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2010年4月21日 (水)

NPJシンポ報告と普天間基地移設問題の行方

市民メディアNews for the People in Japan

主催のシンポジウム「どうなる日本?どうする日本?」

が昨日4月20日、東京神保町の日本教育会館707号室で開催された。

会場は100名のシンポ参加者で満席となり、活気に満ちた空気のなかで熱い論議が闘わされた。

冒頭、NPJ編集長の日隅一雄弁護士からNPJについての紹介があった。日本の情報空間が権力や資本を持つ支配勢力によって占拠されるなかで、市民発の草の根情報の重要性が一段と増していることについて話があった。

シンポジウム・コーディネーターを務められたNPJ代表理事の梓澤和幸弁護士からシンポジウム討論者の紹介があり、昨年8月の総選挙を経て実現した政権交代についての概観が提示された。

 

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政権交代が実現した時点での高揚した社会全体の空気が、半年を経た現在、大きく変容した。民衆は歴史と未来の展望のなかで、この新しい政権がトップにいることをどう捉え、どう行動してゆくのかが問われているとの問題提起を示された。

討論では私から政権交代の持つ歴史的な位置付けと、民衆が取るべき今後の対応について、半田滋氏からは、新政権樹立に伴う日本の安全保障政策の変化とそのなかでの普天間基地移設問題についての見解が示された。

私が発言で強調したのは以下の点である。

今回日本で成立した政権交代には二つの側面がある。

政策転換の側面と構造転換の側面である。議会制民主主義を採用する国では政権交代は「普通の現象」である。主権者の選択により、政権が交代させられ、連動して政策が転換される。政権交代は政策転換の意味を持つ。

日本の場合も、小泉政治の市場原理主義が日本を世界でも突出した格差社会に変質させたことを背景に、主権者国民は市場原理主義の修正、セーフティネット重視と人間性尊重の政策を要望した。このことが政権交代を実現させた原動力になったことは間違いない。

しかし、日本の場合には、特定勢力が長きにわたり、政治権力を独占し続けてきたとの特殊事情がある。日本の政権交代には、これらの特定勢力が政治権力を独占するという構造を打破するとの極めて大きな意味がある。日本政治構造の転換が政権交代のもうひとつの側面であり、現段階ではこの目的が実現されたとは言えないが、その重要な第一歩を記した点に大きな意味がある。

この政治構造とは、官僚、大資本、米国が日本の支配者であり続けたという構造である。米官業の三勢力が日本政治を支配してきた支配勢力である。この支配勢力の手先となって活動してきたのが、利権政治屋と偏向マスメディアである。

私はこの五つの勢力、すなわち政官業外電の五勢力を悪徳ペンタゴンと称している。

 

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政権交代は日本政治の実権を米官業の三勢力から主権者国民の手に奪還する意味を持つ大業であり、昨年8月の総選挙を通じて、その重要な端緒が開かれたと考えるべきである。

鳩山政権の半年強の実績は必ずしも十分なものではない。大きな失望を生み出している点も否めない。しかし、鳩山政権批判の空気が生まれてきた大きな背景にマスメディアの偏向した鳩山政権攻撃の情報操作が存在している点を見落とすことはできない。

米官業の三勢力のなかで一歩抜きんでる存在が米国である。1947年に米国の対日占領政策が「民主化」から「反共防波堤」に転換して以来、米国は日本を支配し続けてきた。

鳩山政権は日本政治の米国支配の構造を転換する気配を濃厚に漂わせており、このことが米国による激しい鳩山政権攻撃を生んでいる最大の背景であると考えられる。

マスメディアが誘導する鳩山政権攻撃の空気に流されて、本年夏の参院選で政権交代を水泡に帰す結果を生み出すなら、日本政治の構造転換は永遠に実現しない可能性がある。

鳩山政権の現状はBESTではないだろう。しかし、BESTでなくともBETTERな選択を示さなければ、社会の改革、政治構造の転換は実現しない。一歩ずつでも変革を前進させるという、漸進主義の立場が重要である。

米官業が支配する日本政治構造を打破するために、必要不可欠なことは、

①米国に対して言うべきことを言うこと

②官僚天下り利権を根絶すること

③企業団体献金を全面禁止すること

の三つである。

参院選に向けて新党が雨後のタケノコのように乱立しており、主権者国民は目をくらまされかねない。この状況のなかでは、基準を単純化する必要がある。結論を示せば、③企業団体献金全面禁止をかならず実現するのかどうか、この一点に絞って参院選に臨むことが必要と考える。

半田滋氏は日本の防衛政策の専門家であり、極めて豊富な情報を網羅して把握された上で、鳩山政権の安全保障政策の問題点を厳しく指摘された。

私は政権交代直後から普天間問題の取り扱いが新政権の大きなリスクになることを直感し続けてきた。前政権とは言え、日本の政権が米国と合意を成立させてしまったことが最大の障害になると判断したのである。

したがって、鳩山政権は基地移設問題については、辺野古の海岸破壊滑走路建設を阻止するとの限定目標に留め、その一方で、日本の安全保障政策について、米軍駐留の是非を含めた抜本的な見直しを実行するとの中長期の政策見直しに取り組むことが望ましい政策姿勢だったのだと考える。

とはいえ、歴史に「たられば」は意味を持たない。現在の状況をどう打開するのかが重要である。

フロアからは普天間の問題は全体から見れば大きな問題とは言えない。鳩山政権攻撃に終始するマスコミの姿勢が問題だとの指摘と、沖縄の負担軽減を軸に最低でも県外の主張をもとに鳩山政権を批判するなら、国内での代替地選定に向けての努力を求めなければ論理的整合性がないとの見解が示された。

まさに正論である。県外移設を求めながら、徳之島の基地反対の住民意向を全面支援するのでは、「解なし」をメディアが誘導していることになる。

県外移設には沖縄負担を代替する地域が存在することが不可欠である。しかし、日本にそのような地域が一箇所も存在しないなら、結論は海外しかないということになる。

この論理を突き詰めれば、5月末に鳩山総理大臣が、「米国の了解は最終的に得られていないが、日本政府と日本国民の意思を集約した結論として、基地の移設先をグアムにする」との見解を示す可能性が浮上してきているように思われる。

米国の了解を採れていない点で5月末最終決着の公約とのずれが生じるが、日本政府と日本国民の意思を集約した結論ということであれば、政府の行動としては成り立ちうる選択である。

米国は「地元の了解」を必須事項としているのであるから、最終的に「移設先はグアム」という日本政府案を受け入れざるを得ない。

鳩山政権は米国と厳しい交渉に臨まなければならないが、ここで、米国に「言うべきことを言う」ことが、日本政治構造の重要な転換をもたらすことになる。

シンポジウムでの討議のすべてを紹介することはできず、別の機会を活用させていただきたいが、極めて意義のあるシンポジウムが実現したことに感謝申し上げたい。

討論者として多くの詳細な情報と有益な見解をお示しくださった半田滋氏をはじめ、NPJ代表理事の梓澤和幸先生、隅田一雄編集長、ならびに多くの関係者の皆様にも心からの謝意を表明させていただく。

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