裁判を見るときには、裁判の内容を見るよりも、担当判事の属性を明らかにすることが何よりも重要になるのである。
私が巻き込まれた事件の裁判も、間違いなく国策裁判、政治謀略裁判だった。誰が裁判官に充てられたのかが何よりも重要なのである。
「低気温のエクスタシーbyはなゆー」様が、小沢一郎民主党元代表の裁判を担当する裁判官の素性を一部紹介された。
担当判事は、大善文男氏である。はなゆー様は警告の意味を込めて、裁判結果について警戒感を強めておられるが、主権者国民が叡智を結集して、不正裁判を糾弾してゆかねばならない。
その第一歩は、この裁判の判事の属性を可能な限り明らかにすることである。公正な裁判を実現することには公益性がある。広く主権者国民に呼びかけて、あらゆる内部告発を含めて、関係判事に関する情報を集めることに全力をあげるべきである。
「天網恢恢疎にして漏らさず」という。あらゆる力を尽くせば、重要な手掛かりが必ず得られると思う。この裁判にかかわる人間たちの詳細を全力をあげて調査しなければならない。
日本の独立 著者:植草一秀 |
誰が日本を支配するのか!?政治とメディアの巻 販売元:マガジンハウス |
売国者たちの末路 著者:副島 隆彦,植草 一秀 |
知られざる真実―勾留地にて― 著者:植草 一秀 |
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