「ままごと」事業仕分けで大増税推進を絶対に許すな
主権者国民は昨年8月30日の総選挙を通じて政権交代の大業を成就した。政権交代は、これまでの日本政治構造を刷新するためのものであった。
これまでの日本政治構造は、主権者である国民のための政治構造ではなく、日本を支配してきた米国、官僚、大資本の利益を追求するための構造だった。
この構造を根本から刷新することが政権交代に託された課題だった。
具体的に言えば、
①対米隷属外交からの脱却
②官僚の天下り根絶
③企業団体献金の全面禁止
を実現することが、政権交代に託された直接的な三つの課題だった。
さらに、
④警察・検察・裁判所制度の近代化
⑤市場原理主義から共生重視主義への転換
も重要課題として位置付けられた。
主権者国民の意思を反映して政権交代の大業が成就した。民主党の鳩山-小沢体制が主権者国民のための政治を実現するために尽力したが、排除される既得権益勢力の抵抗はすさまじかった。
米官業トライアングルとその代理人である利権政治屋と御用マスゴミが、民主党鳩山-小沢執行部を激しく攻撃し続けたのである。
鳩山前首相は普天間問題の決着に失敗し、この失敗をてこに内閣総辞職に追い込まれてしまった。この機に乗じて、民主党内対米隷属勢力はクーデター挙行に及び、6.2クーデター挙行により、政治権力が主権者国民から悪徳ペンタゴンに奪取されてしまった。
悪徳ペンタゴン政権である菅直人政権が政権交代の五つの課題に背を向けるのは、この意味で当然である。
菅直人政権は
①普天間問題で米国の言いなりになる姿勢を明確に示し、
②官僚天下り利権擁護に回り、
③企業団体献金全面禁止をサボタージュし、
④取り調べ過程の全面可視化を行わず、
⑤市場原理主義経済政策に回帰
し始めたのだ。
主権者国民政権は消失し、悪徳ペンタゴン政権が完全復活したと判断して間違いない。
悪徳ペンタゴン政権は、沖縄の主権者の意思を踏みにじり、官僚天下りを擁護し、大資本優遇の政策推進に邁進している。
菅直人氏の厚顔無恥にはあいた口がふさがらない。
菅直人政権がこれから注力するのは、庶民大増税となる消費税大増税の実現である。その前段階の作業として「事業仕分け」が実施されている。
この秋には、特別会計の事業仕分けが行われる予定であるが、この「事業仕分け」全体が巨大な偽装であることを、主権者国民は見抜かなければならない。
政府が行政刷新会議HPに事業仕分けに関する情報を公開しているが、見かけの姿に騙されてはならない。
「事業仕分け」と記載された項目のなかに、「評価結果」が示されている。「事業仕分け」の対象になった事業の一部が「廃止」決定されたものがある。しかし、大半の項目の「評決結果」の項目を見ると、「見直しを行う」の言葉が並ぶ。
「見直しを行う」は霞が関用語辞典では、「現状を維持する」との意味になる。
問題は、「見直しを行ったあとの結果」なのだ。このHPには、「見直しを行う」の後に続く「見直しを行った結果」がまったく示されていないのだ。
霞が関改革の出発点は財務省でなければならない。
「隗より始めよ」ならぬ「官より始めよ」であるなら、霞が関1丁目1番地とも言える財務省の利権を排除しなければならない。
三つの事例をあげる。
第一は、外為特会である。現状では財務省に為替介入の権利が付与されているが、これは、すべての財政行為に対して国会の議決を必要とする憲法違反の疑いが強い。120兆円もの国費が、為替リスクが丸裸の状態で米国に提供されている。このような重大な債務負担行為に国会の関与がないことは明らかな憲法違反である。外為特会を使って、財務省職員が大名旅行を繰り返していることも重大な問題だ。
特別会計の見直しを行うなら、外為特会はそ筆頭にあげられるべきものだ。
第二は、政府系金融機関への天下りを根絶すべきことだ。日本政策投資銀行、国際協力銀行、日本政策金融公庫の三機関に対する財務省からの天下りをまず根絶すべきである。
第三は、昨年秋の事業仕分けの会場とされた独立行政法人国立印刷局の体育館を売却する方針が論議されたが、1年もたつのにまだ売却されていない。国庫に返納と言うが、国庫を管理するのは財務省理財局であり、財務省の利権のなかに温存する姿勢はまったく変わっていない。
政府資産を売却して初めて国庫の資金残高が増えるのだ。また、国家公務員宿舎についても、財務省が首都圏中心部一等地の公務員社宅の大半を占拠している。これらの一等地不動産を売却して財源としてのキャッシュを確保すべきなのだ。
これらの官僚利権に対して切り込みを行わない事業仕分けは、「おままごと」の域を出ない。所管大臣を国会議事堂内で、営利目的のファッション雑誌のためのグラビア撮影をして、きちんと謝罪もできないような人物が担当しているのだから、事業仕分けに期待できるものなど、もとよりないのだが、巨額の国費を投入しての「ままごと」事業仕分けなら、やらない方がましだ。
事業仕分けをやるなら、財務省と法務省、および警察の官僚利権に切り込まなければ意味がない。また、「見直しを行う」とした項目についての「見直しを行った結果」を一覧にして公表しなければまったく意味がない。
巨大な国費を投入して「事業仕分け」を実行するなら、せめて上述した点を満たす形で対応するべきである。
このようなまやかしの政府支出削減でお茶を濁し、一般庶民大増税に進行することを主権者国民は絶対に許してはならないのだ。
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売国者たちの末路 著者:副島 隆彦,植草 一秀 |
知られざる真実―勾留地にて― 著者:植草 一秀 |
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