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2010年4月 5日 (月)

企業献金全面禁止反対の政党は金権党である

政策の相違に沿って政党が組織され、政治の対立軸が明確になることは望ましいことだ。この意味で政界の再編は歓迎されるべきことである。

政治の主役、意思決定権者は国民である。国民が主権者であるから、国民の意思、意向が政治に反映されなくてはならない。そのためには、国民にとってもっとも重要な問題についての賛否に従って政党が組織され、国民の意思に沿った政党の勢力分布が国会で成立することが望ましい。

昨年8月の総選挙を通じて達成された政権交代の大業に託された主権者国民の思いを私は次の三点に要約している。

①官権主義から民権主義への転換

②政治権力と大資本の癒着排除

③対米隷属外交からの脱却

である。

言い換えれば、

①官僚の天下り利権を根絶し、

②大資本ではなく一般市民の幸福を追求する政治を実現し、

③米国に支配される状況から脱却する、

ことが、政権交代実現によって達成されるべき課題である。

天木直人氏が批判されるように、この三つの課題実現に向けての鳩山政権の歩みは必ずしも迅速でない。天下り根絶、企業献金全面禁止、対米隷属からの脱却、のいずれについても、明確な姿が示されていない。

しかし、この三つの課題はいずれも、これまでの日本政治の根幹をなしてきたものであり、その変革は容易でない。一朝一夕に成果を求めても、無理な側面があると理解できる。

日本の官僚主権構造は明治時代に確立されたものであるが、明治政府が採用した太政官政治は奈良時代を迎える前の律令政治に範を求めたもので、その意味では1300年の歴史を背負っている。

明治政府以来、日本政治は大資本と癒着を続けてきた。これまでの与党政治家は大資本、あるいは資本家と癒着することにより、経済的利得を確保してきた。この経済的利得が政治家としての行動の最大のインセンティブになってきた。

大資本と政治権力との癒着を解消することは、これまでの与党政治家にとっては、政治家としての活動の根幹を失うことを意味しており、それだけに、利権政治根絶に対する抵抗はすさまじい。

また、第二次大戦後の日本は米国の属国としての歴史を歩んできた。米国は第二次大戦直後には、日本が新しい民主主義国家のモデルケースとして歩むことをサポートしようとしたが、冷戦が激化したことにより、日本の命運は独立の平和主義民主主義国家から、米国の属国に転換させられた。

米国はCIAなどの組織を活用して、日本が属国としての位置から足を踏み外さぬように監視と工作を続けてきた。日本を属国として管理するうえで、米国が最も重視した機能がマスメディアである。日本のマスメディアは、基本的に米国の支配下に置かれてきたと言ってよいだろう。

政界の再編がなされるときに、三つの大きな課題のうち、どの軸に沿って政党の分化が進むのかが最も重要である。

日本の主権者である日本国民にとって、三つの軸のうち、もっとも重要なことは、政治を資本ではなく労働、つまり大企業ではなく一般市民の側に引き寄せることにあると私は考える。

この点を軸に考察すると、三つの軸による政党の分化は、本来、きれいに二つの政治勢力に収斂しておかしくないのだと考えられる。

つまり、政治を一般市民のものとせず、大資本の意向に沿ったものと捉えるべきと考える勢力は、この大資本と政治権力との癒着に好意的である米国と官僚組織と結託しやすいことになる。

私は、これまでの日本政治を支配してきたグループが、官僚、大資本、米国であるとし、この三つの勢力および、その支配下でこの三つの勢力の利益拡大を追求する広報部隊としてのマスメディアが、自らの経済的な利益のために活動する政治屋と癒着して利権複合体を形成してきたと考える。この五つの勢力を「政官業外電の悪徳ペンタゴン」と呼んできた。

政権交代は、この利権複合体による利権政治の構造を根幹から崩壊させかねない潜在力を有している。鳩山政権のこれまでの実績は、まだその実現段階にまで進んでいないが、鳩山政権が参院選に勝利して、確固たる信念を持って進むなら、この大変革は決して不可能なものではないはずだ。

これまでの利権保持者=悪徳ペンタゴンにとっては悪夢のような変化が生じかねないのである。この判断に基づく攻撃が、鳩山政権発足の瞬間から始まった。これがマスメディアによる激烈な鳩山政権攻撃の基本背景である。

