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2010年6月

2010年6月30日 (水)

小沢氏を大衆迎合と非難する枝野氏の大衆蔑視

民主党の枝野幸男幹事長が、小沢一郎前幹事長に対して「大衆迎合だ」との批判を浴びせた。

枝野氏は民主主義の基本を理解していない。

民主党は昨年8月30日の総選挙で、主権者国民に政権公約を示して選挙を戦った。主権者国民は政党が示す政権公約を、虚偽でないとの前提で捉えて投票に臨む。

この結果として民主党を軸とする政権が樹立された。民主党は主権者国民に対して政権公約=主権者国民との契約を守る責任を負っている。

2009年度一般会計の税収は46兆円と見込まれていたものが37兆円に減少するとの見通しに修正された。9兆円の歳入見積もりの下方修正が、予算編成に大きな影響を与えたことは事実である。

ただし、37兆円に下方修正された2009年度税収見積もりが、今度は、38.5兆円に上方修正される見通しだ。財務省の能力低下が進行している。

予算編成では必要な政府支出の財源を調達しなければならないから、税収見積もりの変動は、当然、予算編成に影響を与える。国民に約束した政府支出が、財源調達の困難から見直しされることも生じてくることはある。

しかし、大原則としては、政党は主権者国民との約束を守り通すことに最大限の努力を払うべきである。主権者国民と契約を結んでおきながら、正当な事由もなく一方的にその契約を破棄することは「詐欺的行為」であり、政党の信頼を大きく損ねることになる。

税収の急減は100年に1度と言われる「サブプライム金融危機」に伴う世界景気後退によって生じたものである。財政赤字には、景気変動によって生じる「循環的赤字」と、景気変動とは関係なく生じる「構造赤字」の二つがある。

サブプライム金融危機に伴う税収減少は、当然、循環的な赤字である。「循環的赤字」ということは、いずれ、景気が通常の完全雇用状態に回帰すれば、消失する赤字である。

したがって、中長期の歳出政策は基本的に、循環的な赤字の変動に連動して変更されるべきものでない。枝野幹事長は幹事長として政策について発言するのなら、財政収支の経済学について、基本を押さえてから発言するべきだ。

6.2クーデター後に編成された菅直人内閣は、その出自において、主権者国民の意思を踏みにじるころから出発している。この点を菅政権の最高幹部が認識していないことが第一の問題である。

2006年春に民主党は解党の危機に直面した。2005年11月の総選挙に、岡田克也氏が率いる民主党は、明確な方針を示すことができずに惨敗した。岡田氏の後継代表に就任した前原誠司氏は偽メール問題の処理を誤り、民主党を解党の危機に追い込んだ。

この危機に火中の栗を拾ったのが小沢一郎元代表である。小沢氏は主権者国民を最重視する政策方針を示し、2006年4月千葉7区衆院補選、2007年7月参院選で民主党大勝を導き、政権交代実現の寸前まで民主党を躍進させた。

小沢氏が力量を発揮し、米官業が支配する日本政治構造が刷新される可能性が高まり、マスメディア・検察を含む既得権益勢力は、不正で不当な小沢一郎氏攻撃を展開し、昨年の三三事変を皮切りに、本年の一一五事変四二七事変などの政治謀略が相次いで実行された。

鳩山由紀夫前首相は、普天間基地移設問題で処理を誤り、内閣総辞職に追い込まれたが、辞任表明のなかで矛先を小沢一郎氏に向けたため、6.2クーデターを発生させる素地を作ってしまった。

6.2クーデター後に創設された菅直人政権は、主権者国民の意思を代表する政権ではない。菅直人政権は、昨年8月30日の総選挙に際して民主党が提示した政権公約を次々に破棄しており、主権者国民に対する「詐欺的行動」に突進している。

枝野氏は「大衆迎合」と表現したが、小沢氏の主張は「大衆迎合」ではない。総選挙の際に主権者国民と交わした約束、契約を誠実に実行すべきだとの「正論」を述べているにすぎない。

総選挙の際に主権者と交わした約束=契約=政権公約を、政党が十分な説明もなく、一方的に破棄することを押し通すなら、それは「大衆無視」であり、「大衆蔑視」である。

沖縄普天間問題でも、鳩山前首相は「最低でも県外」と主権者国民と約束した。「できるだけ県外」と約束したわけではない。

鳩山前首相は5月14日には、最終的な政府案を決定する前に、米国ではなく地元住民の同意を取り付けることも明言した。

しかし、結果として鳩山政権は、主権者国民の意思を無視して、辺野古の海岸に巨大滑走路を建設する、かつて自民党が決定した、米国の言いなりになる案を政府案として一方的に決定してしまった。

主権者国民の意思はこの問題でも踏みにじられているのである。

枝野氏は、この問題でも、主権者国民の意思を尊重して政府案を決定しようとする姿勢を「大衆迎合」だと批判するのだろうか。

つまり、枝野氏の言葉からにじみ出る姿勢は、主権者国民よりも優れた検討を行い、優れた結論を導くのだから、主権者国民は余計な口を出すな、黙って権力者である自分たち政治家にすべてを任せろ、というものである。

思い上がりもいい加減にしたほうがよい。

国民が主役の政治、主権者が国民である政治を作り上げると謳ってきたのは一体誰だったのか。

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菅直人首相はマニフェスト発表記者会見で、消費税率を10%に引き上げる方針を示唆した。玄葉光一郎政調会長は、「マニフェスト発表会見での発言だから、当然、公約だ」と明言した。

日本の主要国税税目の税収推移のグラフを掲載する。この税収推移グラフ財務省が公開している資料であるので、是非、日本全国の津々浦々にまで流布していただきたい。

 

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1990年度から2009年度にかけて、経済規模を示すGDPは451.7兆円から476.0兆円へ小幅増加したが、税収は60.1兆円から36.9兆円に減少した。そのなかでの法人税と消費税推移は、

法人税 18.4兆円 →  5.2兆円

消費税  4.6兆円 →  9.4兆円

となった。

法人税が1990年度と比較して約4分の1に激減したのに対して、消費税は2倍強に増加した。

このなかで、菅首相は4分の1に減少した法人税を減税する一方で、低所得者ほど負担感が重くなる消費税について、10兆円もの大増税を実施する方針を示しているのだ。

数年来、法人税減税を主張する勢力が存在するが、法人税減税の主張に説得力はない。

政府税制調査会が2007年11月に発表した、

『抜本的な税制改革に向けた基本的考え方』には、

「課税ベースも合わせた実質的な企業の税負担、さらに社会保険料を含む企業の負担の国際比較を行った試算において、我が国の企業負担は現状では国際的に見て必ずしも高い水準にはないという結果も得た」

との表現が明記されている(17-18ページ)。

つまり、「日本の法人税負担は国際比較でみて高くない」というのが、日本政府の公式見解である

昨年8月30日の総選挙で民主党は、衆議院任期中は消費税増税を封印し、無駄な政府支出排除に全力をあげることを主権者国民と約束した。

菅首相の発言は、この主権者国民との約束を反故にするものである。

その後、内閣支持率が低下したために、発言内容がまたしても変化しているが、無駄な政府支出根絶なき大衆大増税を菅首相が意図している疑いが濃厚だ。最近の日本株価下落は、菅政権の財政再建原理主義に基づく緊縮財政への警戒感を反映するものでもある。

民主党国会議員422名のうち、120~150名の議員が小沢一郎氏に近いグループに属している。菅政権は反小沢勢力で主要ポストを固めたが、中間勢力が現在の執行部不支持に回れば、菅政権は立ち行かなくなる。

両者は同じ政党に属しているが、実は、水と油の同居と言ってよい、

対米隷属 VS 自主独立

官僚主権 VS 国民主権

大資本との癒着 VS 大資本との癒着排除

を軸に、できるだけ早期に袂を分かった方が良い。

日本政治に必要なことは、

①対米隷属排除

②官僚主権根絶

③大資本と政治権力の癒着排除

を軸とする政治構造を確立することである。

これまでの政策方針を聞く限り、菅政権に日本の新しい未来を託すわけにはいかない。民主党内自主独立派、国民新党、社民党を支援して、日本政治刷新を実現する新しい政権樹立を目指さなければならない。

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2010年6月29日 (火)

前原一派と○○○の党連携による対米隷属政権

政権交代には日本政治刷新という大きな課題が託されてきた。

これまでの日本政治は、

①米国による支配

②官僚による支配

③政治権力と大資本の癒着

に特徴づけられてきた。

つまり、「米・官・業」が日本政治の支配者として君臨し続けてきたのだ。

米国による支配は日本の敗戦を背景にしている。すでに65年の期間にわたる構造である。

官による支配は、明治時代に確立された。明治の官僚は「天皇の官僚」であり、官僚は支配者の一翼を担った。

第2次大戦後、GHQは官僚制度を日本占領の実働部隊として活用したため、戦前の官僚制度が温存された。高文試験は上級公務員試験に名称を変えたが、少数エリートに特権的権力を付与する構造は残された。

明治の官僚制度は太政官制を復活させたものだが、太政官制は律令政治時代の統治制度である。この意味で、日本の官僚制度は1300年の歴史を引きずるものである。

1955年の保守合同以来、自民党が日本政治の中核に居座り続けた。自民党は大資本の利益を代弁し、大資本は企業献金の名目で自民党に利益を供与し続けた。最高裁が1970年企業献金を合法化する判決を示したが、この判決は多数の政治家が企業献金を受け取ってしまっている現実を踏まえ、違憲立法審査権行使を抑制した「政治を助けた」判決であったとされる。

法理論的には、参政権を歪める企業献金を正当化する理屈は通らないと元最高裁長官の岡原昌男氏は衆議院の政治改革調査特別委員会で明言した。

55年体制成立以来、55年の年月が流れたが、大資本が政治献金を通じて日本政治を支配する図式は維持されたままである。

長期にわたる米国・官僚・大資本による日本政治支配に終止符を打つための最重要の第一歩が昨年実現した政権交代であった。

米官業はその利益を政治で実現するために、利権政治屋=利権政党と、御用メディアを活用している。この五者が「米官業政電の悪徳ペンタゴン」である。

「米官業による政治支配」に対峙するのが「主権者国民による政治支配」である。

小沢一郎元民主党代表が示した「国民の生活が第一」のスローガンにこの精神が象徴的に込められている。

悪徳ペンタゴンは、主権者国民による政治支配確立を阻止するために死に物狂いの工作活動を展開してきた。

最重要注意人物は小沢一郎氏であった。私も同じ視点から注意人物とマークされ続けてきたのだと考える。

小沢一郎氏が民主党代表に就任した2006年4月以降、マスメディアは徹底して小沢一郎氏攻撃を続けた。

2009年3月、総選挙が目前に迫り、政権交代が秒読み態勢に入ると、悪徳ペンタゴンは遂に検察権力の不正行使に動いた。この検察行動が不正と欺瞞に満ちたものであったことは、後の公判過程ですでに明らかにされているが、この検察の暴走により、小沢一郎総理大臣誕生という歴史の1ページは異なるものに書き換えられてしまった。

私は、悪徳ペンタゴンが日本政治刷新を阻止するために、「偽装CHANGE新党」が立ち上げられることを警告した。「偽装CHANGE新党」は反自民の投票の一部を吸収し、民主党の圧倒的多数議席獲得を阻止するために創設されるものであり、選挙後は自民党と連携する可能性が高いと指摘してきた。

しかし、現実には、民主党が総選挙で地すべり大勝を果たしたため、政権交代実現阻止は失敗に終わった。

しかし、政権交代勢力が盤石の基礎を確保するための最後のハードルが残されていた。これが今夏の参院選である。鳩山-小沢体制の民主党は総選挙終了後、直ちに参院選での勝利に向けての活動を開始した。

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窮地に立たされたのが悪徳ペンタゴンである。悪徳ペンタゴンは手先の走狗である検察勢力と御用メディアを総動員して、鳩山-小沢執行部に対する総攻撃を開始した。

同時に、日本政治構造刷新を阻止するための基本戦術に大きな修正が加えられたと考えられる。

鳩山-小沢執行部を集中攻撃するとともに、鳩山-小沢の分断工作も実行された。検察審査会が鳩山氏に対しては不起訴相当決議を示し、小沢氏に対しては起訴相当の決議が示されるように誘導工作が実行されたと考えられる。

検察審査会の決定に圧倒的な影響を与えるのは、審査補助員に選任される弁護士である。つまり、弁護士選任に際して恣意を働かせるなら、検察審査会議決をコントロールすることは極めて容易であると考えられるのだ。

検察勢力とマスゴミを総動員して鳩山-小沢執行部を総攻撃する。同時に小沢氏と鳩山氏の分断工作も成果をあげ、鳩山前首相は首相辞任に際して、小沢氏に極めて威力の大きい矢を放つことになった。この矢がもたらした影響が現段階では限りなく重いものになっている。

悪徳ペンタゴンの基本戦術は用意周到であった。民主党内の対米隷属勢力=市場原理主義者を結束させ、民主党内の権力奪取=クーデターの準備を進展させ、鳩山政権総辞職と同時にこの策謀を実行した。。

他方、参院選に向けては、「偽装CHANGE勢力」の伸長を引き続き誘導する。

「悪党ペンタゴン」としては、民主党が政権を担っても、民主党自身が対米隷属勢力に支配されていれば、それで問題はないのである。

他方、「偽装CHANGE勢力」はまぎれもなく、対米隷属勢力である。

参院選後に、対米隷属勢力が乗っ取った民主党と、対米隷属勢力である「偽装CHANGE新党」=「○○○の党」が連立政権を樹立させれば、日本政治構造刷新の大事業は見事に阻止されることになる。

私は、民主党内に対米隷属勢力=市場原理主義勢力が存在することを警告し続けてきた。この勢力は民主党内多数を確保していない。現状の民主党は少数勢力による民主党支配の構造に陥っている。

対米隷属勢力の民主党と「偽装CHANGE新党」による連立政権は、霞が関利権の根絶を提唱しているが、口先だけのまやかしであると考えられる。

「偽装CHANGE新党」の最高幹部の一人は、かつて行政改革を指揮できる立場にあったが、骨抜きの天下り規制しか決定できなかった人物である。

「天下り根絶」と言いながら、「天下りあっせんの禁止」を決めるのが関の山であると考えられる。

「企業団体献金の全面禁止」もメニューに掲げられているが、実行する考えはないと思われる。「カネのために政治家になった」典型的人物が極めて多いのが対米隷属勢力政権の大きな特徴であると見られる。

主権者国民がもっとも警戒しなければならない勢力が、民主党内対米隷属勢力=市場原理主義勢力と「偽装CHANGE新党」であるが、現状は、主権者国民政権が「民主党内対米隷属勢力」と「偽装CHANGE新党」にまさに乗っ取られた局面である。

この二つの勢力は「対米隷属」で共通するから、郵政米営化、郵政私物化を阻止するための「郵政改革法案」握りつぶしの暴挙に進むに違いない。

この悪夢の図式を打破するには、9月の民主党代表選で、主権者国民の意思を尊重し、米国に対して言うべきことをきちんと言い通す民主党新代表をどうしても選出しなければならない。

民主党議員の多数は、主権者国民代表勢力で、対米隷属勢力は少数に過ぎない。6.2クーデターは民主党内対米隷属勢力による民主党乗っ取りであって、主権者国民の意思を無視する暴挙を容認するわけにはいかない。

民主党代表に主権者国民の意思を尊重する人物を選出し、主権者国民の意思を代表する勢力を結集して主権者国民政権を再樹立しなければならない。国民新党、社民党は新政権に与党として参加するべきであろう。

参院選では、対米隷属勢力の増大を絶対に阻止しなければならない。民主党は分裂選挙になるが、党自体が国民派と対米隷属派に分裂しているのだからやむを得ない。

マスゴミは対米隷属勢力を全面支援する。マスゴミ情報はこの事情に汚染され尽くされているから、信用してはならない。

主権者国民代表勢力を支援し、対米隷属政権を打倒しなければならない。

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2010年6月28日 (月)

消費税増税参院選の意味を伝える輪を広げよう

参院選が7月11日の投票日に向けて、いよいよ佳境に入る。

菅直人首相は、マニフェスト発表の場で消費税率10%への引き上げを示唆した。

玄葉光一郎特命相兼政調会長は、

「マニフェスト発表の場で自身の言葉で言ったのだから、当然、公約になる」

と明言した。

 つまり、消費税率引き上げを菅直人首相は政権の公約として掲げ、この参院選に挑んだのである。

 自らの信念と思想、哲学に基づいて消費税大増税=法人税減税を公約に掲げたのなら、逃げたり隠れたりせずに、堂々と公約を明示して参院選を戦うべきである。

 ただ、大きな問題がいくつもある。

 民主党は昨年8月30日の総選挙で、鳩山由紀夫前代表が、衆議院の任期中は消費税増税を行わないことを明言した。これが主権者国民との約束=契約である。

 菅直人首相は消費税増税を公約に掲げたと民主党政調会長が明言しているが、党内でどのような論議をし、いつ、その公約を決定したのかを有権者に明らかにする責任がある。

 菅首相も党運営について、代表による独裁的な意思決定などが望ましくないと主張してきた人物の一人であると思われる。

 党政調会長はマニフェスト発表の場で明言したことだから、当然、公約であると明言しているが、党としての公約を決定するには、党内のしかるべき手続きが必要なはずである。

 まして、昨年8月30日の総選挙で主権者国民に約束したことと、正反対の内容を含むのであれば、その決定には慎重の上にも慎重を期すことが求められるはずだ。

 繰り返し、税目別税収推移を示すグラフを掲示する。

 

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 1990年度から2009年度にかけて、経済規模を示すGDPは451.7兆円から476.0兆円へ小幅増加したが、税収は60.1兆円から36.9兆円に減少した。そのなかでの法人税と消費税推移は、

法人税 18.4兆円 →  5.2兆円

消費税  4.6兆円 →  9.4兆円

となった。

 法人税が1990年度と比較して約4分の1に激減したのに対して、消費税は2倍強に増加した。

このなかで、菅首相は4分の1に減少した法人税を減税する一方で、低所得者ほど負担感が重くなる消費税について、10兆円もの大増税を実施する方針を示しているのだ。

数年来、法人税減税を主張する勢力が存在するが、法人税減税の主張に説得力はない。

政府税制調査会は、2007年11月に発表した、

『抜本的な税制改革に向けた基本的考え方』に、

「課税ベースも合わせた実質的な企業の税負担、さらに社会保険料を含む企業の負担の国際比較を行った試算において、我が国の企業負担は現状では国際的に見て必ずしも高い水準にはないという結果も得た」

と明記している(17-18ページ)。

つまり、「日本の法人税負担は国際比較でみて高くない」というのが、日本政府の公式見解なのである。

それにもかかわらず、法人税減税を実施して消費税を大増税しようとするのは、政権が大資本と癒着していると同時に、情報工作を担当するマスメディアに対する支配権を有する大資本を消費税増税賛成派に引き込むためであると考えられる。

官僚の天下り根絶などの官僚利権への切り込みはまったく行われていない。

一般庶民から搾れるだけ搾る消費税大増税を実現してしまえば、官僚利権にメスを入れることなど必要なくなる。

早期の消費税大増税は官僚にとっても望ましい決定なのだ。

米国は米国の言いなりになる政治屋、官僚、大資本を操り、その手先であるマスメディアをもコントロールして、日本支配を維持しようとしている。

日本の主権者国民は、在日米軍基地にNOの意思表示を鮮明に示し始めている。もしも、日本に米官業ではなく主権者国民の意思を尊重する主権者国民政権が樹立されたら、米国はこれまでのような日本支配、日本収奪を行えなくなる。

だから、米国は米国言いなりの、対米隷属の日本政治構造を死守しようとしている。菅直人氏は首相に就任するために、米国に魂を売ってしまったのだと思われる。

日本の財政は危機的な状況に陥ったが、最大の理由はサブプライム危機に連動する不況で、大型景気対策を打ち、税収が激減したからである。これで、25兆円の財政赤字があっという間に53.5兆円に膨張したのだ。

したがって、財政収支を改善するには、まず、日本経済を回復させることが最優先されなければならないのだ。

ところが、財務省は異なる発想をする。財政収支が劇的に悪化したことを悪用するのだ。財政危機を煽り、増税やむなしの空気を作り出すのだ。

増税を実現するには二つのハードルを越えなければならない。ひとつは、政治家に増税路線を言わせることだ。もう一つは、増税を提唱した勢力が選挙で過半数を確保することだ。

この二つの条件がそろうことはめったにない。しかし、二つの条件がそろったら、財務省は必ず増税を実施する。日本経済がどうなろうと、死者が何万人出ようと関係ない。財務省はひたすら増税に向って突き進む。だから、今回の参院選を決して甘く考えるべきでない。

消費税大増税派が過半数議席を確保すれば、次の国政選挙の前に必ず消費税造営が実行される。最も可能性が高いのは2012年度後半の実施である。

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増税は国民のために実施するのではない。官僚の利益のために行うのだ。

税金をふんだんに使って、利権三昧の生活を堪能するためである。

米国と大資本とメディアと政治屋と結託して利権三昧の生活を送ることが、官僚にとってのこの世の喜びである。これが官僚の基本行動様式だ。

菅政権は、誠に残念なことに、米官業のトライアングルと手を結んでしまったのだと考えられる。

主権者国民政権ではなくなってしまった。

だから、主権者国民はこの菅政権を短命に終わらせなければならないのだ。

世界経済が2011年に向けて再びトンネルに向おうとするときに、10兆円大増税など言語道断である。

しかし、武士に二言はない。菅首相はマニフェスト発表会見で10%消費税を明言したのだから、是非、この10%消費税を堂々と掲げて参院選を戦うべきである。

主権者国民が賢明であるなら、その結果として、菅政権は短命に終わることになるだろう。

「信なくば立たず」

である。

 小沢一郎氏は政権交代実現の最大の功労者である。小沢一郎氏に近い国会議員が150名も存在するが、この国会議員はすべて、主権者である国民の負託を受けた重い存在である。

 民主党の名にふさわしく、民主主義の根本原則に則った行動が取られなければならない。

 小沢一郎氏は政治的謀略によって激しい攻撃を受け続けてきたが、問題とされたことがらをすべて精査するなら、小沢氏に対する攻撃はすべてが、根拠なき誹謗中傷の域を出ない。

 法治国家の根本原則に、

①法の下の平等

②罪刑法定主義

③基本的人権の尊重

④無罪推定の原則

⑤公務員の守秘義務規定

などがある。

 小沢氏に対する誹謗中傷は、すべてが、この根本原則に照らして不正であり不当なものである。

 そのような不正で不当な攻撃を小沢氏が受けたなら、政治的同志として、共に闘うのが正しい姿勢ではないのか。

 政治謀略やその謀略と連携したマスゴミの攻撃に乗じて、小沢氏を攻撃して、それを党内政治力学に利用するのは最低の行為である。

 仁義礼智信を失えば、拠って立つところは悪しかなくなる。

 悪は最後には必ず亡びるものである。

 官僚利権も断たず、景気回復も実現しないなかで、庶民大増税に突き進むことは、完全な大間違いである。

 とはいえ、マニフェスト発表会見で10%消費税を明言したのだから、菅首相は正々堂々と、この看板を掲げて参院選を闘い抜くべきである。

 世論調査の数字に反応して、主権者国民に提示した公約を出したり引っ込めたりするなら、初めからそのようなものを提示するべきでない。

 主権者国民にとって重要なことは、参院選後の政局である。

 残念ながら、主権者国民政権は6.2クーデターで、対米隷属派に乗っ取られてしまった。信も義も仁も礼もない。この大義なきクーデターには智も備わっていないことを知らしめなければならない。

 参院選後、あるいは、9月の民主党代表選後に主権者国民政権を再樹立しなければならない。

 今回の参院選を消費税大増税選挙と位置付け、消費税大増税派を粉砕しなければならない。そして、主権者国民政権を樹立するのだ。

 法人税減税=消費税大増税路線の矛盾を一人でも多くの国民に口コミで伝えてゆかねばならない。

 ネット読者が10万人でも、それぞれが10人に伝達し、伝達した10人にさらに10人に伝達することを確実に託してゆけば、3回の伝達で1億人に伝達することも可能になる。

 口コミ伝達の輪を拡大し、伝達能力を強化することで、ネット発信情報も大きな威力を発揮し得ると考える。

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2010年6月26日 (土)

