地検特捜部長逮捕報道を遮断する逮捕タイミング
大阪地検特捜部の主任検事前田恒彦容疑者が押収した証拠を改ざんした疑いで逮捕された事件に関連して、大阪地検特捜部前部長の大坪弘道容疑者と前副部長佐賀元明容疑者が証拠改ざんの事実を知りながら、この犯罪を告発しなかった犯人隠避の疑いで、最高検にようやく逮捕された。
客観的な証拠の構造から大坪容疑者と佐賀容疑者の逮捕は免れなかった。
大坪容疑者と佐賀容疑者の逮捕によって、今回の証拠改ざんが検察の組織ぐるみの犯罪であったことが確認された。
無実の人間を犯罪者に仕立て上げるために、証拠の改ざんまで行っていた事実が明らかにされた。
政治的な目的を達成するため、無実の人間を犯罪者に仕立て上げる警察当局や検察当局の犯罪行為は、これまでも広範に実行されてきた疑いが濃厚である。
今回は、証拠のフロッピーディスクへの改ざんであったが、通常の事件捜査、公判での立証においては、関係者の供述が極めて重要な証拠として用いられる。
この関係者の供述が、警察、検察当局の誘導により、歪められることは日常茶飯事で行われていると考えられる。
これらの行動も、その内容によっては証拠物への改ざんと同種のものである。
検察当局がこのような証拠の改ざんを防止していれば、村木厚子氏は本年2月の段階で無罪放免されていたはずである。無実の人間の基本的人権を侵害したことに対しても厳正な対処が必要である。
また、特捜部長から大阪地検の次席検事、検事正にも証拠改ざんの報告が上がっていたことが確認されている。検察上層部の犯罪に対しても厳正な対応が不可欠である。
今回の逮捕は当初から週末にずれ込むことが決められていた。逮捕状が請求されてから逮捕が実行されるまでにも異例の長い時間がかかった。
結局、大坪容疑者と佐賀容疑者の両名が逮捕されたのは10月1日午後10時を過ぎてからであった。なぜこのような時間帯が選択されたのかについても考察しておく必要がある。
金曜日の深夜の逮捕が、各種情報報道番組での問題の掘り下げが最も減少するタイミングなのである。NHK「ニュース9」もテレビ朝日「報道ステーション」も十分な報道を行えない。
例えば月曜日の逮捕になれば、その週を通じて、早朝から深夜まで情報報道番組は検察幹部逮捕報道一色になる。今回の逮捕は大阪である。事件捜査は東京で進められている。容疑者の身柄が大阪から東京に移送されなければならない。メディアはこうした容疑者移送を格好の映像情報とする。
イギリス人英語教師殺人事件で指名手配されていた男性が逮捕されたとき、容疑者の身柄が新幹線で大阪から東京に移されたとき、捜査当局はメディアに東京駅での映像情報撮影の機会を提供したのである。
これに対して、今回は土曜日朝の報道番組でも検察事件の報道は極小だった。土曜日夜の唯一の報道番組である、TBS「ニュースキャスター」は番組改編時の特別番組枠に切り替わり放送がなかった。
NHKは、今回、検察当局と結託して、犯罪もみ消しに動いていた。しかし、大阪地検の同僚検事などの内部告発による詳細な証言を封じ込めることができず、犯罪の立件に動くことになった。
その後のNHK報道は、NHKが犯罪もみ消しに動いてきたことを踏まえて、大坪、佐賀両容疑者の否認の弁解を中心に報道を展開しており、極めて歪んだ報道を繰り返している。
10月3日午前の「日曜討論」でも、この重大事件に触れることすらしなかった。
フジテレビ「新報道2001」も中国外交問題が軸で検察大不祥事をほとんど放送しない。テレビ朝日「サンデーフロントライン」がわずかに取り上げるだけである。月曜日以降は、検事逮捕のニュースがやや色あせて、番組での取り扱う時間が短縮される。
警察・検察・裁判所がメディアによる報道を十分に認識していることが明らかになった。逆に言えば、マスメディアの土石流のような情報洪水で、イメージ報道を蔓延させる場合には、正反対のタイミングが選択される。
今回の事案で身柄移送の映像がメディアに提供されたのか。大坪容疑者と佐賀容疑者の身柄は東京に移送されたのか。移送されたとすれば、どのような交通機関が用いられたのか。メディアはまったく報道を行っていない。容疑者の検察への身柄送検の際の映像提供についても、映像遮蔽措置にランクが幾通りもある。
事件報道はマスメディア各社の最重要報道であると同時に最重要映像情報であり、この面での検察と報道機関の癒着が極めて深刻な状況になっている。
取り調べ過程の全面可視化と合わせ、検察とメディアの癒着の問題にもメスを入れなければならない。今回の報道タイミングは、検察当局がメディアの報道の在り方について熟知しており、報道による情報の拡散が最小になるタイミングを狙っていることが明白に示されている。また、各メディアがこの問題を可能な限り小さく報道するとの姿勢も明確である。
各報道機関が検察最高幹部OBを顧問弁護士として受け入れている、いわゆる「天下り」を通じる癒着も大きな背景である。
![]() |
![]() |
誰が日本を支配するのか!?政治とメディアの巻 販売元:マガジンハウス |
![]() |
![]() |
売国者たちの末路 著者:副島 隆彦,植草 一秀 |
![]() |
![]() |
知られざる真実―勾留地にて― 著者:植草 一秀 |
« 中国人釈放刑訴法拡大解釈は治外法権容認を意味 | トップページ | 中国船衝突事件ビデオ国民は「知る権利」を有する »
「検察の暴走」カテゴリの記事
- 東京地検吉田検事2010.2.1強制起訴断言の怪(2012.09.30)
- 今世紀最大級三つの重大茶番が同時進行している(2011.05.11)
- 地検特捜部長逮捕報道を遮断する逮捕タイミング(2010.10.03)
- 前特捜部長逮捕・検察の犯罪ねつ造は氷山の一角(2010.10.02)
- 大坪前特捜部長ら逮捕へ 犯人隠避容疑、最高検(2010.10.01)
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: 地検特捜部長逮捕報道を遮断する逮捕タイミング:
» 偏向報道の原因はこんな処に!? [高橋敏男のブログ]
“植草一秀の『知られざる真実』”の
「地検特捜部長逮捕報道を遮断する逮捕タイミング」
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2010/10/post-de75.html [続きを読む]
» クイズ⑮…債権譲渡の解答 [脊振の麓~大自然の図書館]
Q15.
