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2010年10月13日 (水)

強制起訴は冤罪防止に問題のある制度

弁護士の佐藤善博氏が10月9日付朝日新聞オピニオン欄に、
「強制起訴 冤罪防止には問題ある制度」
と題して意見を提示された。
 
 極めて正当で重要な論点を指摘されているので引用させていただく。

「今回の小沢一郎・民主党元代表の事件は、検察官が嫌疑不十分として不起訴処分にした事件です。つまり、有罪判決を得るには証拠が足りないと検察官が判断した事件です。それを一般市民の中から無作為抽出で選ばれた審査員の多数の賛成で、強制起訴にする現在の制度は、冤罪防止という観点からすると問題のある制度だと思います。
 
 新聞報道などによると、今回の事件をめぐっては、検察部内でも、証拠の評価をめぐって、大きく意見が分かれたと言われています。
 
 検察審査会というのは、このように証拠が十分かどうかについて見解が分かれるような微妙な事件について市民に法律的な判断を求める制度ではないと思います。
 
 むしろこの制度は、証拠がそろっていて検察官は起訴するべき事件なのに、不当な理由、例えば、容疑者との特別な関係や権力者への配慮などから、検察官が起訴しなかった場合に、しがらみのない一般市民が起訴を決定する制度ではないでしょうか。
 
 検察審査会法では「公訴権の実行に関し民意を反映させてその適正を図るため」(1条)と目的を述べています。条文を見る限り、審査員に求められるのは常識的な判断力であって、証拠の価値を評価できるような法律的な知識ではないでしょう。
 
 今回の議決では、検察審査会を、「検察官が起訴をちゅうちょした場合、国民の責任で公正な刑事裁判の法廷で黒白をつけようとする制度である」と述べています。
 
 この見解では、無実の可能性のある人が起訴されることによる負担が忘れられています。私か多くの冤罪事件で弁護をしてきて感じるのは、無実の人が起訴されて被告人となること自体が本人や家族にとって精神的、経済的に非常に大きな負担になるということです。
 
 普通の会社員なら起訴されるとほとんどが解雇され、生活が行き詰まります。家族も犯罪者の家族と見られて苦しみます。後で無罪判決が出たとしても、公務員なら復職できますが普通の会社員では復職も難しいのが現実です。
 
 刑事被告人に対する社会の偏見の背景には、これまで検察官が起訴すると99.9%が有罪になってきたため、「起訴=有罪」だという見方が定着してきたことがあります。
 
 審査員に就任する人たちには、刑事裁判の最大の目的は、無実の人を罰しないこと、冤罪事件を生まないことにあるのだということをよく理解してもらいたいのです。そのためには、人類が長い刑事裁判の歴史の中で生み出し「疑わしきは被告人の利益に」とか「推定無罪」といった原則を必ず審査員に説明することを審査会の慣行にしてもらいたいのです。
 
 私は、市民が刑事手続きに参加して検察官の判断をチェックすること自体は正しいと思います。そのチェックは、足利事件や村木厚子さんの事件のような冤罪事件が発生した時に、なぜ裁判所は誤判したのか、なぜ検察官は起訴したのか、といった問題について、一般市民も入れて、強制力をもって事実関係を調査・検証して、再発防止策を提言する委員会を設置するような形で行うべきだと思います。裁判所や検察庁は自分たちの身内に対して甘くなりがちだからです。」
(ここまで朝日新聞からの引用)

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 後段にある、
「審査員に就任する人たちには、刑事裁判の最大の目的は、無実の人を罰しないこと、冤罪事件を生まないことにあるのだということをよく理解してもらいたいのです。そのためには、人類が長い刑事裁判の歴史の中で生み出し「疑わしきは被告人の利益に」とか「推定無罪」といった原則を必ず審査員に説明することを審査会の慣行にしてもらいたいのです。」
 
を噛みしめて読む必要がある。基本的人権を守る視点から、無実の人を罰しないことの重要性は、古くから何よりも重視されてきた。
 
 周防正行監督の映画『それでも僕はやっていない』の冒頭に次の言葉が登場する。
「十人の真犯人を逃すとも 一人の無辜(むこ)を罰するなかれ」
刑事裁判の目的は「無辜(むこ)の不処罰」にあることがすぐに忘れられてしまうのである。
 
 冤罪がどれほどの重みを持つのかを本当の意味で知るのは、冤罪被害者だけである。無実の人間が犯罪人に仕立て上げられるのである。
 
 同時に人間は社会的存在である。著名人であればあるほど、冤罪による風圧は激しい。私自身も、勾留されている間、毎日毎日、悔し涙を流し続けたことを鮮明に覚えている。
 
 言葉で説明することのできないほどの重い問題だが、冤罪の悲劇を繰り返すことは許されないのだ。
 
 佐藤弁護士が指摘するように、検察審査会はそもそも法律の専門家ではない市民に、専門家でも判断が分かれる証拠能力などの微妙な法律的問題についての判断を求める制度ではないはずだ。
 
 佐藤弁護士は、
「証拠がそろっていて検察官は起訴するべき事件なのに、不当な理由、例えば、容疑者との特別な関係や権力者への配慮などから、検察官が起訴しなかった場合に、しがらみのない一般市民が起訴を決定する制度」ではないかと指摘するが、その通りであると思う。
 
 しかも、小沢一郎氏に関して問題にされている「政治とカネ」の問題とは、メディアなどが憶測で怪しいとしている部分を除けば、まったく問題になるような事案ではない
 
 メディアが憶測で怪しいとしているのは、ゼネコンからの裏献金、賄賂である。こちらの問題で十分に証拠がそろっており、それにもかかわらず検察が立件しないというのなら、検察審査会が起訴相当を決めるのは適正だろう。メディアが騒いでも当然だろう。この場合には、証人喚問や政倫審といった問題も正当性を持ってくる。
 
 しかし、検察審査会が問題としているのは、不動産取得の期ずれの問題だけである。このことでメディアが騒ぎ、政党が騒ぎ、世論調査が繰り返されるのは、おかしいをはるかに越えている。
 
 問題の本体である裏献金などの問題は、小沢一郎氏が繰り返し説明しているように、検察が強制捜査を繰り返して調べたが、立件できないとの結論に至った事案なのだ。
 
 それを、憶測だけで攻撃し続けることは、完全なる間違いである。副島隆彦氏が指摘されるように、2000万人の小沢一郎氏の支持者が存在するだろう。心あるこの主権者国民が結束して、悪を排除してゆかねばならないと思う。
 
 主権者国民は、必ず勝利しなければならない。悪徳ペンタゴンの死に物狂いの逆襲で、いまはこんなことになっているが、形勢の再逆転は時間の問題である。
 
 頃合いを見て主権者国民政党を立ち上げて、主権者国民の力をここに糾合してゆかねばならない。主権者国民がレジスタンス戦線を結成して、連帯して問題に対応してゆくことが必要である。

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