不況下の消費税大増税に突き進む二大政党

6月25日金曜日、『金利・為替・株価特報』

2010年6月25日号=第111号を発行した。

巻頭タイトルは

「不況下の消費税大増税に突き進む二大政党」

である。

以下に目次を紹介させていただく。

<目次>

1.  【政策】党内協議のない民主党公約全面改定

2.  【政局】消費税・郵政改革で政界再編の可能性

3.  【グローバル】グロ-バルな緊縮財政圧力

4.  【米国】2009年景気回復の終焉

5.  【中国】中国経済の調整

6.  【株価】株価下落トレンドへの転換リスク

7.  【為替】通貨切り下げ競争の様相

8.  【金利】低金利持続と金価格上昇

9.  【投資】投資戦略

7月11日に実施される参議院選挙。

急きょ、最大の争点に消費税大増税が浮上した。

なぜ、消費税が最大の争点であるのか。

その理由は、この参院選で消費税増税を掲げた勢力が参議院過半数を確保すると、消費税増税を主権者国民が認めたとの解釈が一人歩きし、消費税増税が必ず実施されるからである。

衆議院の任期は2013年秋である。次の参院選は2013年7月である。このまま進めば、丸3年間、国政選挙がない。増税を決めてしまえば、次の国政選挙は増税実施からある程度の時間をおくことができる。

タイミングとしては2012年度中に消費税増税が実施される確率が圧倒的に高い。

消費税率が5%引き上げられると、約10兆円の増税になる。

他方、法人税減税が提案されている。

税収の実態を多くの主権者国民が知らずに、税制改革論議を聞かされている。

本ブログでは、繰り返し、税収推移グラフを提示する。

 

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一般会計税収は、1990年度に60.1兆円あった。これが、2009年度、2010年度に37兆円にまで減少した。20年間で23兆円も税収が減少した。

経済規模を示すGDPは、1990年度が451.7兆円、2009年度が476.0兆円で、2009年度が1990年度を上回っている。

 税収を1990年度と2009年度(補正後)と比較すると、

所得税 26.0兆円 → 12.8兆円

法人税 18.4兆円 →  5.2兆円

消費税  4.6兆円 →  9.4兆円

である。

 法人税が1990年度と比較して4分の1程度にまで激減したのに対して、消費税は2倍強に増加した。消費税については1997年度に税率が3%から5%に引き上げられた。

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菅首相は消費税率を10%に引き上げる一方で、法人税を減税する方針を示している。

4分の1に減少した法人税を減税して、一般庶民に10兆円もの大増税を課すことが今回の国政選挙に際して示されていることを、真剣に考える必要がある。

この選挙で消費税大増税派が参議院で過半数を占めれば、財務省は必ず大増税を実施する。大増税が決定され、大増税が実行されてから後悔しても遅い。

繰り返し紹介するが、政府税制調査会は2007年11月に発表した、

「抜本的税制改革に向けた基本的考え方」

の17-18ページに、

「課税ベースも合わせた実質的な企業の税負担、さらに社会保険料を含む企業の負担の国際比較を行った試算において、我が国の企業負担は現状では国際的に見て必ずしも高い水準にはないという結果も得た」

と明記している。

つまり、「日本の法人税負担は国際比較でみて高くない」というのが、日本政府の公式見解なのである。

なぜ、国際比較で高くない法人税負担、過去17年間に4分の1に減少した法人税を減税して、一般庶民に重圧を与える消費税を大増税するのか。

その政党が大資本と癒着し、一般国民を軽視しているからに他ならない。

その政党はメディアを支配する大資本と癒着し、庶民大増税を推進する国民洗脳=情報工作を展開するのである。

菅直人氏が民主党代表に就任するまでの民主党の国民との契約は異なった。政府支出の無駄を排除することが先だと明言していた。2013年までの消費税増税の可能性を100%否定してきた。

新政権が実行した「事業仕分け」は、政府支出が無駄のかたまりである現実の片鱗を国民の前に示す結果をもたらした。

しかし、無駄の排除はほとんど進展していない。現段階では「学芸会」の域を出ていない。

天下りを根絶し、政府が支出する意味のない政府支出を完全に断ち切って初めて事業仕分けは成果を上げたと評価されるものだ。

ところが、民主党の天下り禁止は、まったくの骨抜きになっている。

「天下りあっせん」を禁止しても「天下り禁止」にはならないのだ。

「退職直前10年間に関与した企業、業界、団体には、退職後10年間は就職できない」

といった、客観的基準を設定した規制を設けなければ、天下りを根絶できない。

菅直人の菅から草冠を取ると、官直人になる。官の意向に素直な人間に成り下がってしまったのだろうか。

『金利・為替・株価特報』では、世界経済に迫りつつある巨大な暗い翳を詳述した。

このタイミングで大増税は自爆テロ行為である。

しかし、1996年、消費税増税を掲げた橋本政権は、反自民票が新進党と民主党に分裂した効果で衆議院多数議席を獲得して、大増税を実施した。

2001年の小泉政権について、私は超緊縮財政の方針が日本経済を破壊することを強く警告したが、メディアは小泉政権を礼賛し、7月の参院選に大勝した。

結果として、橋本政権の下で日本経済は1997-98年の金融危機に突入し、小泉政権の下で日本経済は2003年の金融危機に突入した。

「官の利権を守り」、「一般国民から搾取する」ことを是とする財務省は、日本経済が崩壊しようと、国民生活が崩壊しようと意に介さないのである。

市場原理主義者が乗っ取りを演じた民主党、消費税大増税を提唱してきた自民党、立ちあがれ日本などの勢力が台頭すれば、確実に庶民大増税が実施される。

主権者国民は、絶対にこの点を忘れてはならない。

日本の財政バランスを健全化することは重要な課題である。私が財政健全化が不必要だなどと主張したことは一度もない。

しかし、経済政策運営で何よりも重要なことは、正しい優先順位を設定することなのである。

経済政策において、いま政府が最重視すべき事項は、国民生活の安定である。国民生活の安定こそ、政府に与えられた最大の使命である。

また、国民に負担の増加を求める前に、政府支出の無駄を排除すべきことは当たり前のことである。政府支出の無駄を放置したまま、庶民大増税を提唱する者を信用するわけにはいかない。

他方、選挙のときだけ「政府の無駄排除」を口にしながら、実はそのようなことを実行する考えなど持ち合わせていない勢力も存在する。信用できない政治勢力が存在する点に十分な注意が必要だ。

多くの政治勢力が、「米国・官僚・大資本」の手先になっているのだ。この勢力を主権者国民が信用してはならないのだ。

主権者国民は、どの政党、どの人物が「米国・官僚・大資本」の手先でなく、真に一般国民の幸福を追求しているのかを見定めなければならない。

本年5月末までの政権与党勢力を支援して、参院選後にもう一度、主権者国民の意思を尊重する政権を樹立しなければならない。

まずは参院選で庶民大増税=大企業優遇減税に明確にNOの意思表示をしなければならない。

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2010年6月25日 (金)

祝W杯日本快勝と日本政治に求められるスター

FIFAワールドカップ南アフリカ大会で、日本が強敵デンマークに3-1で快勝し、見事に決勝リーグ進出を決めた。日本チームメンバーの活躍を心から祝福したい。

今回のワールドカップでは、大会直前の親善試合で日本が連敗したため、事前の期待が激しすぎなかったように感じられた。このことが、逆に本番での選手の気負いを和らげたのかも知れない。

サッカーの場合も、チーム内での意思の疎通、連携、相互の信頼関係が極めて重要だろう。デンマーク戦での日本選手の動きには際立った気負いも感じられず、ワールドカップという大舞台で選手が水を得た魚のように、伸び伸びと活躍していたのが印象的だった。

勝利は多くの関係者のたゆまぬ努力と研究の賜物であると思うが、やはり、中核として活躍している本田選手の貢献が大きいことは否めない。

卓越した技量を持ち、かつ、極度の緊張を強いられる大舞台で、その技量、力を確実に発揮できることが、本当の実力というものだろう。

有言実行で困難な大仕事を大舞台でやり遂げる人材を得たことが、日本の勝利をもたらした大きな一因であると思う。

私はサッカーのことに詳しくないが、もちろん、ポジションごとに重要な役割があり、日本代表の選手や監督、スタッフの人々が、それぞれに素晴らしい力を発揮したことが大きな成果に結び付いたのであろうことは言うまでもない。

ただ、サッカーの場合、獲得した得点の多さを競うゲームであるから、どれだけ華麗なプレーをしたところで、得点を重ねられなければ勝利を得ることはできない。

得点することにおける主力選手、中核選手の確実な活躍は、やはり勝利の決め手になることだろうと思う。

その中核の役割を見事に有言実行で果たした本田選手の実力と強運は極めて貴重なものであると思う。

経済が低迷し、政治が混乱する日本には、明るい話題が少ない日々が続いている。久しぶりにビッグな歓声が日本中に響き渡ったことは、大変喜ばしい。

日本の政治に、本田選手のようなスターが求められる。

有言実行でものごとをやり遂げる気概と実力を兼ね備えた人物の出現が待ち望まれる。

国民の生活が第一で、国民が主役の政治と言いながら、昨年8月の総選挙の際の政権公約を、党内協議もなく、主権者国民への説明もなく、一人で勝手に変えてしまう党代表、首相を国民が信頼できるはずがない。

参院選では、消費税問題が最重要争点に急浮上した。なぜなら、参院選で消費税大増税賛成勢力が過半数を獲得すれば、財務省はすべてを犠牲にしてでも一般庶民大増税を実施することが間違いないからだ。

1992年から2009年までに、消費税負担は約2倍に拡大した。

他方、この期間に法人税負担は約4分の1に軽減された。法人税は1990年度に18.4兆円もあったのが、2009年度にはわずか5.2兆円に減少した。

 

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この実質大幅減税が実施されてきた法人税を菅政権はさらに減税すると主張している。

しかし、2007年11月の政府税調が発表した文書は、課税ベースや社会保障負担などを加味した企業の負担は、国際的に高いとは言えないとの結論を示している。政府公式見解として、日本の法人税負担は国際比較で高くないと公式発表しているのだ。

消費税率を5%ポイント引き上げると、その増税額は9-10兆円に達する。史上空前の一般庶民大増税を実行する見返りに、大型法人税減税が検討されているのだ。

これでは、大企業の負担を軽減するための庶民大増税になってしまう。

もうひとつ、見落とせないことは、100年に1度の金融津波であるサブプライム金融危機およびその後遺症が色濃く残り、2011年に向けて、経済下方リスクが極めて大きな局面で庶民大増税を強行実施することは、自爆テロ行為以外の何者でもない。

亡国の庶民大増税を確実に粉砕しなければならない。

また、鳩山前首相は、普天間基地移設先を「最低でも県外」にすると主権者国民に約束した。政府案を決める際には、米国の合意を取り付ける前に、地元住民の同意を確保するとも約束した。ところが、鳩山前首相は地元住民の同意を得ることなく米国の言いなりを意味する日米合意を発表してしまった。これが、鳩山首相が辞任しなければならなくなった最大の理由である。

したがって、菅首相に主権者国民の意思を尊重する考えがあるなら、菅首相は日米合意の仕切り直しから始めなければおかしいのだ。

鳩山前首相が国民と約束した、

「政府の無駄排除優先」

の方針を捨てて、

「大企業優遇=一般国民踏みつぶしの10兆円大増税」

を大きく掲げ、

沖縄問題には

「タッチしたくない」、

「沖縄は独立したほうがいい」

などと民主党議員につぶやいて、

「沖縄県民切り捨て=米国の言いなり」

 

を意味する日米合意尊重を主張する首相、党代表を、一体、どこの国民が支持するのだろうか。

主権者国民は庶民大増税を政府支出の無駄も排除せずに強行する政党に、決して投票してはならない。背徳の庶民大増税を確実に葬り去らねばならない。

そして、主権者国民が樹立した国民本位の政権にふさわしい真のリーダーを擁立しなければならない。

サッカー日本代表の本田選手のような、ここ一番の大勝負で、見事に力量を発揮できる、真の実力者をリーダーに掲げなければならない。大いなる力がなければ、米国を相手に日本の主張を堂々と展開することは不可能だからだ。

主権者国民の大きな仕事は、参院選後に真に国民を代表する、米官業の代理人ではない、国民の幸福を追求する政権を樹立すること、そして、その中核を担うリーダーを擁立することにある。この目標に向けたシナリオを確実に描いてゆかねばならない。

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2010年6月24日 (木)

大企業減税庶民10兆円増税阻止が参院選争点

参議院選挙が公示された。

7月11日投票に向けて17日間の選挙戦が展開される。

政権交代実現後、初めての国政選挙になるが、直前に鳩山政権から菅政権への交代があり、菅首相が消費税増税方針を示したため、参院選最大の争点として消費税問題が浮上することになった。

1996年10月20日の総選挙では、橋本政権が消費税率の2%引き上げ方針を掲げ、この問題が大きな争点になった。

比例区での得票率では自民党が32%、新進党が28%を獲得した。この年に創設された民主党は14%を獲得し、新進・民主両党の合計得票率は42%と自民党を大幅に上回った。

しかし、小選挙区制を軸とする選挙では、得票率1位の政党が圧倒的多数の議席を獲得する。自民党獲得議席は239、新進党は156、民主党は56となり、橋本政権は政権を維持して消費税増税に踏み切った。

日経平均株価は1996年6月に22,666円にまで上昇し、日本経済は順調に回復軌道に乗っていたが、消費税増税方針が閣議決定された翌日から株価は下落トレンドに転換。98年10月の12,879円に向けて大暴落した。

日本経済は深刻な不況に突入、大証券、大銀行が相次いで破たんし、日本経済は金融恐慌の淵にまで追い込まれた。

1996年10月の総選挙で、非自民勢力が結集したならば、日本の運命は異なるものになったと考えられる。政権は交代し、消費税増税は回避されていた。日本経済の回復は維持され、税収が増加して財政赤字の減少も進展したはずである。

橋本政権は消費税増税を強行実施したが、財政赤字は96年度の21兆円から99年度の37兆円へと激増してしまった。

菅首相は消費税率の10%への引き上げを示唆した。菅内閣の閣僚で政策調査会長を兼ねる政策決定責任者である玄葉光一郎氏は、

「マニフェスト発表の場で自身の言葉で言ったのだから、当然、公約になる」

と明言した。

民主党内で民主的に論議した形跡はまったくないが、消費税大増税10兆円庶民大増税が民主党の選挙公約になった。

他方、自民党、立ちあがれ日本、が消費税増税方針を明確に掲げている。

これらの勢力が衆参両院で過半数の議席を確保すれば、消費税大増税=庶民直撃10兆円大増税が実行に移される可能性が一気に高まる。

選挙前に消費税増税を掲げた勢力に議会過半数の議席を主権者国民が付与すれば、財政当局は主権者国民の「お墨付き」をいただいたと説明することになる。

世界経済は2011年に向けて、極めて大きなリスクを抱えている。

2008年から2009年にかけて、世界経済は100年に1度の「金融津波」に見舞われた。震源地の米国で財政、金融、資本増強の三位一体の政策対応がフルに動員されたため、2009年から2010年にかけて小幅改善が示されたが、問題が解消したわけではない。

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詳しくは『金利・為替・株価特報』2010年6月25日号に記述するが、日本経済もなんとか戦後最悪の状況から一歩抜け出ただけの状況だ。

1996年の橋本政権、2000年-2001年の森・小泉政権は、回復初期の日本経済に超緊縮財政を実行して、日本経済を破壊した。

まったく同じ過ちに菅政権が着手し始めたのである。
 『賢者は歴史に学び、愚者は歴史を繰り返す」
 
の言葉をかみしめる必要がある。

主権者国民が主要税目の税収推移をよく知らないと思われるので、あらためて税収推移グラフを掲載する。

 

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国税収入は1990年度の60.1兆円から2009年度の36.9兆円に減少した。このなかで、消費税は1990年度の4.6兆円が2009年度には9.4兆円に倍増。他方、法人税は1990年度の18.4兆円から2009年度の5.2兆円に激減した。4分の1に激減した。

菅政権はこの期間に倍増した消費税収入をさらに倍増させる、9-10兆円庶民大増税を公約に掲げたのだ。他方、4分の1に激減した法人税を減税すると公約しているのだ。

大企業優遇=庶民いじめの税制改悪が公約に掲げられている。

民主党は政府支出の無駄排除をやり抜くまでは増税に移行しないと約束してきたが、この約束を破棄して、政府支出の無駄を温存したままで庶民大増税に踏み切ることを公約に掲げたのである。

この悪政を容認することはできない。

参院選では、民主党の小沢一郎氏グループの候補者を個別に支援する以外は、比例区では国民新党、社民党を中心に消費税大増税反対を明示する政党に投票するしか選択肢はない。

菅政権を選挙管理内閣に限定し、9月民主党代表選で主権者国民の意思を尊重する新しいリーダーを生み出さなければならない。

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2010年6月23日 (水)

大資本減税庶民大増税提唱の菅路線は挫折する

6月24日の参院選公示を控え、日本記者クラブ主催の9党首討論会が開かれた。

菅首相が消費税率の10%への引き上げ方針を示唆したことを背景に、消費税問題が参院選の重要争点として浮上している。

日本の財政事情が悪化していることは事実である。しかし、日本の場合、国内の所得支出バランスと実物投資の差額から生じる国内資金余剰が巨額であり、財政赤字をすべて賄ったうえでなお巨額の資金余剰が残り、この資金が海外流出している。

財政赤字を国内資金で賄うことのできない米国などの事情とは大きな差が存在する。

日本の国債発行金額は2008年度当初予算では25兆円だった。それが、サブプライム金融危機に伴う景気後退に対処するための補正予算編成と税収減少により、一気に53兆円に拡大した。予算規模の半分以上を国債発行で賄う現状は異常であり、財政状況の改善が重要課題であるのは事実である。

しかし、この財政収支悪化が景気悪化を背景に生じたものであることを踏まえねばならない。財政収支は不況の局面で悪化し、公共の局面で改善する。

不況では景気対策が必要となり、税収が減少すると同時に社会保障関係支出が増加するからだ。好況ではこの逆の現象が生じ、財政赤字が減少する。

不況の局面で財政赤字が増大することは景気を支える効果を併せ持つ。好況の局面で財政赤字が減少することは景気を冷やす効果を持つ。

この効果を財政の景気自動調整機能(ビルトイン・スタビライザー)と呼ぶ。

不況の局面で財政赤字が拡大することはこの意味で当然のことであり、不況の結果拡大した財政赤字を人為的に縮小させようとする政策は、財政収支が持つ景気安定化効果を消滅させてしまうことも考慮しなければならない。

財政赤字が拡大した最大の原因は、「税収の減少」にある。「税収の減少」をもたらした最大の原因は「不況の深刻化」にある。国税収入は1990年度に60兆円あった。これが2010年度には37兆円に減少した。23兆円も税収が減少したのである。

したがって、財政赤字を縮小させるための第一の方策は、税収の自然増を確保することなのである。税収の自然増は、景気回復によってもたらされる。

政府がいま最優先すべき課題は、「景気回復」である。「景気回復」が財政赤字を縮小させるために最も有効な施策である。この点を的確に指摘したのは国民新党の亀井静香氏である。

また、消費税大増税を検討する前に絶対に実行すべき課題が存在する。

政府支出の無駄排除である。政権交代実現後、「事業仕分け」が実施され、メディアに大きく取り上げられた。しかし、現状は「学芸会」の域を出ていない。「業務の抜本的な見直し」などのあいまいな決定が相次ぎ、最終的に無駄が排除される見通しはまったく立っていない。

政府支出の無駄を排除するうえで不可欠であるのが「天下り」の根絶である。民主党は「天下り根絶」を主張し続けてきたが、与党になった途端に、「天下り根絶」が「天下りあっせん根絶」にすり替えられた。

両社は「似て非なるもの」である。「あっせん」を禁止しても、「天下り」の実態を「あっせん」によるものではないと言い逃れられると、天下りは野放しにされることになる。

この意味で、鳩山前首相が公約した「衆議院任期中の消費税増税封印」の決定は正しい選択である。民主党は消費税を衆議院任期中は引き上げないことを公約として掲げ、総選挙を戦った。増税の逃げ道を封じておかなければ、無駄な歳出削減の実効性を確保することはできない。

菅首相は突然「消費税率の10%への引き上げ」を発言したが、党内での決定手続きを経て発言したものなのか。消費税率引き上げは民主党の「公約」として決定されたものなのか。

菅首相は、まずこの点を明らかにする責任がある。

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昨年8月の総選挙で政権交代を実現させた主権者国民は、増税検討の前の「政府支出の無駄排除」の方針に賛成して民主党に投票した。その民主党の方針が、突然、「政府支出の無駄排除なき大増税」に転じるのなら、主権者国民は増税詐欺の被害者になる。

主要国税税目の推移を改めて提示する。

 

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グラフに示されるように、消費税は1990年度の4.6兆円が2009年度には9.4兆円に倍増した。法人税は1990年度の18.4兆円から2009年度の5.2兆円に激減した。4分の1に激減したのだ。

このなかで、菅政権は法人税減税と消費税大増税を提案しているのだ。

政府税制調査会が2007年11月に発表した「抜本的税制改革に向けた基本的考え方」の17-18ページに以下の記述がある。

「法人実効税率とは、国・地方合わせた法人課税の表面税率のことである。我が国の法人実効税率は、国際的に見て高い水準にあり、引き下げるべきという議論がある。この問題を検討するに当たり、当調査会は、平成19 年度の税制改正に関する答申を踏まえ、課税ベースも合わせた実質的な企業の税負担、さらに社会保険料を含む企業の負担の国際比較を行った。また、企業減税による企業部門の活性化が雇用や個人の所得環境に及ぼす影響等についての調査・分析を行った。課税ベースや社会保険料負担も考慮した企業負担については、モデル企業をベースとした試算において、我が国の企業負担は現状では国際的に見て必ずしも高い水準にはないという結果も得た。」

つまり、日本の法人税率は国際比較上、高い水準にはないとの結論を日本政府の見解として示しているのだ。

にもかかわらず、菅政権は消費税大増税・法人税減税の方針を示している。

政権交代の最大の目的は、米・官・業による日本政治支配の基本構造を打破し、主権者国民による政治支配の構造を構築することにある。

この目的を達成する試金石になるのが、①普天間基地の海外移設、②官僚天下りの根絶、③企業団体献金の全面禁止、である。

ところが、菅政権は米官業による日本政治支配構造に逆戻りさせる政策方針を相次いで示し始めているのだ。

税制改革については、党内の民主的な意思決定手続きも経ずに、独裁的に消費税大増税=法人税減税の方針を明示してしまった。法人税減税は大資本を消費税大増税賛成に引き込むための施策であると考えられ、菅政権が主権者国民から大資本に基軸を移したことを意味すると受け取れる。

政府支出の無駄排除を優先しない消費税大増税、20年間に4分の1に激減した法人税をさらに減税する大資本優遇の法人税減税方針に賛成することはできない。

参院選では、民主党内小沢氏グループ候補者を個別に支援する以外、比例区では国民新党、社民党を支援するのが主権者国民の正しい選択であると考えられる。

9月代表選をもって菅政権に終止符を打ち、主権者国民の意思を尊重する民主党代表を選出して、もう一度、主権者国民政権を構築することがどうしても必要である。政府支出の無駄排除なき消費税大増税に突き進む菅民主党に対しては不支持の姿勢で臨むことが求められる。

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2010年6月22日 (火)

主権者との契約違反を示す菅首相の深刻なぶれ

菅直人首相が就任早々、深刻な「ぶれ」を示し始めた。

民主党は昨年8月30日の総選挙で消費税増税について、衆議院の任期4年間は消費税増税を行わないことを明示した。鳩山前首相は論議を行う必要もないとしたが、その後、論議については全面的に封印するものでないと軌道修正した。

他方、在日米軍のあり方の見直し、天下りの根絶、企業団体献金の全面禁止、取り調べ過程の全面可視化、などを政権公約として掲げて総選挙を戦った。

マニフェスト選挙で主権者国民は、マニフェストに掲げられた政権公約を政党と主権者国民との間の約束=契約とみなして投票に臨む。主権者国民はマニフェストに基づいて政権選択を行うことによって、望ましい政策運営を確実に確保することができるようになる。

主権者は国民である。政治は主権者の意思に基づいて運営されなければならない。国政選挙に際して主権者国民がマニフェストに基づいて投票を行い、主権者国民の選択のよって政権を担う政党がマニフェストに掲げた施策を確実に実行する。

こうしたプロセスを通じて、主権者国民の意思が現実の政治に反映されることになる。これがマニフェスト選挙の持つ意義である。

このプロセスが十分に意義を発揮するには、いくつかの条件が不可欠である。

 

①政党が実現可能性も含めて十分な検討を行ったうえで公約を示すこと

 ②公約に掲げた政策を必ず実行すること

 ③主権者国民が政党の公約をよく理解して投票すること

 ④政党は公約を安易に変更しないこと

 ⑤公約を変更する場合には、十分な検討を加えるとともに、主権者国民に納得のできる説明をすること

これらの条件が十分に満たされることが不可欠である。

政党が選挙の際に掲げた公約を守らないことは一種の「詐欺行為」である。主権者国民に対する「背任」と言ってもよい。

公約違反を繰り返す政党は「詐欺政党」として、主権者国民からやがて相手にされなくなる。これは自業自得だが、政党にとって政権公約は命綱である。このことを肝に銘じなければ政党が主権者国民からの信頼を勝ち取ることはない。

