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2010年10月10日 (日)

天下り根絶なき消費税増税突進菅政権を粉砕

菅内閣が「実現会議」(仮称)を新設して、社会保障改革と税制抜本改革の総合的な検討を行う方針を固めたことが報道されている。
 
 菅直人氏は7月11日の参院選に際して消費税大増税の公約を提示した。菅直人氏は6月17日に参院選マニフェスト発表会見を行い、与野党協議が整わない場合には民主党単独ででも2010年度中に税制改革案をまとめることを明言した。菅直人氏の発言を補足した玄葉光一郎氏は消費税大増税を含む税制抜本改革実施の時期を最速で2012年秋と明言した。
 
 菅首相は消費税増税公約に対する風圧が強まると、街頭演説などで、「税制改革の論議を呼び掛けただけで増税案を提示したのではない」とウソの発言をした。政治家にとって何よりも大切なことは、自分の言葉に責任を持つことである。一度示した公約を撤回しなければならないことはあるだろう。しかし、その場合には真摯な姿勢で国民に説明する必要がある。ところが、菅直人氏は自分の発言をごまかして、ウソをついて逃げてきた。ここにこの人物のすべてが表れている。
 
 増税問題はいずれ避けて通れない重要問題だ。高齢化が進展する日本の現実を踏まえたときに、急激に増加する社会保障支出の財源をどのように確保してゆくのかは極めて重要な問題であり、現在の37兆円という国税収入の水準では立ち行かないことは明白である。
 
 この意味で、税制改革の論議を行うことに多くの国民は反対しない。所得税の累進度をきつくするのか、消費税を引き上げるのか、意見は分かれるだろう。消費税を増税する場合には、消費税の持つ逆進性をどのような緩和するのかが重要にもなる。
 
 これらの問題について明確な方針を示してゆくことは必要である。しかし、昨年8月の総選挙を受けて発足した鳩山政権は税制論議に向かう極めて重要な前提条件を示した。それは、国民に増税負担を求める検討を行う前に、政府部門内部の無駄排除を完遂することを主権者国民と約束したのだ。
 
 増税論議が簡単には進まず、国政選挙の際に主権者国民が増税論議に極めて神経質になるのは、政府が政府部内の無駄排除を十分に実行しないまま増税論議に進もうとする姿勢が鮮明に見えるからである。
 
 この点で鳩山前首相の姿勢は明確であった。政府部門内部の無駄排除を完遂するまでは増税論議に深入りしないことを明確に示したのである。

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 7月11日の参院選で菅直人氏が率いた民主党が大敗した最大の理由は、菅直人氏が鳩山前首相の主権者国民との約束、すなわち、政府部門内の無駄排除を完遂しない段階での消費税大増税を提示したことにあった。これは、政権交代に際しての主権者国民との約束を根底から踏みにじるものであったのだ。
 
 参院選で民主党が惨敗したから、菅直人氏は当然、首相の座を退くべきであったが、一度手にした政治権力は死んでも離さないとする醜い執着から、菅直人氏はそのまま首相の座に居座ってしまった。
 
 問題は、税制論議の前提条件である政府部門内部の無駄排除についての民主党と主権者国民との約束が守られるかどうかである。
 
 菅直人氏は税制改革と社会保障制度の見直しを合わせて論議するとしているが、この論議のなかから消費税増税論議が浮上することは明白である。
 
 菅直人氏は参院選に際して、税制の抜本改革実施に際しては必ず総選挙で国民の信を問うことを確約したから、税制改革案が固まれば、その実施の前に必ず総選挙が行われることになる。
 
 したがって、その総選挙までの間に、対案を示す政治勢力が結集しなければならない。菅直人民主党が自民党や公明党と結託して、大増税に前のめりに突き進むことを絶対に阻止しなければならないのだ。
 
 その最大の理由は、大増税実施の前提条件が満たされていないことだ。大増税実施の前には、絶対に政府部門内の無駄排除が完遂されなければならない。菅政権は「事業仕分け」と「議員定数削減」を増税実施の前提条件としようとしているように見えるが、こんなものは前提条件にはならない。
 
 「事業仕分け」のこれまでの実績は、ままごと程度のものにすぎない。公開の場で論議された問題について、最終決着が国民の前に一覧で提示されていないのだ。ほとんどものが、論議されただけで、雲散霧消している。
 
 まさに、まやかし、ごまかし以外の何者でもない。村田蓮舫氏は、国会議事堂で営利目的のグラビア撮影をする前に、「事業仕分け」で取り扱ったすべてのテーマについて、その最終結果を一覧にして主権者国民に示すべきだ。新聞の数ページを活用して広報を行うべきである。そうなれば、事業仕分けがいかにいかがわしいまがいものであったのかについての「真実」を国民が知ることができるようになる。
 
 議員定数の削減も、少数政党を抹殺しようとの政治的な意図が明瞭である。人口当たりの国家議員数を国際比較すると、日本が議員の多すぎる国ではないことがわかる。
 
 増税論議に入る前にどうしても必要なことは、官僚の天下り利権を根絶することなのである。菅直人氏はいまや官僚利権の守護神と化している。官僚天下り全面容認の姿勢を示しつつ、一般国民に大増税を押し付けることは言語道断だ。
 
 また、菅直人氏は消費税大増税を推進するために、大資本のご機嫌を取るために、法人税減税を提示している。この点については論を改めるが、日本の法人税負担が国際比較上高いというのはウソである。したがって、法人税が高いから企業が海外に出てゆくというのもウソである。このようなウソをついてまで、大資本を優遇する政策を実行し、一般庶民には過酷な消費税負担を押し付けようとしているのが菅直人政権である。
 
 主権者国民に背を向け、米国と官僚、そして大資本のご機嫌取りにまい進する悪徳ペンタゴン政権を一刻も早く打倒しなければならない。

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