対米隷属勢力に乗っ取られた国民主権政権
6月11日金曜日、『金利・為替・株価特報』
2010年6月11日号=第110号を発行した。
巻頭タイトルは
「対米隷属勢力に乗っ取られた国民主権政権」
である。
以下に目次を紹介させていただく。
<目次>
1.【政治】米国が糸を引いた6.2クーデター
2.【政治】小泉亜流の道を進む菅直人政権
3.【政局】秋の民主党代表選に持ち越される最終決戦
4.【政策】政府支出の無駄排除なき増税へ
5.【株価】グローバルな緊縮財政がもたらす危機
6.【中国経済】循環的調整局面を迎える中国経済
7.【金利】グローバルな金融緩和の持続
8.【為替】持続するユーロの軟調
9.【投資】投資戦略
5月28日に鳩山政権は沖縄普天間基地移設地問題について、移設先を沖縄県名護市辺野古海岸部とし、1800メートル滑走路を建設する日米合意を日米共同で発表した。
主権者国民、地元住民、連立与党であった社民党の意思を無視しての決定であった。
主権者国民、沖縄県民、連立与党に憤りが渦巻いたことは言うまでもない。
鳩山前首相は米国の合意を得る前に、地元住民の合意を得ることを優先すると5月14日に明言したばかりであった。
内閣の合意文書に署名しなかった福島瑞穂社民党代表兼消費者庁担当相は罷免され、社民党は5月30日に連立離脱を決定した。
鳩山内閣の支持率はさらに大幅に低下し、結局鳩山内閣は総辞職に追い込まれた。
鳩山前首相が辞意を表明したのは6月2日だったが、鳩山前首相は辞意表明演説の中で内閣総辞職の原因を普天間問題での公約違反と「政治とカネ」問題だとした。「政治とカネ」問題では小沢一郎氏にも責任があることを強調し、小沢氏に道連れ辞任を求めたことを表明した。
小沢一郎氏を最重要攻撃対象とする米官業政電の悪徳ペンタゴン広報部隊のマスゴミは、鳩山前首相演説を活用して小沢一郎氏攻撃を激化させた。この動きと連携したのが菅直人新首相である。
菅直人氏は後継代表選出選にいち早く立候補する意向を表明するとともに、小沢一郎氏を攻撃し、民主党内反小沢一郎氏勢力と手を結んで代表選当選を果たした。民主党新執行部および新政権組閣においては、反小沢一郎氏勢力に主要ポストを占拠させる人事を強行した。
今国会では郵政改革法の成立が最重要課題だった。菅新政権は政権発足に際して、国民新党の亀井静香代表と政策合意文書を作成し、署名、捺印した。
合意文書では郵政改革法の早期成立方針が明記された。
ところが、菅新政権は今国会で郵政改革法を成立させない国会日程を決定した。公党間の約束を反故にしたことに抗議して亀井静香国民新党代表は鳩山内閣の閣僚を辞任した。
結局、昨年8月30日の総選挙を通じて成立した三党連立政権では、民主党以外の二党の代表が政権から去る事態が生じた。ただし、国民新党は民主党が参院選後に郵政改革法を速やかに成立させることを両党覚書に明記したことを受けて、連立政権にとどまることを決定した。
菅直人新首相の行動に、民主主義の原点に照らして見落とせない二つの重大な欠陥がある。この欠陥が時間を経過する中で、次第に大きなマグマを蓄積させる主因になることが予想される。
第一は、昨年8月の総選挙を通じて実現した政権交代の果実を菅直人氏が私物化したことである。実現した政権交代は、日本の民衆の叡智と努力の結晶である。日本の主権者国民がこの果実を獲得するに際して、最大の貢献をした人物は小沢一郎氏である。
政権交代実現の果実は公共財であり、政治家のなかで最も強い権限を付与されているのは小沢一郎氏である。
ところが菅直人氏は、小沢一郎氏を騙し打ちすることにより、総理の座を手中に収めた。マスゴミの誤った情報操作の誘導で菅新政権の支持率は高く発表されているが、何よりも重要な政権の正統性が存在しない。多くの主権者国民が人間としての信義を踏みにじるこの菅直人新政権を承認していない。
第二の問題は、普天間問題、消費税問題などについて、主権者国民の意思を無視して菅直人氏が暴走を開始したことである。
普天間問題で菅氏が尊重するのは米国の意向である。消費税問題で菅氏が尊重するのは財界と財務省の意向である。
米国、官僚、大資本が支配する政治構造を打破し、主権者国民のための主権者国民が決定権を持つ政権を樹立することが政権交代の目的であった。しかし、菅氏は新政権を乗っ取ると同時に、日本政治を米官業が支配する構造に回帰させようとしている。
このような不正義、欺瞞行為が許されるわけがない。
9月民主党代表選で、菅直人氏はこの世の正道の力を思い知ることになるだろう。
各人が主義主張を持つのは自由だ。しかし、正当な政権を樹立するには正当な手順を踏むことが不可欠である。「信なくば立たず」である。
菅直人新首相は所信表明演説で主権者国民に決定権がある政治を強調した。そうであるなら、主権者国民の同意を確保せずに政府が米国の言いなりになって決定した普天間問題の日米合意にはまったく正当性がない。
正当性がなくても、強い米国には逆らわないというのが、菅新首相の言う「現実的な外交」だとでも言うのだろうか。
鳩山前首相の「政治とカネ」問題は鳩山前首相も認め、法律上も確定した事案だが、小沢一郎氏の「政治とカネ」の問題は、小沢氏が一貫して検察捜査の行動を糾弾している事案であり、まったく異質のものである。
米国が巨大な力を行使して、小沢一郎氏の政治的な抹殺を企てている暗黒の政治謀略である可能性が濃厚な問題なのである。この不正で暗黒の政治謀略に加担する国会議員が民主党内に多数存在することが、現代日本政治の最大の問題であると言っても過言でない。
正義は最終的に負けるわけにはいかない。不屈の精神で不正義と闘い抜く強固な意思が、必ず巨悪に風穴を開けることになると私は信じる。
この世の正道をすべての人に知らしめるために、どのような戦術を構築するべきか、志ある者が叡智を結集しなければならない。
売国者たちの末路 著者:副島 隆彦,植草 一秀 |
知られざる真実―勾留地にて― 著者:植草 一秀 |
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