昨年の総選挙から10ヵ月も経過していない。鳩山政権は表看板になった普天間基地移設問題で、重大な公約違反を示した。

マニフェストには「見直し」の表現が用いられたが、首相は「最低でも県外」と明言した。首相=党代表の言葉は「公約」と受け止められて当然である。

5月14日には、同意を得る必要のある三者=連立与党、主権者国民(地元住民)、米国について、主権者国民の同意を優先することを改めて明言した。

ところが、5月28日の決着は、連立与党、主権者国民の意思を無視した、米国の要求通りの決着だった。この重大な公約違反が鳩山政権総辞職の主因になった。

後継政権である菅直人政権は、前政権の公約違反を是正するところから出発する責務を負っていた。これが民主主義のルールである。

ところが、菅直人政権は、主権者国民との約束、マニフェストを安易に、一方的に変更することを無造作に実行し始めた。

菅直人首相は市民運動出身者で、二世議員でもない。庶民目線で、既成の権力構造に対して大胆に切り込んでいってくれるのではないかとの期待が大きい。こうしたイメージも作用して、政権発足時の高い政権支持率が示されたのだと考えられる。

しかし、菅首相が高い支持率に対する慢心から、主権者国民との約束=契約である政権公約に対して無責任な行動を示すなら、主権者国民は間違いなく菅政権に対して厳しい鉄槌を下すことになるだろう。

菅新首相は普天間基地移設問題について、主権者国民の意思を無視した日米合意をそのまま踏襲することを宣言した。総選挙の際に民主党が示した約束=公約を破棄することを全面的に支持する姿勢を明示したのである。

この姿勢が許されるはずがない。沖縄の切り捨てである。9ヵ月間の沖縄県民の期待、日本国民の期待に対して、後ろ足で砂をかける行為である。

菅直人首相は突然、消費税大増税の方針を明示した。2012年度中にも消費税が10%に引き上げられることも示唆された。

そもそも、民主党内での民主的な意思決定手続きを経て菅首相は消費税大増税方針を明示したのか。菅首相は民主党のこれまでの執行部による意思決定を「独裁的」と批判してきたのではないか。

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主権者国民との関係において、消費税問題は最重要政策課題である。安易な公約提示は許されないし、まして、政権担当中の無責任な公約変更は「詐欺行為」と批判されて当然のことがらである。

民主党は天下り根絶を訴え続けてきたが、天下りを根絶するには「あっせん」を禁止してもまったく意味はない。かつて自民党の天下り禁止が「あっせん禁止」だったとき、民主党は「あっせん禁止」では実効性がないと強く批判してきた。

天下りを根絶するには、「退職直前10年間に関与した業界、企業、団体には、退職後10年以内には就職できない」といったような客観的な再就職規制を法制化することが不可欠である。こうした意味での「天下り根絶」策も大幅に後退している。

菅首相が最重要視している「政治とカネ」問題について、民主党は「企業団体献金の全面禁止」を政権公約に掲げている。2009年には国会に法案も提出した。

ところが、その後、進展が見られない。民主党は「えせ国民会議」である21世紀臨調に諮問し、「えせ国民会議」である21世紀臨調は「政党本部に対する企業献金」を温存させる「ザル規制」を提示した。

この案に沿って「ザル規制」を設置するなら、これも重大な公約違反である。

法務省が検討を進めてきた取り調べ過程の可視化についての検討は、勉強会が全面可視化に反対の姿勢を示している。取り調べ可視化に反対している法務省に検討させれば、このような結論が示されるのは勉強会を開催するから明らかだ。

日本の警察・検察・裁判所制度、刑事訴訟制度、法の運用は、前近代的である。現代国家である大前提は、この側面の制度が近代化されることである。

現状は、政治権力が好き勝手に一般市民をどうにでも取り扱える「暗黒社会」そのものである。政治権力の恣意により、無実潔白の人間を犯罪者に仕立て上げることが可能であり、他方でれっきとした犯罪者を無罪放免できる仕組みが温存されているのである。

この点についての政権公約も破棄されかかっている。

菅新首相が無責任で背徳的な消費税大増税方針を示したことを受けて、一部世論調査が支持率急低下を示し始めた。菅直人首相はあわてて発言の軌道修正を始めた。支持率の動きに連動して発言が変動すること自体が、主権者国民の不信を増幅させる。

菅首相は、もう一度、昨年8月の総選挙の際の主権者国民との約束=契約をじっくりと読みなおすべきである。同時に、本年5月末までの鳩山前首相の発言もしっかりと把握すべきである。これらが集積されて主権者国民との契約が形成されている。

契約違反の公約修正に手を染める前に、主権者国民との約束=契約の確実な実行に全精力を注ぐべきである。

前原国交相の提示した新高速道路料金制度について、小沢一郎前民主党幹事長が批判したのも、その内容が主権者国民との約束に反するからだった。

前原国交相は八ッ場ダムの工事中止についても、無責任な対応を続けている。他人を批判する前に、自分の行動の無責任さを恥じるべきである。

主権者国民は民主党を二つに分けて、支持・不支持を決めなければならない。参院選では主権者国民に不誠実な民主党新派に厳しい主権者国民の声を届けなければならない。

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2010年6月21日 (月)

えせ「国民会議」が高く評価する消費税大増税

参院選を目前に控えて、「新しい日本をつくる国民会議」が6月20日、「政権実績・参院選公約検証大会」を開き、民主、自民両党が発表したマニフェスト(政権公約)の検証結果を発表した。

新聞報道によると大会では、参院選直前の首相交代によって、民主党のマニフェストが経済財政政策で大きく方針転換したことが注目され、消費税を含む税制抜本改革を示したことに肯定的な意見が多く示された。他方、昨年の衆院選マニフェストよりも抽象的になり、政策変更の理由が示されていないとの不満も示されたとのことだ。

「国民会議」などの名称が付された機関がマニフェストを検証する大会を開いたと伝えられると、一般国民は中立、公正な機関がマニフェストについて、公正な検証を行ったとの印象を持ちやすい。

しかし、こうした検証を行う機関そのものが中立・公正の機関ではなく、特定の利害関係者と癒着する存在であるなら、その検証結果をうのみにすることはできない。こうした活動自体が特定勢力による情報操作、世論操作の手段として用いられている可能性を注意深く洞察しなければならない。

上記した「新しい日本をつくる国民会議」は別名「21世紀臨調」と呼ばれる組織である。体制替えが行われる前は、「21席臨調」の名称だけが用いられていた。

私は前身の「21席臨調」の政治部会で主査を務めていた。部会長は佐々木毅元東大総長、私とともに主査を務めたのが政策研究大学院大学教授の飯尾潤氏だった。

小泉政権が発足した時期に私は政治部会の主査を務め、小泉政権の経済政策に対して厳しい批判を展開した。

すると、「21席臨調」はしばらく休会状態に入り、その後、突然、体制が刷新された。主査を務めていた私には何の連絡もなく、私は突然、主査どころか委員からも外された。

推測するところ、小泉政権から強いクレームがついて、体制を刷新することになったのだと思われる。

政治部会の委員には、主要全国紙の政治部長がほぼ全員顔をそろえ、他には政治学者と労働組合幹部がメンバーに組み入れられていた。連合前会長の高木剛氏なども委員として参加していた。

この機関の事務局は社会経済生産性本部が担当していたことから、基本的には大資本の一種のシンクタンク的存在とみなすことができる。

つまり、主権者国民を代表する会議ではない。「国民会議」と称するには、内容のかい離が大きすぎる。「大資本・大資本系労組連合会議」とでも名称を改めないと、一般国民が提示された情報を誤って読み取ってしまう。

第2次大戦後の日本政治を支配し続けてきたのは、米国・官僚・大資本である。昨年8月の総選挙を通じて実現した政権交代により、この基本構造が刷新されることが期待されてきた。

米国・官僚・大資本に代わって政治の主役の座に就き、政治権力を掌握するべきは主権者国民である。

在日米軍基地問題で日本の主張を正々堂々と米国に提示し、

官僚天下りを根絶し、

企業団体献金を全面禁止して大資本による政治支配を排除する、

この三つの課題を実現することが強く求められてきた。

 経済政策運営では、消費税増税を検討する前に、無駄な政府支出を徹底して排除し、同時に官僚天下りを根絶することが求められている。

 また、大資本による政治支配を排除するには、企業団体献金を全面禁止することがどうしても必要である。

 昨年の総選挙での政権交代を実現させた民主党は、「国民生活が第一」のスローガンを掲げ、上記の三つの課題を実現することを政権公約に掲げるとともに、その実現に向けて力を注いできた。

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 ところが、鳩山前首相が普天間基地移設問題で日本の主張を貫くことを断念し、米国のごり押しに屈する日米合意を発表したため、主権者国民の批判が激増し、鳩山政権は総辞職に追い込まれた。

 このいきさつを踏まえれば、本来は、対米隷属外交を修正する新政権が樹立されなければならなかった。なぜなら、それが主権者国民の意思を尊重する対応だからだ。

 ところが、この政変を利用して、民主党内で内乱=クーデターが発生した。菅直人氏は新首相に就任すると同時に、主権者国民と民主党との約束=政権公約を片端からひっくり返し始めたのである。

 まず、普天間基地移設問題につき、主権者国民の意思を踏みにじり、米国の言いなりになった日米合意を、そのまま踏襲することを宣言した。

 国会で政策方針を示した所信表演説では、「天下り根絶」も「企業団体献金全面禁止」も、具体的に主権者国民に約束することを避けた。

 日本の警察・検察・裁判所制度近代化の一丁目一番地である「取り調べ過程の全面可視化」の公約も捨て去る姿勢を鮮明に示し始めた。

 経済政策運営では、増税検討の前に、政府支出の無駄排除を徹底させるとのこれまでの公約が反故にされ、2012年度にも消費税率5%ポイント引き上げの大増税方針が示され始めたのである。

 国民生活を守るということは、すべての国民に雇用の機会が与えられることであり、そのためには、不況脱出を優先し、完全雇用実現に向けて景気回復を維持することが最優先されなければならない。

 鳩山政権の下では景気回復を重視する国民新党の政策提言が尊重され、景気回復重視の政策が実行されたが、菅新首相は景気回復重視から財政収支改善最優先の超緊縮財政政策に経済政策の基本方向を転換することを示唆し始めている。

 冒頭に紹介した21席臨調は大資本の色濃い組織である。この機関が、菅新政権の大増税路線をプラスに評価するのは当然のことである。

 大資本は大衆増税である消費税大増税による社会保障財源確保に大賛成であり、当然のことながら、法人税減税にも大賛成である。医療保険や年金制度での企業負担の増加を警戒しており、こうした領域での企業負担増加を回避するために、早期の消費税大増税を切望している。

 米官業による日本政治支配の手先として行動しているのが利権政治屋=利権政党と御用メディア=マスゴミである。

 「国民会議」などと称する第三者機関が、実はマスゴミと大資本によって組織されるものであることは決して珍しくないことに十分な留意が必要だ。珍しくないと言うより、むしろ、それが主要な形態であると考えておくべきだ。

 消費税大増税を実施する前に、①政府支出の無駄を排除すること、②日本経済の回復軌道を確実に維持することが、どうしても必要である。

 天下り排除を手抜きにし、企業献金を温存し、他方で、消費税大増税を強引に押し通してしまおうと考える中心が米・官・業であることを忘れてならない。

 米国は、日本政治支配を官(官僚機構)と業(大資本)と結託して実行する方針を第2次大戦後まもなく確定して、現在もその基本姿勢を維持している。

 利権政党とマスゴミがこの支配者の手先となって行動する実働部隊である。

 政権交代が実現したにもかかわらず、民主党内クーデターの影響で、政治の実権が再び悪徳ペンタゴンの手に引き渡されようとしている。

 参院選、9月民主党代表選、これと前後して本格化すると予想される政界大再編を通じて、主権者国民の手に政治の実権を奪還しなければならない。

 官の無駄を排除せずに消費税増税に前のめりになるのが悪徳ペンタゴンの特徴的な行動様式である。

 参院選選挙区では非悪徳ペンタゴン系民主党候補、社民党候補、国民新党候補に投票し、比例区では社民党、国民新党、ないし非悪徳ペンタゴン系民主党候補に投票することが望ましい。

 マスメディアが介在する情報は、基本的に偏向しているから、基本的に無視することが求められる。

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2010年6月19日 (土)

菅政権=悪徳ペンタゴン派の疑いを検証すべき

政党は選挙に際して国民に公約を提示し、国民は各政党の主義主張、哲学、理念、そして政策公約を吟味したうえで投票を行う。

政党は主権者国民との約束である政権公約、政策公約、守らねばならない。政党が選挙の際に主権者国民と交わした約束を選挙後に破棄することは、一種の詐欺行為である。主権者国民との信頼関係を重んじない政党に国政を委ねることはできない。

昨年8月30日の総選挙は、日本史上初めて民衆の力によって新しい政権が樹立されることを実現する、歴史的偉業であった。

第2次政界大戦での敗戦後、日本政治は米国に支配され続けてきた。また、官僚による統治は明治以降、140年の歴史を負っている。1955年以降は大資本・米国・官僚機構と結託する自由民主党が政権中枢の地位にあり続けた。

米官業が支配し、その代理人として自民党とマスメディアが活動する日本政治の構造を米官業政電=悪徳ペンタゴンによる政治支配構造と称してきた。

この基本構造を打破しようとする主権者国民の総意が、昨年9月の政権交代実現に結実した。政権交代実現により達成しなければならない三大課題が、

①対米隷属からの脱却

②官僚利権の根絶

③大資本と政治権力の癒着排除

であり、経済政策運営においては、市場原理主義を排して

④共生重視主義

を基礎に置くことが求められた。

さらに、日本の最大の構造的欠陥を根本的に変革する課題として、

⑤警察・検察・裁判所制度の近代化

も最重要課題のひとつであった。

 民主党はマニフェスト選挙を提唱し、昨年の総選挙に際しても、詳細な政権公約をマニフェストとして国民の前に提示した。

 このなかに、

①在日米軍基地のあり方の見直し

が明記された。対等な日米関係を実現することが目指され、普天間基地の県外ないし海外移設が提唱された。

 また、民主党は天下りを行政の無駄の象徴と位置付け、

②天下りの全面禁止

を公約として掲げた。

 民主党は特別会計を含めた212兆円の政府支出全体を見直し、歳入の見直しで8.2兆円、歳出削減で9.1兆円、埋蔵金活用や政府資産売却で3.2兆円を捻出し、総額20.5兆円の新規施策への財政資金配分を提示した。

 天下り根絶は、無駄な政府支出排除の象徴として、特に重視されてきた。

 さらに、「政治とカネ」問題に対する国民の関心が強まったことを受けて、民主党は2009年の通常国会に、パーティー券購入を含めて企業団体献金を3年後に全面禁止する法案を提出した。民主党は、

③企業団体献金全面禁止の法制化を公約として掲げたのである。

 市場原理主義から共生重視主義への転換は、財政の所得再分配機能を重視することを意味する。社会保障制度を拡充し、すべての国民に適用されるナショナルミニマムの水準を引き上げることが目指されることになった。消費税は所得の少ない国民にも同水準の税率が適用される税であり、強い逆進性を持つ。

 また、昨年の総選挙に際して民主党の鳩山由紀夫代表は、増税を検討する前に政府支出の無駄排除を優先しなければならないことを明示し、衆議院任期4年間は消費税増税を封印する方針を明示した。

 さらに、警察・検察・裁判所制度の近代化に関連して民主党は、取り調べの全過程についての録画や録音などによる可視化を義務付けることが公約に掲げられた。

 これらの明確な政権公約を踏まえて主権者国民は、民主党に多数の議席を付与し、民主党を軸とする新政権を樹立させた。民主党は主権者国民の意思を踏まえ、政権公約を誠実に実行する責務を負っている。

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 ところが、6月2日に鳩山由紀夫前総理が辞任の意向を表明して以来、政権の基本性格が変化してしまった可能性が高い。

 主権者は国民である。総理が辞任し、新しい総理が就任したとしても、主権者国民と政党との間の約束、契約関係は残存する。民主党は主権者国民と約束した事項について、誠実にその約束を実現してゆかねばならないのだ。

 ところが、菅直人新首相は総理の座を手にして以降、主権者国民との約束=政権公約を片端から破棄し始めている。

 2012年度の消費税率10%への引き上げなど、まったく正統性を持たない政策提言である。消費税詐欺と呼んでもよいだろう。

 天下り根絶もどこかへ消えてしまったようだ。天下りを根絶するには、役所による「あっせん」を禁止しただけではまったく意味がない。公務員退職直前10年間に関与した企業・団体・業界に属する企業・団体に、退職後10年間の就職を禁じると言った程度の客観的な規制を法制化する以外に、有効な天下り根絶の方策はない。しかし、このような具体策の提示が見えてこない。

 普天間基地問題では、鳩山前総理が主権者国民との約束を反故にして、名護市辺野古海岸に1800メートル滑走路を建設することを日米合意決めてしまった。主権者国民の意思を踏みにじる決定を鳩山前総理が強行したことが、鳩山政権崩壊の主因になった。

 ところが、後継の菅直人政権は鳩山政権が強行決定した日米合意を踏襲することを明言している。主権者国民との約束を無視して、米国の言いなりになることを宣言していると表現することができる。

 また、サブプライム金融危機の余波で世界経済、日本経済が崩壊寸前に追い込まれ、その後のケインズ政策で小康状態を回復した矢先であるのに、菅新政権は緊縮財政の方針を提示し、2012年度にも消費税を10%に引き上げることを示唆し始めた。

 これでは、国民主権政権が消滅し、小泉政権が蘇ったようなものである。政権交代実現の最大の原動力は小泉政治を否定する主権者国民の強い意思にあった。

それが、民主党内の権力争奪戦を経ただけにすぎないのに、政策の基本方針が全面的に別のものに差し替えられることは正当化されない。2009年総選挙に際してのマニフェストは依然として有効であり、新政権が勝手に政策方針を変更することは許されない。

取り調べの可視化について、法務省が勉強会を設置したが、予想通り、取り調べ過程の全面可視化に反対の検討結果を提示した。法務省当局の主張をそのまま容認するなら、政治主導も、脱霞が関も、嘘八百ということになる。

新政権発足からまだ10日しか経っていないが、新政権の基本スタンスが、米国、官僚、大資本の利害を代表するものにしか見えないことは極めて重大な問題である。

霞が関権力の中枢は財務省と法務省にある。菅新政権は財務省と法務省の利害との調和を求める方向に向かい始めているようにしか見えない。

菅新政権が米官業政電=悪徳ペンタゴンによる政治支配路線に回帰するなら、この政権を擁護することは断じてできない。この政権を打倒することが強く求められることになる。

その主戦場は、恐らく9月の民主党代表選ということになると考えられるが、早ければ参院選直後にも大きな地殻変動が生じる可能性も見え始めてきた。

主権者国民は、参院選で悪徳ペンタゴン勢力に加担することのなきよう、最大の注意を払う必要がある。

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2010年6月18日 (金)

菅政権の超緊縮財政政策が日本経済を破壊する

1992年から2010年まで、日本経済はゼロ成長を続けた。この間、米国経済は2.24倍の規模に拡大、中国経済の規模は12.08倍に拡大した。日本は世界経済の成長から完全に取り残されて、停滞の20年を経験したことになる。

日本経済長期低迷の原因は三つある。第一は、1980年代後半のバブル経済の後遺症が大きかったこと。第二は、不良債権問題の早期適正処理を実行できなかったこと。第三は、経済政策が適正に運営されなかったこと、である。

「山高ければ谷深し」という言葉がある。1980年代後半、急激な円高進行のなかで、金利が急低下し、日本の資産価格が急騰した。日銀は1987年以降にマネーサプライを抑制しなければならなかったが、米国発の株価急落=ブラックマンデーなどが発生したことなどを背景に、金融政策の引き締めへの転換が遅れた。

その結果、日本に大規模な資産価格バブルが発生した。1990年代に入り、バブルが崩壊し、その余波として経済活動に強い下方圧力が生じたのである。

しかし、20年間も経済停滞が持続したのはバブル崩壊だけが原因ではない。バブル崩壊に対応する経済政策が適切に運営されなかったことが強く影響した。

第二の要因として提示した不良債権問題早期処理の失敗。日本政府は不良債権問題が表面化した1992年に抜本的な対応を実行するべきだった。ところが、大蔵省は天下り先の破たん処理に消極的な姿勢を示し、何も対応策を取らずに、問題を先送りした。

1998年になって、小渕政権が初めて抜本的な対応に動き始めたが、その後、小泉政権がマクロ経済政策対応を誤り、結局、問題が完全に解決せぬまま、20年の年月が流れたのである。

全体を通してみると、日本経済低迷20年の最大の要因は、経済政策運営の失敗にある。日本経済は1996年と2000年に本格浮上するチャンスを得た。いわゆる巡航速度の経済成長が実現し、この安定成長を維持すれば、さまざまなひずみが解消する好機を得たのである。

このチャンスをつぶしたのは、財務省の近視眼的な財政再建原理主義だった。1997年度、橋本政権は景気と金融に大きな不安が存在するなかで消費税増税に踏み切った。事態をより深刻化させたのは、消費税増税以外にも大規模なデフレ政策が併用されたことである。

2001年度に登場した小泉政権は、危機的な財政状況を改善することが最優先課題であるとして、超緊縮財政政策を実施した。これと並行して、「退出すべき企業を退出させる」方針を掲げ、企業の破たん処理を推進した。

この結果、株価は2年で半値に暴落し、日本経済は金融恐慌の危機に直面した。結局、小泉政権は公的資金で銀行を救済するという、掲げた方針とは正反対の施策で対応せざるを得なくなった。一方、このプロセスは、政策運営を事前に知った者だけが莫大な不労所得を得るための背徳の政策シナリオだった可能性が高い。

2008年から2009年にかけて、米国発で新しいバブル崩壊が表面化した。今回のバブル崩壊は不動産バブル崩壊ではなく、デリバティブ金融バブルの崩壊である。

不動産バブル崩壊の規模は兆ドル単位だが、デリバティブ金融バブル崩壊の規模は100兆ドル単位である。通常兵器と核兵器との格差に近い。

600兆ドル規模に拡大したと見られるデリバティブ金融商品の価格バブルが破裂した。損失は数兆ドルに達する見込みだが、現状ではまだ1兆ドル程度しか処理が完了していない。

2009年に主要国は巨大な財政政策を発動した。このケインズ政策により、世界経済は一時的な回復を示した。しかし、この政策効果が縮小するにつれて、先行き不透明感が広がり始めている。

新たな問題を生み出す先頭に位置するのが欧州である。欧州諸国の一部に財政事情が極度に悪化して、デフォルト不安が表面化した。もとより財政支出拡大に消極的な欧州諸国が、一段と緊縮財政にかじを切り始めた。詳しくは『金利・為替・株価特報』をご高覧賜りたい。

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このタイミングで、日本で政治クーデターが発生した。

国民生活を最優先する政権が総辞職し、米国、官僚、大資本と癒着する新政権が民主党内クーデターにより樹立された。

この菅新政権が財務省主導の財政再建原理主義に基づく暴走を開始した。

2011年度当初予算での国債発行金額を44.3兆円以内に抑制し、2012年度に消費税率5%ポイント引き上げを実施する態勢を示し始めたのだ。消費税率が5%引き上げられれば、9兆円の増税になる。この方向に政策が進めば、日本経済が三たび破壊されることは間違いない。

日経平均株価は本年4月5日の11,339円をピークに下落波動に転じる可能性が高まる。

財政収支が極度に悪化した最大の理由は、不況の進行にある。したがって、財政健全化にとって、まず必要なことは、経済の回復である。

経済を回復させ、政府支出の無駄を排除する。増税などの増収措置は最後に発動すべき施策なのだ。増税で景気が良くなることはあり得ない。増税で景気が悪化すれば、財政収支は良くなるどころか悪化する。これは橋本政権時代に経験済みである。

政府支出が追加される領域で、当該分野の成長が促されるのは当たり前の話だ。これを成長戦略と呼ぶことはできない。一国経済の国際経済における分業のあり方の変化に伴い、成長分野は変化する。

かつて、日本が輸出で成長を実現した時代は、製造業が成長のけん引役だった。これからの日本では、医療、介護、養護などの分野の成長が拡大するのは当然のことである。

財政の健全化、経済成長の実現、持続可能な安定した社会保障制度の確立は、いずれも重要課題だが、緊縮財政でこれらが実現するわけではない。

「強い経済、強い財政、強い社会保障」の言葉は正論だが、この言葉には、その実現のための具体的方法はまったく含まれていない。問題は、この課題をどのようなプロセスで実現するのかである。

