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2010年8月 5日 (木)

駐留米軍に対する見解がころころ変わる菅首相

政権交代実現から1年の時間が経過しようとしている。政権交代が実現した時点での高揚感は消失し、日本政治は再び迷走を始めた。
 
 すべての変調、変質は6月2日に始まった。普天間問題の処理につまづいた鳩山政権は、世論の風圧に耐えきれずに総辞職の選択を示した。
 
 民主党は挙党一致でこの危機に対応しなければならなかった。昨年9月の鳩山政権発足以来、「政治とカネ」問題で鳩山政権は揺さぶられ続けてきた。鳩山首相の故人献金問題が表面化し、結局、鳩山首相の元秘書が虚偽記載の罪を問われた。
 
 虚偽記載は望ましいことではないが、不法行為の内容としては軽微な問題であり、首相が辞任に追い込まれるような問題ではなかった。
 
 鳩山首相の問題以上に大きく取り扱われ続けてきたのが、小沢一郎氏に関する「政治とカネ」問題である。メディアはこの問題を針小棒大に取り上げるが、問題とされている事項は、重箱の隅を突くような些少な問題である。
 
 不動産取得の記載が代金決済の2004年10月ではなく、不動産登記を行った2005年1月として報告されたこと、これまで記載しなくてよいとされてきた一時的な資金立て替えについての記載がないこと、この二点が問題とされているだけだ。
 
 メディアは不動産取得に充てた資金の一部が建設会社からの違法な献金であったとの憶測を流布しているが、十分な裏付けのない憶測だけに基づく報道は、極めて重大な名誉棄損、人権侵害問題を生み出している。
 
 民主党は党をあげて、メディアと検察権力の結託による新政権に対する揺さぶりに対抗しなければならなかったはずだ。
 
 ところが、民主党内に、政権交代実現の最大の功労者である小沢一郎氏を抹殺しようとする悪徳ペンタゴン勢力と通じる対米隷属=市場原理主義グループが存在し、メディア・検察権力と対抗するどころか、これら勢力と結託して小沢氏を排除しようとした。菅直人氏は総理の座を掴むためには理念も信念も信義をもかなぐり捨てる人物だった。
 
 本年元旦には、小沢一郎氏の私邸で開かれた新年会にも出席して小沢氏に対する恭順の意を示していた。ところが、時勢が変わり、小沢氏排除の流れが有利と見るや、一転して悪徳ペンタゴン勢力と手を結び、政治権力を略奪してしまった。
 
 6.2クーデターにより、無血革命政権は終焉してしまった。現在の菅政権は悪徳ペンタゴン政権に回帰している。政権交代に求められた五つの政治課題が、すべて放り出されたのだ。
 
 五つの政治課題とは、
①対米隷属からの脱却
②官僚天下りの根絶
③企業団体献金の全面禁止
④取り調べ過程の全面可視化
⑤市場原理主義からの脱却
である。
 
 これらの基本事項が、すべて放り出され始めたのだ。
 
 臨時国会が開催されているが、政局の焦点はすでに民主党代表選に移っている。
 
 民主党に自浄能力があるなら、民主党を支持する主権者国民の意思を適正に代表する新代表を選出し、変質してしまった政権の基本性格を本来のあるべき姿に戻さなければならない。
 
 8月3日の国会質疑では、天下り問題と企業献金全面禁止問題について、菅直人首相は厳しい追及を受けた。この問題に対する民主党の姿勢は、過去の自民党の姿勢とほとんど違いのないものになっている。
 
 鳩山政権が総辞職に追い込まれた直接の原因は普天間問題の処理を誤ったことにあった。
 
 鳩山前首相は普天間基地移設先について、「最低でも県外、できれば国外」と明言してこの問題に取り組んだ。普天間基地移設問題は主権者国民が注目する最大の国策問題に浮上した。
 
 この論議が高まるなかで明確になったのは、普天間代替施設を日本国内に新規に建設することに対する主権者国民の明確なNOの意思表示であった。
 
 問題の着地には、主権者国民、連立与党、米国の同意が不可欠であるとされてきた。そのなかで、鳩山前首相は5月14日に、沖縄県民の同意、主権者国民の同意を得ることを優先すると明言した。
 
 ところが、5月29日に政府が実行した行動は、主権者国民の同意も、連立与党の合意も取り付けていない、米国の意向にのみ沿う辺野古での基地建設案に日米で合意するというものだった。
 
 国をあげて論議を沸騰させ、日本国内に新たな米軍基地はいらないとの国民合意が形成されるなかで、鳩山政権は結局、最終的に、主権者国民の意思も、連立与党の意思も踏みにじる結論を示したのだ。このような民主主義に反する行動を取ったからこそ、鳩山政権は総辞職に追い込まれたのだ。
 
 ところが、驚くべきことに、菅直人首相は鳩山政権を引き継ぐなかで、国民に一切の説明なく、鳩山政権が米国と発表した日米共同発表を引き継ぐことを表明したのである。
 
 この問題に対する菅直人首相の姿勢は、
「日米合意は守る。沖縄の負担軽減には最大限努力する」
というものである。
 
これを本末転倒という。
 
「沖縄の負担を軽減する。日米合意は最大限守る努力をする」
のが正しい対応である。
 
 菅政権は、スタート時点から対米隷属の姿勢を鮮明に示しているのである。これが菅直人政権が悪徳ペンタゴン政権である何よりの証左である。
 
 天木直人氏が『さらば日米同盟』と題する著書を刊行された。

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著書の内容については、改めて紹介させていただきたいと思うが、普天間基地問題を契機に日米同盟を見なおす論議に着手すべきである。
 
 菅直人首相は2002年には海兵隊の沖縄駐留が不必要であることを明言しながら、突然、海兵隊が抑止力の意味で沖縄に駐留することが必要だと言い始めた。日本の安全保障、日本の対米関係の根幹にかかわる問題について、何の説明もなく、見解がころころ変わる人物に日本の政治を委ねるわけにはいかない。
 
 第二次世界大戦敗戦から65回目の夏を迎えた。天木氏の著作『さらば日米同盟』、ならびに喜納昌吉前参議院議員の喜納昌吉氏の著書『沖縄の自己決定権』を熟読して、在留米軍基地のあり方をじっくりと見つめなおしていただきたいと思う。

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