基地拒絶が国民総意なら海外移設が正当③
4月25日、沖縄で基地反対の県民大会が開かれ、9万人が参集したと報じられている。
沖縄県では、かつて名護市が基地移設受け入れを容認するスタンスを示した時期があったが、本年1月の市長選では基地受け入れ反対を唱える候補者が当選し、名護市も基地受け入れ反対に転じた。
自民党政権は米国と協議して名護市辺野古地区の海岸を破壊するV字形滑走路を建設することで米国と合意を成立させてしまったが、海岸を破壊する工事に着工するには沖縄県知事の許可が必要だった。ところが、知事が工事着工を許可すれば県議会が知事不信任案を可決する可能性が高かったため、工事着工には黄信号あるいは赤信号が灯っていた。
自民党政権が米国と合意を成立させてしまったことが最大の問題だが、とはいえ、外交には継続性の大原則がある。政権交代が実現しても過去の日米合意を消滅させることができるわけではない。
ここにこの問題の根本的な困難さが存在するが、鳩山総理はこの情勢のなかで、辺野古の海岸を破壊する形で普天間基地の代替施設を設けることを回避するための方策を検討し続けてきた。そして、その政府案決定の期限を本年5月末に定めたのである。
辺野古の美しい海岸を破壊しないための方法として、
①辺野古内陸部のキャンプシュワブ内にヘリ離着陸用の施設を建設し、軍用機離着陸の演習等は他都道府県の施設を活用する。
②普天間飛行場の代替施設を県外に設置する。
③普天間飛行場の代替施設を海外に建設する。
の三つが検討されてきた。
こうしたなかで、沖縄県の住民は、辺野古の海岸破壊施設建設に反対するだけでなく、キャンプシュワブ内にヘリ離着陸施設を建設することに対しても反対の意向を強めている。
また、県外の代替施設設置については、日本全国の各候補地とマスメディアが一体となって完全拒絶の姿勢を強めている。
他方、米国はかねてより、基地については「地元の同意が前提」とのスタンスを明示してきている。
こうした事情を踏まえれば、代替施設は国外に求めるしかなくなる。
日本のマスメディアは、日本の安全を守るための「抑止力」の視点から言えば基地が必要だと言うが、代替施設の国内建設に反対する各地元の強烈な反対運動を全面支援しながら、国内に施設が必要だと主張するのは完全な自己矛盾である。
今回の問題が拡大したことによって、日本国民が総意として「米軍基地はいらない」との考えを有していることが確認されつつある。さらに、マスメディアが「米軍基地はいらない」との各地元の意向を全面支援することが明らかになった。
こうした情勢を踏まえれば、鳩山政権は米国に対して堂々と「普天間の代替施設を国外に求める」と表明して良いことになる。
鳩山総理は自信を持って「基地移設先を海外に求める」との見解を表明すれば良い。
同時に、日本の安全保障を日本の力で確保するための基本方策を検討し始めるべきだ。
日本の米軍基地は日本のために存在するのでなく、米国のために存在する面が圧倒的に大きくなっている。
戦争終結後65年、安保改定後50年の時間が経過したいま、日本の安全保障体制を根本から見直し、日米同盟の必要性について、抜本的な再検証を行う必要がある。
日本は対米隷属から脱却し、米国に対しても「言うべきことを言う」国にならねばならない。これが「真の独立」である。
マスメディアは基地移設反対を唱える日本国内の移設候補地の意向を全面支援するなかで、気付かぬうちに鳩山政権の「代替施設は海外へ」の主張を支える援護射撃役を担うことになった。
鳩山総理が自信をもって県外移設を表明するタイミングが迫っている。
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売国者たちの末路 著者:副島 隆彦,植草 一秀 |
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知られざる真実―勾留地にて― 著者:植草 一秀 |
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