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2010年4月27日 (火)

公約違反料金案責任を小沢氏に転嫁する前原氏

高速道路料金の新制度について、小沢一郎民主党幹事長が政府・民主党首脳会談で公約違反とならないことを求めたことについて、各種報道が示されている。

鳩山総理は小沢幹事長の要請を受けて、新料金制度を見直す方針を表明したが、所管大臣である前原誠司氏が現時点では見直しを行わないと発言し、メディアが小沢一郎幹事長と前原誠司氏の対立として、見当違いの報道を展開している。

昨日4月26日の定例記者会見でこの問題を質問された小沢一郎幹事長は、「前原君がどういうことを言ったか、どのような行動をしたか、私は別にまったく関心ない。興味もない」と発言した。

4月23日の閣議後記者会見で前原氏は「道路整備をしろと言っておきながら、値段が上がってもいけないという。二律背反なことをおっしゃっている」と述べた。

また、小沢一郎氏が「役所を説得できないところに、こういう結果が出てきた」と前原氏を批判したことについても、「まったくの事実誤認。政務三役で決めて、国交省に指示した。調べてからお話された方がいい」と色をなして小沢幹事長を批判した。

4月26日の小沢幹事長会見は前原氏の低次元発言に取り合わない姿勢を示したもので、スケールの違いを見せつけたが、前原氏は自己正当化に終始するのでなく、主権者である国民をしっかりと見据えた対応を示すべきである。

前原氏は昨年12月に党から道路建設の必要を要請され、料金割引財源の一部を道路財源に回したことを「料金値上げ」の理由に掲げ、「道路整備を要請しながら料金値上げを批判するのはおかしい」と主張する。

小沢一郎幹事長攻撃を目標として行動するマスメディアは、この主張に全面的に乗る形で小沢一郎幹事長を批判する。

小沢幹事長は、「何かがあればすべて小沢一郎が悪いの一色になる」とメディアを批判したが、正鵠を射た指摘だ。

党が民意を受けて道路整備の必要性を政府に伝えたことが事実だとしても、そのことと引き換えに、党が政権公約違反の高速道路料金引き上げを国交相に要請した事実はない。

鳩山政権は国民に対して「高速道路無料化」の約束をしている。その政策の所管大臣は前原氏である。与党が政府に対して一部の道路建設を要請するのは当然である。この要請に際して党が、道路建設を認める代わりに高速道路料金無料化の政権公約を撤回することを併せて要請したのなら前原氏やマスメディアの主張も筋が通る。

しかし、そのような事実は存在しない。前原氏には、鳩山政権の閣僚として政権が主権者国民との約束=政権公約に対して責任を負っていることを忘れてもらっては困る。

与党との協議で何があったにせよ、そのことを主権者国民に対する約束違反の言い訳に使うようでは大臣失格である。小学校の学級委員会とは違うのだ。

党から道路建設についての要請は、あって当然である。そのような要請を踏まえつつ、しかし、主権者である国民との約束を、責任をもって守り抜く覚悟と行動力がなければ閣僚など務まるはずがない。

国民との約束を破って平然として、なおかつ、その言い訳として「党が道路建設を求めたから」などと言うのは幼稚園生以下の対応だ。

鳩山政権は国民に対して「高速道路料金無料化」の約束をしている。現料金体系では麻生政権が週末料金の引き下げを行ったから、週末高速道路料金は上限1000円になっている。

日本経済のゼロ成長が20年続き、格差は拡大する一方の日本。大多数の一般庶民は不況と所得減少のなかで、非常に厳しい生活を強いられている。

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麻生政権の1000円上限割引政策を良い政策だとは思わないが、非常に多くの国民がこの制度を活用しようと汗水流したのは事実である。

週末だけ1000円になる割引料金を獲得しようと行楽に出かければ大混雑は必至だ。平日に仕事で疲れきっている親が週末ドライブに出かけるのは本当につらいことだ。

それでも厳しい生活のなかでささやかなレジャーを楽しむために、わが身に鞭打って週末の家族サービスに出かけたのである。現在の厳しい生活環境の下では、ETCを装備するのにも大きな覚悟が必要な人も多くいただろう。

それでも、ETCを搭載しなければ割引料金を獲得できないからと、無理をしてETCを搭載した人も多くいるはずだ。

前原氏には、こうした一般庶民の視線でものを考える姿勢が欠けている。

新料金制では、通常の高速道路利用者の8割が値上げになるのだ。また、ETC搭載車に適用されてきた時間帯別・距離別割引制度も全廃になる。せっかくETCを搭載したのに、割引制度が全廃されれば、多くの人が大きな失望感を味わうことに思いが及ばないのであろうか。

前原氏の発言は、図らずも前原氏の意思決定が小沢一郎幹事長に全面的に依拠していることを告白してしまうものになっている。

前原氏の発言は、「小沢幹事長の言う通りに行動しているのに、小沢幹事長に批判されるのはおかしい」と言うものである。しかし、前原氏の立場は、小沢幹事長に対してではなく、国民に対して責任を負う立場であり、その意思決定は、自身の判断と責任においてなされなければならないのである。この基本を前原氏が理解できないとしか考えられない。

繰り返しになるが、前原氏は鳩山政権が主権者国民に約束している「高速道路料金無料化」という政権公約に対して責任を負う立場にある。それにもかかわらず、前原氏が決めた新料金制度は、8割の利用者にとって値上げになる制度なのである。

この新提案について公約違反だと判断しているのは主権者国民である。誰の目から見ても約束違反であることは明白だ。

一般庶民のささやかな喜びをも奪い去る、まったく血の通わぬ政策である。小沢幹事長の発言は、この当然の国民の声を代弁したものであり、小沢幹事長個人の感想ではない。

問題の本質は、前原国交省が高速道路料金引上げの新料金制度案を提示したことにある。党から道路建設の要請があったにせよ、なかったにせよ、そのようなことは言い訳にならない。所管大臣は、すべての状況のなかでの政策決定に責任を負う存在なのだ。前原氏が公約違反の批判を受けるのは当然である。

鳩山総理は小沢幹事長の要請を聞いて、正当な要請であると判断したのであろう。見直しを明言した。

窮地に追い込まれたのは前原氏である。自らの間違いを認めたくない前原氏は鳩山総理と掛け合い、法案審議のなかでの見直しを求めたのだろう。鳩山総理としても政府提案をしてしまった以上、法案審議のなかでの修正でなければ手続き上は失点が大きくなる。そこで、鳩山総理は法案審議のなかでの見直しの方針を固めたのだと考えられる。

この方針決定を悪用したのが前原氏だと考えられる。前原氏は「現時点での見直しをしない」と発言して、自分の立場を守った。「現時点での」の限定条項は、「法案審議を通じての見直し」を前提としたものであると思われる。

本来は、「法案審議のなかで必要があれば見直す」と発言するべきものだった。

前原氏が閣僚に起用された理由は、前原氏のような反党分子を政権内に封印しようとした点にあると考えられるが、閣僚に登用されたにもかかわらずに勝手気ままな行動をとり続けるなら、鳩山総理としては前原氏の更迭を検討せざるを得なくなる。

鳩山総理大臣は主権者国民のための政治、政権・与党の安定的な運営を考え、前原氏などを更迭する内閣改造を早期に実行することを検討するべきである。

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