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2010年5月26日 (水)

海兵隊国外排除は日本の損失と熱弁する米代理人

マスメディアは米国の代理人としか思えない人物にしか発言の機会を与えない。

元外務省職員の岡本行夫氏は常にメディアが起用する発言者である。

岡本氏は次のように述べる。

①日本が海兵隊基地建設を拒絶すれば米国海兵隊は日本から出てゆくだろう。

②日本が米軍を追い出したように映ることがよくない。

③近隣諸国は日米同盟の弱体化を察知して、冒険的な行動に出る。

④日本の安全保障は米軍によって確保されており、日本の安全が脅かされる。

普天間基地返還問題で明らかになったことは、多くの日本国民=日本の主権者が米軍に対して拒絶反応を示していることだ。

鳩山政権は普天間代替施設を沖縄県外の日本国内に求める検討を行った。ひとつの候補地として鹿児島県徳之島が浮上した。これに対して徳之島住民は基地拒絶の姿勢を強く示した。

マスメディアは、基地拒絶派支援の姿勢で報道を展開した。鳩山内閣の徳之島移転案を粉砕する姿勢をメディアは鮮明に示したのだ。

4月25日には沖縄で県内移設反対の県民大会が開催された。大会には仲井真弘多知事も参加した。メディアは県内移設反対の沖縄県民の姿勢を肯定的に報道し、鳩山政権が窮地に追い込まれることを強調した。

沖縄以外の国内移設も断固拒絶、沖縄県内移設も拒絶なら、結論は国外移設しかない。鳩山総理は県外移設を決断すれば良かったはずである。

ところが、鳩山総理は辺野古付近への移設を表明した。

県外移設も県内移設も反対の姿勢を支援したメディアは鳩山総理の決断を断固糾弾しなければおかしいが、辺野古移設案が表明されると、メディアの県内移設反対論調がピタリと止んだ。

沖縄県民の声は鳩山政権攻撃のために利用されただけで、沖縄県民はマスメディアから使い捨てにされた状況だ。

マスメディアの主張と主権者国民の主張とは、大きく乖離している。

主権者国民は、新たな米軍基地を日本国内に新設することに対して拒絶の姿勢を示している。これが日本の主権者の総意であるなら、この主権者の声が政治に反映されなければならない。マスメディアは主権者国民の声が政治に反映されるように報道を展開すべきでないのか。

主権者国民の声を政治に反映させる大きな手法が世論調査である。

①名護市民が基地移設拒絶の民意を表明するなかで、政府が辺野古への基地移設を表明したことを適切と思うか。

②海兵隊の沖縄残留は「抑止力」の視点から日本にとって不可欠と思うか。

③普天間代替施設の受け入れを表明しているグアム・テニアンへの移設は優れた代替案だと思うか。

 これらの質問を主権者国民にぶつけて民意を確かめるべきだ。

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岡本氏は海兵隊の沖縄残留が日本の安全保障を確保する「抑止力」だと主張するが、海兵隊の主要任務は有事の際の米人保護にあり、「抑止力」にはならないとするのが多くの軍事専門家の見解である。

日本政府が代替施設の国外移設の決断を示すと、米国が怒り、海兵隊が日本から出てゆくことになる。このことは日本の損失だから、米国の主張を受け入れるべきだというのが岡本氏の主張である。

このような対応を続けているから、日本はいつまでたっても対米隷属から抜け出すことができないのだ。外務省の実態が米国外務省日本支局になってしまっているところに問題の根源がある。

江戸末期に黒船で開国交渉に来日したペリー提督の日本遠征記の記述を改めて確認する。

何があってもがんばりとおすことがいちばんの上策と思えた。くみしやすいと侮られるより、融通のきかない頑固者を演じるほうがよい。向こうがどんな印象を抱くかによって、あるていど交渉の行方は決まるのだ。」

 米国は、強い態度に出れば日本は必ず譲歩すると日本を見下している。相手の顔色ばかり気にする弱腰外交を続けるから国が蹂躙されるのだ。

 対米隷属派は米国代理人である可能性が極めて高い。代理人は日本ではなく米国の利益のために日本の言論を誘導しようとする。

 メディアが米国代理人と見られる人物だけを登場させるのは、メディア自身が米国代理人であるからと考えられる。

 客観的に判断して、米国は日本の広大な領土を基地として利用できることで膨大な恩恵を受けている。この事実は海兵隊を日本から追放されたところで微小にしか変化しない。

 海兵隊の国外退去を命じられても、米国から日米同盟解消を提案する可能性は、米国が芝居を打つ以外にはあり得ない。フィリピンと日本の地政学上の価値はまるで異なるのだ。

 日本は現在も多くの国土を米国に占領されたままの状態にある。しかも、治外法権まで認めさせられている。

 米国が何よりも恐れていることは、普天間基地返還問題で米国がゴリ押し外交を展開し、日本政府が屈辱的な対米隷属を示した結果として、日本国内で反米感情に火が点くことだ。直嶋正行経産相が沖縄を訪問した福島みずほ社民党党首について、「火を点けて回るようなことをするのはいかがなものか」と発言したが、米国の感想を代弁したもののように見える。

 日本が米国に提供している負担を考えれば、海兵隊国外退去を日本が主張することは、正当そのものである。麻生政権が成立させてしまった合意の歴史的事実を消すことができないから、礼を尽くす必要はあるが、決して法外な要求ではない。

 この難題に取り組む決意をした以上、鳩山総理は最後まで仕事をやり遂げる意志を持つべきだ。中途半端な行動では一国のリーダーは務まらない。

 一番大事なことは、日本の主権者国民がこの問題をどう考えるかだ。

 この問題こそ、世論調査が大好きなマスメディアが毎日でも世論調査を実施するテーマだ。

 同時に、国外移設を主張する政治勢力が結集しなければ大きな力にならない。

 ①対米隷属からの脱却、②官僚利権の根絶、③大資本と政治権力との癒着解消、が日本政治刷新の三大課題だが、7月に予定される参院選の最大の争点を、①対米隷属の継続か脱却か、とすることも検討に値する。

 この争点が前面に出るためには、対米隷属継続派と対米隷属脱却派が政治勢力として二分されなければならない。主権者国民の意思が政治に反映されるためには、最も重要なテーマについて、政治勢力の姿勢が明確に示されることが不可欠だ。

 民主党が「対米隷属からの脱却」の旗を降ろすなら、多くの主権者の支持を失うことになるだろう。社民党との選挙協力も解消になる。主権者国民は民意を代表する政治勢力を新たに集結させねばならなくなる。

 普天間基地問題での米国のゴリ押し外交に対する日本国民の反発が急拡大しておかしくない時期に、突然南北朝鮮の軍事緊張が高まることを偶然の一致と考えにくい。

 米国は謀略と情報工作の宗家である。この事実を踏まえて現実の深層を抉(えぐ)らねばならない。

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