A.
譲渡人が債務者に通知するか、又は
債務者の承諾のいずれかで構わない。
問題文は「かつ」となっている。
したがって正解は×
宜しければclickお願いします。
iPod 行政書士 音声学習講座/松本 佳也
¥3,360
Amazon.co.jp
iPod... [続きを読む]
» 信じてはならぬ風見鶏、利権屋(政治屋)、売国奴の顔を保存し次期選挙で落とすべし [ライジング・サン(甦る日本)]
先日ブログで、民主党代表選で菅直人側についた議員のリストがないと書いたところ、読者の方がURL(魚拓)を教えてくれたのでリンクを貼っておきます。 この者たちを大きく分ければ、利権屋(政治屋)・売国奴と風見鶏である。 このまま菅内閣が続けば3年間は選挙が無いわ... [続きを読む]
» 【日本一新】特騒犬察一家と売国翼賛マスゴミこそ日本の民主化を阻むガン組織だ!【革命的変革】 [ステイメンの雑記帖 ]
「大莫迦痴犬毒草部のエース」こと前田恒彦逮捕に始まった特騒犬察一家に対する糾弾の動きは、遂に前特騒部長の大坪と前副部長の佐賀両容疑者の逮捕に至った!
この事態を受け、組織防衛に走る特騒犬察一家は、 手駒である惨経などを用いて「大阪特有の問題」として片付けようとして必死 である!
だがよくよく考えて見れば、犬察機構は敗戦後のGHQによる民主化の過程においても、米帝の手先として特騒部を新設するなどして巧みに生き残ってきた。
つまり、 冤罪をでっち上げ戦前の政党政治の息の根を止めた「帝人事件」以来... [続きを読む]
» 尖閣問題の背後(2)~断末魔のD.ロックフェラーVS止めをさせない欧州勢との膠着状態? [日本を守るのに右も左もない]
「中国の胡錦濤国家主席とロシアのメドベージェフ大統領の会談」 画像はこちらからお借りしました。 前稿で紹介した『ヤスの備忘録 歴史と予言のあいだ』2010年9月29日「流れの転換の向こう側2 中国の動きと文明史的転換」から読み取れることは、次の通りである。 【1】中国は、東アジア・東南アジアにおける覇権の拡大に乗り出したらしい。かつロシアとの同盟関係も強化しているらしい。 【2】アメリカではオバマ政権は尖閣諸島が日米安保条約の適用地域であることを強調するなど中国の動きを牽制する動きと、それを容認す... [続きを読む]
» 8938 ◎ 阿修羅など お勧めブログ 記事川柳 (10/03)/金曜日 深夜の逮捕 特捜B 報道遮断 するタイミング/月曜日 逮捕になれば その週の 早朝〜深夜 報道一色 [アルデバランの 夢の星]
色々引用させていただきました。どうぞ、よろしくお願いします。 [続きを読む]
» 8939 マスメディア イメージ報道 蔓延の 正反対の タイミングにし/諸行無常 予定調和は 虚妄(暗示)なり/■ 前部長 裁判無罪 判決ならば 改ざんもみ消し(職権濫用) 逃げれると見た? (@aichan_titiさん) [アルデバランの 夢の星]
色々引用させていただきました。どうぞ、よろしくお願いします。 [続きを読む]
» 【犬察腐敗】取調を可視化し第三者による査察も同時に入れることが信頼回復の絶対条件だ【全面対決】 [ステイメンの雑記帖 ]
大莫迦痴犬毒草部の前部長と前副部長の逮捕という異例の事態に至った「FD書き換え事件」であるが、これを今回限りの大莫迦痴犬だけの問題に矮小化させたい最高犬察庁は、 惨経など御用マスゴミや土本、河上、大澤などといったヤメ検どもを総動員 している!
そんな中、犯人隠避の疑いで最高犬察庁に逮捕された 大坪、佐賀両容疑者がそんな身内に対し叛旗 をひるがえしたようだ!
(以下、引用開始)
逮捕は「恥の上塗り」=前特捜部長が供述 -犯人隠避を全面否認
大阪地検特捜部検事による証拠改ざん事件に絡み、犯人隠避容... [続きを読む]
« 中国人釈放刑訴法拡大解釈は治外法権容認を意味 | トップページ | 中国船衝突事件ビデオ国民は「知る権利」を有する »