この視点で問題を捉えるときに、もっとも可能性の高い政策失敗は、財務省主導の超緊縮財政政策路線の道に引き込まれることである。この道は「けもの道」である。橋本政権も小泉政権もこの「けもの道」に迷いこんで、主権者国民に多大の犠牲を生んだ。

消費税増税を明確に打ち出すことが、「勇気ある行動」として称えられやすい風潮があるが、こうした人気目当ての政策運営は危険極まりない。

世界経済が2011年に向けて、再び悪化する懸念が強まりつつある現在、経済政策に求められる最優先課題は、「景気回復の維持」である。「景気回復維持」を捨てて、財政収支均衡化に突進して経済を破壊し、国民に多大の犠牲を生み出した歴史事実の前に謙虚でなければならない。

菅直人新政権のマクロ経済政策運営に巨大なリスクが浮上している。

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2010年6月17日 (木)

財務省路線走狗の低劣な法人税減税提唱者

日本の財政収支が著しく悪化したことは事実である。2009年度は財政規模102.5兆円に対して税収は36.9兆円にしか達しなかった。国債発行金額は53.5兆円と歳入の50%を突破した。財政非常事態と称して差支えないだろう。

しかし、わずか2年前、2008年度当初予算での国債発行金額は25兆円だった。2007年度では実績ベースで国債発行金額は25.4兆円だった。

わずか1年で国債発行金額=財政赤字は2倍増を示したのである。

財政事情急変の主因は経済情勢の急激な悪化にあった。2008年後半に深刻化したサブプライム金融危機の影響で、世界的に不況が伝播した。

日本では麻生政権の認識が甘く対応が遅れたが、経済が深刻化した時点で14兆円規模の史上空前の補正予算が編成された。官僚利権てんこ盛りのバラマキ予算の典型だったが、この歳出拡大を主因に財政赤字が激増した。

さらに赤字拡大を増幅させたのが、税収見積もりの間違いである。麻生政権が見積もった税収は実績を9兆円も上回る過大見積もりであることが判明した。歳出の激増と税収の激減により、日本の財政赤字は25兆円から一気に50兆円超えに2倍増を示したのである。

今後、日本では人口の年齢別構成の高齢化に伴い、社会保障関係支出の激増が予想される。財政収支のバランスを改善させると同時に、高齢化が進展した段階での財政破たんを回避するための方策を早急に検討することが求められている。

政府債務残高のGDP比は早晩、200%を突破する情勢にあるが、この数値は主要国のなかで突出して悪化したものである。日本の場合、国内での所得と支出のバランスから生じる貯蓄が国内での実物投資を大幅に上回り、巨大な資金余剰が生じているため、政府部門が巨額の赤字を計上しても資金のひっ迫が生じることがない。

これが欧州諸国などとの決定的な違いだが、将来にわたって資金余剰が持続する保証は存在しないため、できるだけ早期に財政収支バランスを改善させることが求められている。

財政収支を改善させる方策として、以下の三つをあげることができる。

第一は、経済改善により税収の増加を図ること、

第二は、政府支出の無駄を排除すること

第三は、増税などの歳入増加策を実施すること、

である。

 一般会計税収は、1990年度に60.1兆円あった。これが、2009年度、2010年度に37兆円にまで減少した。20年間で23兆円も税収が減少したのである。経済規模を示すGDPは、1990年度が451.7兆円、2009年度が476.0兆円で、2009年度が1990年度を上回っている。

 税収を1990年度と2009年度(補正後)と比較すると、

所得税 26.0兆円 → 12.8兆円

法人税 19.0兆円 →  5.2兆円

消費税  4.6兆円 →  9.4兆円

となっている。

 

Photo

 特徴的であるのは、法人税が1990年度と比較して4分の1程度にまで激減したのに対して、消費税が2倍強に増加したことである。消費税については1997年度に税率が3%から5%に引き上げられたことが影響している。

 この数値だけを踏まえても、次のことが言える。

 日本経済を復調させ、経済活動を健全化させることにより、税収の大幅増加を期待できること。経済低迷による税収の激減こそ、日本の財政収支悪化の第一の要因なのである。

 第二に重視されなければならないことは、政府支出の無駄を排除することである。麻生政権は2009年度に巨大な補正予算を編成したが、官僚利権てんこ盛りのバラマキだった。これらのバラマキを排除することが優先されなければならない。

 鳩山前政権は、政府支出の無駄排除を優先するために、増税の逃げ道を封印した。当初は消費税についての論議すら行わないと言明したが、その後、論議は許容するが2013年の衆院任期満了までは消費税増税を行わないことを確約した。賢明な姿勢を示していた。

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 ところが、菅新政権は消費税増税に前のめりのスタンスを鮮明に示し始めた。

 さらに驚くべきことに、「増税で景気が良くなる」との珍説まで示し始めたのである。菅新首相は完全に財務省路線に取り込まれたと言ってよいだろう。

 日本政治を支配し続けてきた主勢力は米・官・業の三者である。政治権力を安定的に掌握するには、この三者と手を握ることが最も効率的である。この鉄則に乗った典型的人物が小泉純一郎氏だった。米国、官僚、大資本と癒着する政治を実行し、その見返りとして長期政権を獲得した。

 「官」の中核は、財務省と法務省である。財務官僚、検察官僚との関係を良好に保つことが政権安定の要であるとの判断を菅新首相は保持しているのだろう。

 財務省の切望は消費税大増税を実現することである。消費税は、景気変動に左右されない最強の安定財源である。どんなに不況が深刻化しても、所得水準の低い一般大衆に確実に年貢を納めさせることができる。情け容赦のない酷税である。

 現在生じている税制論議で、何よりも不可解なことは、法人税について、減税論議が先行していることだ。1990年度の税収水準と比較して、法人税は4分の1に激減した、最大の減税実施税目なのである。消費税は逆に2倍に拡大した最大の増税税目である。

 法人税減税が先行して取り上げられているのは、政治の支配者である大資本を消費税大増税論議の賛同者に引き込むためである。これが財務省の常套手段である。

 法人税減税を提唱し続けてきた人物は、消費税大増税に向けての財務省の基本戦術に組み込まれている人物とみて、まず間違いない。

 この問題と、企業団体献金全面禁止論議とは表裏一体をなしている。

 これまでの日本政治は、企業団体献金容認を通じて、大資本が政治を実質支配する構造で運営されてきた。企業団体献金全面禁止が実現すると、大資本が政治権力を支配するパイプが断ち切られることになる。大資本の政治権力支配の力は急激に衰えることになる。

 

 逆に言えば、企業団体献金の容認は大資本による政治支配を温存するための中核政策であり、大資本を消費税大増税支援者に引き込むことは、同時にマスメディアを消費税大増税支援者に引き込むことと同義になる。なぜなら、マスメディアは営業収入のすべてを大資本に依存する存在であり、大資本の意向に反する報道を展開できないからだ。

 米官業による政治支配を維持しようとする勢力=利権複合体としての米官業政電=悪徳ペンタゴンは、企業団体献金全面禁止の実現を阻止しようとしている。

 霞が関中核勢力である財務・検察勢力も、大資本による政治支配継続を切望している。大資本が背後に存在して、初めて霞が関勢力も巨大利権の配分にありつけるからである。

 大資本と対立する利害勢力が「国民」である。小沢一郎民主党元代表が示した「国民生活が第一」の方針こそ、「米官業による日本政治支配」に対峙するアンチテーゼだったのである。

 菅直人新首相は財務省路線に乗った経済政策運営を始動させた。その骨子は、

①緊縮財政の強行

②法人税減税と消費税大増税の組み合わせ

③政府支出の無駄排除の凍結

である。

 第二小泉政権が動き始めたと言ってよいだろう。

 この政治は、政権交代を実現させた国民運動と逆行するものである。

 幸い、菅直人新首相の最大の役割は、7月の参院選実施に向けての「選挙管理内閣」に限定されている。9月に民主党代表選が予定されているから、菅新首相はそれまでのワンポイントの登板である。

 9月の民主党代表選で主権者国民の総意に基づく新しいリーダーを選出すれば良い。1997年度、2001年度と、日本経済は財務省主導経済政策で二度撃破された。この失敗の教訓を活用しなければ、日本そのものが愚劣な国に堕してしまう。

 賢者は歴史に学び、愚者は歴史を繰り返すことを肝に銘じなければならない。

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2010年6月16日 (水)

民主党対米隷属派候補の識別リスト作成が急務

私が小泉政権を政権発足時点から厳しく糾弾し続けたのは、小泉政権の政策基本方針に原因がある。

小泉政権の政策基本方針とは、

①市場原理主義

②対米隷属外交

③官僚利権温存

④政権の大資本との癒着

だった。

 政権運営上の問題は、独裁的に権力を行使し、警察・検察・裁判所、メディアをも支配下に置いたことである。

 小泉政権が強化した基本方針は、戦後日本政治の基本構造であった。紆余曲折はあったが、底流にこの基本方針が存在し続けたのが、戦後日本の政治構造である。

 政権交代を実現し、日本政治に新しい時代を開かせることは、この日本政治構造を刷新することである。

 新しい日本政治の基本方針とは、

①共生重視主義

②自主独立外交

③官僚利権根絶

④政権と大資本の癒着排除

である。

 同時に警察・検察・裁判所制度の近代化とマスメディアの民主化を実現しなければならない。

 昨年8月30日の総選挙を通じて、政権交代の大業が実現した。政権交代の大業を導いた最大の功労者は民主党の小沢一郎氏であった。主権者国民は小沢一郎氏が率いる民主党を支持し、政権交代を実現させた。

 しかし、本ブログで指摘し続けてきたように、民主党内部には日本政治構造の刷新に反対する議員が少なからず存在する。

 その中心が民主党六奉行プラスワンの対米隷属派議員である。

 小沢一郎氏の力量に劣等感と怨嗟の情を抑えきれない反党議員の代表が渡部恒三氏である。渡部議員の下に、仙谷由人氏、岡田克也氏、野田佳彦氏、前原誠司氏、枝野幸男氏、玄葉光一郎氏の六奉行が名を連ねる。

 昨年8月の総選挙で主権者国民は民主党を支持した。支持して理由は、民主党が、

①共生重視主義

②対米隷属からの脱却

③官僚利権の根絶

④大資本と政治権力との癒着排除

を、明確な政権公約に掲げたからである。

 対米隷属からの脱却の直面するテーマとして取り上げられたのが、在日米軍のあり方の見直しである。

 鳩山前首相は「最低でも県外」と明言した。

 菅直人新首相は「米軍海兵隊の国内駐留は必要不可欠なものではない」との基本的見解を表明し続けてきた。

 ところが、菅直人氏は首相に就任するやいなや、5月28日の日米合意を絶対視する主張を展開し続けている。

 沖縄選出参議院議員で民主党沖縄県連代表を務める喜納昌吉氏が、

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を出版された。

 喜納昌吉氏は名歌「花」の作者としても有名な音楽家でもある。新著紹介のサイトには、「音楽は転職、政治は本職」の言葉が紹介されている。

 菅新首相は民主主義と主権者国民の強固な意志を甘く見るべきでない。

 喜納氏は著書のなかで、政権交代後に沖縄の基地問題に関して菅首相と交わした会話を紹介した。喜納氏が「沖縄問題をよろしく」と言ったところ、首相は「沖縄問題は重くてどうしようもない。基地問題はどうにもならない。もうタッチしたくない」と漏らし、最後は「もう沖縄は独立した方がいい」と言い放ったという。

 民主党は在日米軍のあり方を見直す方針を昨年総選挙のマニフェストに明記した。沖縄県の主権者はこの公約を信用して、民主党に各個人の重い一票を投じた。民主主義の原点は主権者国民が持つ、それぞれの重い一票にある。

 菅直人氏は所信表明演説で、

「「1票の力が政治を変える」。当時の強烈な体験が私の政治の原点です」

と述べた。故市川房江議員の選挙活動を支援した体験を紹介してこう述べた。菅新首相はこの原点に立ち返り、主権者国民の切実な声を反映する政治の実現を目指すべきではないのか。

 民主党は在日米軍のあり方を見直すことを政権公約に掲げて選挙を戦い、多数の主権者国民の支持を獲得して政権を樹立した。そうであるなら、新政権はこの政権公約を実行に移すために真摯に努力することが求められる。

 鳩山政権の副総理の地位にあった菅直人氏が、「沖縄問題は重くてどうしようもない。もうタッチしたくない」と発言したのが事実だとすれば重大な問題だ。

 鳩山政権が総辞職に追い込まれたのは、鳩山総理が主権者国民の信頼を踏みにじったからである。どんなに重い問題であっても、主権者国民と約束したからには、政治は体を張って信義を守り抜かねばならない。

 どうしても不可能なときには、主権者国民に対して主権者が納得し得る説明を示す必要がある。菅直人氏も小沢一郎氏の説明責任を求めてきた一人であるが、他人に説明責任を求めるなら、その前に自分が説明責任を果たすことが不可欠だ。

 菅新首相は普天間基地問題について、「日米合意を踏まえる」ことを再三表明しているが、問題になっているのは、主権者国民の同意を得ずに、日米政府が勝手に作成した日米合意そのものなのである。

 主権者国民に対して、沖縄の主権者の声を無視して、米国の要求通りの日米合意を政府が勝手に結んでしまったことについて、何らの説明も示されていない。

 海兵隊の沖縄駐留が日本の安全と東アジア全体の安全と安定を確保する「抑止力」として機能しているから必要だとの説明だけが繰り返されている。

 しかし、米軍海兵隊の沖縄駐留については、菅直人氏自身が必要不可欠なものではないことを、これまで、繰り返し明言してきているのだ。

 総理に就任した瞬間に、これまでの考え方が急変したのなら、その経緯と理由を示さなければ、主権者国民は理解しようがない。

 菅直人新首相は6月23日の沖縄戦没者慰霊式典に出席する意向を示しているが、いまのままの言動では、沖縄の主権者から「帰れ」コールを浴びせかけられて当然である。「帰れ」コールを回避するために官房機密費がばらまかれることを、納税者国民が許さないことも銘記するべきだ。

 政権交代実現により達成するべき日本政治構造の刷新の中核をなす項目が、対米隷属からの脱却なのである。

①市場原理主義

③官僚利権温存

④大資本と政治権力の癒着

のいずれもが、日本政治の対米隷属と不可分に結びついている。

 民主党内対米隷属派議員は、

①市場原理主義

③官僚利権温存

④大資本と政治権力との癒着

を容認する基本姿勢を示していることを認識する必要がある。

 6.2クーデターにより、政権交代後に成立した新政権の基本方針が、

①共生重視主義 → 市場原理主義

②自主独立外交 → 対米隷属外交

③官僚利権根絶 → 官僚利権温存

④大資本と政治権力の癒着排除 → 大資本と政治権力の癒着維持

に転換するなら、もはや政権交代後の政権とはいえ、連続性は存在しないことになる。

 文字通りの「クーデター=政権転覆」であり、主権者国民はこの最重要事実を正確に把握しなければならない。

 幸い、民主党内の対米隷属派議員は民主党議員の大宗を占めているわけではない。参院選で対米隷属派に属さない自主独立派の議員を増加させれば、民主党の進路を正道に戻すことが可能になる。

 6.2クーデターで、民主党内対米隷属派は不正で不当な手段により、主権者国民の手から民主党の実権を奪ってしまった。主権者国民は、限られた手段と機会を最大に活用して、対米隷属勢力の手から主権者国民のための政党である民主党の実権を奪還しなければならない。

 その基本は、9月代表選で、民主党正統を民主党代表の地位に就任させることである。民主党対米隷属派は、代表選にサポーター投票を組み合わせる戦術に売って出る可能性もある。民主党内正統派は、いまからサポーター選挙にも備えて、サポーター登録の獲得活動を始動させなければならない。

 政権交代新政権が

①市場原理主義

②対米隷属

③官僚利権温存

④政治権力と大資本の癒着維持

に向かうなら、政権交代は小泉政治への回帰を意味することになる。小泉政治賛同者が菅新政権に賛意を示していることも、分かりやすい状況証拠である。

 主権者国民は参院選で、民主党自主独立派、国民新党・新党日本、社民党候補者を支援し、民主党内対米隷属派の当選を妨げなければならない。

 そのために、民主党立候補者の分類リストを早急に作成し、主権者国民に提示する必要がある。

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2010年6月15日 (火)

主権者国民政権樹立が目的の9月民主党代表選

菅新政権が発足し、新鮮さも作用して高支持率を確保している。

しかし、政権交代を実現した昨年8月30日の総選挙の際に掲げた基本政策、政権公約が大幅に後退している感が強く、このまま進めば、何のための、誰のための政権交代であったのかとの根本的な疑念を否定しきれなくなる。

繰り返すが、政権交代実現により達成しなければならない三大課題は以下のものだ。

①対米隷属からの脱却

②官僚利権の根絶

③政治権力と大資本の癒着排除

対米隷属からの脱却がとりわけ強く意識されるようになったのは、小泉政権以降である。小泉政権が推進した郵政民営化は米国が求めた政策であった。

350兆円の日本国民の貴重な金融資産、日本郵政が保有する巨大不動産資産を外国資本が収奪するために推進された政策である。

米国のイラク軍事攻撃は正当性のない暴挙だった。世界随一の平和憲法を有する日本は、イラク問題の平和的解決を最後まで追求する世界的な使命を帯びていたにもかかわらず、小泉元首相は、米国ブッシュ政権が国連での合意を形成せずに軍事攻撃を開始したにもかかわらず、直ちに米国に追従する方針を表明した。

2003年にかけて日本では株価暴落と経済崩壊が広がった。この経済危機は小泉政権が人為的に引き起こしたものである。この経済破壊活動の余波で、多くの国民が失業、倒産、経済苦自死に追い込まれた。

小泉政権がなぜ人為的な経済破壊活動を展開したのかが問題である。その目的は日本の資産価格を暴落させることにあったと考えられる。

りそな銀行がいけにえにされたが、あらかじめ預金保険法第102条第1項第1号規定を活用することが計画されていたと考えられる。この第1号規定を活用すると、銀行を破たんさせずに公的資金で救済できる。

最終的にりそな銀行の繰延税金資産は3年計上が認められたが、論理的に説明できない3年計上は、銀行救済の第1号規定を利用するための逆算から算出された数値だったのだ。不可解な3年計上決定が、一連のプロセスが「謀略」であるとの濃厚な疑惑を裏付けてしまった。

日本の資産価格が暴落する過程で、暴落価格の日本の実物資産買占めに出動したのが外資系ファンドであった。外資系ファンドはその後の3~4年の間に巨大な不労所得を確保した。政府ぐるみの巨大インサイダー取引が実行された疑いが濃厚に存在しているのだ。

敗戦後日本の歴史は米国による支配の歴史である。敗戦直後、マッカーサー率いるGHQは、日本を新たな民主主義モデル国とすることを試みた。財閥解体、農地解放、労働組合育成、公職追放など、大胆な民主化政策が推進された。片山哲社会党政権が樹立されたのも、GHQによる戦後日本占領方針から生み出されたものであった。

ところが、1947年に米ソ冷戦が始まると、米国の対日占領政策は大転換した。日本を反共防波堤として強化、育成する方針が採用され、日本の民主化措置に強力なブレーキがかけられた。米国は日本に対米隷属政権=傀儡政権を樹立することに腐心する。

米国が重用したのが吉田茂元首相と岸信介元首相だった。CIAは岸信介政権に対して選挙資金まで提供し、内政干渉を続けた。岸信介政権以降の日本政治の保守本流は、こうして対米隷属=米国傀儡政権の基本性格を帯びるようになったのだ。

この対米隷属から脱却することなくして、真の日本の独立はあり得ない。鳩山前総理の大きな過ちは、安易なスタンスで普天間問題を取り上げたことにあった。民主党マニフェストには「在日米軍基地のあり方についての見直し」の文言が明記された。

鳩山前首相は普天間基地の県外、ないしは海外移設を主張したが、結局、最後は腰砕けに終わった。

日本国憲法には主権在民が明記されている。日本の主権者が総意として普天間基地の辺野古移設を拒絶するなら、辺野古の海岸を破壊する基地を作ってはならないのである。

鳩山前首相が内閣総辞職に追い込まれた最大の理由は、普天間問題で主権者国民の意思を踏みにじる日米合意を、連立与党の同意、主権者国民の同意を確保することなく決定してしまったことにある。

鳩山前首相が辞任し、後継首相に就任した菅直人氏は、まずこの点を明確に認識しなければならない。日本国憲法を尊重し、民主主義のルールに則って政治を運営することが正しいとするなら、主権者国民の意思を無視した政府の外交方針決定には、まったく正統性がない。これを押し通すなら菅首相の民主主義観が疑われる。

対米隷属から脱却することは容易なことではないと思われる。しかし、最初から対米隷属にかじを切ってしまったのでは救いようがない。

総理の椅子に1秒でも居座り続けたいなら、対米隷属を追求することがもっとも効果的である。小泉元首相はこれだけで5年半も総理の座に居座り続けた。

歴代首相で在任期間が長い首相は、例外なく対米隷属の基本姿勢を示した人物である。菅新首相は市民運動から出発し、これまで革新的な発言を示してきたが、それは総理の座を射止めるための手段にすぎなかったのだろうか。

総理の椅子に座り続けることは「私益」である。対米隷属から脱却することは「公益」である。「公よりも私」を優先するリーダーの下で、国民が幸福になることはあり得ない。国民の不幸が最大になることは間違いない。

参院選に向けての民主党マニフェストから在日米軍基地問題の見直しの文言が消されるとの報道が示されている。

沖縄の人々は、民主党のおもちゃにされたことになる。この問題に対するけじめもつけず、沖縄県民の意思を踏みにじる日米合意を政府が勝手に米国と成立させ、主権者である地元住民には日米政府が決定したのだから、つべこべ言わずに政府決定に従えとの態度を押し通すのであろうか。

普天間問題に対する政府決定の是非が参院選で問われなければならない。

官僚利権の中核である天下りを根絶するには、「役所によるあっせん」を禁止してもまったく意味はない。天下り各機関は「役所によるあっせん」ではないと言い逃れれば、それでおしまいなのである。

退職直前10年間に関与した企業、業界、団体への就職を退職後10年間は禁止する、という程度の客観基準が法制化されなければ、天下り根絶は不可能である。

前原国交相が道路5社の社長に民間人を起用する方針を示した。この方式も小泉政権そっくりである。各企業には生え抜きの職員が多数存在する。この生え抜き職員こそ、企業の実態を熟知し、問題点をもよく理解している。

天下りを排除して、経営幹部に登用すべき人材は企業内部に存在するはずである。まったく縁もゆかりもない民間人を起用するのは、あらたな利権政治に他ならない。各種ポストをえさに、民間企業、財界人を利益誘導するのが小泉流の「人事の利権化」政策だった。

大資本と政治権力の癒着を排除するには、企業団体献金の全面禁止を法制化することが何よりも有効である。

小沢一郎元民主党代表は小沢氏周辺に対する不当で不正な検察権力行使に毅然と対応して無実潔白を訴えると同時に、「企業団体献金全面禁止の法制化」を提案した。

菅新首相は「企業団体献金全面禁止」の法制化をなぜ国民に約束しないのか。「政治とカネ」にクリーンな民主党を訴えるなら、「企業団体献金全面禁止」を明確に公約に盛り込むべきである。

また、官房機密費の不透明な使用が指摘され続けてきた。官房機密費が御用言論人に配られ、公共の電波が歪められてきた疑いが濃厚に存在する。

官房機密費は税金を財源としている。政治家が独自に調達した資金でない。その使用に際しては、一点の曇りの存在も許されない。

官房機密費の使途の全面公開が求められる。御用言論人、報道を担うメディア職員に対して利益供与が行われていたとするなら、国会で全容を解明しなければならない。

①対米隷属

②官僚利権

③大資本と政治権力との癒着

が、そのまま温存されるなら、政権交代はその意義の大半を失うことになる。

 他方で、菅新首相は2011年度予算を緊縮予算とする方針を早々と掲げ、また、政府支出の無駄排除がほとんど実現していない段階で、消費税大増税=法人税減税の方針が明示されてしまった。

 これでは自民党政権と変わりはなく、小泉対米隷属政権と極めて類似した政権になってしまう。

 民主党に政権交代実現の大業を託した主権者国民は政権交代によって対米隷属からの脱却を希求したのであって、対米隷属路線が敷かれるなら、これは主権者意思に反するものになる。

 幸い、本年9月に民主党代表選がある。この代表選を通じて、主権者国民の声が現実の政治に反映される新体制が構築されることが強く望まれる。政局の大きなヤマ場は参院選後に持ち越しにされる。

 問題の最大の原因は、菅新首相が民主党内原理主義者・対米隷属派勢力に民主党の実権9月民主党だし票選でを渡してしまったことにある。この布陣が主権者国民の意思に反することは明白である。

 民主主義の根幹は、国民に主権があり、主権者国民の意思が反映されるように政治が運営されることにある。多くの主権者国民の負託を受けた公党が、公党内の勢力争いに狂奔し、政党や政治を私物化することは許されるはずがない。

