企業献金全面禁止反対党を参院選で撃破しよう
思想・信条の自由が認められているから、それぞれの問題に対する意見、見解が人によって異なるのは当然だ。思想・信条を共にする人々が結束して政治にその主張を反映させるために政党が組織される。
政治の場では政党と政党とが意見を戦わせ、討論を行い、最終的には多数決で決定を図る。議会において自らの政党の主張を実現するには、広く有権者に訴えて主権者の支持を獲得しなければならない。
経済政策、官僚機構の位置付け、外交などの各面で、多様な意見が存在することは当然で、民主主義はあらゆる意見、見解の存在を認めつつ、意思決定は説得と討論を経たのちの多数決によって行うのだ。
政治家は主権者国民を代表して議会で活動する。主義主張は異なるにせよ、政治家は主権者国民の利益増大を目指す存在である。世のため人のために仕事をするのが政治家の責務である。
ところが、他方で、政治の世界には巨大な権力が存在する。さまざまな権力が存在するが、その大きなひとつが経済的な権力である。日本の場合でも国家予算の規模は一般会計だけで100兆円、特別会計を合わせれば200兆円にもなる。
GDPは470兆円だから、その2割ないし4割の資金が極めて少数の政治権力者の手に握られる。
一般国民が受益者になる政府支出は問題にならないが、企業が財政資金配分を受けることになると、企業の側には政治の便宜をカネで買おうとするインセンティブが働くことになる。政治の便宜を買うコストは、十分に採算に合うからだ。
企業献金が認められていれば、企業は合法的に便宜をカネで買うことができる。企業は政党支部にカネを振り込み、便宜を図る政治屋は政党支部に入ったカネを自身の政治資金管理団体に寄付させればよいのだ。
政治屋は政治資金パーティーを開き、巨額の資金を集める。パーティー券は政治的な便宜を図ってもらう見返りとして企業がまとめて購入する。
政治屋はこうして集めたカネで豪勢な飲食活動を繰り返す。政治屋の収支報告書には、企業から徴収した政治献金を実質上の遊興費に充てていることが圧倒的に多いことが示されている。
私たちの政治から、このような醜い現実を消し去ることがまずは求められるのではないか。
市場原理主義が良いのか、共生主義が良いのか。主権者国民の意見がどちらか一方だけになることはない。多寡は生じても、常に複数の意見が存在することが通常である。
多様な意見が政治の場に反映されることは望ましいことだ。どちらかの意見だけが常に正しく、反対意見が常に間違いということはあり得ない。意見の相違はあって当然であり、多様な意見が存在しないことは、何らかの弾圧が行われている場合に限られるだろう。
だが、政治を利権の道具とすることは許されない。政治活動こそ清貧であるべきなのだ。この意味で河村たかし名古屋市長の取り組みは極めて意義深い。
政治家の活動を見る際、それぞれの政治家が「カネ」を目的に行動しているのかどうかが何よりも重要である。
しかし現実には極めて多数の政治家が「カネ」を目的に政治活動に従事している。日本政治の刷新は、この部分から始めるべきなのだ。
鳩山由紀夫総理大臣の政治資金の問題がとやかく言われているが、鳩山総理の場合、企業からカネをもらったという話ではなく、身内の私財を巨大な規模で政治に投入したというもので、問題の性格がまったく逆なのだ。
小沢一郎民主党幹事長が賄賂性のある不正なカネを巨大な規模で獲得したのなら問題だが、そのような事実はまったく立証されていない。憶測だけで悪者扱いすることが、冤罪を生み出す基本構造であり、国民もメディアも厳に慎まなくてはならない。
国民の意識はメディアの繰り返す憶測報道に影響されやすいのであり、小沢一郎民主党幹事長に対する有権者のネガティブなイメージは、マスメディアによって強引に刷り込まれたものである。メディアの悪質さは言語道断だ。
与党政治家が巨大な私財を築くこと自体が間違っているのだ。岸信介元首相の頃から、政治家の不正蓄財疑惑は絶えることがない。メディアが「政治とカネ」を真剣に問題にするなら、与党政治家幹部をしらみつぶしに一人ずつ、総点検するべきだ。なぜ小沢一郎氏だけがやり玉に挙げられるのか。納得できる説明を示すマスメディアは存在しない。
国民のための政治を実現する第一歩は、利権政治屋を一掃することだ。
本ブログで繰り返し主張しているが、そのために最も有効な方策は、企業団体献金を全面禁止することである。政治家はカネのために動くべきでないのだ。カネではなく信念と思想に従って動くべきなのだ。
企業団体献金全面禁止に反対する議員は民主党内にもいる。彼らが政治家を目指した理由のひとつに「カネ」が入っていたのだろう。
しかし、「カネ」のために政治活動を行う人間は無血革命政府には不必要だ。
「みんなの党」は企業団体献金全面禁止を公約に掲げて参院選を戦えるのか。企業団体献金全面禁止を公約に掲げるなら、ひとつの政治勢力としての存在が容認される。しかし、企業献金全面禁止に反対するなら、「みんなの党」も金権政党のひとつにすぎないことが明白になる。
「カネ」を目的にしない政治家による議会を生み出す必要がある。意見に相違があるのは当然で、建設的な論戦を国会で大いに繰り広げるべきだ。
国民の利益を追求しなければならない政治家が、自分の金儲けを軸に政治活動を展開するなら、良い政治が生まれるはずがない。
参院選後、必ず企業団体献金全面禁止を実現することが参院選に課せられた大きな課題である。主権者国民はこの視点で参院選を捉えるべきだ。
鳩山総理大臣には、普天間問題を処理したうえで、企業団体献金全面禁止について、利権政党とは明確に一線を画するメッセージを発してもらいたい。
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売国者たちの末路 著者:副島 隆彦,植草 一秀 |
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知られざる真実―勾留地にて― 著者:植草 一秀 |
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