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2010年5月24日 (月)

基地拒絶主権者意思を無視する辺野古移設案

鳩山総理大臣が5月23日、沖縄県を訪問し仲井真弘多知事と会談し、普天間飛行場の代替施設を沖縄県名護市辺野古近辺に設置する案を伝えた。

鳩山総理は普天間基地返還問題について、昨年8月30日の総選挙に際して「最低でも県外」の主張を掲げた。

鳩山内閣が発足した昨年9月以降も、県外移設を中心に検討する意向を明示し、代替地選定の期限を本年5月末と定めてきた。

5月14日には、代替地選定の意思決定について、地元との合意を優先し、そのうえで米国との合意を成立させることを明言した。

ところが、現実に示した結論は、地元との合意を得たものではなかった。米国との協議を優先し、米国と合意できる案を提示したものだった。

そもそも、政権交代があったとはいえ、前政権が米国と合意を成立させてしまった意味は重い。その合意を白紙に戻して、新たな決定を行うには、膨大なエネルギーが必要である。合意を破棄して新たな決定を行うに際して、米国が対日関係を根本から修正する可能性も生じる。

普天間基地移設先の変更を掲げるからには、重大な決意と実行力が必要であった。昨年9月の政権発足時点で、政権公約をもう一度点検する機会があった。とりわけ対外関係において、前政権が合意を成立させてしまったものを変更することの重大性を十分に認識し、そのうえで方針を定める必要があった。

こうしたプロセスを経て、普天間基地移設先を県外、ないし、海外に変更することを鳩山総理が決断したのなら、それは極めて意義のあることだった。

①対米隷属からの脱却、②官僚天下りの根絶、③政治権力と大資本の癒着排除、が政権交代によって実現すべき三つの大きな課題であるとの認識に立てば、鳩山政権が普天間基地返還問題で、米国に対して、きちんと「言うべきこと言い」日本の主張を通すことは極めて意義深いことであるからだ。

米国は米軍の再編方針を定め、海兵隊拠点をグアムに移すことを決定している。しかしながら、東アジア前線の沖縄に、新しい滑走路を有する海兵隊拠点を日本の費用で確保できるなら、これに越したことはない。

麻生政権が米国に有利な合意案を提示したからそれに乗ったのであり、米国としては一度手にした果実を、自分から手放す合理性は何ひとつないとの姿勢で、対日交渉に臨んだと考えられる。

鳩山総理は「抑止力」の視点から、沖縄に海兵隊拠点が必要だと述べたが、多くの専門家は「抑止力」の視点から、沖縄に海兵隊拠点が必要だと考えていない。沖縄に残留することになる海兵隊は、有事の際の米人保護を主目的とするものであり、日本の安全保障を確保するための「抑止力」ではないのだ。

沖縄県以外の日本の都道府県は、米軍基地受け入れに対して完全拒絶の姿勢を示している。沖縄では、本年1月に名護市長選が実施され、移設拒絶を公約に掲げた市長が誕生した。4月25日には知事も参加して県内移設反対の県民大会も開かれた。

日本は民主主義の国である。主権在民が憲法にも明記されている。政府は主権者の上位に位置するものでない。主権者が主権者の意思を反映する政府を樹立したのであり、決定権の根源は主権者に存する。

日本の主権者は、普天間基地代替施設の県内および国内移設を拒絶する意思を明確に示しているのである。

この明確な意思を政府が踏みにじったのでは民主主義が成り立たない。

鳩山政権は、主権者国民の意思を踏みにじったことから、厳しい試練に直面することになると考えられる。

沖縄県名護市が政府決定をこのまま受け入れることは考えられない。沖縄県では、普天間基地移設に反対するだけでなく、沖縄在留の米軍全体に対する拒絶反応を強めることになるだろう。

沖縄県名護市では、かつての成田空港建設に際しての三里塚闘争のような強固な基地建設反対運動が生じることになるだろう。

世論調査が大好きなマスメディアは、この問題こそ、世論調査で問うべきである。

①辺野古への移設を認めるべきであるのか。

②沖縄在留海兵隊が「抑止力」の視点から日本にとって不可欠であるか。

③グアム・テニアンが普天間代替施設の受け入れを表明しているが、グアム・テニアンへの移設を望ましいと考えるか。

などを主権者国民に聞いてみるべきだ。

鳩山総理は、もっとも困難な課題をあえて設定して、その困難な課題をみずからの手で、元の状態に戻してしまった。米国の対応が厳しくとも、海外移設を決断すべきであった。鳩山総理の米国の対応にひるんだ決定の責任が厳しく問われることになると思われる。

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