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2010年4月 4日 (日)

与謝野馨新党設立は自民党の終わりの始まり

自民党の分裂が始まった。

1996年10月の総選挙。橋本政権の消費税増税方針をめぐって賛否が分かれた。新進党は消費税増税に明確な反対の意向を示した。

結果は自民党が239議席確保したのに対して新進党獲得議席数は156議席にとどまった。橋本龍太郎氏が率いる自民党は社会民主党15議席、新党さきがけ2議席と合わせて政権を維持、消費税大増税へと向かった。

総選挙で橋本政権が勝利した裏側の事情は、1996年9月の民主党結成にあった。小選挙区を中心とする選挙では、第一党に議席が集中する。定員1の選挙区では第二党以下の政党への投票が死票になる。

1996年10月総選挙での比例区得票率を見ると、

自民党 32.76%

社民党  6.38%

さきがけ 1.05%

小計  40.19%

新進党 28.04%

民主党 16.10%

小計  44.14%

だった。

 反自民の投票が新進党と民主党に割れたと考えられるが、この二党の得票率合計は44%を超え、自民党の32%はおろか、与党合計の40%を大幅に上回った。

 つまり、1996年の総選挙では、総選挙直前に民主党が結成され、反自民票が新進党と民主党とに割れたことが橋本政権の勝利をもたらしたのである。

 参議院選挙では2人区、定員3人以上の選挙区、比例区があり、衆議院とは選挙制度が異なるが、参議院選挙で鍵を握るのは全国で29ある1人区であると言われる。1人区は衆議院の小選挙区と同じで、2位以下の候補者への投票は死票となる。敗者復活もない。

 「みんなの党」を警戒しなければならないのは、現在の鳩山政権与党が示している「日本政治刷新」、「脱霞が関」と類似した政策を掲げて新党を結成した点にある。

 前回2009年8月の総選挙では、民主党を中心とする勢力による政権奪取の可能性が高まっていた。これまでの利権複合体=悪徳ペンタゴンによる利権政治を維持しようとする勢力は、政権交代を阻止するために、新しい工作活動を展開したのだと考えられる。

 大資本がスポンサーとなり、「CHANGE」というタイトルの政治ドラマまで放送された。総選挙に向けて偽装の「CHANGE」勢力が立ち上げられることが予想された。

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 この「偽装CHANGE新党」の特徴は、

①「霞が関改革」を標榜するが、本腰は入っていない

②大資本と政治権力との癒着排除には消極的
=企業団体献金の全面禁止には反対

③対米隷属外交を基礎に置く

点である。これらの点から、この新勢力を「真正CHANGE」勢力と位置付けることはできない。

 マスメディアの全面支援を受けて予想通り、「みんなの党」が創設された。新党結成後もマスメディアの「みんなの党」支援は鮮明である。

 「みんなの党」に入党した人々が、本当に日本政治刷新を求めるなら、民主党に入党すれば済む話である。民主党と敵対し、類似した政策を掲げるところに、この新党の狙いが表れていると考えられるのだ。

 つまり、選挙に際して民主党に向う投票をかすめ取るのが「みんなの党」創設の直接の狙いであったのだと考えられる。民主党を中心とする勢力の過半数確保を阻止できれば、自民党と連立を組む。このような青写真が描かれていたのではないかと考えられる。

 しかし、総選挙では民主党が大勝し、民主党は社民党、国民新党と連立政権を樹立した。第三極創設の目的は達せられなかった。

 しかし、次期参院選で鳩山政権与党が参議院の過半数を維持できなければ、政局は元の混沌とした状況に戻る。鳩山政権が日本政治刷新の行動を実行する体制に大きくひびが入る。

 悪徳ペンタゴンは、最後の力を振り絞り、参院選での鳩山政権与党の参議院過半数確保を阻止しようと、懸命の工作活動を展開している。

 鳩山由紀夫内閣総理大臣と小沢一郎民主党幹事長に対するマスメディアの常軌を逸した集中攻撃もその一環である。悪徳ペンタゴンが警戒する第一の人物が小沢一郎氏である。悪徳ペンタゴンはなんとしても小沢氏が参院選の総指揮を執ることを阻止したいと考えているのだろう。

 話を元に戻すが、新党結成は民主党に向う投票をかすめ取るものでなければ意味がない。ところが、いま伝えられている新党構想は、古色蒼然とした第二自民党にしかすぎないように見える。

 第二自民党が創設され、選挙で得る投票は自民党に流れるはずの投票である。1人区では自民党と選挙協力するのだろうが、それなら新党を設立する意味はないだろう。

 与謝野馨氏は景気を破壊してでも消費税を訴えるような財政再建原理主義に染まった人物であるし、麻生政権で経済政策司令塔の役割を得ながら、緊縮財政と財政バラマキの間を右往左往し、日本財政を崩壊させた中心人物である。

 国会の質疑でも、事実と反する恫喝まがいの品性下劣の発言を行って、微塵の反省も示さない人物である。

 他方、平沼赳夫氏は信念を貫く政治家であり、経済政策運営でも経済重視の考えを堅持する人物であると見られるが、財政再建原理主義の与謝野氏とは隔たりが大きい。

 いま伝えられている新党は第二自民党の域を出るものとは見えない。第二自民党が創設されても、参院選対策になるとも思えない。

 与謝野馨氏は小泉政権以来、安倍政権、福田政権、麻生政権で政権の要職にあった人物である。自民党の凋落の責任の多くの部分を与謝野氏が負っているはずである。自らの責任を自覚もできない人物に大きな仕事ができるとはまったく考えられない。

 自民党の自己崩壊が始まったようだ。与謝野新党結成は自由民主党の終わりの始まりがいよいよ動き始めたことを示しているように見える。

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