 9月の代表選で、民主党を支持する多数の主権者の意向を正しく反映する新体制を構築することが強く求められる。

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2010年6月14日 (月)

日本振興銀行をめぐる黒い霧

日本振興銀行が検査忌避をはじめとする法令違反により金融庁から刑事告発され、犯罪捜査が始まった。刑事捜査の最大の焦点は日本振興銀行を実質支配してきた木村剛氏の関与である。「木村銀行」と呼ばれてきた日本振興銀行であるから、経営上の重大な方針決定に木村氏が深く関わったと推察するのが順当であろう。

今回俎上に載せられているのは検査忌避や出資法違反などの七つの法令違反であるが、そもそもこの銀行の設立自体が黒い霧に包まれていた。

2002年10月、小泉政権は内閣改造を実施した。小泉政権発足後、日本経済は景気崩壊-株価暴落-金融不安拡大の一途をたどった。経済財政政策担当相として民間人から起用されたのが竹中平蔵氏だった。風評では内閣改造で竹中氏が更迭されると予想されていたが、実際には竹中氏が経財相に加えて金融相を兼務することになった。

この人事は米国の指令によるものだと見られている。この後に日本株価が暴落し、りそな銀行が自己資本不足と認定され、2兆円もの公的資金投入で救済されたのが、いわゆる「りそな疑惑」である。「疑惑」と称する理由は多岐にわたるが、

①自己資本算定における繰延税金資産の取り扱い問題が急浮上したこと、

②りそな銀行だけが繰延税金資産5年計上を認められなかったこと、

③この問題を強く誘導した木村剛氏は2003年5月14日段階で、なおゼロないし1年を強硬に主張したが、結果が3年計上になったこと、

④その木村剛氏がゼロないし1年以外の決定を示す監査法人は破たんさせるべきとの強硬論を訴えていたのに、3年計上が決定されたのち、木村氏が一切の批判を示さなかったこと、

⑤竹中平蔵金融相が2003年2月7日の閣議後懇談会で株価連動投信ETFについて、「絶対もうかる」と発言したこと、

⑥朝日監査法人で自己資本不足認定によるりそな銀行監査委嘱辞退決定に強く反対したと見られるりそな銀行担当会計士平田聡氏が2003年4月24日に、自宅マンションから転落死したこと、

⑦政府がりそな銀行を救済したのち、りそな銀行幹部が一掃され、新たに政府近親者がりそな銀行幹部に送り込まれ、自民党に対する融資を激増させたこと、

⑧2006年12月18日の朝日新聞朝刊にりそなの対自民党融資激増のニュースをスクープで報じたと言われる朝日新聞記者鈴木啓一氏が東京湾で水死体になって発見されたと言われていること、

⑨りそな銀行が標的にされた理由が、りそな銀行最高幹部が小泉竹中経済政策を厳しく批判していたことにあるとの疑惑が存在すること、

⑩りそな銀行処理の基本スキームが米国から竹中氏に伝授された疑いが濃いこと、

など、疑惑の総合商社状態になっている。

2002年10月に発足した小泉改造内閣の下で、竹中平蔵金融相は直ちに金融再生プロジェクトチーム(PT)を編成し、10月末に「金融再生プログラム」をまとめた。

このプロジェクトのなかで、木村剛氏は銀行の自己資本算定時の繰延税金資産計上を米国並みのゼロないし1年に圧縮するとの提案を示した。PTはその制度変更を2003年3月期決算から適用する考えまで示唆した。

猛反発したのが銀行界である。ゲームの最中にルールが変更されたのではゲームを行えないというのが銀行界の主張であった。正当な主張である。

米国の場合には貸し倒れのリスクに備えて引当金を積み立てることが無税で認められていた。その代わり、繰延税金資産の計上が制限されていたのだ。日本の場合、貸倒引当金の無税償却は認められておらず、その見合いで繰延税金資産計上が相対的に多く認められていたのだ。木村氏はこのような基本事項さえ理解していなかったものと考えられる。

銀行界で最も強烈な反発を示したのが三井住友銀行の西川善文頭取だった。しかし、西川氏の姿勢は2002年12月を境に急変した。西川氏は同年12月11日に竹中氏、ゴールドマン・サックス証券のCEOポールソン、同COOセイン氏と密会し、ゴールドマンからの資金調達と竹中氏からの2003年3月決算クリアの保証を確保したのだと見られる。

金融庁は2002年10月30日に「金融再生プログラム」を発表した。

このなかに、ひとつの条文が潜り込まされていた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

1.新しい金融システムの枠組み

(2)中小企業貸出に対する十分な配慮

 主要行の不良債権処理によって、日本企業の大宗を占める中小企業の金融環境が著しく悪化することのないよう、以下のセーフティネットを講じる。 

(ア)中小企業貸出に関する担い手の拡充

 中小企業の資金ニーズに応えられるだけの経営能力と行動力を具備した新しい貸し手の参入については、銀行免許認可の迅速化や中小企業貸出信託会社(Jローン)の設置推進などを積極的に検討する。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 

 注目される部分は、

新しい貸し手の参入については、銀行免許認可の迅速化・・などを積極的に検討する」という表現だ。

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 木村氏は中小企業金融銀行設立の意向を有していたと見られる。金融再生PTのメンバーになった地位を利用して、金融再生プログラムのなかにこの文言を潜り込ませたのだと思われる。

また、木村剛氏はりそな銀行を自己資本不足に追い込むために、りそな銀行の監査法人である朝日監査法人への働きかけを行ったと見られる。そのひとつの表れが、2003年3月17日の木村剛氏と朝日監査法人亀岡義一副理事長とによる会食である。

会食の直接的な理由は、亀岡氏が木村氏に株式会社オレガの代表取締役落合伸治氏を紹介するためだったという(「月刊現代」2009年1月号佐々木実氏論文)。

木村氏は将来利益の計上が困難視される状況の下では、繰延税金資産の計上を認めるべきでないことを、りそな銀行を念頭に置いて説得したと考えられる。

上記論文執筆者の佐々木実氏は、4月16日に朝日監査法人が速報ベースのりそな銀行決算見通しを受け取って以降に朝日監査法人最高幹部が示した見解が、木村氏の主張と瓜二つであることを指摘している。

朝日監査法人は2002年3月にKPMGと提携契約を締結している。木村氏はKPMG関連の日本法人の代表を務めていたのであり、木村氏は竹中平蔵氏との強い関係とKPMG関連法人代表の立場を利用して、朝日監査法人にりそな銀行を自己資本不足に追い込むことを強く要請したのだと考えられる。

日本振興銀行問題に戻すと、同銀行の設立までの経緯は以下の通りである。

2003年 4月    落合伸治が準備企画会社「中小新興企業融資企画株式会社」を設立し社長に就任

2003年 8月20日 銀行免許の予備申請

2003年10月31日 予備申請認可

2004年 3月15日 本免許申請

2004年 4月13日 金融庁より銀行免許交付

2004年 4月21日 開業

2005年 1月 1日 取締役の辞任が相次ぐ中、創業メンバーで、取締   役会議長(社外取締役)の木村剛が自ら社長に就任

 最大の特徴は、金融庁が異例のスピードで新銀行設立の審査、認可を行ったことである。上記の通り、2003年8月に銀行免許の予備申請を行って、翌年4月には銀行を開業している。

 創業者である落合伸治氏は木村氏を含む役員に銀行役員を解任され、木村氏が社長に就任したのだが、結果からみると木村氏は落合氏などに銀行を設立させて、設立させた銀行そのものを乗っ取ってしまった形になる。

 金融再生プログラムに私的な営利活動のための条文を忍び込ませ、銀行設立を申請し、金融庁が異例の迅速さで審査および認可するとの行動は、行政の私物化以外の何者でもない。法令違反の有無を詳細に検証する必要がある。

 政権交代が実現し、金融担当相に亀井静香氏が就任して、初めて日本振興銀行の黒い霧にメスが入れられることになった。さらにりそな銀行疑惑に対しても真相究明の力が波及することになるだろう。

 「天網恢恢疎にして漏らさず」

 真相の徹底解明が求められる。

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2010年6月12日 (土)

対米隷属勢力に乗っ取られた国民主権政権

6月11日金曜日、『金利・為替・株価特報』

2010年6月11日号=第110号を発行した。

巻頭タイトルは

「対米隷属勢力に乗っ取られた国民主権政権」

である。

以下に目次を紹介させていただく。

<目次>

1.【政治】米国が糸を引いた6.2クーデター

2.【政治】小泉亜流の道を進む菅直人政権

3.【政局】秋の民主党代表選に持ち越される最終決戦

4.【政策】政府支出の無駄排除なき増税へ

5.【株価】グローバルな緊縮財政がもたらす危機

6.【中国経済】循環的調整局面を迎える中国経済

7.【金利】グローバルな金融緩和の持続

8.【為替】持続するユーロの軟調

9.【投資】投資戦略

5月28日に鳩山政権は沖縄普天間基地移設地問題について、移設先を沖縄県名護市辺野古海岸部とし、1800メートル滑走路を建設する日米合意を日米共同で発表した。

主権者国民、地元住民、連立与党であった社民党の意思を無視しての決定であった。

主権者国民、沖縄県民、連立与党に憤りが渦巻いたことは言うまでもない。

鳩山前首相は米国の合意を得る前に、地元住民の合意を得ることを優先すると5月14日に明言したばかりであった。

内閣の合意文書に署名しなかった福島瑞穂社民党代表兼消費者庁担当相は罷免され、社民党は5月30日に連立離脱を決定した。

鳩山内閣の支持率はさらに大幅に低下し、結局鳩山内閣は総辞職に追い込まれた。

鳩山前首相が辞意を表明したのは6月2日だったが、鳩山前首相は辞意表明演説の中で内閣総辞職の原因を普天間問題での公約違反と「政治とカネ」問題だとした。「政治とカネ」問題では小沢一郎氏にも責任があることを強調し、小沢氏に道連れ辞任を求めたことを表明した。

小沢一郎氏を最重要攻撃対象とする米官業政電の悪徳ペンタゴン広報部隊のマスゴミは、鳩山前首相演説を活用して小沢一郎氏攻撃を激化させた。この動きと連携したのが菅直人新首相である。

菅直人氏は後継代表選出選にいち早く立候補する意向を表明するとともに、小沢一郎氏を攻撃し、民主党内反小沢一郎氏勢力と手を結んで代表選当選を果たした。民主党新執行部および新政権組閣においては、反小沢一郎氏勢力に主要ポストを占拠させる人事を強行した。

今国会では郵政改革法の成立が最重要課題だった。菅新政権は政権発足に際して、国民新党の亀井静香代表と政策合意文書を作成し、署名、捺印した。

合意文書では郵政改革法の早期成立方針が明記された。

ところが、菅新政権は今国会で郵政改革法を成立させない国会日程を決定した。公党間の約束を反故にしたことに抗議して亀井静香国民新党代表は鳩山内閣の閣僚を辞任した。

結局、昨年8月30日の総選挙を通じて成立した三党連立政権では、民主党以外の二党の代表が政権から去る事態が生じた。ただし、国民新党は民主党が参院選後に郵政改革法を速やかに成立させることを両党覚書に明記したことを受けて、連立政権にとどまることを決定した。

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菅直人新首相の行動に、民主主義の原点に照らして見落とせない二つの重大な欠陥がある。この欠陥が時間を経過する中で、次第に大きなマグマを蓄積させる主因になることが予想される。

第一は、昨年8月の総選挙を通じて実現した政権交代の果実を菅直人氏が私物化したことである。実現した政権交代は、日本の民衆の叡智と努力の結晶である。日本の主権者国民がこの果実を獲得するに際して、最大の貢献をした人物は小沢一郎氏である。

政権交代実現の果実は公共財であり、政治家のなかで最も強い権限を付与されているのは小沢一郎氏である。

ところが菅直人氏は、小沢一郎氏を騙し打ちすることにより、総理の座を手中に収めた。マスゴミの誤った情報操作の誘導で菅新政権の支持率は高く発表されているが、何よりも重要な政権の正統性が存在しない。多くの主権者国民が人間としての信義を踏みにじるこの菅直人新政権を承認していない。

第二の問題は、普天間問題、消費税問題などについて、主権者国民の意思を無視して菅直人氏が暴走を開始したことである。

普天間問題で菅氏が尊重するのは米国の意向である。消費税問題で菅氏が尊重するのは財界と財務省の意向である。

米国、官僚、大資本が支配する政治構造を打破し、主権者国民のための主権者国民が決定権を持つ政権を樹立することが政権交代の目的であった。しかし、菅氏は新政権を乗っ取ると同時に、日本政治を米官業が支配する構造に回帰させようとしている。

このような不正義、欺瞞行為が許されるわけがない。

9月民主党代表選で、菅直人氏はこの世の正道の力を思い知ることになるだろう。

各人が主義主張を持つのは自由だ。しかし、正当な政権を樹立するには正当な手順を踏むことが不可欠である。「信なくば立たず」である。

菅直人新首相は所信表明演説で主権者国民に決定権がある政治を強調した。そうであるなら、主権者国民の同意を確保せずに政府が米国の言いなりになって決定した普天間問題の日米合意にはまったく正当性がない。

正当性がなくても、強い米国には逆らわないというのが、菅新首相の言う「現実的な外交」だとでも言うのだろうか。

鳩山前首相の「政治とカネ」問題は鳩山前首相も認め、法律上も確定した事案だが、小沢一郎氏の「政治とカネ」の問題は、小沢氏が一貫して検察捜査の行動を糾弾している事案であり、まったく異質のものである。

米国が巨大な力を行使して、小沢一郎氏の政治的な抹殺を企てている暗黒の政治謀略である可能性が濃厚な問題なのである。この不正で暗黒の政治謀略に加担する国会議員が民主党内に多数存在することが、現代日本政治の最大の問題であると言っても過言でない。

正義は最終的に負けるわけにはいかない。不屈の精神で不正義と闘い抜く強固な意思が、必ず巨悪に風穴を開けることになると私は信じる。

この世の正道をすべての人に知らしめるために、どのような戦術を構築するべきか、志ある者が叡智を結集しなければならない。

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2010年6月11日 (金)

対米隷属・財務省主導の菅首相所信表明演説

菅直人新首相が衆議院本会議で所信表明演説を行った。

個人の孤立を防ぐための「パーソナルサポーター」制度の支援についての思いが示された以外は、官僚の作文をつなぎ合わせた印象の強い総花的な演説であった。また、言い古された感の強い「第三の道」論と自らの履歴の紹介以外には故事などを踏まえたオリジナリティのある思想の開示がなく、聴衆を魅了する部分の乏しい演説だった。

特徴点を五点、以下に列挙する。

第一は、税制の抜本改革に向けての超党派の検討を呼びかけたことで、いよいよ大増税プロジェクトが始動することが宣言されたことである。

鳩山政権では、政府支出の無駄を排除するまでは増税の具体的検討を封印する姿勢が示された。膨大な政府支出の無駄を排除するには、増税という逃げ道を塞いでおかねばならない。この当然のスタンスが堅持されてきた。

ところが、菅政権では大増税論議が大手を振って展開されることになった。

菅首相は昨年来実施されている事業仕分けを今後も継続することを述べたが、事業仕分けによってどれだけの財源を捻出するかについての言及がなかった。事業仕分けを担当した枝野幸男新幹事長は、事業仕分けでは支出削減目標を設定しないことを正当化する主張を展開したが、これでは、事業仕分けが単なるパフォーマンスに終わる危険が圧倒的に高い。

これまでの事業仕分けでも、廃止とされた一部事業を別にすれば、抜本的な「事業内容の見直し」や「削減」などの抽象的な言葉が並ぶだけで、実質的に支出削減が骨抜きにされる恐れが極めて高い。

民主党は無駄な政府支出を年額12兆円削減することをマニフェストに明示しているが、この政権公約を維持するのかどうか、明確な言及が不可欠である。

所信表明演説からの印象では、菅首相が財務省主導の大増税路線に完全に引き込まれたとの疑いが、ますます濃厚になった。国民が求めることは、増税論議に本格的に入る前提条件としての政府支出切り込みの断行である。この点が大幅に後退した印象が極めて強い。

第二は、鳩山内閣が総辞職に追い込まれた主因である沖縄普天間基地移設問題について、引き続き、沖縄県民と主権者国民の意思を踏みにじることを維持する見解を明示したことである。

鳩山前首相は5月14日に、米国の合意を得る前に、主権者である沖縄県民の同意を得ることを確約した。しかし、現実には地元住民・主権者国民だけでなく連立与党である社民党の同意も得ずに、米国の要求通りの合意を決定して発表してしまった。

主権者国民の意思を踏みにじるこの意思決定が鳩山内閣崩壊の主因になったにもかかわらず、その修正を一切示さない対応が続いている。6月23日に沖縄を訪問することを示したが、沖縄を訪問することよりも、主権者の声を尊重することが先決である。新政権の対米隷属姿勢が改めて確認された。

第三は、官僚主権構造を打破するうえでそのカギを握る天下り根絶について、「本格的に取り組む」と述べただけで具体策をまったく示さなかったことだ。

天下りの「あっせん」を禁止しても、天下りが「あっせん」によるものではないと言い逃れられれば、天下り禁止の実効性はまったくあがらない。民主党は野党時代に自民党の天下り禁止規定を「ザル規定」だと非難してきたのではないのか。

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天下り禁止を実効性のあるものにするためには、例えば、

「退職後10年間は退職直前10年間に関与した企業、業界、団体への就職を禁止する」

といった程度の客観的な規制を設けなければ天下り根絶は有名無実になる。

 菅首相が「本格的に取り組む」と発言した具体的意味が明らかにされねばならない。

 第四は、「政治とカネ」の問題についての言及がなかったことだ。菅首相は政治活動を始めた市民運動時代を振り返り、故市川房江氏が経団連を訪問して経団連による政治献金あっせん中止を求めたエピソードを紹介したが、それ以上の言及がなかった。

 問題の根源を断ち切るには、「企業団体献金の全面禁止」を法制化するしかない。菅首相の演説は経団連による政治献金あっせん中止で十分だとのメッセージを示したものとも受け止められかねない。「企業団体献金全面禁止」の次期国会での成立を約束する必要があるだろう。

 第五は、昨年の小沢一郎元幹事長秘書逮捕以来、検察・警察捜査のあり方に対するさまざまな問題が浮上してきた。小沢氏周辺への捜査と同様に、民主党国会議員の石井一氏を狙い撃ちしたと見られる厚生労働省元局長の村木厚子氏の裁判では、検察当局の不正な捜査が鮮明に示されている。

 また、足利事件での菅家利和さんの無罪確定でも検察捜査の巨大な欠陥が明らかにされた。

 取り調べ過程の全面可視化、検察人事のあり方の全面的な見直しなど、日本の警察・検察・裁判所制度を近代化するための対応が手つかずのまま残されている。この問題にも一切言及がなかった。

 折しも、新政権発足直後に検察人事が発表された。

 霞が関支配、官僚支配を考察するとき、霞が関権力の中枢は財務省と法務省である。菅新総理はこれまでの「脱官僚」の看板を捨てて、財務官僚・法務官僚と提携したかの印象を否めない。

 検察審査会による小沢一郎氏に対する起訴相当議決は、審査補助員の強引な誘導がなければ考えられない決定であった。検察審査会が二度にわたって異常な議決を示さぬよう、全プロセスについての情報開示を求められると同時に、主権者国民は検察審査の行方を厳重に監視しなければならない。

 検察機能が政治利用されることがまかり通れば、日本は名実ともに暗黒秘密警察国家に転じることになる。

 対米隷属・財務省主導緊縮財政路線・検察権力との結託は小泉政権の基本路線であったが、新政権の基本路線と酷似することになるのではないか。

 日本経済の再悪化が懸念されると同時に、新政権に対する最初の重要な再評価が9月の民主党代表選で実行されることが予感される所信表明演説であった。

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2010年6月10日 (木)

郵政改革法成立阻止を目論む対米隷属政権勢力

鳩山政権が国会に提出した郵政改革法案の今国会での取り扱いが焦点になっている。菅直人政権が発足するに際して、民主党と国民新党との間で合意が締結され、「郵政改革法案の今国会での成立を期す」ことが確認された。

しかし、国会会期を延長しなければ郵政改革法の今国会成立が困難な状況になった。菅政権内部では郵政改革法を成立させずに国会を終了させようとの主張が強まっている。

この問題は単なる法律案の問題ではない。菅新政権の基本性格に関わる重要問題である。

2001年に小泉政権が発足した。日本政治構造の刷新とは、小泉政権が確立・強化した日本政治の基本構造を刷新することである。

小泉政権は

①対米隷属

②官僚利権温存

③大資本と政治権力との癒着

を基礎に据えて、

④市場原理主義

の経済政策を実行した。

この結果、日本社会は荒廃した。市場原理主義は自己中心主義と表裏一体をなす。日本全体に自分さえよければとの発想が蔓延した。同時に目的のためには手段を選ばない、経済的利得のためには何をしても構わない風潮が広がった。

企業部門においては、利益を出すために従業員を犠牲にする行動様式が広がった。小泉政権は製造業への派遣労働解禁などの施策を実行したが、その結果、年越し派遣村の問題が表面化した。

経済的格差が著しく拡大するとともに、貧困層が激増した。

市場原理主義の蔓延は手段を選ばずに自己の利益のみを追求する経済行動を助長し、各種の経済犯罪が多発した。竹中平蔵氏は「頑張った人が報われる社会」と喧伝したが、竹中氏が成功者として絶賛したのは堀江貴文元ライブドア社長などの人物であった。

2008年後半に顕在化したサブプライム金融危機は、市場原理主義に対する見直しの契機になった。相互の信頼、互助の精神が尊ばれる「共生の思想」への回帰が日本全体に広がったのである。これが、昨年の政権交代を実現させた基本背景である。

小泉政権時代の経済政策の素性も次第に明らかにされるようになった。

2003年にかけて日本経済は戦後最悪の不況に追い込まれ、株価が暴落し、金融恐慌の危機が目前に迫った。危機をもたらしたのは、小泉政権の財政再建原理主義に基づく緊縮財政と銀行破たんをも辞さないとする企業破たん推進政策だった。

日経平均株価が7607円に暴落する過程で、日本経済に失業、倒産、経済苦自殺の灼熱地獄が広がった。この地獄絵図は人為的にもたらされたものだった。

退出すべき企業を市場から退出させることを軸に置いた小泉政権の経済政策が株価暴落と日本経済破壊をもたらしたが、2003年5月、小泉政権は突如、政策を大転換した。りそな銀行に2兆円の公的資金を投入してりそな銀行を救済したのである。

公的資金による銀行救済で株価は急反発し、日経平均株価は8月に1万円を回復した。株価暴落誘導とその後の株価急反発誘導は計画的に実行された可能性が高く、政府による巨大インサイダー取引疑惑が濃厚に存在している。

小泉政権は米国の指導を受けて、株価暴落と株価急反発を人為的に誘導した可能性が高く、この過程で政府関係者が巨大利得を得た疑いが濃厚である。

りそな銀行の自己資本不足および預金保険法102条第1項第1号規定適用に関して、竹中平蔵氏、木村剛氏、奥山章雄氏などの人為的な関与が疑われている。りそな問題に関しては複数の関係者の不自然な死亡が生じた。

また、2009年には「かんぽの宿」不正売却未遂問題が表面化した。時価1000億円を超すと見られる「かんぽの宿」関連79施設が、109億円の安値でオリックス不動産に払い下げられようとした。不自然な売却を感知した鳩山邦夫総務大臣(当時)が、国会で問題を取り上げた結果、この不正売却は白紙に戻され、日本郵政の西川善文社長は引責辞任に追い込まれた。

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小泉政権は政権の看板政策として郵政民営化を掲げたが、小泉首相がこの政策を掲げた理由は以下の三点にあると見られる。

第一は、個人的な郵政に対する怨恨。小泉氏は総選挙に初めて出馬した際に郵政の応援を獲得できずに落選した。爾来、郵政に対する怨恨の感情を持ち続けてきたと見られる。

第二は、郵政民営化が銀行業界の永年の念願であったことだ。小泉氏はれっきとした大蔵族議員である。大蔵族議員が擁護する業界とは金融業である。金融業への利益供与として郵政民営化が提案されたと考えられる。

第三は、米国が郵政民営化を強く要請したことだ。米国が狙いをつけたのは、郵貯の220兆円の資金、かんぽの100兆円の資金、そして、日本郵政保有の巨大不動産資産だった。

小泉政権は政府部門内に滞留する郵政マネーを民間経済に還元し、日本経済の発展を支援すると説明した。しかし、日本郵政株式会社が発足した2007年10月以降にこの公約が実現した事実は存在しない。郵政マネーの民間経済への還流の前宣伝は真っ赤な嘘だった。

