二段階対応か国内基地拒絶しかない普天間問題
鳩山総理が沖縄を訪問する。
普天間基地返還問題で、鳩山総理は代替施設の設置場所について、最低でも県外、できれば海外との方針を示してきた。昨年8月30日の総選挙で、この方針を示して政権を獲得した。
しかし、それ以前に麻生政権は米国と辺野古海岸に代替施設を建設することで合意を結んでしまった。国と国の間の合意であるため、その修正には多大のエネルギーが必要である。
それでも、日本国内の問題についての決定権は最終的には日本にある。主権者である日本国民の総意を背景に、米国との対立をも辞さぬ覚悟で、合意の修正を求めれば活路は開けるはずである。
しかし、そのためには周到な計算、周到な準備が必要である。
沖縄では仲井間知事が4月25日の県民大会に出席して、基地の県外移設を求めた。海岸滑走路も海上滑走路も県知事の許可がなければ工事に着工できない。
現実的な選択は、陸上部に暫定的にヘリ離着陸用の滑走路を建設し、訓練施設の一部を県外に移設し、中期的に基地機能をグアムなどの海外に移設することである。
この案を基準に迅速に行動を開始するべきであったと考えられる。
しかし、鳩山政権は国内の代替施設建設反対運動を傍観する態度を示してきた。マスメディアは何を考えてのことか明白ではないが、国内の基地建設反対運動を全面支援した。
こうした状況のなかで、日本全体に米軍基地に対する拒絶反応が充満する状態が生み出された。鳩山政権がこうした日本全体の空気を背景に、基地の海外移設を米国に宣言するのであれば、極めて論理的に明快な行動になる。
しかし、日本が日本の総意として基地の海外移設を宣言すれば、米国は日本に対する悪感情を募らせることになるだろう。日米同盟そのものに対する見直しの提案がなされる可能性すらあるだろう。
日本はそこまで踏み込んだ覚悟を持つべきである。日本はこれまで日本の安全を米国に丸投げし続けてきた。その結果として、日本が米国に隷属する構造が不変のものとして存在し続けてきた。
米国に対して言うべきことを言うためには、日本が日本独自に日本の安全を考えねばならない。
日米同盟が不可欠だとする人々は、「核の抑止力」を強調する。しかし、核の非拡散を前提にすると、核を持たない国は核保有国に隷属しなければならないということになる。これも不合理なことだ。
日本は世界唯一の被爆国として核廃絶の先頭に立つべき国である。その日本であれば、核を持たず、しかし同時に米国にも隷属しない安全保障のあり方を検討するべきである。
日米同盟を絶対不変の大前提に置く考え方そのものが、対米隷属に染め抜かれた考え方なのである。
鳩山総理は基本戦略を明確にしなければならない。すでに明確な戦略があるのだと考えたいが、これまでの問題に対する発言を見ると、きわめて心もとないとの感を払拭できない。
普天間の機能を分散し、短期ではその一部を県内に移設し、中期で海外移転を目指すのか、日本の主権者の総意として基地機能の海外移設を米国に粛々と宣言するのか、選択肢はこの二つしかないだろう。
優柔不断な対応を続ければ、あっという間に期限は到来してしまう。
鳩山政権がこの問題を大きな問題に育ててしまった以上、安易な決着は政権そのものの命運をも左右する結果をもたらす。
困難な問題であることは当初から明白である。その困難な問題に対して、合理的な思考、沈着冷静な判断、周到な準備で対応し、問題を克服したとき、政権は国民から大きな信頼を勝ち取ることができる。鳩山総理の真価が問われる時が近付いている。
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売国者たちの末路 著者:副島 隆彦,植草 一秀 |
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知られざる真実―勾留地にて― 著者:植草 一秀 |
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