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2010年11月11日 (木)

映像公開と守秘義務違反の是非を混同する愚かしさ

尖閣諸島沖の衝突映像流出事件で神戸の第五管区海上保安本部所属の海上保安官が映像流出を自白した。容疑を裏付ける証拠が整わず、同保安官の逮捕が遅れているが、容疑が固まり次第、逮捕するべきである。
 
 NHKを始めとするマスゴミは、記録映像を流出させた海上保安官を擁護する報道を大々的に展開しているが、著しい偏向を言わざるを得ない。
 
 日本の警察・検察・裁判所制度の前近代性を指摘してきたが、こうした前近代性を助長している最大の存在がマスゴミの偏向報道である。
 
 刑事事件の取り扱いにおいては、
Due Process of Law の厳格な適用
②罪刑法定主義
③法の下の平等
④基本的人権の尊重
⑤裁判所の独立性確保
⑥警察・検察の裁量的・恣意的判断の排除
⑦国家公務員の守秘義務の徹底
が厳正に尊重されなければならない。
 
 ところが、現実にはこうした大原則が無視され、マスゴミの情報誘導によって刑事事件の取り扱いが左右される現実が強まっている。
 
 罪刑法定主義ではなく情緒的な人民裁判の傾向が強まっているのだ。
 
 今回の衝突映像について、政府は当初から衝突映像を公開するべきであった。このような重大事案について、事実を正確に国民が知るためには、映像を公開することがもっとも適切な措置である。国民には「知る権利がある」ことを私は主張してきた
 
 菅直人政権が映像の公開を拒み、密室の協議で事態に対処したことは根本的に間違っている。
 
 問題が生じた地点が日本の領海であり、そのことを日本政府が国際社会に対しても正面から主張できるなら、この地点で発生した問題に対しては、日本の国内法に基づき、粛々と処理すればよいのである。
 
 このことについて、海外から横やりを入れられて腰砕けの対応を示すなら、日本は世界の笑いものである。
 
 しかし、日本と中国のこれまでの外交過程において、この地域の領有権に関して、その決着を先送りすることが暗黙の合意とされ、同海域での日中両国の漁業活動について、合意なりルールなり慣習が存在していたのなら、その点を無視することはできない。
 
 尖閣諸島の領有権について、日中国交回復、沖縄返還、日中平和友好条約締結に際して、中国の鄧小平氏が「棚上げ政策」を提案したことは事実であり、2000年に発効した日中漁業協定はこの「棚上げ政策」を踏まえたものであることも事実であると考えられる。
 
 したがって、今回の問題を適正に評価するためには、同海域での日中両国の漁業活動および日中政府の規制活動について、どのような現実が存在してきたのかを検証することが絶対に必要なのである。
 
 メディアに求められるのは、本来、こうした点についての正確な情報提供であり、この点での正確な情報が提供されることにより、事案全体の正しい評価が初めて可能になるのである。

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 日本の領海で中国の漁船が違法に操業したとしたうえで、その操業を中止させて漁船の周りを旋回した海上保安庁の巡視船に中国漁船が衝突した映像だけを流せば、国民の反中国感情を扇動するだけである。戦略的互恵関係の発展など期待すべくもない。
 
「衝突映像が本来公開されるべきものであった」ことと、「政府が外部に流出させないとの方針を決めていたものを外部流出させた」こととは、まったく別次元の問題である。これを混同することは完全な間違いである。
 
 ある人が冤罪で逮捕、起訴され、勾留されたとしよう。この人物は冤罪であるから、本来、逮捕、起訴、勾留は間違った対応である。このとき、ある国民がこの冤罪で勾留された人物を脱走させたとしよう。
 
 このときに、脱走させた国民を罰するべきでないとの主張が正当であるのかどうかの問題と同じだ。
 
 逮捕、起訴、勾留されている人物が冤罪であるのかどうかは、確定した事実ではない。ある人は冤罪だと判断するが、別の人は冤罪だとは判断しないだろう。
 
 衝突映像の公開をある人は公務員の守秘義務違反に該当しないと考えるかもしれないが、そのことは確定していない。政府が外部流出させない方針を決めている以上、この時点では外部流出させてはならない秘密事項であると考えるのが常識的な判断である。
 
 マスゴミは、「映像を公開すべきか」という問題と「映像を外部流出した」問題を意図的に混同させて街角インタビューを行う。その結果として、「公開すべき映像を流出させたのだから罪を問うべきでない」との論調を生み出すことを意図していると思われる。海上保安官の罪を問わないための工作活動と考えられる。
 
 マスゴミは小沢一郎氏の問題でこのような対応を示したことがあったか。小沢一郎氏が攻撃されている問題は、収支報告書上の重箱の隅を突くような問題である。この内容を正確に報道し、このような内容で小沢氏の罪を問うことに賛同するかとの街角インタビューを実施したことがあったか。
 
 NHKは、インターネットの書き込みを強調し、インターネットでは、海上保安官の罪を問うべきでないとの声が多いと強調した。民主党代表選に際して、インターネットでは小沢一郎氏を支持する声が圧倒的に優勢であったが、このことをNHKは正しく伝えたのか。
 
 11月28日に投開票を迎える沖縄県知事選が本日11日に告示された。この選挙に向けて、マスゴミは辺野古海岸を破壊する軍事基地建設を最終的には容認すると見られる仲井真弘多氏を当選させるために、日中関係の悪化を演出しなければならない使命を負っていると考えられる。
 
 この目的のために、海上保安官の罪を問わず、中国非難の世論を高めることが求められているのだ。背景には、米国の強い指令があると考えられる。
 
 日本の主権者国民はマスゴミの情報誘導に惑わされず、法治国家日本を守らねばならない。「映像を公開するべきこと」と「国家公務員が守秘義務を守ること」とは、まったく別の問題である。このことを正しく認識することが、今回の問題に対処する基本であることを忘れてはならない。

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