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2010年4月19日 (月)

前原国交相は高速料金新制度提案を修正すべき

6月からの導入を予定している高速道路新料金システムの概要が発表された。休日上限1000円の割引制度が廃止されたうえ、ETC車に適用されていた時間帯による割引制度も廃止される。

代わって導入されるのは平日を含めた上限2000円の割引料金制度である。

しかし、2000円の上限料金が割引料金として利用されるには、これまでの料金制度と比較すると、深夜なら150キロ、通勤割引時間帯なら130キロ、それ以外の時間帯でも100キロ以上の距離の利用でなければ、割引料金にはならない。

個人の利用では8割の利用で割引とはならず、多くの利用者の利用料金が値上げとなってしまう。

麻生政権が導入した週末に限って上限を1000円とする料金割引制度は、週末の自家用車利用を激増させ、大都市圏では大渋滞を発生させる原因になった。

また、ETC搭載車に限って割引料金を適用することも不公平であるとの批判を生んできた。

これらの問題点を改善することは必要であろう。しかし、新制度では料金割引に充当する財政負担金が減少し、節約した資金を道路建設に振り向けることまでが盛り込まれている。

また、ETC搭載車に適用されていた割引料金制度がほとんど廃止されるため、割引料金制度の適用を目的に新規にETCを搭載した利用者から苦情が出るのは間違いない。

大渋滞が発生する地域を適用除外としてうえで、料金上限を1000円等に引き下げなければ、「高速道路料金無料化」の政権公約違反だとの批判をかわすことをできないだろう。

国土交通省の所管大臣は前原誠司氏である。鳩山内閣に対する批判が強まれば、自分が首相の座を獲得するのが早まるとでも考えたのであろうか。

各所管大臣が決定するすべての事項に事前に関与しなければ大声で騒ぐはずの仙谷由人国家戦略相は政権公約違反のそしりを免れない国土交通省提案を容認したのだろうか。国交省提案にクレームをつける場面が報道されないのはなぜだろうか。

大都市圏を除けば高速道路では渋滞があまり発生しない。高速で停止することなく自動車が走行すれば燃費は飛躍的に向上し、CO2発生量は大幅に減少する。高速道路料金無料化は環境重視の時代に逆行するとの批判があるが、現実は必ずしもそうであるとは言えない。

低速度走行で信号での停止が多い一般道を利用する自動車が高速道路を利用すれば、自動車利用の環境負荷は低下することも期待できる。

また、業務に高速道路を利用する物流関係の事業者にとっては、高速道路料金無料化は大きな経済的支援効果が付与される。

しかし、サブプライム経済危機に伴う税収の激減と麻生与謝野政権による巨大なバラマキ財政政策により、日本の一般会計での国債発行金額が2008年度当初予算での25兆円から2009年度補正後には53兆円に爆発してしまった。

2009年8月の総選挙時点と比べても、日本の国家財政事情は激しく悪化してしまった。この点を踏まえて、マニフェストに掲げた政策の実現について、優先順位を定めることは適正である。

また、高速道路料金の全面無料化方針を撤回して、部分的な無料化と大幅料金引き下げに修正することも許容されるだろう。主権者である国民も、こうした公約修正を受け入れると考えられる。

しかし、今回国土交通省が提示した案には、重大な問題がいくつかある。

①上限2000円とした新料金割引制度では、週末に高速道路を利用する者の圧倒的多数にとって料金引き上げになってしまう。

②ETC搭載車に適用されてきた各種割引料金の全面的な廃止は、ETCを新規に搭載した国民に詐欺被害者的な感情を植え付けることになる。

③社会的実験段階とはいえ、高速道路料金を無料化する区間が18%にとどまるのは公約からの乖離が大きすぎる。自動車利用のない区間だけをかき集めた印象が強い。

前原国交相は鳩山政権の支持率を低下させるための提案を示した可能性が高い。川内博史衆議院国交委員長が政府提案を修正すべきとの提言を示しているが、川内氏の主張に圧倒的な理がある。

政権が発足してまだ半年を過ぎた時点である。主権者国民に対する約束=マニフェストを尊重しない姿勢は主権者の鳩山政権に対する不信感を招く原因になる。

①政府支出の無駄排除に総力をあげるために、消費税増税を封印すること

②企業献金全面禁止を実現すること

③官僚天下りを根絶すること

④米国の言いなりにはならずに普天間基地移設問題を解決すること

⑤高速道路料金を無料化すること

は、すべての主権者国民がはっきりと記憶している公約である。

前原誠司国交相は主権者国民の鳩山政権に対する不信感が増幅せぬよう、高速道路料金新制度を見直し、修正した案を再度提示するべきである。

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