衆参ダブルを期待する野党転落者の悲しい現実
野党新聞の産経新聞が「衆参ダブル選に警戒」などの見出しを踊らせている。
ほとんどタブロイド紙と同列の新聞に堕している。経営状況も極めて深刻なのだろう。野党新聞と自認するのだから、与党支持者はまず購読しないだろう。
昨年8月の総選挙で民主党は定数480のうち、308議席を獲得して圧勝した。社民党、国民新党を合わせれば320議席以上を確保し、参議院が反対の議決を示しても、衆院の再可決で法律を成立させることが可能になった。しかし、かつての自公政権とは異なり、衆議院で数の力にモノを言わせる行動が跋扈することはないだろう。
自公の旧与党は2005年9月の総選挙で320議席を確保したが、2007年7月の参院選で民主党が大勝し、参議院では当時の野党勢力が過半数を掌握した。
「直近の民意」は参議院の議席数に反映されたのであり、自公政権は民意を謙虚に受け止めて、野党の意向を尊重した政治運営を実行するべきだった。しかし、安倍政権、福田政権、麻生政権は暴虐の限りを尽くした。
重要事項を軒並み衆議院の多数による再可決で決定したのである。
衆参ねじれで政治運営に行き詰まったのなら、衆議院を解散して民意を問うべきだった。その総選挙で自公政権が信任されたのなら、「直近の民意」は衆議院の議席に反映されたのであり、参議院で過半数を握っているとはいえ野党は与党の意向を尊重する必要に迫られただろう。
いずれにせよ、重要なことは主権が国民にあることをしっかりと認識することである。直近の参院選で野党が過半数を制圧したにも関わらず、衆議院の多数の力で各種議決をごり押しするのは、党利党略以外の何者でもない。主権者国民の意思を踏みにじるものであった。
昨年夏の総選挙に際して、政官業外電の利権複合体の一角を占めるマスメディアは、これまでの利権政治構造を死守しようと、徹底的な反民主党世論誘導を行った。民主党優位の図式が崩れないと見るや、総選挙直前には政治報道を止めて酒井法子氏報道にテレビ番組を染め抜いた。こうした妨害活動を克服して、昨年8月の総選挙では政権交代の大業が成就したのである。
政権交代を実現した現在の与党勢力が2013年までの衆議院の任期をフルに活用するのは当然のことである。2013年までの時間を確保したことは、日本政治刷新を実現するにあたって、かけがえのない財産である。ただ、これではまだ十分でなく、政権交代勢力が大胆に変革を推進するには、参議院でも多数の基盤を確保しなければならない。
政官業外電の利権複合体=悪徳ペンタゴンとの最終決戦の場が本年夏の参議院選挙になる。参院選で勝利して初めて本格的な日本政治構造刷新の行動を実行できるのだ。
利権複合体勢力は、参院選で民主党を敗北させるために、文字通り死に物狂いの工作活動を展開している。利権複合体とは、官僚機構、大資本、米国と結託する利権政治屋、そして情報工作活動を担うマスメディアである。
第2次大戦後、GHQは日本に新しい平和主義・民主主義国家を建設する壮大な実験を始めた。財閥解体、農地解放、労働組合育成、公職追放などさまざまな変革が始動した。1947年総選挙では片山哲首相率いる社会党政権が樹立された。
ところが、このタイミングで冷戦が激化し、米国の対日占領政策は民主化から反共防波堤建設へと大きく方向を変えた。いわゆる「逆コース」である。
社会党政権はつぶされ、後継の芦田均内閣はGHQが関与したと見られる昭電疑獄事件でつぶされ、米国隷従の吉田茂内閣が樹立された。
この吉田茂内閣が戦後日本の対米隷属政治の基礎を築いた。同時に、CIAと連携する内閣調査室、公安調査庁を発足させ、日本の暗黒警察国家化を推進した。さらに、放送行政に介入してNHKを含む日本の放送を政治の支配下に置いたのである。
吉田政権が日本政治の対米隷属路線を敷いて以降、米国と距離を置き、米国にモノを言う政権は、ことごとく米国からの攻撃を受けてきた。
鳩山政権が政権発足直後からマスメディアの激しい攻撃を受け、同時に米国に隷従する日本犬検察および米国本体から激しい攻撃を受け続けているのは当然のことなのだ。
日本国民はこうした歴史的経緯とメディアの情報操作を十分には認識していないため、少なからず情報工作の餌食になってしまっている。
普天間基地問題についての鳩山政権の考え方がまとまりつつあるが、ここにきて米国政府による妨害活動が際立ち始めている。米国から距離を置き、米国に対して言うべきを言おうとする鳩山政権を米国は嫌うのである。
単に嫌うだけではなく、できればこの政権を排除して、かつての小泉政権のような米国の言いなりになる政権を樹立させようと考えるのだ。
鳩山首相は、米国に対して言うべことを言う姿勢を貫こうとするなら、日米対立を前提に置く覚悟が必要である。メディアの政権総攻撃も想定の範囲内であるとあらかじめ考えておかねばならない。
米国は自国に利益のためには手段を選ばずに行動する国である。日本の選択肢は日米同盟の枠のなかにしかないと鳩山首相が考えるなら、所詮、米国にモノを言うことなどは不可能である。
米国に対しても言うべきことを言う以上は、米国との真剣勝負に挑む胆力と能力が求められる。
鳩山首相は日本の主権者が国民であるとの基本を忘れてはならない。主権者に対して正義の政策を訴え、時間をかけて説明することが必要である。NHKを効果的に活用して、鳩山総理が考えることを、丁寧に分かりやすく直接主権者である国民に訴えることが必要だ。
悪徳ペンタゴンの激しい抵抗に打ち勝つ唯一の方策は、日本の主権者国民に理解を求め、主権者国民を味方につけることである。
衆参ダブル選挙は野党の人々のはかない願いなのであって、与党陣営が考えることであるはずがない。情報工作の棚からぼた餅が落ちるのを狙っても現実はそれほど甘いものでない。
鳩山政権は悪徳ペンタゴンの総攻撃をかわして基地問題を着地させ、参院選を勝ち抜かねばならない。そのために、主権者国民を引き寄せることが急務である。
売国者たちの末路 著者:副島 隆彦,植草 一秀 |
知られざる真実―勾留地にて― 著者:植草 一秀 |
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