竹中氏は日本郵政が発足してから企業利益が増大したと主張するが、日本郵政は日本郵政発足直前に巨大な特別損失を計上しており、この会計操作によって、日本郵政発足後の利益が増えたように見えただけにすぎない。

日本郵政は株式会社移行後に、過酷な労働強化を実行するとともに、雇用形態を不安定な非正規従業員にシフトさせた。

そのなかで、従業員数が著しく少なく設定された郵貯銀行とかんぽ生命の全株式が市場で売却されようとしていた。外資が株式を集めれば、300兆円の資金を手中にできる算段だった。

他方、残る日本郵政株式会社に帰属する部分も、株式の3分の2が売却される予定とされていた。

株式売却後に過剰人員を整理すれば企業価値が急上昇し、株価が急騰する。外国資本が日本郵政株式を買い集めれば、小額の資本で巨大な日本国民財産を収奪できるはずだったのだ。

郵政民営化の法制化においては、郵政民営化準備室と米国の関係者が17回もの会合を重ねて細目が決定された。米国関係者が法律を作成したと言って過言でない。

昨年9月に発足した鳩山政権は政権発足直後に郵政株式売却を凍結する法律を国会で成立させ、また、かんぽの宿の不正売却を回避するための法的措置も実行した。外資による日本国民資産収奪がぎりぎりのことろで食い止められた。

その延長上で今回、郵政改革法案が国会に提出された。マスメディアは郵貯預け入れ限度額引き上げを批判するが、この措置は、郵便事業、金融窓口のユニバーサルサービスを実現するための財源確保を目的に取られる措置だ。

郵政民営化により、地方の郵政サービスが大幅に切り込まれ、主権者国民からの不満の声が強まった。日本郵政がスタートしてから、日本郵政に対する信頼が一気に失われ、郵貯残高は220兆円から一気に175兆円まで激減した。

この状況を放置すれば、郵貯とかんぽの破たんは時間の問題だった。

ユニバーサルサービスを維持するための新たな税金投入は許されない。この事情を踏まえて、預入限度額の引き上げが示されたのであり、郵政改革法案は正当性を備えている。法律成立を国民新党が強く求めるのは当然である。

6.2クーデターにより、小沢一郎民主党前幹事長の影響力排除が画策された。小沢-鳩山-菅のトロイカ体制に反旗を翻して、菅新首相は仙谷-前原-枝野の民主党内市場原理主義派と手を結んだ可能性が高い。

民主党内市場原理主義派は小泉竹中路線と連携する一派である。

このグループの基礎が、

①対米隷属

②官僚利権温存

③大資本と政治権力との癒着

④市場原理主義

の4点なのである。

 裏で支配しているのは米国である。米国は小泉政権に指令して実行させた郵政民営化プロジェクトが昨年の政権交代により挫折したことに強い憤りを感じてきたはずだ。

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 6.2クーデターの実行により郵政改革方針の修正までが狙われ始めたと見て間違いない。

 菅政権が郵政改革法案成立に後ろ向きの姿勢を示すなら、国民新党は連立政権から離脱するだろう。その場合、参院選の後になる可能性は高いが、民主党が分裂する可能性が高まる。

これを契機に、

①対米隷属

②官僚利権温存

③大資本と政治権力の癒着

④市場原理主義

の是非という対立軸により、政界が大再編される可能性が生まれる。

この軸による政界大再編が実現するなら、それは望ましいことだ。しかし、自主独立派は必ず対米隷属派に勝利しなければならない。

問題は、自主独立派の旗頭が現段階で明確でないことだ。

また、対米隷属派が、官僚利権根絶、大資本と政治の癒着排除などの、うその主張を展開する可能性が高いことにも注意が必要だ。マスメディアは米国に支配されるから当然、対米隷属派を全面支援する。

このなかで、自主独立派が勝利するための方策を考えねばならない。

菅新首相は普天間問題で、沖縄の人々よりも米国を重視する選択を示した。日本国民がこの姿勢を容認するのかどうかが問われる。

菅新首相は「菅新政権は対米隷属政権」との規定を否定するなら、早期にその姿勢を行動で示すべきだ。

菅新首相が対米隷属をすべての基本に据えるなら、自主独立を重んじる主権者国民は対米隷属総理を排除するために力を注がねばならないことになる。

普天間問題で鳩山政権が退陣し参院選が実施される。参院選の最大の争点を「対米隷属の是非」としなければならない。

「対米隷属」を打破するために政権交代を実現したのに、菅新政権が対米隷属路線に走ることは、主権者国民からの政権の略奪である。対米隷属派に政権獲得の正当性はない。

政権交代勢力の正統が自主独立派であることを示さねばならない。

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2010年6月 9日 (水)

鳩山菅密約による小沢氏失脚工作真相が表面化

6月2日の鳩山由紀夫前総理の辞意表明から1週間が経過した。

菅新政権が誕生した政治力学について、二つのシナリオがあり、本ブログでもその両者について言及してきた。しかし、各関係者から断片的な情報が提供されるなかで、どうやら真相がはっきりしてきた。

それは、小沢-鳩山-菅トロイカ体制のなかでの鳩山-菅両氏による反小沢対米隷属クーデターが実行されたというものだ。

懸念された低劣なシナリオが進行したとの悲しい現実を認めることは極めて残念であるが、各種状況証拠が揃ってくれば、現実から目をそむけるわけにはいかない。

私は政権交代を実現する目的が、

①対米隷属からの脱却

②官僚利権の根絶

③政治権力と大資本との癒着排除

の三点にあると考える。

同時に経済政策を運営する軸を市場原理主義から福祉社会追求に転換すべきことも主張してきた。

菅直人氏のこれまでの主張は、政権交代実現の三大課題、共生重視の経済政策運営を実現させることと整合的なものであった。

「ゆきひろ・社会科日記」様が6月8日に、

菅直人の公式ブログ。消されないうち知っとこ。」

と題する記事を掲載された。

菅直人氏が2001年8月19日のブログに次の記述をしていることが紹介された。

「民主党の基本的考えは「沖縄の米軍基地の整理縮小のため、国内外への移転を含め積極的に推進していく」と、基本政策に述べている。

そして沖縄の米軍基地の人員でも面積でも半分以上を占める海兵隊基地が「国内外の移転を含め」整理縮小の検討対象にになることは当然のこと。

民主党の沖縄政策の中では「アメリカの東アジア戦略構想を再考し、米海兵隊の他地域への移駐を積極的に議論する」と明記されている。

実際に民主党の中で海兵隊の米国内への移転は有力な意見として何度も議論されてきた。私の参院選挙中の沖縄での発言はそうした背景のもと行われたもので、その場の思いつきでもリップサービスでもなく、民主党の基本政策と矛盾してはいない。

本政策より多少踏み込んだ表現があるとしても、それは政治家としての私の責任で述べたものである。

私自身3年程前民主党の代表として訪米した折にも、アメリカの当時の国防次官にこの主張をぶつけたことがある。

国防次官は厳しい顔でメモを見ながら「北朝鮮に対する誤ったシグナルになるから沖縄から海兵隊は撤退はするべきでない」と反論してきた。

その理屈も一部理解はできるが絶対ではない。実際には海兵隊基地を米国に戻すより日本に置いていたほうが米側の財政負担が小さくてすむという背景もある。

北朝鮮の状況や日米の財政状況が変わってきている中で、沖縄にとって重い負担になっている沖縄海兵隊の日本国外移転について真剣な検討が必要。」

(ここまで転載。太字は「ゆきひろ・社会科日記」による)

菅直人氏は海兵隊の国内駐留が日本にとって必要不可欠なものでないことを基本的判断として保持することを明言してきた。その基本判断を変えたのなら、説明する責任がある。

鳩山前総理が普天間問題を最重要課題として取り上げた以上、日本が対米隷属国家から脱却する意味においても、この問題の決着は日本にとっての最重要問題のひとつになった。

鳩山前総理が米国と共同発表をしてしまったから、その事実は踏まえなければならないが、菅新総理は、

「この問題が主因で鳩山内閣が総辞職に追い込まれたことを踏まえ、日米合意の内容が現状のままで良いのかどうかを含めて、日本の主権者である国民の意思を尊重して対応策を検討してゆきたい」

と述べなければならなかった。

ところが、菅新首相は、「日米の合意はできたのだから、合意に基づき進めてゆかなければならない」と発言した。

菅新首相は日本の主権者国民の意志よりも米国の意思を上位に位置付けることを明言したのだ。記者会見でこの点を明確に糺す質問者が登場しなければならない。

米国ワシントンでのG20会合に出席した菅直人前財務相は本年4月22日、アーリントン墓地を訪問して献花した。日米同盟を重視する姿勢を示したと見られているが、総理大臣に上り詰めるため、ワシントンで魂を売った可能性が浮上している。

昨年8月30日の総選挙を通じて実現した政権交代の大業。その最大の功労者は小沢一郎元民主党代表であった。民主党は2005年9月の総選挙で岡田克也氏が陣頭指揮を執って惨敗した。後継の前原誠司氏は偽メール問題で処理を誤り、民主党を解党の危機に陥らせた。

この危機のさなか、2006年4月に火中の栗を拾ったのが小沢一郎氏である。爾来、3年間の政党運営により、民主党を軸とする政権交代の大業を成し遂げた。

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小沢一郎氏が不正で不当な激しい攻撃を受け続けてきた理由は、小沢氏が日本の対米隷属構造を打破する可能性を保持してきたからだと考えられる。

本来、昨年8月の総選挙を通じて小沢一郎政権が誕生していた。ところが、史上最大の政治謀略となった昨年の三三事変により、小沢氏は筋を曲げて民主党代表辞任の道を選んだ。

それでも、小沢氏の影響力は突出し、政局は小沢一郎氏を軸に転回し続けてきた。普天間問題で「米国に言うべきを言う」姿勢を撤回し、「米国に隷属する」道を選択した鳩山前総理が総辞職に追い込まれたのは、鳩山前総理の自己責任である。

鳩山前総理は、誰がどう抵抗しようと、誰が何を言おうと、最後まで主張を貫き、米国にモノを言う姿勢を貫くべきであった。

しかし、鳩山前総理は米国の強硬な姿勢に屈服した。その結果として総辞職に追い込まれたのである。鳩山前総理は潔くこの現実を認めるべきであった。

ところが、鳩山前総理は総辞職の責任を小沢一郎氏に転嫁した。

驚くべきことは、このシナリオ作者に菅直人氏が名を連ねた可能性が高いことが明らかにされた。

この重大事実を暴露されたのは平野貞夫元参議院議員である。平野氏は小沢氏の懐刀として議員活動を務められたが、議員辞職後も小沢氏と緊密な関係を維持し続けている。

時期は確定していないが、6月1日夜と見られている。鳩山氏と菅氏が相談し、菅氏への禅譲と小沢氏排除の密約が交わされたというのである。

詳細については平野貞夫氏の『永田町漂流記』をご高覧賜りたい。

このことから、菅新総理が小沢一郎氏との仁義を重んじつつ、参院選対策に進んだとの希望的観測を撤回せざるを得ない。

菅直人氏は米軍海兵隊の沖縄駐留が必要不可欠な存在でないことを明言してきた。したがって、鳩山内閣総辞職の主因が普天間問題決着の失敗にある現実を踏まえれば、鳩山政権が事務レベルで成立させた日米合意を見直すことが、新政権の最初の任務にならなければおかしい。

ところが、菅新総理は日米合意に基づいて進むことを明言し、普天間問題を誘導した岡田克也外相、北澤俊美防衛相、前原誠司沖縄担当相の3名をそのまま留任させた。これらの事実を並べれば、菅直人氏の対米隷属基本姿勢を否定することは不可能である。

菅新総理はこれまで官僚主権構造を否定する方針を明示し続けてきたが、昨日の記者会見では「官僚の力を使って政策を進めてゆく」と発言した。財務相に就任以来、菅氏は緊縮財政と消費税増税に前のめりの姿勢を強めてきた。総理大臣に就任し、総理の椅子に長く座り続けるには官僚と癒着した方が良いと考えを改めたのであろうか。

「政治とカネ」問題の根幹に大資本と政治権力の癒着構造がある。どの政治家が悪い、良いの話ではない。政治とカネの癒着構造を生み出す装置が企業団体献金である。「政治とカネ」の問題を根絶するには、「企業団体献金全面禁止の法制化」に踏み込むことが最適であることは明らかだ。

しかし、菅氏の会見に企業団体献金全面禁止はまったく出てこなかった。

昨年来の三三事変一一五事変四二七事変は、検察権力を利用した政治工作である。政治を歪める検察権力の暴走を放置するのでは民主主義を守ることはできない。

昨年来の検察権力の暴走の背後にあるものを究明し、糾弾することが不可欠である。その意味で小沢氏が巻き込まれている巨大な政治謀略に対して、政権は検察権力に対して毅然とした対応を示さねばならないはずだ。

検察人事の刷新、人事決定方式の抜本的な改革、そして取り調べ過程の全面可視化など、直ちに変革しなければならない問題が山積している。

また、罪刑法定主義、法の下の平等、基本的人権の尊重、無罪推定の原則、国家公務員の守秘義務など、検証が求められる根本問題も放置されたままになっている。

ところが、民主党内部には、検察の暴走を党内政治力学に利用しようとしてきた人物が相当数存在する。菅新総理の現在の姿勢は検察の横暴を放置、容認するものでしかない。正義よりも自分の損得を優先するものである。

菅直人氏が草の根から政治活動を初めて、今日、総理大臣の地位に上り詰めたことは事実だ。しかし、後世からの評価は、その志の有り様によって天地の開きを生じる。

総理になることが目的で、そのためには魂を売ることもいとわないのなら、その志は薄汚れたものであり、後世に残るものは何もない。

大きな志、確固たる信念を持ち、その志と信念を貫き通すなら、歴史に名を刻む大業を残すことになるだろう。

①対米隷属からの脱却

②官僚利権の根絶

③大資本と政治権力との癒着排除

また、

④国民生活安定の最優先

の課題のすべてについて、菅新総理がすでに魂を売ってしまっているなら、新政権は主権者国民のための存在ではない。政権を担う首相および閣僚の利益を増大させるものでしかない。断定するには時期尚早であるが、疑いは極めて濃厚になっている。

国民のための政治を装った自分たちのための政治になる。民主党内「偽装CHANGE勢力」による政権争奪である。これが真実であれば、鳩山氏・菅氏の行動は万死に値する。

市場原理主義者と自己中心主義者はほぼ同義である。

この疑いが確認されるなら民主党は分裂に向うだろう。否、分裂すべきだ。

共生主義   VS 市場原理主義

自主独立   VS   対米隷属

官僚利権排除 VS 官僚利権温存

金権政治排除 VS 金権政治温存

の対立軸で、政界再編を進展させねばならない。

共生主義・自主独立政治を牽引する強力なリーダーが必要である。市場原理主義者=対米隷属派の裏側には米国が存在し、マスメディアを支配している。

マスメディアによる情報操作を打破して、この闘いに勝利するには、カリスマ性のあるリーダーが不可欠である。小沢一郎氏が表面に出ることを望まないなら、表の顔が必要だ。

すべての原点は、米国が支配するこの国の現状を打破しようと、日本国民が真剣に考えるのかどうかである。

魂を売って欲望を満たすのか、いばらの道であっても尊厳を守り抜く道を選ぶのか。リーダーに対しても、市民に対しても、人間としての矜持が問われている。

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菅政権は対言論人官房機密費供与を透明化せよ

世界経済に再び暗雲が広がり始めている。

政府は2009年3月以降、日本経済が景気回復過程に移行したことを正式に発表したが、皮肉なことにこの発表と同時に、景気再悪化の可能性が浮上し始めている。

今回の震源地は欧州だが、その延長上で経済政策の大きな過ちがグローバルに演じられるリスクが高まっている。

奇しくも日本では菅直人政権が発足したが、財務省主導の財政再建原理主義がまたしても猛威を振るい始めている。

菅直人総理の就任記者会見の問題点の第二が、日本経済再悪化シナリオの浮上である。

ただし、この問題については、稿を改めて論じることとしたい。

第三の問題としてあげたのは、官房機密費に対する取り組みが不透明であることだ。

記者会見で上杉隆氏ではないかと推察されるが、官房機密費がマスメディア記者や言論人に提供されたことについての質問が示された。

菅直人首相の説明はしどろもどろであった。

枝野幸男幹事長は6月7日の幹事長就任あいさつで、「透明性」を繰り返し強調した。

官房機密費こそ透明化するべきである。

過去の事実について公開を妨げる理由はない。

菅内閣が過去の官房機密費の使途を公開しないと言うなら、「透明性」の言葉も口先だけの装飾に過ぎないことになる。

他人を批判し、「透明性」を看板に掲げる限り、その言葉に見合う実績を示す必要がある。

報道機関職員、テレビなどに登場する言論人に対する過去の政府からの利益供与の事実を公表するべきである。

「透明性」を看板に掲げながら、この程度の情報開示もしないなら、以後、一切、「透明性」などの言葉を用いるべきでない。

また、メディア各社、言論人は説明責任を果たすべきである。田原総一朗氏も野中広務元官房長官からの利益供与を受けていなかったことを説明しているが、官房機密費を過去に受け取ったことが皆無なのかどうかを説明するべきである。

小沢一郎民主党前幹事長に対して「説明責任」を強く求めてきたメディアや言論人は、とりわけ自らの説明責任を率先して果たすべきである。

また、佐藤優氏がみんなの党の江田憲司衆議院議員から、江田氏が橋本龍太郎総理の秘書官であった時期に官房機密費を直接受け取ったことを公開しているので、江田憲司氏は官房機密費について知っているすべてを公開するべきである。

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普天間問題対米隷属継続を宣言した菅直人首相

菅直人政権が発足した。

オープンにし、透明性を高めることは望ましいことだ。

公約違反にならないようにしっかりと取り組んでもらいたい。

政権発足に際して、菅直人総理大臣が記者会見を行った。

三つの重要な問題が存在する。

第一は、沖縄普天間問題への対応が、菅政権の主権者国民無視=対米隷属を明示すること。

第二は、国民生活を守る視点からの経済政策論議が欠如していること。

第三は、官房機密費問題に対する姿勢が「不透明」であること。

第一の点について、菅総理は「日米同盟が基軸」であり、日米合意に基づいて進めてゆかねばならないと説明した。鳩山内閣が総辞職に追い込まれた原因を枝野幸男幹事長同様、菅総理もまったく正しく認識していない。主権者国民を土足で踏みつける対応である。

昨年9月に発足した新政権は、日米合意が存在することを知った上で、普天間飛行場の移設先を変更することを公約に掲げて政治を運営した。その根拠は、日本の主権者である国民、沖縄県民が県外あるいは海外への移設を強く求めたことにある。

鳩山内閣は本年1月に実施された沖縄県名護市長選を民意の表明として注視したが、結果は基地移設拒絶を訴えた稲嶺進氏の当選であった。沖縄県民の県外あるいは海外への移設を求める声は日増しに強まり、本年4月25日には知事も参加して県内移設拒絶の県民大会も開かれた。

鳩山前総理が掲げた目標は極めて困難なものであったが、二つの意味で、極めて重大な意味を帯びるものだった。

ひとつは沖縄の過酷な負担を軽減する画期的な施策であること、いまひとつは、米国の言いなりになり続けてきた戦後日本外交を質的に転換させる最大の契機になることだった。

米国に対して言うべきことを言えなければ、真の独立国とは言えない。日本の国のあり方を変える画期的な試みであった。しかし、この歴史的な取り組みを成功させるには、周到な研究、強固な理論武装、不屈の精神力が不可欠であった。この三点が備わっているのかどうか、私は当初、強く懸念した。

しかし、鳩山総理は政権発足に際して、改めてこの目標を実現することを明確に掲げた。掲げた以上、体を張って、最後までやり抜かねばならなかった。

小沢一郎前幹事長は、普天間の海外移設をやり抜く腹を固めたと思われる。米国は小沢氏と接触して小沢氏を懐柔しようと試みたが、小沢氏の判断が強固であることを察知して小沢氏に対する米国招聘を取り下げたのだと考えられる。

鳩山内閣が普天間基地の海外移設をやり通せば、日本の歴史は大きな1ページを開くことに成功したはずである。

しかし、鳩山総理は外務省、防衛省の包囲網を突破できず、辺野古海岸破壊案に舞い戻ってしまった。その結果が社民党の政権離脱であり、内閣支持率の致命的な低下だった。鳩山内閣が総辞職に追い込まれた最大の原因は普天間問題の決着を誤ったことにある。

ところが、総理続投の意思を有していた鳩山総理は退陣を迫られ、小沢一郎氏を道連れにしてしまったのである。と同時に、鳩山内閣総辞職の原因を普天間問題から「政治とカネ」問題にすり替えてしまった。

メディア報道は、すべてこの路線を採用した。鳩山政権崩壊の主因である普天間問題を取り上げずに、「政治とカネ」問題だけを取り上げる。そして「政治とカネ」問題はイコール小沢氏問題としたのである。

この図式に従って、新政権の課題がいつの間にか普天間日米合意の再検討ではなく、「政治とカネ」問題への対応になり、脱小沢が新政権の課題であるとのストーリーが仕立て上げられた。誰がこの筋書きを用意したか。

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真実はまったく違う。鳩山内閣崩壊の原因は、鳩山総理が日本の主権者を無視する対米隷属の決定を示したことにある。

鳩山前総理は政府案を決定するには、連立与党、主権者国民、米国の同意が必要だと繰り返してきた。ところが5月28日に鳩山総理が示した政府案は、連立与党の同意を得られない、主権者国民の同意を得られない、米国がゴリ押しした元の日米同意だったのだ。

日本の主権者国民がこの政府決定を呑めるわけがない。政府決定を呑めないのは社民党だけでない。日本の主権者国民が呑めない案なのだ。だから鳩山内閣が崩壊した。当然の帰結である。

小沢一郎前幹事長は、海外移設の覚悟をもって対応し続けた。鳩山前総理が米国に屈服するのでは総理退陣を免れないとの判断を固めたと思われる。

ところが、鳩山総理が辞任表明発言で、すべての真実が巨大な虚構によってすり替えられてしまった。

メディアは普天間問題についての世論調査を一切実施しない。大きな力が働いている。大きな力によって、この問題に対する世論調査が禁止されているとしか考えられない。

小沢一郎氏が火祭りにあげられた。人間として最低の部類に属するとしか見えない渡部恒三氏をヒーローに仕立て上げるメディア報道には反吐を吐くしかないが、背後に大きな力が働いていることは明白である。

「対米隷属」の呪縛から日本はまだ離れられないのだ。

鳩山内閣が普天間問題の処理を誤って総辞職に追い込まれたとの原点を、じっくりと再検証することが、新政権の最初の課題であるはずだが、菅政権の向う方向が異なる。

菅新総理は記者会見で、

「日米の間の合意はでき、それに基づいて進めなければならないと思っております」

と述べた。

日米の間の合意ができたのは事実だが、主権者国民と連立与党での合意を得られなかったのであり、そのことが政権崩壊の主因になった。

社民党が政権離脱したから菅政権内部の問題ではなくなったが、主権者国民の同意はいらないと言うのか。

「それに基づいて進めなければならない」というのは、主権者国民よりも米国を優先することに他ならない。

このスタンスを変えないなら、菅氏が就任したのは、アメリカ合衆国日本州知事か、アメリカ合衆国領日本総督府総統でしかない。

長くなるので、第二、第三の問題については稿を改める。

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2010年6月 8日 (火)

普天間問題対米隷属継続を宣言する枝野幹事長

菅直人新政権発足を控え、メディア各社は競って世論調査を実施している。菅総理に期待する比率が高く、民主党の支持率が急上昇した。他方で自民党やみんなの党の支持率が急落した。

昨年8月30日の総選挙を通じて実現した政権交代。政権交代は目的ではなく手段である。政権交代実現を通じて日本政治刷新の大事業を敢行しなければならない。

普天間問題に関する鳩山政権が提示した政府案を契機に鳩山内閣が総辞職に追い込まれた。この過程で、小沢一郎民主党幹事長が道連れ辞任に追い込まれた。

マスメディアが創り出した「小沢悪者論」を背景に、ダブル辞任が民主党支持率急回復をもたらした。日本政治刷新の大事業を敢行するためには、強固な政権基盤が不可欠である。本年7月の参院選で政権交代勢力が参議院多数を確保して初めて日本政治刷新の大業を実現する環境が整う。

