マスゴミ情報工作に惑わされてはならない理由
沖縄の普天間基地返還問題での優柔不断さ、官僚天下り根絶の手ぬるさ、企業団体献金全面禁止の不明確さなど、鳩山政権に対する不満は少なくない。
①対米隷属からの脱却、②官僚主権構造の打破、③大資本と政治権力の癒着排除、が政権交代を通じて実現すべき三つの課題であると考えるとき、鳩山政権のこれまでの歩みは、政権交代を実現させた主権者国民の期待に十分応えるものではない。
主権者国民は民主党そのものを支持したのでも、鳩山由紀夫総理や小沢一郎民主党幹事長個人を支持したのでもない。主権者国民の幸福を目指す政治を実現する勢力を支援しただけである。
主権者国民は主権者の負託を受けて活動する政党と政治家に政治活動を委ねているのであって、政党や政治家が主権者国民との約束を守らないなら、主権を行使して、政治権力を確保する政党や政治家を交代させなくてはならない。
7月には参議院選挙が実施される。昨年8月の総選挙を通じて政権交代が実現し、民主党、社会民主党、国民新党が政権与党の地位に就いた。参院選でこれらの与党勢力が参院過半数を維持すれば、政局は安定し、与党が提案する政策が円滑に実行される。
昨年の政権交代によって野党に転落した自民党などの勢力は、参院選で参議院の与野党逆転を実現し、政治の主導権奪還を目指す。衆参ねじれ状況に回帰すれば、日本政治は再び混迷の極みに舞い戻る。
すべての基本は、主権者は国民であるということだ。国民が判断し、国民が選択するのである。
この大原則に照らして考えるときに、いまの日本で最大の問題は、メディアが腐敗して歪み切ってしまっていることだ。
メディアが政治に対して批判的な検討を加えることは必要なことだ。メディアには、政治権力から独立して、それぞれの視点から批評精神を発揮することが期待されている。
しかし、日本の実情を見ると、これまでの日本政治を支配してきた勢力と一心同体の勢力がマスメディア全体を支配しきってしまっていることが分かる。
この偏向メディア=マスゴミは、昨年9月の鳩山政権発足時点から、一貫して鳩山政権攻撃を展開し続けてきた。小沢一郎氏に対する検察の行動は正当性と公正性を完全に欠いたものである。検察審査会の議決もまったく正当性を欠くものである。
こうした内容を吟味することもせずに、「小沢は悪だ」との印象操作だけを続けてきた。
鳩山政権が子ども手当や高校授業料無償化、農家の個別所得補償制度などを導入したのは、小泉政治を主権者国民が否定したことを背景にしたものである。
弱肉強食を奨励し、弱者斬り捨てを容認する小泉政治の市場原理主義に対する主権者国民の否定を背景に、セーフティネット整備と教育の機会均等の重要性、少子化問題への積極的取り組みを、鳩山政権が新施策として実行したのである。
問題を適正に掘り下げもせずに、ただひたすら鳩山政権の誹謗中傷に終始するマスメディアの姿勢は、「マスゴミ」と称されて已むを得ないものである。
マスゴミは鳩山政権を攻撃し続けるが、それでは現在の野党勢力が理想の政策を掲げているとでも言うのだろうか。
自民党は辺野古の美しい海岸を破壊するV字形滑走路を地元住民の反対を押し切って建設しようとしていた。自民党の外交姿勢は対米隷属そのものであった。
みんなの党の渡辺喜美氏は霞が関改革を唱えるが、行革相として天下り根絶に大ナタを振るえる立場にありながら、天下りを完全に温存する制度改革しか決定できなかった。渡辺喜美氏が天下り根絶を主張するのは笑止千万以外の何者でもない。
また、みんなの党は「企業団体献金全面禁止」の即時全面実施に反対しているのではないか。「政治とカネ」問題の根絶を訴えるなら、「企業団体献金全面禁止」即時全面実施を明確に選挙公約に掲げるべきである。
他方、党内民主主義が確保されていない政党に国政全体を委ねようと考える主権者は少ないだろう。
現実の政治を考える際に、忘れることができないのは、我々は現実のなかからしか選択できないことである。
どのような理想を述べたところで、その理想を担う政党、政治家が存在しなければ、その理想を直接実現することはできない。
本来は、主権者国民が、理想の政治を実現する政党を組織し、その政党を国政を委ねられるところまで育成することが必要なのだと思う。しかし、この事業を一朝一夕に実現することはできない。少なくとも、7月の参院選に間に合わせることはできない。
この現実のなかで、主権者国民の主権者国民のための政治を実現する方策を考えなくてはならないのだ。
上述した、政権交代によって実現を目指す三つの課題は、これまでの自民党政治のアンチテーゼである。自民党政治は、①対米隷属、②官僚主権、③大資本との癒着に、基本特性があった。
この現実を踏まえるなら、次期参院選で民主党を中心とする勢力を勝利させ、①対米隷属からの脱却、②官僚主権構造の打破、③大資本と政治権力の癒着解消、を実現させることを求めてゆくしかないということになる。
そのために、民主党には上記三つの課題に対する明確な約束を政権公約に明記することを求めなくてはならない。同時に、この三つの公約を明示する他の政党を支援することが必要だ。
マスメディアが鳩山政権を激しく攻撃し、参院選に向けての選挙妨害とも思える報道を繰り返しているのは、マスメディア自身がこれまでの既得権益勢力に組み込まれているからに他ならない。
主権者国民は、マスメディア自身が利権複合体の一部であり、この利権複合体の利益を優先して情報誘導している現実を正しく認識しなければならない。
現在の民主党、鳩山政権を絶対視することはできないが、この民主党を軸に政権を維持させるなかで、主権者国民のための政治実現を目指す以外に、現実的な選択肢はないと考える。
この意味からも、参院選に向けて民主党には、①普天間問題での米国に対する毅然とした姿勢、②天下り根絶に向けての法改正公約、③企業団体献金全面禁止法制化の公約、の明示を求めてゆかねばならない。
売国者たちの末路 著者:副島 隆彦,植草 一秀 |
知られざる真実―勾留地にて― 著者:植草 一秀 |
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