民主代表選争点を歪めるNHKニュース9と報ステ
8月27日の「NHKニュース9」が、民主党代表選の争点を歪めて放送した。NHK報道は明らかに菅直人陣営を支持するスタンスを示している。
どういうことか。
8月27日放送では、民主党代表選の争点は2009総選挙マニフェストの取り扱いであるとする。ここまでは間違いではない。問題はその解釈である。
NHK放送では、小沢一郎氏陣営が、
「マニフェストは国民との約束であるから、その実現を目指すことは当然である」
とするのに対し、菅直人陣営は、
「財政赤字の拡大が深刻化しており、財源の不足をにらみながら、必要に応じてマニフェストを見直してゆく」
とするものである。
具体的事例として取り上げたのが「子ども手当」である。
政権交代実現後、新政権は月額1万3000円の子ども手当を実現させた。しかし、公約は月額2万6000円であり、その実施について意見が割れているとする。2011年度予算の概算要求では、この問題についての決着は先送りされた。
NHK報道のポイントは、日本の財政事情が著しく悪化していることを前提条件に置き、
①財政事情への配慮から、公約の圧縮を柔軟に検討する菅首相、
と、
②財政事情が悪化しているにもかかわらず、公約実現を強硬実施しようとする小沢一郎氏、
の対立図式を浮かび上がらせようとするものである。
この図式が示された上で、どちらが望ましいかと質問すると、回答は菅氏の姿勢が望ましいという方向に誘導される。これが、世論調詐の一般的な手法である。つまり、回答は質問に至るまでの説明の方法によって、簡単に誘導できるのだ。
問題は、NHKの対比が事実を大きく捻じ曲げるものであることだ。
マニフェストの取り扱いの差が明確に表れたのは消費税問題である。
菅直人氏は7月11日の参院選に向けて、消費税大増税の公約を提示した。菅首相はその後、公約ではなく問題提起をしただけだと言い逃れをしているが、これはウソである。
疑いを持つ人は、6月17日のマニフェスト発表会見の模様を自分の目で確かめていただきたい。
菅首相は仮に野党が協議に応じなくても、税制改革案を今年度中に取りまとめることを明言した。消費税率については、「当面」、「自民党が提示した10%をひとつの参考にする」と明言した。さらに、玄葉光一郎政調会長は、増税実施時期について、「最速で2012年秋」と明言した。
玄葉光一郎氏はその後のテレビ番組で、菅直人氏発言が「公約」であることを認める発言を示した。
菅首相の示した方針は、最速で2012年に消費税大増税を実施するというものだった。
この公約提示が主権者国民から拒絶されたことが民主党大敗のひとつの原因だった。
代表選重大な問題が二つあった。
ひとつは、政党の公約変更が党内の民主的手続きを経ずに決定されたこと
いまひとつは、財源不足に対し、直ちに増税で対処するとの姿勢が2009民主党マニフェストに反していること
である。
小沢一郎氏陣営の主張の核は、
「衆議院任期満了の2013年までは、マニフェストに示した政策実現のための財源確保に総力をあげる」
点にある。
これが、
「天下りの根絶を柱とする無駄な行政経費の切り込み」
という政策である。マニフェスト掲載の政策実施を断念することも消費税大増税を実施することも、最終的に不足する財源の穴埋め政策である。
小沢一郎氏陣営の主張は、
「天下りの根絶を柱とする無駄な行政経費の切り込み」
に、衆議院任期中は総力を結集するというものなのである。
したがって、両陣営の主張を対比するなら、
①財源の不足に対してマニフェスト公約の断念や増税で対応するとの菅陣営
に対する、
②2013年の衆院任期ぎりぎりまで、マニフェスト公約実現のための財源捻出に総力をあげるとの主張を示す小沢一郎氏陣営
としなければ、正しくないのである。
消費税論議がなぜ進展しないかと言えば、最大の理由は、その前提となるべき、天下り根絶などがまったく実施されていないことにある。
テレビ朝日「報道ステーション」もNHKと同じ図式で、事実を歪めた報道を展開する。
両陣営の最大の相違は、
「2013年まで官僚利権の根絶などの財源捻出努力をぎりぎりまで続けるか、それともこのような官僚利権切り込みを中止して支出カット、増税に突き進むかの違い」
にある。
主権者国民は薄汚れたマスゴミの偏向報道の嵐の中で代表選を見守らねばならない。ネットから真実の情報を発信して、マスゴミの毒を取り除いてゆかねばならない。
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