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2010年10月 4日 (月)

中国船衝突事件ビデオ国民は「知る権利」を有する

中国の漁船が日本の領海を侵犯した上、海上保安庁の巡視船に意図的に衝突したとして逮捕した中国漁船船長を中国政府の圧力に屈して日本政府が釈放した問題について、中国漁船が海上保安庁巡視船に衝突した場面を撮影したビデオが国会に提出されることになった。しかし、その取り扱いがまだ決まっていない。
 
 今回の日本政府の対応に重大な問題があることはすでに論じ尽くされている。日本外交史上最大の汚点と言ってよいだろう。
 
 前原誠司国交相などが十分な検討のうえで中国人船長を逮捕、勾留した。理由は中国船船長の対応が「極めて悪質」であったとの判断である。
 
 ところが、日本政府はこの中国人船長を処分保留で釈放した。「法と証拠に基づき粛々と対応する」と明言していた前原氏の説明は破綻した。前原氏は適正に責任を明らかにするべきである。
 
 日本政府は、検察の判断にすべてを委ねたと説明している。
 
 しかし、この説明は検察の発表と矛盾している。
 
 中国人船長が逮捕、勾留された事由は、公務執行妨害容疑である。
 これに対して、検察が釈放した理由としてあげたのは、
①けが人が出ていない、②計画性がない、③初犯である、④船体の被害が軽微である、⑤国民生活への影響、⑥日中関係への影響、
などである。
 
 誰もが感じる矛盾は、
 
①「極めて悪質な事案」であるなら、日本の法律に基づいて粛々と起訴すべきであったこと。上記釈放の理由は公務執行妨害事由で逮捕した人物を釈放する理由になっていない。
 
②外交的な配慮で中国人船長を釈放するなら、政府が責任をもって明確な説明を行って釈放するべきこと。検察が外交上の理由で犯人を釈放することは、刑事訴訟法第248条の規定を超える越法行為である。政府の責任において超法規で船長を釈放するか、法務大臣が指揮権を発動する以外に、船長釈放を説明できるものはない。
 
③検察が公務執行妨害事由で逮捕した被疑者を、国民生活や日中関係を考慮して釈放することは、日本が法治国家であることと矛盾する。刑事訴訟法248条違反の違法行為である。
 
の3点が未解決のまま残されている。政府があくまで検察独自の判断として責任を回避すると言うのなら、検察関係者を国会に証人として召喚し、検察責任者の責任を問わなければならない。
 
 検察関係者の責任と政府の責任の、どちらをも問わない選択はあり得ない。この責任処理封じに自民党が加担するなら、自民党も同罪である。

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 問題はビデオの取扱いである。
 
 日本の主権者は日本国民である。日本国民にビデオを公開しない選択はあり得ない。日本国民は主権者として、「知る権利」を保有している。
 
 第二次大戦に際して、日本政府は日本国民に真実の情報を伝えず、日本国民を地獄に導いた。この過ちを繰り返してはならない。
 
 ビデオを日本国民に開示すべきことは当然のことである。
 国民が偏狭なナショナリズムに走ることには警鐘を鳴らす必要があるが、国民が真実を知った上で、適正な対応を判断してゆかねばならない。国民に事実を知らせず、一部の国会議員だけが判断を下すことは、民主主義国家として正当な手続きではない。
 
 日本政府は尖閣諸島が日本に帰属しており、領土問題は存在しないとの立場を強調するが、1972年の日中国交回復、1978年の日中平和友好条約締結時に、尖閣諸島の帰属問題が棚上げされたことも事実である。この点を踏まえると、中国人船長を逮捕した上で、政府の外交判断から中国人船長を中国に強制送還するとの選択肢があったはずだ。日本政府が外交判断からの対応を取らなかったのなら、検察は法と証拠に基づき、起訴すべきであったということになるはずだ。
 
 いずれにせよ、ビデオが公開されなければ、客観性のある建設的な論議を行うことができない。主権者国民の存在を否定するビデオ非公開の選択はありえないことをすべての国会議員が認識する必要がある。
 
 日本政府は国会を通じて、主権者国民にビデオを公開することを速やかに決定しなければならない。

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