現実を冷静に見つめ、主権者国民政権再樹立へ
昨年8月30日に総選挙で、日本の主権者国民は政権交代の道を選択した。ところが、爾来、1年3ヵ月が経過して、政権交代への期待、政治の新時代に対する熱意が引いてしまった。新しい政治に対する失望の空気が広がってしまっている。
政治状況の変化をもたらしたものは何であったのか。日本の政治が目指すべき方向はどこにあるのか。私たちは冷静に現実を見据えて、今後の進路を考えなければならない。
昨年の政権交代は、平成の無血革命と呼ぶべき画期的なものだった。日本における政権交代は、普通の民主主義国の普通の政権交代とは違う。日本の歴史上、初めて主権者国民が政治の実権を掌握するという、権力の移行の意味を持つ。
日本政治の実権は、官僚、米国、大企業のトライアングルに掌握されて続けてきた。主権者国民が政治権力を掌握するのではなく、主権者国民は米国、官僚、大資本に支配される政治の被支配者の地位に抑制され続けてきたのだ。
この体制を固定化したのが55年体制だった。自民党が政権の中心に居座り、米国が背後から指揮する政治が持続してきたのだ。
この政治構造を打破し、主権者国民の主権者国民のための政治を実現するために、政権交代を牽引したのが小沢一郎氏だった。小沢一郎氏は2006年4月に民主党代表に就任した。岡田克也氏、前原誠司氏の指揮で、民主党の党勢が衰え、民主党が解党の危機に直面した時に、火中の栗を拾ったのが小沢一郎氏である。
米官業の既得権益トライアングルは、小沢一郎氏が民主党代表に就任すると、小沢氏に対する激しい攻撃を集中砲火の如くに浴びせかけた。大連立、日銀幹部人事、民主党代表選などでの小沢氏の影響力排除工作は、政権交代を阻止するための活動の一環であった。
これらの工作活動が成功せず、悪徳ペンタゴンは2009年に入って、遂に禁断の領域に足を踏み入れた。検察権力の政治利用に着手したのである。
昨年3月3日の大久保隆規氏逮捕がなければ、小沢一郎政権が誕生していた。政権発足から1年が経過し、日本政治の刷新は確実に進展していたに違いない。
大久保氏が逮捕されたのは、小沢一郎氏の資金管理団体への二つの政治団体からの献金を二つの政治団体からの献金であると記載したことによっている。検察は資金の拠出者が西松建設であるとして、二つの政治団体名の記載は虚偽記載にあたるとしたのだ。
ところが、本年1月13日の第2回公判で、二つの政治団体に実体があったとの決定的証言が示された。この結果、大久保氏の無罪は確定的な情勢になった。史上最大の検察失態が明らかなるところだった。
検察は空前絶後の大失態を隠蔽するために、大久保氏に対する起訴事実について、訴因変更を申請し、裁判所が訴因変更を異例に認めたという。そのために検察は昨年1月15日に、突然、石川知裕衆議院議員、池田光智秘書、さらに大久保隆規氏を逮捕した。2004年の不動産取得にかかる収支報告書記載に問題があったと認定した。
しかし、これもテクニカルな言いがかりの域を超えるものでなく、逮捕、起訴すべき事項ではまったくない。この問題に関連して、小沢一郎氏本人まで強制起訴されようとしている。
小沢一郎氏が民主党代表を辞任したために、昨年8月30日の総選挙は鳩山民主党で戦われることになった。民主党は総選挙で圧勝を収めて政権交代を実現した。
政権交代に託された五つの課題は五つのものだった。
①対米隷属からの脱却
②官僚利権の根絶
③企業団体献金の全面禁止
④市場原理主義から共生主義への転換
⑤警察・検察・裁判所制度の近代化
である。
鳩山政権は普天間基地の移設問題を最重要課題に位置付け、対米隷属外交からの脱却を試みた。しかし、閣内に対米隷属勢力を多数配置したために、普天間問題への対応が挫折した。
また、メディアは小鳩政権を集中攻撃せよとの米国の指令を受けて、小鳩政権を総攻撃した。鳩山氏と小沢氏に関する「政治とカネ」の問題を針小棒大に報道し、内閣支持率の引き下げに総力を注いだ。
鳩山首相が節を屈して普天間基地の移設先を名護市辺野古付近としてしまったため、鳩山政権は総辞職に追い込まれた。この間隙を縫って民主党内対米隷属派が政治権力を奪取して菅直人政権を樹立した。
菅直人政権は政権交代の課題をことごとく逆転させた。政策の内容は完全に小泉竹中政治に回帰したものになった。
①対米隷属外交への回帰
②官僚利権の温存
③大資本と政治権力の癒着強化
④市場原理主義への回帰
⑤警察・検察・裁判所制度改革への消極姿勢
の五つが示されたのである。
菅直人氏は参院選が国民の信任投票であると位置付け、その参院選で大敗した。したがって、この時点で総辞職すべきものだった。
9月14日の民主党代表選には小沢一郎氏が立候補し、主権者国民政権が復活する大きなチャンスを迎えたが、メディアが狂気の偏向報道を展開し、小沢一郎氏の代表就任を阻止した。
菅直人氏は総理の椅子にしがみついているが、外交問題で失態を重ね、閣僚が失言を繰り返し、政権は行き詰まりを見せている。
政権交代から1年の時間が経過して、世の空気が一変した理由は、
①主権者国民勢力の敵である米官業政電=悪徳ペンタゴン勢力がその一角のマスゴミを総動員して、主権者国民政権を総攻撃したこと
②民主党内に反主権者国民勢力=悪徳ペンタゴン勢力が存在し、悪徳ペンタゴン勢力が権力を奪取し、政権交代の目指す方向とは逆の方向に舵を切ったこと
の二点にあると判断できる。
事態を打開するには、日本政治構造の刷新を目指す主権者国民勢力が集結し、悪徳ペンタゴン勢力と対峙する体制を改めて構築することが不可欠である。民主党内で権力を奪還することはひとつの方策であるが、民主党内悪徳ペンタゴン派が主権者国民派とは正反対の方向を見ている以上、民主党が二つに分かれ、政界全体が再編されることが不可欠であると思われる。
日本の情報空間は米国の指揮を受ける謀略勢力に完全に支配されている。マスゴミが発する情報が操作されていることを、すべての国民に認識してもらわねばならない。悪徳ペンタゴンの抵抗はすさまじく、主権者国民政権樹立への道は平坦ではないが、事態を冷静に分析して、主権者国民政権樹立に向けて、戦術を再構築しなければならない。
この第二平成維新運動において中心的な役割を果たさねばならないのは、引き続き小沢一郎氏であり、主権者国民は結束して小沢氏を守り、第二平成維新運動を展開してゆかねばならない。
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