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2010年10月26日 (火)

景気浮揚効果ゼロ補正予算決定菅内閣が導く地獄

菅直人内閣は10月26日午前の閣議で歳出規模4兆4292億円の2010年度補正予算案を閣議決定した。
 
 焦点は財源をどのように確保するのかだ。財政の経済への影響は追加政府支出の財源をどのように調達するのかで違いが出る
 
 5兆円支出を増やしても、当初の予定より税収が5兆円増えることで財源が賄われるなら、民間経済のプラスは生じない。政府支出が5兆円増えても税金で5兆円を吸い上げられてしまうからだ。
 
 また5兆円歳出を増やしても、別の費目で5兆円歳出を減らす政策が取られるなら、やはり民間経済のプラスは生じない。政府支出はトータルで増加しないからだ。
 
 今回の補正予算では歳出拡大規模が4兆4292億円だが、その財源調達は以下の通りだ。
 
 税収見積もりの上方修正 2兆2470億円
 国債費の減額など    1兆4313億円
 決算剰余金からの繰り入れ  8124億円
である。
 
 つまり、税収増加、歳出減少が3兆6783億円あるから、補正予算で民間経済にプラス効果を与える金額は、わずかに7509億円でしかない。日本のGDPの0.15%にしか過ぎない。
 
 補正予算によるGDP押し上げ効果は0.15%程度にとどまることになる。
 
 決算剰余金からの繰り入れを1兆6247億円全額計上するとの報道が行われていたが、最終的に2分の1しか繰り入れられなかった。残りは国債整理基金特別会計に繰り入れられる。要するに、財務省の財政再建原理主義が採用されたのである。
 
 G20財務相・中央銀行総裁会議については、10月24日付記事
「円売り介入制限共同声明を理解できない野田財務相」
に、その問題点を概説した。
 
 野田佳彦財務相は日本の為替介入が理解されたことを示唆したが、このような頓珍漢な財務相が日本を代表して経済外交を行えば、日本丸が難破しない方がおかしい。菅-仙谷-前原の亡国外交トリオが、本丸の外交で日本丸を難破させる一方、野田財務相が日本経済丸も座礁させつつある。
 
 EUが為替市場への介入禁止を打ち出したように、G20共同声明の「通貨安競争の回避」は日本の円売り介入への非難声明と言うべきものであった。日本の介入に対して非難声明が決定されていながら、日本の為替介入に理解を得られたことを示唆した(この解釈は日本経済新聞によるもの)というのだから、おめでたいというよりほかにない。
 
 さらに、G20が共同声明に盛り込んだ、経常収支不均衡と為替レート変動とのリンクは、とりわけ、経常収支黒字国による自国通貨切り下げ政策を牽制するものである。黒字国の黒字が減少するための為替レート変動は黒字国通貨の上昇である。つまり、日本円は上昇するべきであるとしたのがG20共同声明の含意なのである。
 
 G20共同声明は二重の意味で日本の円売り為替介入を抑制するもので、このG20共同声明を受けて、日本の為替介入実施は極めて困難になったと見るべきである。日本円が対ドルで史上最高値を突破するのは時間の問題と見られる。

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 菅直人氏は10月1日に所信表明演説を行い、
「「三段構え」で成長と雇用に重点を置いた経済対策を切れ目なく推進する」
と表明した。その第一段階の柱が為替介入であり、第二段階の柱が補正予算編成である。第三段階が2010年度当初予算編成であるとした。
 
 しかし、為替介入を実施したものの、効果は1ヵ月ももたなかった。2009年度補正予算に景気浮揚効果はほとんどない。つまり、「三段構え」の第一段階と第二段階は「すっから菅」、「空き菅」政策でしかない。
 
 問題は第三段階の2010年度当初予算である。菅直人氏は2010年度当初予算の国債発行金額を44.3兆円以内に抑制する方針を表明している。これは2010年度当初予算での国債発行金額の範囲内に国債発行を抑制する方針である。
 
 ところが、2010年度は2009年度末に策定された2009年度第2次補正予算の影響で、実質的に国債発行金額が4兆円増額されている。実質的な国債発行金額は48.3兆円なのである。これを44.3兆円に抑制すると、GDPを4兆円減少させる効果が生まれる。日本のGDPを0.8%も押し下げてしまうのである。
 
 菅直人氏が編成しようとしている2010年度当初予算は極めて強力なデフレ予算である。デフレ予算を編成して経済が浮上するわけがない。それにもかかわらず、菅直人氏は緊縮財政を実行していないと強弁する。
 
 2001年度から2003年度にかけて、小泉政権は超緊縮財政政策を実行して日本経済を破壊した。このとき、私は一貫して、この超緊縮財政が日本経済を破壊すると警告し続けた。小泉純一郎氏は2002年1月4日の年頭会見で、名指しはしなかったものの私に対して「緊縮財政ではない」と反論し、緊縮財政を強行した。その結果、日本経済は破壊された。
 
 これと酷似した経路を菅直人氏が歩んでいる。菅直人氏の経済政策路線は、財務省の財政再建原理主義に基づく亡国の超緊縮財政である。
 
 9月14日の民主党代表選に出馬した小沢一郎氏は、景気回復を実現することこそ最優先課題であることを明確に示した。この判断が正しく、菅直人氏の判断は誤りである。
 
 しかし、既得権益による日本政治支配構造を破壊されることを恐れる既得権益勢力=悪徳ペンタゴンは、卑劣で不正な手段によって代表選で菅直人氏を勝利させ、日本を亡国の道に導いている。
 
 円高は止まらず、株価下落も続く。菅直人氏が率いる日本経済の先行きには悲惨な地獄が口をあけて待ち構えている。

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