本ブログで2008年半ばから指摘し続けてきたように、悪徳ペンタゴンは、この大変革が実現しないために、必死の工作活動を展開し続けている。

その重要な一手段が、「みんなの党」創設だった。マスメディアは常軌を逸して「みんなの党」を全面支援してきたのだ。

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「みんなの党」は

①「脱官僚」を掲げるが、

②「政治権力と大資本の癒着排除」と

③「対米隷属外交からの脱却」

を言わない。

現在の政治課題のなかで、何よりも重大な意味を有しているのは、「企業団体献金の全面禁止」提案である。

企業献金が全面禁止されれば、政治は根底から劇的な変化を遂げる。

これまでの政治に最も大きな力を与えてきたのは「企業献金」なのである。与党政治家は大資本=大企業の側を向いた政治を実行してきた。「大企業の側」と言えば聞こえが良いが、大企業に利益を供与し、その見返りに企業から「カネ」を受け取ってきたのだ。

与党議員に突出して二世議員が多いのは、与党議員を務めることが「カネ」の面で魅力的であることが最大の理由だった。

名古屋市長の河村たかし氏は、あまりに大胆な改革を実現させようとして苦労しているが、本来、政治家は「カネ」のためではなく、「市民」のために汗をかく人が就くべき仕事なのである。

参議院選挙の結果によっては、本当に企業団体献金が全面禁止されることになるかも知れない。大資本、政治屋、米国はこの事態が発生することを、何としても阻止しようとしているのである。

マスメディアの経営は、ほぼ全面的に大資本からの「カネ」に依存している。マスメディアは、完全に悪徳ペンタゴンと利害を共有する利権勢力である。だからこそ、マスメディアは総力をあげて鳩山政権を攻撃し、「みんなの党」を支援する。

「みんなの党」は「脱官僚」を掲げるが、実際には骨抜きの政策しか期待できない。その最大の根拠は、「みんなの党」代表を務める渡辺喜美氏が、行革相として天下り根絶に大ナタを振るえる地位にありながら、政府が天下りあっせん機関を創設し、天下り天国の温存を推進したことにある。「みんなの党」の「脱官僚方針」はまがいものにすぎない。

「みんなの党」が「脱官僚」を掲げるのは、「大資本との癒着排除」と「対米隷属外交からの脱却」に一般国民の目を振り向けさせないためである。

渡辺喜美氏が巧言を弄し、マスメディアが渡辺氏礼賛報道を続ければ、一般国民のかなりの部分は、目をくらまされてしまう。

自民党が分裂して新党が形成されても、いずれの勢力も「大資本と政治権力との癒着排除」を前面に掲げないだろう。

②大資本と政治の癒着

③対米隷属外交の維持

さえ達成できれば、悪徳ペンタゴンの目的は達成されるのだ。

「脱官僚」は、表面的にいくらでもごまかせると彼らは考えている。

実は、現在の鳩山政権与党のなかにも、

①官僚利権根絶

②大資本と政治権力との癒着排除

③対米隷属外交からの脱却

の基本方針に反対する考えを有する議員が少なからず存在する。

 本来は、政権交代勢力に、これらの三原則を堅持する人々が集結し、大胆な日本政治刷新を実行することが望ましく、この路線に沿った政界再編が実現することが期待される。

 政治の刷新にとって、何よりも重要なことは、大資本=企業のための政治を打破し、一般市民=主権者国民のための政治を実現することである。

 企業献金を全面禁止して政治を一般市民のためのものに純化することは、社会主義化を意味しない。日本国憲法の参政権の規定を純粋に解釈するなら、本来、企業献金は成人一人一票の参政権の基礎を歪めるものであり、認められるべきものでないのだ。

 企業献金を認めないと金持ちしか政治家になれないとの反論があるが、企業献金を全面禁止したうえで、お金持ちでなくても政治家になれる道筋を確保するための制度を検討して導入すればよいだけのことだ。

 「政治とカネ」の問題が取り上げられ続けてきたが、この問題の根幹に、大企業と政治の癒着、「カネのために政治家になる政治屋」の存在があることを忘れてならない。

 「脱官僚」以上に、「政治と資本の癒着」、「金権政治家の根絶」が大切なのである。

 「企業献金全面禁止」に反対する国会議員はすべて、程度の差はあるにせよ「金権政治家」であると見て間違いない。

 この意味で、「みんなの党」が一般市民=主権者国民の側に立つ政治グループであるのかどうかを判定する基準として、「企業団体献金全面禁止に賛成」であるか否かをぜひ確かめていただきたい。

 「企業団体献金全面禁止」に反対する政治グループは「金権政党」であるとの基準を置いて、今後の政界再編に向けての動きを観察するべきだ。

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