民主党対米隷属派候補の識別リスト作成が急務
私が小泉政権を政権発足時点から厳しく糾弾し続けたのは、小泉政権の政策基本方針に原因がある。
小泉政権の政策基本方針とは、
①市場原理主義
②対米隷属外交
③官僚利権温存
④政権の大資本との癒着
だった。
政権運営上の問題は、独裁的に権力を行使し、警察・検察・裁判所、メディアをも支配下に置いたことである。
小泉政権が強化した基本方針は、戦後日本政治の基本構造であった。紆余曲折はあったが、底流にこの基本方針が存在し続けたのが、戦後日本の政治構造である。
政権交代を実現し、日本政治に新しい時代を開かせることは、この日本政治構造を刷新することである。
新しい日本政治の基本方針とは、
①共生重視主義
②自主独立外交
③官僚利権根絶
④政権と大資本の癒着排除
である。
同時に警察・検察・裁判所制度の近代化とマスメディアの民主化を実現しなければならない。
昨年8月30日の総選挙を通じて、政権交代の大業が実現した。政権交代の大業を導いた最大の功労者は民主党の小沢一郎氏であった。主権者国民は小沢一郎氏が率いる民主党を支持し、政権交代を実現させた。
しかし、本ブログで指摘し続けてきたように、民主党内部には日本政治構造の刷新に反対する議員が少なからず存在する。
その中心が民主党六奉行プラスワンの対米隷属派議員である。
小沢一郎氏の力量に劣等感と怨嗟の情を抑えきれない反党議員の代表が渡部恒三氏である。渡部議員の下に、仙谷由人氏、岡田克也氏、野田佳彦氏、前原誠司氏、枝野幸男氏、玄葉光一郎氏の六奉行が名を連ねる。
昨年8月の総選挙で主権者国民は民主党を支持した。支持して理由は、民主党が、
①共生重視主義
②対米隷属からの脱却
③官僚利権の根絶
④大資本と政治権力との癒着排除
を、明確な政権公約に掲げたからである。
対米隷属からの脱却の直面するテーマとして取り上げられたのが、在日米軍のあり方の見直しである。
鳩山前首相は「最低でも県外」と明言した。
菅直人新首相は「米軍海兵隊の国内駐留は必要不可欠なものではない」との基本的見解を表明し続けてきた。
ところが、菅直人氏は首相に就任するやいなや、5月28日の日米合意を絶対視する主張を展開し続けている。
沖縄選出参議院議員で民主党沖縄県連代表を務める喜納昌吉氏が、
『沖縄の自己決定権-地球の涙に虹がかかるまで』
-沖縄にもう基地はいらない(未来社)
著者:喜納 昌吉沖縄の自己決定権
販売元:未来社
Amazon.co.jpで詳細を確認する
を出版された。
喜納昌吉氏は名歌「花」の作者としても有名な音楽家でもある。新著紹介のサイトには、「音楽は転職、政治は本職」の言葉が紹介されている。
菅新首相は民主主義と主権者国民の強固な意志を甘く見るべきでない。
喜納氏は著書のなかで、政権交代後に沖縄の基地問題に関して菅首相と交わした会話を紹介した。喜納氏が「沖縄問題をよろしく」と言ったところ、首相は「沖縄問題は重くてどうしようもない。基地問題はどうにもならない。もうタッチしたくない」と漏らし、最後は「もう沖縄は独立した方がいい」と言い放ったという。
民主党は在日米軍のあり方を見直す方針を昨年総選挙のマニフェストに明記した。沖縄県の主権者はこの公約を信用して、民主党に各個人の重い一票を投じた。民主主義の原点は主権者国民が持つ、それぞれの重い一票にある。
菅直人氏は所信表明演説で、
「「1票の力が政治を変える」。当時の強烈な体験が私の政治の原点です」
と述べた。故市川房江議員の選挙活動を支援した体験を紹介してこう述べた。菅新首相はこの原点に立ち返り、主権者国民の切実な声を反映する政治の実現を目指すべきではないのか。
民主党は在日米軍のあり方を見直すことを政権公約に掲げて選挙を戦い、多数の主権者国民の支持を獲得して政権を樹立した。そうであるなら、新政権はこの政権公約を実行に移すために真摯に努力することが求められる。
鳩山政権の副総理の地位にあった菅直人氏が、「沖縄問題は重くてどうしようもない。もうタッチしたくない」と発言したのが事実だとすれば重大な問題だ。
鳩山政権が総辞職に追い込まれたのは、鳩山総理が主権者国民の信頼を踏みにじったからである。どんなに重い問題であっても、主権者国民と約束したからには、政治は体を張って信義を守り抜かねばならない。
