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2010年11月 3日 (水)

前原氏の日中悪化工作粉砕し伊波洋一知事誕生を

日本はアジアの一国として、アジア諸国との友好関係構築に努めるべきである。それが日本の安全保障確保に資することは言うまでもない。
 
 いたずらに関係を悪化させ、緊張を高めることは愚の骨頂である。中国で反日デモがあり中国政府が中国国民の意思を無視できないとするのは、日本のマスゴミが流しているデマにすぎない。中国で反日デモに参加している国民は中国国民のごく一部であって、この一部の動きを針小棒大に伝えて、あたかも中国全体が反日の動きを強めているかのように伝えるのは誤導である。
 
 日本でも反中国デモが行われており、状況は似たり寄ったりである。
 
 日中関係は意図的に悪化させられていると見られる。直接的な標的は沖縄県知事選である。11月28日に沖縄県知事選が実施される。
 
 菅直人政権は沖縄県名護市の美しい辺野古海岸を破壊して巨大軍事基地を建設しろとの米国の命令に隷従する姿勢を示している。
 
 しかし、沖縄の主権者国民は普天間基地の移設先を沖縄県内に定めることに拒絶の意思を明確に示している。日本が国民主権の国であるなら、首相はこのことを第一に尊重する責任を負っている。
 
 米国と共同発表を行ったと言っても、主権者国民の同意を得て発表したものでなければ、日米共同発表に正統性はない。
 
 菅直人氏は国会答弁で政権運営の基本に「国民主権」を置いていると述べたが、言行不一致である。国民主権を基礎に据えるなら、沖縄県民の同意を得ていない辺野古海岸破壊巨大軍事基地建設方針を無条件に是認することはあり得ない選択である。
 
 沖縄に米軍が駐留する目的について、政府が強調したのが「抑止力」論である。沖縄に米軍が存在しなくなれば中国が尖閣諸島の領有を主張して実力行動に出る可能性が高い。この中国の冒険的な動きを抑止するのが沖縄に駐留する米軍の役割である。
 
 これが「抑止力」論の肝である。尖閣諸島での中国人船長逮捕を発端とする今回の騒動は、このロジックに沿って、沖縄への米軍駐留の必要性を強調するための工作である可能性が高い。
 
 中国政府はこれまで尖閣問題について、「棚上げ政策」を取ってきた。日中国交回復、日中平和友好条約締結に際して、中国が尖閣における日本の実効支配を容認する代わりに、領有問題については棚上げする提案を行い、事実上、この「棚上げ」に基づいて、その後の漁業協定が定められてきた経緯がある。
 
 前原外相は「棚上げ論」について日本が合意した事実はないとの見解を示したが、この外相見解が、過去の事実に照らして正しいものであるのかどうかを、厳正に検証する必要がある。元外務省官僚の孫崎享氏は、1978年8月の鄧小平・園田外相会談で棚上げ論が実質的に確認されているとの見解を示している。
 
 その後も、中国政府は外交チャネルでしばしば「国交回復時、平和友好条約時棚上げし、それを基本原則とする」点を確認していることを孫崎氏は指摘する。

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 2000年6月に発効した日中漁業協定では、北緯27度以南の水域については、領土問題を棚上げし、日中双方が自由に操業できる水域に指定している。さらに、日本政府は尖閣周辺の日本領海内に中国漁船が侵入しても、追い払おうとしても実力行使は避けてきた経緯がある。
 
 中国漁船衝突の場面の映像が国会で放映されたが、日本の海上保安庁の姿勢が、これまでの日本政府の対応と同じものであったのかどうかを確認する必要がある。そのためには2時間40分の全体が公開されることが不可欠である。
 
 前原誠司外相は日本のアジア諸国との友好関係構築ではなく、中国などのアジア諸国との緊張関係構築に尽力しているように見える。米国に隷従する前原氏としては、沖縄県知事選に向けて、できるだけ日中関係を悪化させ、尖閣における中国の脅威をアピールしなければならない役割を負っているのだろうが、一国の外務大臣がこのような売国的な姿勢で任にあたることは許されるものでない。
 
 前原氏が、尖閣諸島が日米安保条約の適用範囲かどうかを執拗に質問するので、米国は沖縄基地問題もあり、尖閣が適用範囲だと答えた。
 
 しかし、米国が尖閣の領有問題について、日本の主張を支持していない点に十分な注意が必要である。米国は尖閣が日本の実行支配下にあることから、安保条約の適用範囲であることを表明したのであって、領有問題については日中二ヵ国間の問題であることを明言している。尖閣は日本領土であるとの前原氏の主張を支持してはいない。
 
 北方領土について米国は日本の領有を認めているが、日米安保条約の適用範囲ではないことを明言した。北方領土を日本が実効支配していないことがその根拠である。
 
 また、日米安保条約の適用地域であることが、直ちに有事の際に米軍が日本防衛のために軍事行動を行うことを保証したものでないことについても、確認が必要である。米国には1948年のバンデンバーグ決議があり、相互支援を米国の軍事支援の条件にしている。日本は憲法上の制約で集団的自衛権を行使できないから、米国は日本の防衛のために軍事行動を行えない可能性が高いのである。
 
 前原氏が暴走して日本のアジア友好外交を破壊しつつある。扇動的な浅はかな言動は、燃えやすい低質なナショナリズムを刺激しやすく、百害あって一利なしである。
 
 沖縄県知事選では仲井真弘多現知事が普天間基地の県外移設を表明して、普天間問題を争点から外そうとする動きが見られている。普天間問題を争点から外し、経済振興を新たな争点に浮上させ、政府との距離の近い仲井真氏を当選させようとする動きである。
 
 しかし、仲井真氏は普天間基地の県内移設に明確に反対の姿勢を示していない。菅直人政権が仲井真氏を再選させて、辺野古海岸破壊の基地建設に突き進もうとしていることは容易に想像がつく。
 
 このために、菅直人政権は官房機密費を仲井真陣営に注ぎ込む可能性がある。
 
「東京サバイバル情報」様が仲井真陣営に対する過去の官房機密費の動きについて、解明作業を示して下さっている。
 
 沖縄選出の照屋寛徳衆議院議員が、衆議院予算委員会で官房機密費を沖縄県知事選に投入することのないよう政府に要請したが、菅直人政権はその可能性を否定しなかった。照屋氏は「官房機密費を知事選に投入するかもしれないなー」との懸念を表明した。
 
 本年1月の名護市長選、本年9月の名護市議選に続いて、11月28日の沖縄県知事選は、普天間問題に対する沖縄の主権者の意思を最終的に表明する最重要の機会である。これ以上、沖縄の地に新たな基地を建設させないとの意思を沖縄の主権者は県知事選で明瞭に表明するべきであると思う。
 
 民主党衆議院議員の川内博史氏は沖縄県知事選での伊波洋一氏支持を表明した。沖縄県知事に伊波洋一氏を選出し、対米隷属の菅直人政権や前原誠司氏に対して鉄槌を下す必要がある。

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