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2010年4月 2日 (金)

景気回復持続確認の日銀短観と今後の政策対応

4月1日、日銀短観2010年3月調査結果が発表された。

大企業の業況判断DIは、

製造業が前回2009年12月調査の-25から-14へ11ポイント改善、非製造業は-21から-14へ7ポイント改善した。

中小企業では製造業が-41から-30へと11ポイント改善、

非製造業が-34から-31へ3ポイント改善した。

日本経済の二番底への転落が懸念されてきたが、日銀短観の業況判断はこうした懸念を否定するものとなった。

先行き6月の見通しでは、大企業の業況判断DIがさらに大幅に改善するのに対し、中小企業では3月の業況判断よりも6月見通しが悪化する。

今回の景気改善においても大企業優先の状況が持続しており、中小企業を中心に先行き景気不安は払しょくされていない。

それでも、経済全体の改善は一部の悲観論者の見通しと比較すると、はるかに大きなものになっている。

『金利・為替・株価特報』では年初以降の経済改善継続、株価上昇基調の持続予想を示してきたから、今回発表になった日銀短観の内容は想定通りのものである。日銀短観では製造業の業況改善が著しいが、その背景に海外経済の回復と日本円の下落傾向がある。

『金利・為替・株価特報』では、年初以降、米ドルが日本円に対して上昇傾向を示す可能性を提示し続けてきた。円ドルレートは、4月2日、1ドル=94円台にまで円安・ドル高が進行した。

2007年から2010年にかけて形成されてきた円高・ドル安の下落トレンドから円ドルレートが抜け出た可能性が高い。2005年年初から2007年半ばまで円安・ドル高の中期波動が形成されたが、類似した円安・ドル高が発生する可能性がある。

2008年後半に日本経済が戦後最悪の急激な悪化を示した最大の理由は、日本円が外国通貨、とりわけユーロに対して急激な上昇を示したことにあった。

この日本円上昇とサブプライム危機に伴う世界経済不況とが重なり、日本の製造業が破滅的な悪化を示したのである。

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日本経済の急激な悪化に対応して政府は財政政策の発動を決断した。麻生政権の経済司令塔の役割を担った与謝野馨氏はサブプライム危機による日本経済への影響を「蚊に刺された程度」と診断し、最小規模の2008年度第1次補正予算を編成したが、その後に日本経済が激しく悪化したことを受けて大型の第2次補正予算を編成した。

ところが、2009年度当初予算を緊縮予算としたために、2009年度入り直後に大型補正予算を編成する状況に追い込まれた。ここでは、総選挙直前との事情が加わり、14兆円という史上空前の補正予算が編成された。

右往左往を絵に描いたような政策対応だった。麻生政権のばらまき補正予算の帰結として、37兆円の税収、53兆円の国債発行という、史上空前の財政崩壊が2009年度にもたらされた。

この財政苦境のなかで鳩山政権がバトンを引き継いだが、2009年度第2次補正予算を巧妙に活用して2010年度の財政デフレを回避することに成功した。

この鳩山政権の効果的な財政政策対応により日経平均株価の上昇が持続している。竹中平蔵氏は2010年度の国債発行金額が2009年度比9兆円減少するから財政デフレが生じると主張し続けてきたが、精密な経済政策分析ができないようだ。

竹中氏は2001-2002年度に、景気回復初期の無理な財政赤字削減に突進して日本経済を破壊した失敗の教訓から、財政政策と景気の関係を学習したようではあるが、2010年度の経済予測では、もう少し精密な分析がないと現実を洞察することはできない。

日本経済の改善継続は何よりも望ましいことだが、鳩山政権はこの景気回復傾向を確実に維持してゆかねばならない。

2010年度も最終的には財政面からの政策追加が必要になる。補正予算を編成するのであれば、早めにアナウンスし、補正予算の内容を十分に吟味して実行するべきである。

国民新党の亀井静香代表は追加経済対策を早期に提示して、今通常国会に補正予算案を提出して成立させるべきだとの主張を開始した。

メディアは選挙目当ての政策と批判するが、日本経済の回復を盤石なものにすることを重視する立場から評価すれば、建設的な提案であると言える。

景気改善は実現しているが、雇用情勢は依然として極めて厳しく、中小企業の業況は非常に厳しい。雇用対策、中小企業支援に重点を置いた経済政策を検討することは適正である。

日銀短観では2010年度の企業収益について、全規模合計で、製造業が50.8%、非製造業が9.0%、全産業が21.5%の増益が見込まれていることが明らかになった。

経済には順回転の力が作用し始めた。この局面での経済政策の鉄則は、この順回転の流れを後押しすることである。財政再建のためにも経済回復の後押しは必ずプラスに作用する。

これまでの日本の経済政策において、失敗を繰り返した元凶は財務省の財政再建原理主義にあった。鳩山政権はこの失敗の轍を踏んではならない。とりわけ菅直人財務相は財務省に取りこまれることなく、景気回復持続に軸足を置いた政策運営を堅持しなければならない。

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