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2010年7月10日 (土)

未撤回の最速2012年消費税率10%民主公約

参院選を前に

「小泉竹中改革の破綻と日本政治構造の刷新」講演録動画

の配信が開始されたので、ぜひご高覧賜りたい。

長時間の講演であるので、全体を概観する意味では、

②総括 菅政権基本性格評価と講演概要総括

をまずご高覧賜りたい。

動画を配信くださったmahoroba-japan」様にはこの場をお借りして深く感謝申し上げたい。

さて、参院選投票日があす11日に迫った。

本来、普天間問題でクローズアップされた日本の「対米隷属外交の是非」が最大の争点になるべきであったが、メディアが意図してこの問題を封印した。日本のマスゴミが米国に支配されていることを鮮明に示している。

代わって最大の争点に浮上したのが消費税大増税問題である。

菅首相は6月17日のマニフェスト発表会見で、満を持して消費税大増税を政権公約に掲げた

菅首相は12分45秒の会見の大半を「強い経済・強い財政・強い社会保障」の説明に充て、7分経過時点以降、説明の大半を消費税大増税問題に充てた。

さらに、

10分30秒経過時点で、

「今年度中に大増税案を取りまとめる」ことを明言し、

10分59秒経過時点で、

「当面の税率を10%とする」趣旨の発言を明示した。

 質疑応答は玄葉光一郎政調会長が担当したが、玄葉氏は質疑収録動画の

7分20秒経過時点で、

「消費税率10%引き上げを最速で2012年秋に実施する」

ことを明言した。

重要なことは、この菅民主党の政権公約=マニフェストが厳然と生きていることである。

菅首相は参院選民主党選挙公約の目玉として、この消費税大増税を打ち出した。その決定的証拠が6月17日のマニフェスト発表会見である。この会見は「消費税大増税発表会見」と表現するべきものである。

そして、マニフェストには、

「税制の抜本改革を実施します」

と明記したのだ。「議論します」と表現したのではなく、「実施します」と表現したことの意味を正確に読み取らねばならない。

その後、消費税大増税に反発する世論の強まりを認識して、菅首相お得意の「逃げ」、「ぶれ」、「ごまかし」が始まった。

7月9日には、「私が消費税に触れたことが、すぐにでも消費税を引き上げるのではないか、という心配につながったところがあったのかなと」と述べた。

また、山形県天童市内では記者団に、「超党派で議論を始めようと言ったが、それを超えて受け止められたことが(苦戦の)原因になっているのかなと思う」と述べた。

しかし、菅首相の発言は事実に反している。玄葉光一郎政調会長はマニフェスト発表会見で「最速で2012年秋の実施」を明言しているのだ。この発言を聞いて国民は、「すぐにでも消費税を引き上げる」可能性があると判断した。

この玄葉発言は撤回されていないから、いまも生きていると解釈しなければならない。

ということは、菅首相が否定する「すぐにでも」という言葉の意味は、「年内にも」といったような意味になるのだと思われる。

2012年に大増税を実施することになれば、「2年もたった時点を「すぐにでも」などとは言わない」と言い逃れするはずである。

菅首相は7月8日、鹿児島と熊本で街頭演説した際、消費税問題について、

「1ミリたりともぶれていないし、1ミリたりとも後退はしていない」

と述べた。

つまり、6月17日のマニフェスト発表会見の内容はそのまま生きていることを菅首相自身が明言したのである。

消費税増税を行う前に、総選挙で民意を問うことについて、菅首相も玄葉光一郎政調会長も、「原則的には」や「本来あるべき姿」として言及しているだけで、「総選挙の前に決定しない」ことを約束=公約として明示していない。

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菅首相が消費税問題について、早期の大増税を否定するには、6月17日のマニフェスト発表会見を撤回する必要がある。しかし、現時点で菅首相は撤回せず、逆に

「1ミリたりともぶれていず、1ミリたりとも後退していない」

と明言しているのだ。

つまり、主権者国民は、

「最速で2012年秋消費税率10%」

が民主党政権公約であることを前提に参院選投票に臨まねばならない。

 民主主義が健全に機能するには、主権者国民が自分の目と耳で確かめ、自分の脳で考えることが何よりも重要だ。民主党の政権公約=マニフェストを確認するには、民主党のマニフェスト発表会見を確認するのが何よりも重要である。

「代表アピール 菅直人代表」

10分30秒経過時点

および

10分59秒経過時点

ならびに、

「質疑 玄葉光一郎政調会長・細野豪志幹事長代理」

7分20秒経過時点

を自分の目でご確認いただきたい。

 菅直人民主党を勝利させれば、「2012年消費税率10%」か、これに近い大増税が実施されることに主権者国民が賛成したことになる。主権者国民は本当にこの大増税に賛成するのかどうかを参院選投票の判断基準にしなければならない。

 反対意見としては、

①庶民に大増税を押し付ける前に政府の無駄を排除するべきだ

②法人税減税が打ち出されているが、政府は2007年11月の税調報告で、「日本の法人負担が国際比較で高くない(17-18ページ)」としており、法人税減税は大企業優遇でしかない

③不況が深刻な局面で大増税に向かえば日本経済を破壊する

などをあげることができる。

税収推移グラフ下記)を見ても、

 

Photo

1990年度から2009年度にかけて、

法人税 18.4兆円 →  5.2兆円

消費税  4.6兆円 →  9.4兆円

と変化した。

法人税が1990年度と比較して約4分の1に激減したのに対して、消費税は2倍強に増加した。このなかで、菅首相は4分の1に減少した法人税をさらに減税する一方で、低所得者ほど負担感が重くなる消費税について、税率を2倍にする大増税方針を示しているのだ。

これでは

「国民の生活が第一」

ではなく、

「政治と大企業の癒着が第一」

の政治になる。

主権者国民は、このことを踏まえ、同時に「市場原理主義」ではない「共生重視の経済政策」を提唱する政党を支援し、参院選後に改めて主権者国民政権を樹立しなければならない。

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