日本の近未来を決定づける二つの重要な選挙
『金利・為替・株価特報』2010年8月13日号=114号を発行した。
8月13日金曜日の発行である。
タイトルは、
「政権交代の原点回帰には菅政権退場が必要」
である。
目次を紹介する。
<目次>
1.【政局】総理大臣交代の季節が到来
2.【政治】普天間問題の行方を左右する沖縄県知事選
3.【世界経済】世界経済が直面するリスク
4.【為替】持続する円高傾向
5.【株価】終息していない株価下落トレンド
6.【欧州】緊縮財政で通貨下落誘導は悪しき手本
7.【日本経済】猛暑効果を打ち消す円高と景気抑圧政策
8.【金利】ディスインフレと低金利環境の持続
9.【投資】投資戦略
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今年も総理大臣が交代する季節が到来する。9月14日民主党代表選では、7月11日の参院選で表明された主権者国民の意思を尊重し、主権者国民の意思に沿った新しい代表を選出しなければならない。
菅直人首相は参院選に際して、参院選が菅政権に対する国民の信任を問う選挙になることを明言した。参院選結果は、客観的に評価して、菅政権に対して主権者国民が不信任の意思を表示するものだった。このような形で明確に主権者国民の意思が示されたのであるから、菅首相が首相の座に居座ることは主権者国民に対する背信行為以外の何者でもない。
本年11月には沖縄県知事選が実施される。最大の争点は普天間移設問題である。鳩山前首相が普天間問題を国民的論議の対象に格上げした。その結果、普天間問題が主権者国民の重大な関心を集めて論議された。
このなかで明らかになったことは、普天間代替施設を日本国内に建設することに対する日本国民の強い反対の意思であった。
鳩山前首相は普天間代替施設を沖縄以外の日本国内に移設することも検討したが、沖縄以外の各都道府県からも強烈な基地建設反対の意向が示された。
メディアも日本全国の基地建設反対運動を積極的に支援する報道を展開した。つまり、鳩山前首相が在日米軍のあり方を見直す問題を提起し、国民的論議が行われた結果、日本国民の総意として、新たな米軍基地の国内建設に対する拒絶の意思が確認されたのである。
また、辺野古移設案について何よりも重要なのは、辺野古住民の意思である。本年1月に実施された沖縄県名護市長選挙では、基地建設拒絶を公約に掲げた稲嶺進氏が基地建設賛成の意思表示をしていた現職市長を破って当選した。地元の主権者国民も基地建設に反対の意向を明確に示したのである。
鳩山前首相は普天間移設先決定に際して、地元住民、連立与党、米国の三者の同意を得ることが必要であることを示した。そのなかでの優先順位について、5月14日に、地元住民の同意を取ることが優先されるとの方針を明言した。
ところが、5月28日に発表された政府決定は、地元住民と連立与党の同意を得ない辺野古での基地建設案だった。5月14日に示された方針に反して、単に米国の言いなりになって決めた案が政府案として発表されてしまったのである。
この決定に主権者国民と連立与党が激怒するのは当然のことである。社民党は連立離脱して、主権者国民の強い批判に晒された鳩山政権は内閣総辞職に追い込まれた。
普天間問題はこの5月28日の日米共同発表以来、まったく変化していない。鳩山政権が総辞職した後に発足した菅直人政権は、この経緯を踏まえて、普天間問題について、主権者国民の同意を得ることを第一の課題に据える必要があったが、菅首相は首相就任に際して日米合意を守ることを宣言した。
菅首相は首相就任時点で主権者国民の意思は踏みにじり、ただひたすら米国の意向に従う姿勢を明示したのである。
沖縄の基地問題は日本の内政問題である。日本の内政問題についての決定権が日本の主権者国民にない状態を日本の主権者がどう考えるのかが焦点である。
沖縄県知事選は当然のことながら、普天間問題を最大の争点として戦われることになる。民意を正しく選挙結果に反映させるには、辺野古基地建設賛成候補と辺野古基地建設反対候補が一騎打ちで選挙戦を戦うことが必要である。
民主党や国民新党が辺野古基地建設を容認する可能性を残している仲井真弘多現知事を再選させるため、基地建設反対票を二分する候補者を擁立するといった背徳の行動を取ることは許されない。
沖縄知事選には辺野古基地建設反対の意思を明示している伊波洋一氏が立候補する可能性が高まっている。この選挙に基地建設反対の新たな候補者が名乗りを上げれば、基地建設反対の投票が二分され、結果として仲井真氏が漁夫の利を得ることは明白である。
民主党や国民新党がこうした狙いで、欺瞞に満ちた行動を取ることは断じて許されない。
民主党や国民新党が辺野古基地建設案を推進するなら仲井真弘多氏に辺野古基地建設賛成を表明させて、仲井真氏支持を打ち出すべきである。主権者国民に対して詐欺的な行動を取ることは許されない。
仲井真弘多氏は知事選の最大の争点である辺野古基地建設案に対する賛否を明確に示す必要がある。最重要の問題に対して玉虫色の姿勢を続けることは主権者に対して極めて無責任な行動である。
日本は政治の激変に揺れているが、他方で世界経済には新たな暗雲が立ち込め始めている。日経平均株価は昨年の7月、11月以来、3度目の9000円接近の動向を示している。日経平均が万が一、9000円を割り込むと、新たな株価暴落の出発点になる可能性がある。
サブプライム危機に対応して取られた景気対策の効果が出尽くしになりつつあるなか、今度は逆に緊縮財政を主張する声が拡大しつつある。この変化が正しいものであるのかどうか。十分な検討が必要である。
『金利・為替・株価特報』では、もちろん、経済政策と経済金融の先行きに対する展望を行っている。一歩立ち止まって、慎重に検討しなければならない。
売国者たちの末路 著者:副島 隆彦,植草 一秀 |
知られざる真実―勾留地にて― 著者:植草 一秀 |
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