この意味では、参院選を目前にしたタイミングで発生した政局大波乱は、日本政治構造刷新にプラスの影響を与える可能性が高い。

しかしながら、結果が好ましいものであれば、物事の道理、天下の正道が歪められて構わないのかと問われれば、否と答えるほかはない。

私はこの点に徹底的にこだわる。一人の人間の尊厳が不正に、不当に損なわれることを、日常茶飯事として水に流すことはできないからである。水に流すべきでないとも思う。

NHKの世論調査が相も変わらず、鳩山総理辞任、小沢幹事長辞任について尋ねる。

小沢氏の辞任について、7割の回答者が「当然」と答え、「やむをえない」を合わせると9割に達したことを報じた。

回答者の9割が小沢氏は辞任するべきだと答えたとのことだ。

この9割の国民に次の質問を提示したときに、彼らは何と答えるのか。

辞任するべきだと考える理由は何か。

彼らは答えるだろう。

「政治とカネの問題について不信を持たれることがあったから」

「政治とカネの問題についての説明責任を果たしていないから」

「政治とカネに関して問題を引き起こしてきたと思えるから」

このような理由が示されるだろう。

しかし、具体的にその根拠を明示しろと言われて明示できるのか。

彼らは、検察が秘書を2度も逮捕したこと、検察審査会が小沢氏を起訴相当と議決したこと、などを根拠にあげるだろう。

これがすべてなのだ。検察が動き、メディアが1年間、小沢氏が悪だと国民に刷り込んできた。

しかし、問題とされている事実を詳しく調べれば、小沢氏にかけられている嫌疑が、一般的な刑事責任を伴うような案件ではまったくないことがよく分かる。

元検事で大学院教授と弁護士を現職とする郷原信郎氏がテレビや文字媒体で、検察の行動の不当性を分かりやすく解説すれば、その報道に接した国民の認識は変わる。しかし、郷原氏のような見解を示す言論人のテレビなどへの登場は削減され、一般国民の目の届かないところに封印される。

政治資金収支報告書への「虚偽記載」が問題とされたが、これまでの取り扱いでは記載の修正で済まされてきた問題である。

昨年の三三事変では、検察が公判維持不能に追い込まれている驚くべき現実がある。

胆沢ダムに関連する不正、政党助成金に関する不正などをメディアが騒ぎ立てるが、いずれも憶測の域を出ない。憶測で個人を攻撃するのは、明らかな人権侵害である。

一人の傑出した力量の持ち主が、不当に不正に攻撃を受け続け、その影響力を排除されることが、許されてよいわけがない。

小沢一郎前幹事長の行動様式に「剛腕」と呼ばれるような特徴があったことは事実だろう。皆が自由にものを言える空気を作り出すことは、民主主義政党としては重要なことである。小沢氏が変えなければならない点があったのは事実だと思うが、だからと言って、検察とメディアが結託して、一人の個人を集中攻撃し、影響力を不正に不当に抹殺することが正当化されることはない。

国民は自分の目で確かめ、自分の頭で考えて判断しなければならないのだ。小沢氏に対する質問への対応は、世論調査に不正がないとするなら、国民の情報リテラシーの未熟さを物語るものである。メディアが繰り返しているイメージ操作を、そのまま自分のイメージにしてしまっているだけに過ぎない。

このようなことが成立するなら、国民主権は絵にかいた餅になる。国民主権の錯覚だけを国民に与え、メディアを支配する勢力が世論をコントロールできてしまうからである。

このような情報操作に抵抗できない国民には、その程度の政治しか手にすることはできないことを意味するのだとすれば、国民主権による日本政治刷新など、夢のまた夢なのかもしれない。

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しかし、現実を前に絶望してしまえば、それで終わりだ。主権者の意識が変革するための方策を考え、主権者に真実の情報を伝達し、主権者の政治構造刷新に向けての行動を促してゆかなければ、何も変わらないのだ。希望を持って前に進むほかに道はない。

テレビ朝日は、世論調査に郵政改革法案の取り扱いについての質問を盛り込んだ。質問の文章が露骨に回答を特定の方向に誘導するものであることは言うまでもない。郵政改革法案の今国会可決を阻止しようとする意図が鮮明である。

この質問の前に示すべき質問がある。普天間問題だ。

①名護市民が基地移設拒絶の民意を表明したなかで、辺野古海岸に軍事基地を建設することを適切と思うか。

②海兵隊の沖縄残留が「抑止力」の視点から日本にとって不可欠だと思うか。

③グアム・テニアンが普天間基地移設受け入れを表明しているが、グアム・テニアンへの移設案を積極的に検討するべきだと思うか。

 これらの質問を主権者国民に問うべきだ。

枝野新民主党幹事長が普天間問題について質問され、仰天回答を示した。

普天間問題は国と国の間で合意を結んだ問題であるから、その事実を重視して対応しなければならないのだと言う。

枝野氏は鳩山政権がなぜ総辞職に追い込まれたかを知らないのではないか。

鳩山政権は普天間移設先について、「最低でも県外」と発言して総選挙を戦い、日米合意見直しに取り組んだ。この過程で名護市長選があり、沖縄県民の県内移設拒絶の県民大会があった。鳩山内閣が主権者国民の意思を無視して米国と合意を結び、これが連立政権樹立の合意に反するとして社民党が政権を離脱し、その結果、鳩山政権は総辞職に追い込まれたのだ。

最終期限目前の5月14日、鳩山総理は米国と合意を得る前に、地元住民の同意を得ることを明言したが、結果として行動したのは、地元住民の同意をえない日米合意だった。この日米合意こそ、鳩山政権崩壊の主因なのである。

それにもかかわらず、普天間問題について質問された枝野氏は「外国との合意なので見直せない」との趣旨の発言を示したのだ。

主権者国民をなめ切った発言である。主権者国民の意志よりも米国の意向が優先されることを明言したのである。主権者国民の意思を無視して米国の言いなりになったことが政権崩壊を招いたにもかかわらず、米国の言いなりになることを維持することを宣言したのである。

①対米隷属からの脱却

②官僚利権の根絶、

③大資本と政治権力との癒着排除

が日本政治構造刷新の三大課題であるが、その根幹にあるのが、

 ①対米隷属からの脱却

である。

 小沢一郎氏が異常な集中攻撃を浴びてきたのは、小沢氏だけが日本の自主独立を実現し得る人物であるからだと考えられる。

 小沢氏は現在も不当で不正な刑事問題に巻き込まれている。新政権と米国、検察が結託して、さらに重大な不正が重ねられないように、厳重な監視が必要である。

 政権交代のある二大政党制が成立しても、この二大勢力がいずれも対米隷属勢力になれば、日本の自主独立の道は断ち切られる。

 政局が揺れ動き、主権者国民は何をどう判断すればよいのか悩ましい局面だが、ひとつひとつの基本をしっかりと押さえてものごとを考えることが不可欠である。

 対米隷属勢力を粉砕し、不正な情報工作、腐り切ったメディアを糺す強い力を有するリーダーが登場することが不可欠である。菅新総理は対米隷属派に堕していないことを自らの言葉で明示する必要がある。

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2010年6月 6日 (日)

敵を欺くためまず味方を欺く非小沢新政権人事

「敵を欺くにはまず味方を欺く。これ権謀術数の第一と心得よ」

の言葉がある。

菅直人内閣が6月8日に発足する。幹事長、官房長官に、小沢一郎前民主党幹事長と距離のある人物が配置される方針が報道されている。

菅直人総理は、民主党代表選で、民主党の挙党一致体制の確立を宣言した。見かけ上は挙党態勢確立が示されていないが、参院選シフトとの解釈は成り立つだろう。

政権交代実現の道を切り開いた小沢一郎氏の足跡は輝かしいもので、小沢一郎氏が悪者にされる正当な根拠は存在しない。これまで日本政治を支配し続けてきた既得兼営勢力=米官業のトライアングルは、この利権政治構造を破壊してしまいかねない最重要危険人物として小沢一郎氏を捉えてきたのだと考えられる。

昨年3月3日の小沢一郎氏公設第一秘書の逮捕(三三事変)以来、小沢氏がまるで悪の権化であるかのような報道が繰り広げられてきたが、恐ろしいことである。三三事変裁判では、元公設第一秘書の大久保隆規氏の無罪が動かし難い状況になった。

窮地に追い込まれた検察は、本来、収支報告書に記載しないで良いとされてきた一時的な資金繰りを、小沢氏の資金管理団体が収支報告書に記載しなかったことを犯罪に仕立て上げて、本年1月15日に無理な逮捕を行った(一一五事変)

小沢氏本人は不起訴とされたが、4月27日には、東京第5検察審査会が小沢氏を起訴相当とする議決を行った(四二七事変)。検察審査会では審査補助員の弁護士が論議を誘導すると見られるが、米澤敏雄という氏名の元検察官の弁護士が審査補助員として論議を誘導して小沢氏に対する起訴相当が決議されたと推察される。

小沢一郎氏が批判を受ける正当な根拠は存在しない。それにもかかわらず、マスメディアがこの1年間、「小沢氏が悪い」と喧伝し続けた。その結果、小沢氏の影響力を排除することが民主党の支持率を引き上げるための方策になってしまった。

主権者国民のメディア・リテラシー、情報リテラシーの未成熟さの表れと言わざるを得ない。個人が情報を選別し、誤った情報に捉われない強い力を持たねばならない。しかし、真実の情報を発信する場は限られており、真実の情報が正しく国民の耳に届いていない。日本の民主主義を守るため、情報空間の刷新が急務である。腐り切ったマスメディア=マスゴミを粉砕しなければ、日本の民主主義は健全に発展しないだろう。

今回、民主党の代表選が実施されたが、新代表の任期は本年9月までである。新内閣は参院選実施の選挙管理内閣の性格が極めて強い。

昨年5月11日、小沢一郎民主党代表は無実潔白であることを強調したうえで、民主党代表の地位を退いた。目前に迫った総選挙への影響を重視して、筋を曲げて代表辞任の英断を下した。その結果、民主党は勢いを急回復させて総選挙での圧勝を勝ち取った。

今回のダブル辞任もまったく同じ図式で理解することができる。小沢氏が辞任すべき正当な理由は存在しないが、民主党の選挙戦術として小沢氏が辞任するとの選択肢はないわけではなかった。民主党が参院選で勝利しなければ、日本政治刷新の大事業は前に進まない。この点を重視してダブル辞任が演出された可能性が高いと考えられる。

この文脈で考えれば、新体制で非小沢系人脈が主要ポストを振り分けられたことも理解できないものではない。各種世論調査では民主党支持率が急回復しており、この意味での戦術が功を奏しているとも言える。

主権者国民にとって重要なことは、主権者国民の意思が適正に政治に反映されてゆくことである。主権者国民は日本政治の刷新を求めている。日本政治刷新の三大課題とは、

①対米隷属からの脱却=自主独立路線の確立

②官僚利権の根絶=天下りの根絶

③大資本と政治権力との癒着排除=企業団体献金の全面禁止法制化

である。

 菅新政権がこの三大課題を確実に達成することが何よりも求められるのである。

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 沖縄普天間問題は鳩山政権が米国と合意を成立させてしまったので、これを直ちに反故にすることは現実問題として困難になった。しかし、海岸破壊工事の着工には沖縄県知事の許可が必要だが、本年11月の沖縄県知事選で工事を許可する候補者の当選はあり得ない状況にある。

したがって、日米合意は存在するが、別の案を構築してゆくことが不可欠である。菅新政権がこの問題にどのように対応してゆくのかを、じっくりと見極める必要がある。

 官僚天下り根絶と企業団体献金禁止については、鳩山政権下での取り扱いが大幅に後退した。この点で、菅新政権が明確な方針を明示するのかどうかを注視しなければならない。

 参院選で現在の政権与党が参議院の過半数を維持すれば、政権の基盤は安定化し、衆議院任期の2013年秋までの丸3年間をフルに活用することができる。この基礎的環境が整って初めて日本政治刷新の着実な実現が期待できるわけである。

 しかし、この場合でも、新政権が本格的な改革を実現してゆくために不可欠な前提条件がある。それは、総理大臣が民主党の挙党一致体制を確立することである。

 政権交代を実現させた最大の功労者である小沢一郎氏は、グループ国会議員を120~150名も抱えている。民主党国会議員の3分の1がこのグループに属している。この巨大な数は、主権者である国民の意思を代表するものである。主権者国民の支持が小沢氏グループの巨大な議員数に反映されているのだ。

 菅新総理がこの点を十分に踏まえた政権運営を実行しなければ、9月の民主党代表選では代表選びが振り出しに戻る。小沢氏グループは本格候補を擁立して代表獲得に動くことが予想される。鳩山前総理のグループ、旧社会党系グループ、旧民社党系グループが新候補を支持すれば、小沢氏グループが擁立する人物が新たな民主党代表に就任することになる。

 この意味で、主権者国民の意思を尊重し、日本政治刷新の大事業を実現してゆくためには、菅直人新総理は、民主党の挙党一致体制を名実ともに尊重してゆかねばならないのである。

 菅直人氏が代表選出馬を決めて以降、小沢一郎前幹事長は、菅直人氏からの面会の申し入れを断り続けた。会談を実行すれば、小沢氏の影響力について、メディアが騒ぎ立てることを警戒したのだと考えられる。

 直接面談しなくても、電話でいくらでも会談することができる。民主党にとっていま何よりも重要な課題は、悪徳ペンタゴンとの最終決戦である参院選を勝ち抜くことである。この最優先課題を重視した高等戦術が取られていると考えることができる。

 樽床伸二氏が代表選で発言した通り、「好きだ嫌いだはどうでもいい。われわれがばらばらで危機を乗り越えられるのか。乗り越えられるわけがない」というのが正論である。民主党のすべての議員は、民主党がどのような経過を経て政権交代を実現させたのかを、考え直すべきである。小沢一郎氏の強力なリーダーシップなくして、今日の政権交代はあり得なかった。

 「水を飲む人は井戸を掘った人を忘れない」のが人の道である。いくら綺麗ごとを並べても、人の道をはずれる言動を示す人間に信頼は集まらない。

 菅直人新政権には政権交代実現の原点を忘れずに日本政治刷新の大事業に取り組んでもらいたい。

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2010年6月 5日 (土)

脱小沢人事強行なら愛称は「ほら吹き総理」に

第94代内閣総理大臣に菅直人氏が選出された。当初、6月4日中に組閣を終えて菅内閣が発足することが見込まれていたが、菅新総理の意向で、組閣は6月8日に先送りされた。

菅直人新総理としては、内閣の布陣を変えて、本格政権として菅内閣を発足させたいということだろう。

民主党役員人事、組閣が週明けに持ち越されたが、後顧の憂いなきよう、じっくりと時間をかけて人事案を練り上げるべきだ。

菅総理は早速、三つの大きな課題に直面する。

第一は、参院選に向けての体制を立て直すことである。メディアの集中攻撃により、鳩山内閣の支持率が一貫して低下した。とどめを刺したのが普天間問題での辺野古海岸破壊案に回帰したことだ。内閣支持率、政党支持率がともに最低値に低下し、参院選での惨敗が免れがたい状況に陥った。

菅総理の第一の課題は、民主党の体制を立て直し、主権者国民の支持回復を実現することである。民主党代表選が迅速かつ効果的に実施され、民主党に対する支持率低下には歯止めがかかった可能性が高い。改革政党としての民主党のイメージを再生できれば、主権者国民の支持は急回復する可能性がある。

第二は、直面する課題に的確に対応することである。鳩山内閣が総辞職に追い込まれた直接の原因は普天間問題で、主権者国民の意思を尊重しなかったことにある。普天間問題はそもそも極めて困難な課題であったが、鳩山総理は県外移設を公言したからには、最後まで意志を貫かねばならなかった。

菅政権は鳩山内閣が米国と共同声明を発表してしまったあとを引き継ぐから、当面は、日米合意を踏まえなければならないが、早急に新政権としての対応を迫られることになる。

一部報道は、菅新総理の「日米共同声明を踏まえて」との発言を、新政権が「鳩山内閣が米国と合意した内容を踏襲する」と報じているが、言葉の拡大解釈である。

沖縄では本年11月に知事選が実施される。辺野古海岸破壊工事を許可する候補者は知事選で必ず敗北する。日米合意があっても、沖縄県知事の許可がなければ海岸破壊工事には着手できない。

この状況を踏まえて、新政権は普天間問題について、実現可能性のある代替案を示さねばならない。その際に、海兵隊拠点の海外移設の方針を明示するのかどうかが焦点である。

菅新総理は、かつて米軍基地問題について、海兵隊の国内駐留は必要でないとの基本認識を保持していることを明言している。この発言が菅新総理の基本認識を示していると考えられるが、この基本認識に沿って、海兵隊拠点の海外移設の方針を米国との交渉のなかで実現できるか。注目される。

また、政局の陰に隠れて意識が低下しているが、国民生活の視点から見れば、経済運営での適切な対応が喫緊の課題である。2008年後半から2009年前半にかけての急激な世界経済悪化に対して、主要国が積極的な経済政策対応を示して、危機が後退した。世界経済は緩やかな改善傾向を示している。

しかし、サブプライム危機の根は深く、その後遺症の一環として、欧州で深刻な波乱が広がっている。表面的には南欧諸国の財政危機が広がっており、財政の健全性回復が求められているが、問題全体の裏側には、EUの財政政策否定論が重い影を落としている。

EUは財政発動を避けて、通貨下落で景気後退をしのごうとしているとも考えられるが、この発想は世界大恐慌を招いた通貨切り下げ競争=近隣窮乏化政策と軌を一にするものであり、大きな危険を内包するものである。この点につては、『金利・為替・株価特報』2010年5月28日号を参照賜りたい。

菅新総理は、鳩山内閣での財務相を務めたが、財務省の緊縮財政路線に吸引される傾向を強めてきた。このことが、鳩山政権内部での経済政策運営路線をめぐる内部対立の一因になった。

結論から言えば、菅氏が主張してきた近視眼的な財政収支改善優先の政策は極めて危険である。欧州の緊縮財政の主張とも重なる部分がある。

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私は放漫財政を主張したことは一度もない。常に中長期の財政健全性を重視し続けてきた。しかし、短期の経済政策運営における近視眼的な財政再建原理主義は「百害あって一利なし」であることを強調し続けてきたのだ。この点を菅新総理が誤れば、菅新政権は経済問題を背景に崩壊に追い込まれるだろう。

第三の課題は、民主党の挙党態勢を確立することである。菅新総理は代表選で民主党がひとつになって参院選に立ち向かうことを宣言した。その直後の党人事、組閣で挙党態勢を確立しないなら、新政権就航時点で「うそつき総理」、「裏切り総理」のレッテルを貼られることになる。

鳩山政権は小沢-鳩山連合の勝利によってもたらされたが、鳩山総理は挙党態勢を構築するために、反小沢陣営の中心人物を主要閣僚に起用して厚遇した。挙党態勢を重視したからである。

しかし、反小沢陣営の議員に対米隷属派議員が多く、これらの議員に外務相、沖縄担当相などの職責を与えた結果、普天間問題で米国に言いなりの対応が示されてしまった。また、八ッ場ダムの工事中止が公約に掲げられ、前原国交相は就任直後に工事中止を宣言したが、その後、地元住民の強い反発に遭い、工事は継続されたままになっている。この問題もそのまま手つかずで放置されている。

民主党国会議員423名のうち、小沢一郎氏に近いグループが120名強存在する。3分の1が小沢氏グループである。小沢一郎氏を敵対視する既得権益勢力=悪徳ペンタゴンは、「脱小沢」などの表現で、菅新体制における小沢氏グループ人脈排除を誘導しようとしているが、これこそ反民主主義の行動である。

政権交代実現の最大の功労者は小沢一郎氏である。また、120名の小沢氏グループの国会議員が存在することは、それだけ多くの主権者国民が小沢氏グループを支援していることを物語る。

主権者が国民であるとの大原則を踏まえれば、「脱小沢」だの「非小沢」だのの発言が血迷った妄言であることは歴然としている。

菅直人新総理が「挙党一致」を掲げながら、政権発足時点から小沢氏人脈を排除するなら、菅総理は出発時点から「うそつき総理」、「裏切り総理」、「二枚舌総理」の汚名を伴ってゆかねばならないことになる。

官房長官に仙谷由人氏を起用するなら、党幹事長は全党的な信頼を得られる人物を起用するべきである。

主権者は国民である。主権者国民は昨年8月30日の総選挙で、民主党の小沢-鳩山-菅のトロイカ体制を支持して政権交代の偉業を実現させたのである。この原点を忘れ、主権者国民の意思を踏みにじる行動を菅新総理が示すなら、その責めは必ず自分自身に跳ね返ることを忘れてはならない。

菅新総理は言行一致で挙党態勢を確立し、主権者国民が政権交代に託した日本政治刷新の大きな課題を実現してゆかねばならない。

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2010年6月 4日 (金)

菅直人民主党新代表選出と樽床伸二氏の名演説

6月4日、民主党の代表選が実施され、菅直人氏が新代表に選出された。鳩山政権は同日午前総辞職したが、同日中に国会で内閣総理大臣の指名選挙が行われ、菅新代表は第94代内閣総理大臣に就任することになる。

代表選に際して、菅直人氏と樽床伸二氏の二名の立候補者が立候補演説を行った。樽床氏の気迫あふれる演説が民主党議員のみならず、多くの主権者国民の心に響いたのではないかと考えられる。

昨年8月30日の総選挙を通じて政権交代の大業が成就した。政権交代を牽引したのは、2006年4月に成立した小沢-鳩山-菅の民主党トロイカ体制だった。とりわけ、民主党を解党の危機から救出し、政権交代実現の布石を盤石に敷いたのは小沢一郎元民主党代表である。

振り返れば、2005年9月の総選挙で民主党は小泉自民党に惨敗した。郵政民営化を掲げる小泉元首相に対し、岡田克也代表が率いる民主党は、明確な政策方針を示すことができなかった。その結果として民主党は大敗し、岡田克也代表は引責辞任した。

後継代表に就任したのは前原誠司氏であった。2006年年初、小泉政権はホリエモン逮捕、輸入牛肉危険部位混入、耐震構造偽装事件、防衛施設庁汚職問題で窮地に追い込まれた。野党である民主党は攻勢を強めるべき局面であったが、偽メールをもとに小泉政権を追及する指揮を執ったのが前原誠司代表で、前原氏は引責辞任した。

2006年4月、民主党は文字通り解党の危機に直面した。この危機に代表に就任したのが小沢一郎氏である。危機のなかで火中の栗を拾ったのである。

小沢民主党は代表就任直後に千葉7区の衆院補欠選挙で奇跡の大逆転勝利を勝ち取った。その後、2007年7月の参院選で大勝利を収め、参議院第一党の地位を確保するとともに、参議院での野党過半数確保を実現した。そして、政権交代実現の直前にまで民主党を大躍進させたのである。

日本政治をこれまで支配し続けてきた既得権益勢力は、露骨な小沢一郎氏攻撃を継続した。2007年参院選での小沢一郎氏に対する激しいネガティブ・キャンペーン、2007年秋の大連立構想、2008年春の日銀幹部人事、2008年秋の民主党代表選などのすべての機会を通じて、小沢一郎氏の影響力を低下させようとする工作活動が展開された。しかし、小沢一郎氏はこれらの謀略を乗り越えて、民主党を軸とする勢力による政権樹立にむけて躍進を続けた。

いよいよ、政権交代実現が視界に入った昨年3月3日、史上最大の政治謀略が仕掛けられた。小沢一郎民主党代表の公設第一秘書である大久保隆規氏が突然逮捕されたのである(三三事変)

このような政治謀略に対しては、徹底して毅然と闘うことが基本である。小沢一郎氏は不正な検察権力行使に対して正々堂々と闘う方針を示したが、メディアによる土石流のような集中攻撃が総選挙に与える影響を勘案して、筋を曲げて代表職を辞した。

この小沢一郎氏の意思を受け継いだのが鳩山由紀夫前代表だった。その結果として、昨年8月30日の総選挙で見事に政権交代の大業が成就したのである。

しかし、既得権益勢力との闘いはまだ残されていた。本年夏の参院選である。この参院選に勝利して初めて、安定した政権基盤が確保され、2013年までの衆院任期をフルに活用することが可能になる。

既得権益勢力は、日本政治刷新を阻止するために、激しい新政権攻撃を継続した。三三事変での裁判では、三三事変そのものが政治謀略であったことを裏付ける事実が明らかになった。大久保隆規氏の政治資金処理が法律的に何ら問題ではないことが裁判の証言で明らかになったのである。

検察は窮地を脱するためにさらなる暴走を重ねた。これが本年1月15日の石川知裕衆議院議員などの逮捕であった(一一五事変)。これらの政治謀略と連携するメディアの激しいネガティブ・キャンペーンにより、小沢一郎氏に対するネガティブなイメージが定着させられたが、その明確な根拠は存在しない。

鳩山内閣が総辞職に追い込まれた直接の原因は普天間問題での政策運営の誤りにあった。その結果として、今回の代表選が実施されることになったのである。

民主党の現下の最大の課題は、悪徳ペンタゴンとの最終決戦である本年夏の参院選に勝利することである。参院選に勝利して初めて日本政治刷新の大事業を本格的に進展させることができる。

