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2010年10月18日 (月)

官僚利権擁護・大企業癒着の菅首相法人税減税案

日本が高齢化社会に移行するなかで、医療、介護、年金にかかる政府支出の急激な拡大が見込まれる。年金については、基礎年金部分を国費によってすべての国民に保障することが検討されている。医療費についても人口構成の高齢化に伴い増加することが見込まれている。
 
 こうした政府支出の急激な増加が見込まれる一方で、日本の財政収支が著しく悪化している。この財政状況を放置すれば、日本の財政破綻懸念が強まるとの指摘には一面の理がある。
 
 したがって、中期的に日本の財政収支を改善することは国家的な急務になっている。
 
 財政状況を改善するには三つの方法がある。
第一は政府支出を削減すること
第二は政府収入を拡大すること
第三は政府資産を売却すること
である。
 
 財政再建に向けて取られるべき適正な順序は、
①政府支出削減、②政府資産売却、③政府収入の増加
である。
 
 増税論議がいつも紛糾して前に進まない最大の理由は、政府支出の削減に政府が積極的に取り組んでこなかったことにある。
 
 政府支出の無駄削減が政権交代に託された大きな課題のひとつだった。
 
 鳩山前首相は2013年までの衆議院任期満了までは、政府支出の無駄削減に全力をあげることを明確に公約として掲げていた。ところが菅直人首相は、政府支出の無駄削減を放り出して大型増税論議に進むことを公約として掲げた。この政策方針に主権者国民が反発して、参院選において、菅首相不信任の意志を明瞭に表示した。
 
 主権者国民から不信任を突き付けられたにもかかわらず、菅直人氏は首相の座にしがみつき、悪徳政権を全面支援する悪徳マスゴミの全面支援を受けて、菅直人氏は首相の座に居座ってしまった。
 
 このなかで、菅直人政権は大増税実施に向けて活動を開始している。菅政権は「実現会議」(仮称)を新設して、社会保障改革と税制抜本改革の総合的な検討を行う方針を固めた。この会議を軸に大型増税が画策されることは間違いない。
 
 主権者国民が要求しているのは、増税論議の前に、政府支出の無駄を排除することである。事業仕分けで政府支出に膨大な無駄があることの氷山の一角が示された。しかし、事業仕分けでは、ほとんどの項目が「要検討」とされ、最終的な支出削減があいまいなまま処理されている。
 
 取り上げられた費目は全体のごく一部であり、しかも、その支出削減は、論議されたごく一部にとどまっている。「ままごと」の域を出ていないのである。この問題を所管する担当者が、国会内で規則違反の営利活動のグラビア撮影を行ってきちんと謝罪もしない村田蓮舫議員では、そもそも成果を期待すべくもないのだが、政府支出の無駄排除が進まない限り、増税論議は永遠に進まないだろう。

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 名古屋市長の河村たかし氏などは、市会議員や市長の処遇を大幅に引き下げて、減税を行うことを提唱している。私は、国民生活を支えるためのセーフティネットを弱体化させることには反対するが、政府支出の無駄を排除して、できるだけ税負担を引き下げようとする姿勢には賛同する。
 
 政府支出の無駄を排除するためにもっとも重要な施策は天下りの根絶である。これまで繰り返し指摘しているように、
「公務員の退職直前10年間に関与した企業、団体、業界への再就職を退職後10年間は禁止する」といった程度の客観基準を設置しなければ天下りの根絶は実現しない。
 
 菅直人政権は天下りあっせんと公務員の現役出向を認める方針を示しているが、天下り禁止どころか、天下り全面擁護にスタンスが転換している。
 
 菅直人政権が天下りを全面擁護するなかで国民に税負担の増加を求めることを主権者国民が認めるわけがない。税制論議が進まない最大の責任は菅直人氏の基本スタンスにある。
 
 この菅直人氏が国民に消費税大増税を求める一方で、企業に対しては法人税減税を提唱している。
 
 2007年11月に政府税調が発表した「税制抜本改革に向けた基本的考え方」には、日本の法人税負担が国際比較上高くないとの結論を示している。
 
 つまり、日本の法人税負担は国際比較上、高くないというのがこれまでの政府公式見解なのである。
 
 財務省出身の経済学者である野口悠紀雄氏も法人税負担についての論述を示しているが、同様に日本の法人税負担が高くないとの結論を示している。
 
 企業の税負担は、表面上の税率だけでは論じられない。企業の税負担は課税の対象となる課税標準に税率を乗じたものになる。課税標準を小さくする制度が採用されていれば、税率が高くても税負担は小さくなる。日本では課税標準が小さく設定されており、企業の税負担は小さいのだ。
 
 このなかで菅直人氏が法人税減税を提唱してきたのは適正でない。菅直人氏は企業を優遇する減税を掲げて、庶民に負担を押し付ける消費税増税への賛成を獲得しようとしたものである。主権者国民に矢を向けて大資本と癒着する基本姿勢が鮮明である。
 
 日本の国税収入の経年変化は下記グラフの通りである。
 Photo
 
 法人税負担は1990年から現在にかけて、4分の1の水準にまで激減した。逆に消費税負担は2倍近くに拡大した。このうえ、菅直人氏は消費税をさらに2倍に増税し、法人税をさらに減税しようとしているのだ。
 
 主権者国民政権は主権者国民の側を向いた政策を推進するべきである。菅直人氏は主権者国民に矢を振り向けて官僚および大資本と癒着する政権である。この背徳の菅政権を可能な限り早期に打倒しなければならない。

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