どうしても不可能なときには、主権者国民に対して主権者が納得し得る説明を示す必要がある。菅直人氏も小沢一郎氏の説明責任を求めてきた一人であるが、他人に説明責任を求めるなら、その前に自分が説明責任を果たすことが不可欠だ。
菅新首相は普天間基地問題について、「日米合意を踏まえる」ことを再三表明しているが、問題になっているのは、主権者国民の同意を得ずに、日米政府が勝手に作成した日米合意そのものなのである。
主権者国民に対して、沖縄の主権者の声を無視して、米国の要求通りの日米合意を政府が勝手に結んでしまったことについて、何らの説明も示されていない。
海兵隊の沖縄駐留が日本の安全と東アジア全体の安全と安定を確保する「抑止力」として機能しているから必要だとの説明だけが繰り返されている。
しかし、米軍海兵隊の沖縄駐留については、菅直人氏自身が必要不可欠なものではないことを、これまで、繰り返し明言してきているのだ。
総理に就任した瞬間に、これまでの考え方が急変したのなら、その経緯と理由を示さなければ、主権者国民は理解しようがない。
菅直人新首相は6月23日の沖縄戦没者慰霊式典に出席する意向を示しているが、いまのままの言動では、沖縄の主権者から「帰れ」コールを浴びせかけられて当然である。「帰れ」コールを回避するために官房機密費がばらまかれることを、納税者国民が許さないことも銘記するべきだ。
政権交代実現により達成するべき日本政治構造の刷新の中核をなす項目が、対米隷属からの脱却なのである。
①市場原理主義
③官僚利権温存
④大資本と政治権力の癒着
のいずれもが、日本政治の対米隷属と不可分に結びついている。
民主党内対米隷属派議員は、
①市場原理主義
③官僚利権温存
④大資本と政治権力との癒着
を容認する基本姿勢を示していることを認識する必要がある。
6.2クーデターにより、政権交代後に成立した新政権の基本方針が、
①共生重視主義 → 市場原理主義
②自主独立外交 → 対米隷属外交
③官僚利権根絶 → 官僚利権温存
④大資本と政治権力の癒着排除 → 大資本と政治権力の癒着維持
に転換するなら、もはや政権交代後の政権とはいえ、連続性は存在しないことになる。
文字通りの「クーデター=政権転覆」であり、主権者国民はこの最重要事実を正確に把握しなければならない。
幸い、民主党内の対米隷属派議員は民主党議員の大宗を占めているわけではない。参院選で対米隷属派に属さない自主独立派の議員を増加させれば、民主党の進路を正道に戻すことが可能になる。
6.2クーデターで、民主党内対米隷属派は不正で不当な手段により、主権者国民の手から民主党の実権を奪ってしまった。主権者国民は、限られた手段と機会を最大に活用して、対米隷属勢力の手から主権者国民のための政党である民主党の実権を奪還しなければならない。
その基本は、9月代表選で、民主党正統を民主党代表の地位に就任させることである。民主党対米隷属派は、代表選にサポーター投票を組み合わせる戦術に売って出る可能性もある。民主党内正統派は、いまからサポーター選挙にも備えて、サポーター登録の獲得活動を始動させなければならない。
政権交代新政権が
①市場原理主義
②対米隷属
③官僚利権温存
④政治権力と大資本の癒着維持
に向かうなら、政権交代は小泉政治への回帰を意味することになる。小泉政治賛同者が菅新政権に賛意を示していることも、分かりやすい状況証拠である。
主権者国民は参院選で、民主党自主独立派、国民新党・新党日本、社民党候補者を支援し、民主党内対米隷属派の当選を妨げなければならない。
そのために、民主党立候補者の分類リストを早急に作成し、主権者国民に提示する必要がある。
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売国者たちの末路 著者:副島 隆彦,植草 一秀 |
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知られざる真実―勾留地にて― 著者:植草 一秀 |
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