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樽床氏は演説のなかで、二つの重要なメッセージを示した。

第一は、「ピンチは最大のチャンスである」こと。

民主党は昨年も総選挙直前に最大のピンチを迎えた。このピンチに対して、小沢一郎民主党代表は、我が身を捨てて党を救う道を選んだ。この柔軟で高等な無私の行動がなければ、総選挙での民主党大勝はあり得なかった。

今回も民主党は危機に直面した。危機に直面した最大の理由は、既得権益勢力=悪徳ペンタゴンが民主党攻撃を継続してきたことにある。卑劣な政治謀略ではあるが、現実に勝利するには、悪とも敢然と立ち向かわねばならないのである。

今回の鳩山総理、小沢幹事長辞任は、昨年同様、ピンチをチャンスに変える我が身を犠牲にする行動であった。

樽床氏が示した第二のメッセージは、政権交代実現の最大の功労者である小沢一郎前幹事長、鳩山由紀夫内閣総理大臣に感謝するとともに、その自己犠牲の意思を尊重し、民主党が一致結束することの重要性を示したことである。

民主党内部には、かつ民主党を解党の危機に追い込んだ張本人たちを中心に小沢一郎氏を排除しようとの行動が強まってきた。これらの議員は思い上がりもいい加減にするべきである。政権交代を実現した主役は議員ではない。主権者国民である。

主権者国民は小沢-鳩山-菅の民主党トロイカ体制が運営した民主党を支持し、政権交代の偉業を実現させたのである。この現実をも踏まえず、自己の利益だけを追求する民主党内反党主義者を主権者国民は排除したいと願っているのだ。これらの悪党の代表が渡部恒三氏である。

樽床氏の挙党一致の呼び掛けに対して、菅直人氏も「ノーサイド」と応じ、挙党一致の方針を明示したことが最重要である。

菅直人新代表は、演説の冒頭で、鳩山前総理、小沢一郎前幹事長を政権交代実現の最大の功労者であることを適正に認識する見識を示した。

このことを踏まえて、菅直人新代表は民主党挙党一致体制を構築しなければならない。樽床氏が訴えたように、「好きだ嫌いだで危機を乗り越えることはできない」のである。好きだ嫌いだと騒いでいる人々は、頭を冷やし、深く反省するべきである。

日本政治刷新に向けての第二幕が開いた。ピンチは最大のチャンスである。今回の代表選で示されたメッセージのなかに、党を再生させる重要な鍵が多く含まれていた。

菅直人新代表兼新内閣総理大臣にとっては、民主党の挙党一致体制を賢明に構築することが最初の最重要任務になる。遺漏なき対応が強く求められる。

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2010年6月 3日 (木)

日本政治刷新第二幕に元祖刷新派菅直人氏登場

昨年8月30日の総選挙を通じて政権交代の大業が成就した。政権交代を牽引したのは、2006年4月に成立した小沢-鳩山-菅の民主党トロイカ体制だった。

日本政治刷新勢力は決戦の総選挙に大勝利を収め、日本の歴史上、初めて民衆の力による政権樹立が実現した。

しかし、もうひとつの決戦が残されている。2010年夏の参院選である。政治刷新勢力による新政権は衆議院で圧倒的多数を確保したが、参議院では過半数を辛うじて確保する勢力しか有していない。

これまで日本政治を支配してきたのが米・官・業のトライアングルである。このトライアングルの代理人として活動してきたのが利権政治屋と御用マスメディアであった。米官業に政電を加えた五者=悪徳ペンタゴンが日本政治を支配し続けてきた。

昨年9月の鳩山政権樹立は悪徳ペンタゴンの手から政治権力、政治利権を剥奪するものであった。既得権益勢力である悪徳ペンタゴンは、権力奪還に向けて死に物狂いの活動を展開してきた。

旧支配勢力の中核を占めるのが米国である。米国は第2次大戦後の65年間、日本政治を支配し続けてきた。露骨な内政干渉と政治謀略を繰り返してきたのが米国の対日工作の真実である。

この点については、名古屋大学教授の春名幹男氏の名著

『秘密のファイル-CIAの対日工作-(上・下)』

秘密のファイル#下# CIAの対日工作 Book 秘密のファイル(下) CIAの対日工作

著者:春名 幹男
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あるいは、松本清張氏の名著

『日本の黒い霧』

日本の黒い霧〈上〉 (文春文庫) Book 日本の黒い霧〈上〉 (文春文庫)

著者:松本 清張
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日本の黒い霧〈下〉 (文春文庫) Book 日本の黒い霧〈下〉 (文春文庫)

著者:松本 清張
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に詳しいので、ぜひご一読されたい。

米国が動員する対日工作の主役は、検察とマスメディアである。新政権粉砕を至上命題とする悪徳ペンタゴンは検察勢力とマスメディアを総動員して鳩山政権攻撃を続けてきた。

鳩山総理が辞意表明に際して小沢氏の「政治とカネ」の問題をクローズアップしたために、この問題が歪められた状態のまま、世間に残存することになることは、将来に大きな禍根を残す。この点は昨日付記事に記述した。

一般国民は小沢氏が巻き込まれている問題の詳細を知らない。「政治とカネ」にまつわるダーティーなイメージが土石流のように流布され、小沢氏は個人として、この激しい攻撃に対抗する術を持たない。小沢氏は定例記者会見などの場を用いて、可能な限りの説明責任を果たしてきたと思われるが、メディアが「説明責任が足りない」と毎日喧伝し続ければ、一般国民の脳にはそのようなイメージが刷り込まれる。

『週刊ポスト』誌が孤軍奮闘で官房機密費問題を取り上げているが、官房機密費を受領した新聞記者が多数存在することも明らかにされつつある。メディアが「説明責任」を強調するなら、メディア自身が説明責任を果たすべきであるし、疑惑のある言論人は十分な説明責任を果たすべきである。

三宅久之氏などは官房機密費100万円の受領をテレビ番組で自白したのであるから、即刻番組を降板すべきであり、本人が抵抗するなら、テレビ局が降板させるべきである。それ以外に重大なセクハラ事案で大学を解任された田勢康弘氏を番組キャスターとして起用し続ける厚顔無恥なテレビ局も存在する。

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小沢氏が巻き込まれている「政治とカネ」問題は、政治謀略である可能性が極めて高い。通常は何らの問題ともされない事務上の取り扱いが、小沢氏の資金管理団体に限って犯罪扱いされているのである。

昨年の三三事変裁判では、逮捕、起訴された大久保隆規氏の無罪判決が動かしがたい状況が生じ、これを回避するために検察が石川知裕衆議院議員の逮捕、起訴というさらなる暴挙を重ねた可能性が高いのである。

詳しくは昨日付記事を参照賜りたい。

悪徳ペンタゴンは本年夏の参院選で与党を過半数割れに追い込み、政界大再編を実現しようとしている。米・官・業が引き続き日本の支配者として君臨する体制を堅持することを至上命題としている。この目的に照らして、排除しなければならない最重要ターゲットが小沢一郎氏なのである。

鳩山内閣の支持率が低下し、普天間問題での鳩山総理の判断ミスから、民主党は参院選を目前に、極めて厳しい状況に追い込まれた。このまま参院選になだれ込めば、悪徳ペンタゴンの思うつぼである。

こうした情勢判断を踏まえて小沢一郎氏が行動した。鳩山総理は続投の意思を強く保持していたのだと考えられる。しかし、両院議員総会での解任動議の可能性を知り、辞意を固めたのだと思われる。その際に、小沢氏にも同時辞任を求めたのだと思われる。

鳩山総理秘書の案件は確定したが、小沢氏秘書の問題は裁判係争中である。「無罪推定の原則」を重視し、両者を明確に区別することが本来求められた。

しかし、マスメディアが誤ったイメージ報道を繰り返しているから、選挙への影響という「実」の部分を考慮すれば、小沢氏がいったん表面から引くことは民主党にとっての得策であるとも考えられる。

こうした状況を背景に、菅直人氏が次期民主党代表、内閣総理大臣候補として浮上した。日本政治刷新の事業は100年に1度の大事業である。日本史上、初めて民衆の力による民衆のための政府を樹立しようとする試みである。

昨年8月以来の第一幕では、幕引き終了直前に悪徳ペンタゴンが猛烈な逆襲を演じ、日本政治刷新勢力が追い込まれて幕が終了したが、民主党代表選から第二幕が始まる。この第二幕の主役が菅直人氏になる可能性が高い。

日本政治刷新の課題は、

①対米隷属外交からの脱却

②官僚利権の根絶

③政治権力と大資本の癒着排除

の三つである。

この三大課題に取り組む総司令官として、菅直人氏以上に適任の人材はいない。巨大化した与党を統率するには、きめ細かな統治能力が求められる。菅直人氏がかつて民主党代表を務めた期間には、党内に不協和音が発生しなかったわけではない。

しかし、党代表を退き、多くの役職を経験することを通じて帝王学を身に付けたのではないかと期待される。菅直人氏が民主党新代表に就任することになる際には、政権交代実現の最大の功労者である小沢一郎氏とその同志に適切に対応することが不可欠である。小沢氏が了解するなら、小沢氏を副総理として閣内で処遇することを検討するべきである。

 

菅直人氏が小沢氏陣営と敵対して代表に就任するなら、民主党は確実に分裂に進むことになるだろう。日本政治が混乱の極に戻る可能性があり、賢明な選択ではない。とりわけ、菅直人氏が対米隷属勢力と手を結ぶことは許されない。菅直人氏の賢明な判断が求められる。

鳩山政権末期には、上記三大課題に対する取り組みが、いずれも大幅に後退した感を否めない。鳩山総理の辞任により、新たな体制がスタートするが、これを契機に日本政治刷新に向けてのエンジンがもう一度全開にされることが望まれる。

参院選まで残すところ一月になった。政権刷新により、日本政治刷新に向けての気運をもう一度取り戻さねばならない。

参院選を勝利で乗り越えれば、2013年までの3年の時間が手に入る。漫然と過ごせば3年はあっという間だが、この時間を使いこなせば、日本政治刷新の大事業も完遂可能である。

日本政治刷新を求める人々が力を結集して、最終決戦の参院選を勝ち抜かねばならない。

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2010年6月 2日 (水)

鳩山総理辞意表明と政治とカネ問題への誤対応

鳩山総理大臣が辞意を表明した。

総理大臣辞任の理由として、①普天間問題の混乱で社民党を政権離脱に追い込んでしまったこと、②政治とカネの問題で迷惑をかけたこと、をあげた。

参院選を目前に控えて、民主党が極めて厳しい情勢に追い込まれたことが鳩山総理決断の直接の原因であると考えられる。

結果論だが、鳩山総理が普天間問題で別の決断を示していたなら、状況はまったく異なるものになっただろう。国民総意は普天間基地の国内移設を拒絶する意思を鮮明に示しており、また、米軍海兵隊の役割を踏まえても、鳩山総理は普天間基地の海外移設を決断すべきであった

米国は一度手にした沖縄巨大軍事施設獲得の合意を手放すことに強く抵抗したと考えられるが、鳩山総理は米国のゴリ押しに押し切られてしまったのだと考えられる。海外移設を決断すれば、対米国での厳しい外交に直面することになることは当然である。

しかし、もともと合意が存在していた問題をあえて修正することを提案したのは鳩山総理自身であり、問題が拡大するなかで日本国民の米軍基地拒絶の意思がより明確になったのであるから、鳩山総理は最後まで意志を貫くべきであった。

普天間基地問題での判断の誤りが鳩山政権を窮地に追い込んだのである。

政治とカネの問題が鳩山政権に大きな足かせになったのは事実である。鳩山総理は母親からの政治資金提供に関連して、秘書が架空の収支報告を行ったことについて、まったく認識していなかったが秘書が問題を起こしたことを陳謝するとの姿勢を示していた。

クリーンな政治を標榜しながら「政治とカネ」の問題で民主党のイメージが傷つけられたことに対して、鳩山総理には忸怩たる思いがあったのだと思われる。

鳩山総理が小沢一郎民主党幹事長に対して幹事長辞任を求めたことは、参院選を控えて民主党の党勢を回復するための主張であると考えられるが、捉え方によっては、極めて重大な禍根を日本の歴史に残すことになる点に十分な留意が必要である。

小沢一郎民主党幹事長に関する「政治とカネ」の問題は、昨年3月3日の大規模隆規秘書の逮捕(三三事変)が契機である。

現在、この事件の公判が開かれているが、この事件自身は検察が公判維持不能に追い込まれているのが現実である。

大久保秘書は二つの政治団体からの政治献金を事実に即して収支報告書に記載したが、検察はこの記載を「虚偽記載」だとして逮捕、起訴した。検察は二つの政治団体が「架空団体」であると認定して逮捕に踏み切ったのである。

ところが、本年1月13日の第2回公判で、検察側証人として出廷した西松建設元総務部長が、二つの団体に実体があったとの趣旨の証言を行った。この結果、大久保氏の無罪は確定的な情勢になり、検察は公判維持不能の状況に追い込まれたのである。

窮地に追い込まれた検察が、さらに暴走を重ねたのが本年1月15日の石川知裕衆院議員などの逮捕(一一五事変)であったと考えられる。検察は小沢氏の資金管理団体会計責任者が収支報告書に、小沢氏が一時的に立て替えた資金収支を記載しなかったことを「虚偽記載」だとして石川氏などを逮捕した。

この逮捕者のなかに大久保氏が含まれた。三三事変裁判で窮地に追い込まれた検察は大久保氏を起訴し、この件に関連して三三事変裁判の訴因変更を裁判所に申し立てたのである。

つまり、一一五事変は三三事変で窮地に追い込まれた検察が、裁判での完全敗北を回避するために暴走を重ねたものである可能性が高いのである。

検察は小沢一郎氏については関与の程度が低いとして「不起訴」としたが、この決定を東京第5検察審査会が4月27日に「起訴相当」の決議を示した(四二七事変)。

検察審査会が「起訴相当」としたのは、立て替え払いの収支記載漏れではなく、不動産取得の時期が3ヵ月弱ずれていたことだった。収支報告書への記載がずれたのは、不動産登記の時期がずれたためで、この程度の時期のずれは不動産取得では一般的に見られる現象で、検察はこの点を問題としなかった。

検察審査会では一般人が審査人になるが、審査を誘導すると見られるのは、弁護士から選任される審査補助員である。小沢氏の案件では米澤敏雄氏が審査補助員に選任されたが、米澤氏は検察官出身の弁護士で、どのような経緯で米澤氏が選任されたかなど、不透明な点が多い。

検察は石川知裕衆議院議員などを逮捕した事案では、小沢氏の立て替え金の収支漏れを問題としたが、立て替え払いについては収支報告書に記載しなくてよいとの慣例が存在していたのに反して、検察が起訴したことを見落とせない。

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つまり、小沢氏に関連する「政治とカネ」問題については、検察やマスメディアの報道などから生み出されるイメージだけで論じることに大いなる問題があることを忘れてはならないのである。

2006年4月に小沢一郎氏が民主党代表に就任して以来、メディアの激しい小沢一郎氏批判が継続してきた。政権交代の可能性が高まるなかで、野党第一党の党首が狙い撃ちされたのが昨年の三三事変だった。しかし、この三三事変は、その後の裁判で、史上最大の誤認捜査であったことが明らかになりつつある。

三三事変が発生していなければ、昨年の総選挙で小沢一郎総理大臣が誕生していたのである。史上最大の誤認捜査と表現したのは、日本の内閣総理大臣の系譜が人為的な捜査ミスで書き換えられてしまったことを指す。

鳩山総理が「政治とカネ」の問題で民主党のイメージが傷つけられたことを重視する気持ちはよく分かる。しかし、その対応として、自分が身を引くから小沢幹事長にも身を引いてもらいたいと述べて小沢氏も了承したと発言したことは、大きな禍根を残す発言になる可能性が高い。

鳩山総理がこの貴重な機会に述べなければならなかったことは、「検察捜査の適正性の確保」と、「政治とカネ」問題の根源に対する取り組みを示すことであった。

刑事事件に関しては、「無罪推定の原則」、「罪刑法定主義」、「基本的人権の尊重」、「法の下の平等」、「公務員の守秘義務」など、多くの重大な大原則がある。小沢氏が巻き込まれている案件では、これらの諸原則を徹底的に重視する必要が極めて高い。

こうした点が不十分なまま、検察とメディアが作り出したムードに押し切られて小沢氏を辞任させてしまうことは、結果的に「検察ファッショ」を容認する行動になる。

普天間問題で最終的に米国に押し切られた行動様式がここにも顔をのぞかせているように感じられる。

鳩山総理が発言したように、「小沢一郎幹事長にも政治とカネの議論があったことは周知の事実であった」が、この問題に対する適正な対応は、問題の全容を明らかにすることであって、検察の行動を絶対視して、検察が問題として取り上げたら、それだけで責任が生じたとの実績を残してゆくことではないはずだ。

「政治とカネ」問題に対する根源的な対応とは、「企業団体献金の全面禁止」を法制化することである。総理辞意表明は、国民にこの問題の説明する千載一遇の機会であったはずだ。小沢氏の辞任を求めることは大衆迎合そのものでしかなく不適切な対応だった。鳩山総理が強調するべきは「企業団体献金全面禁止」公約の提示だった。

これまで、本ブログで指摘してきたように、民主党内部には対米隷属派の議員が多数存在している。民主党執行部が対米隷属派に占有されれば、日本政治刷新の火は消える。この視点で、米国は小沢一郎氏の存在を最大の問題だと認識してきたと考えられる。小沢氏が排除されれば、民主党内での対米隷属派のプレゼンスが高まることは避けがたい。鳩山総理が民主党をこの方向に誘導しようとしているなら、極めて重大な問題である。小沢氏には引き続き民主党全般の運営に深く関与することが求められる。

米国は対米隷属の二大政党制を日本に樹立することを目指していると思われる。鳩山総理辞任が対米隷属の二大政党制樹立を生み出す第一歩になることを、絶対に阻止しなければならない。

 

民主党は6月4日の両院議員総会で次期代表を選出することを決定した。焦点は直ちに次期代表選出に移る。次期代表はそのまま内閣総理大臣に就任する可能性が高い。対米隷属派議員から次期代表を選出することは絶対に許されない。この点を徹底して監視しなければならない。

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2010年6月 1日 (火)

御用評論家田崎史郎氏が普天間問題でまた暴論

報道各社は頻繁に世論調査を実施しているが、なぜ、最大の論点である普天間問題についての国民の声を問わないのか。

鳩山由紀夫総理大臣と小沢一郎民主党幹事長の去就について問うだけが世論調査の役割ではない。

鳩山政権は沖縄県名護市辺野古付近への移設案を日米合意として発表したが、海上滑走路建設には沖縄県知事の許可が必要である。

本年11月に沖縄県知事選がある。辺野古基地建設を容認する候補者は知事選で敗北する。辺野古基地建設を認めないとの公約を示す候補者だけに知事選勝利の可能性がある。

日米政府が基地建設を決定しても、実際には工事に着工できない。

結局、①辺野古案の実現可能性は低く、②現状維持、か、③グアム・テニアンへの移設、しか現実的な候補はない。

世論調査は日本を揺るがしている普天間問題をどのように解決すべきかについての国民の声を聞くべきである。世論調査で調査すべきことをまったく調べず、世論調査を民主党攻撃の道具としてしか使わないから、マスメディアはマスゴミと呼ばれるのだ。

①名護市民が基地移設拒絶の民意を表明したにもかかわらず、辺野古海岸に軍事基地を建設することを適切と思うか。

②海兵隊の沖縄残留が「抑止力」の視点から日本にとって不可欠だと思うか。

③グアム・テニアンが普天間基地移設受け入れを表明しているが、グアム・テニアンへの移設案を積極的に検討するべきだと思うか。

米国は海兵隊拠点をグアムに移す方針をすでに決めている。しかし、できれば、日本政府の費用負担で、沖縄に最新鋭の軍事拠点を確保したいのだ。自民党政権時代に日本政府が米国の要求を呑んだからには、この果実を手放したくないというのが米国の考えである。

鳩山総理はグアム・テニアンへの移設を決断するべきだった。そのうえで、2014年までにグアム・テニアンの受け入れ態勢が整わないことへの対応として、キャンプ・シュワブに必要最小限の設備を設置することを検討すべきだった。

普天間問題は現時点でまったく決着していない。今後の検討に際しては、グアム・テニアンへの移設を軸にして、付随措置として暫定措置を検討すべきである。

5月29日放送のTBS番組「ニュースキャスター」で、御用偏向評論家の田崎史郎氏がまた暴論を吐いた。

普天間問題に対して国民の関心がここまで高まったことは、鳩山総理の功績であって失点ではない。沖縄県がこれまでどれだけの犠牲と負担を強いられてきたか。現時点においても、在留米軍の75%が沖縄に集中しており、沖縄県の10%が米軍に占領されている。

普天間の県外・国外移設は沖縄に住む人々の心の叫びであり、普天間問題が拡大したことで、日本国民全体が問題の存在への理解をわずかでも深めたのは事実である。

それを、田崎氏は、やっと辺野古で決着しかかったのを鳩山総理がすべて台無しにしたとの発言を示した。

国論を分けるような重大な問題であるなら、問題の存在を明らかにして、主権者国民の審判を仰げばよいのだ。問題が表面に出て、全員参加で論議を深めた結果として、日本国中、どこへ行っても米軍基地建設拒絶の反応が示されているのではないか。

日本が民主主義国家で、国民に主権があるなら、主権者国民の総意で米軍基地拒絶の意思が確認できれば、これが日本国の決定にならなければおかしいではないか。

問題を表面に出して、じっくり全員参加で論議をすれば反対になるのだから、そのようなオープンな論議をせずに、どこかにうまく押し付けることができれば、それでいいじゃないか。せっかく寝た子を起こすのはけしからん。

田崎氏の主張はこのようなものだ。

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同じく御用発言を繰り返す芸人の北野たけし氏。

麻生元首相としゃべったら、「せっかく辺野古にきめたのに」とぼやいていたと発言した。

二人の発言は、両名が国民主権の根本をまったく踏まえていないことを鮮明に示している。

全員参加の論議をして、米軍基地拒絶の結論が出るなら、それしか答えはない。密室で協議をして、利益誘導で一部関係者を籠絡し、主権者国民の総意を確かめることもなく政府が勝手に合意を作り、皆が知って大騒ぎになる前に既成事実を作ってしまえとの判断で政府が動くなら、そのような政府は反主権者の政府である。

主権者は国民であることを忘れてはならない。。主権者の意思と離れたところに政府が存在し、政府独自の利害が存在して、国民にはすべてを知らせず、ただ、政府が決めたことを受け入れさせる、被支配者として国民を捉えているなら、それは思い上がりも甚だしい。

そもそもの問題は、沖縄のかけがえのない大自然を破壊し、沖縄の人々に過酷な負担と犠牲を強いる、米国の要求した基地建設を旧政権が決定してしまったことにある。

鳩山総理がいま厳しい批判を浴びているのは、このような日本の主権者国民の意思に反する辺野古海岸破壊滑走路建設案に鳩山総理が回帰してしまったからなのである。

田崎氏は鳩山総理が普天間問題を重要政治課題として取り上げたことが間違いだったと批判するのだが、問題の本質をまったく理解していない。

普天間代替施設が沖縄に必要であるかどうかを決めるのは、主権者国民である。だから、この問題についての世論調査が不可欠なのだ。

田崎氏の主張を敷衍(ふえん)して考えれば、世論調査をして問題を国民全体で考えれば、辺野古海岸破壊滑走路建設に反対の国民の声が噴出するだろう。だから、そのような問題を提起した鳩山総理の罪は重い。このような問題は、皆が気付かないように処理すべきなのだ、ということになる。

言語道断の思考回路である。このような人物が大手を振ってテレビに登場しているのが、いまの日本の悲しい現実である。

国民に問題を提起し、国民が総意で、米軍基地建設拒絶の意思を示したのだ。

鳩山総理の最大の誤りは、このような民意が鮮明に示されたにもかかわらず、主権者国民の意思を無視して、米国の言いなりになってしまったことだ。この点で、鳩山総理は致命的な誤りを犯したと思う。自民党が犯した重大な誤りとまったく同じ誤りを犯したことが問題なのだ。

政局については稿を改めるが、現在日本の最大の問題は、日本の政治が主権者国民に支配されずに、米国に支配されている点にある。

対米隷属に賛成か反対か。この問題を今後の政治対立の軸に設定するべきであると思う。米国に言うべきことを言うためには、揺るがぬ政治信念と、強固な意志が不可欠である。社民党はひとつの筋を通したが、民主党内でこの大業を担えるのは小沢一郎氏しかいない。

政権を代えるなら、小沢氏が副総理・外務大臣として入閣することが強く求められる。

最悪のシナリオは、対米隷属の二大政党制が生まれることである。日本の支配者米国は、日本に対米隷属二大政党制を生み出そうと画策している。社民党排除はその第一ステップである。自民・民主大連立構想も、究極の狙いは対米隷属二大政党制構築にあったと思われる。

この重大な問題については稿を改める。

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