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2010年3月 7日 (日)

消費税増税の是非が参院選争点の一つになる

参院選の争点のひとつが明らかになった。

3月7日のNHK日曜討論で自民党の与謝野馨氏が本年夏の参院選で、自民党が消費税増税を公約に掲げることを肯定した。鳩山総理大臣ならびに鳩山政権の副総理兼財務大臣の菅直人氏は、消費税増税には国民の判断が必要であるとし、次期衆院選までは消費税増税を実行しないことを明言している。

現在の衆議院の任期中は消費税増税を封印することは、昨年8月30日の総選挙に際して民主党が公約として掲げた事項である。この問題は昨年5月に小沢一郎氏が代表を辞任したことを受けて実施された民主党代表選でも争点として浮上した問題である。

代表選に立候補した鳩山由紀夫現総理大臣と岡田克也氏の二人のうち、岡田克也氏は消費税増税に積極的な見解を示した。これに対して鳩山由紀夫現総理大臣は次期衆議院の任期中は消費税増税を行わないことを明言した。

私は本ブログで繰り返し次期衆議院任期期間中の消費税増税封印を訴えてきた。鳩山首相の方針は私の提案をも踏まえていただいたものと理解しているが、この方針を私はいまも正しいと判断している。

中期的には日本の財政バランスの回復、社会保障財源を確保するために、消費税率の引き上げは不可避であると考える。消費税には逆進的な性格があるため、消費税増税は相対的に所得の少ない人々の課税負担率を引き上げる側面がある。したがって、この問題を十分に踏まえ、この問題を解決する制度設計が必要である。

米国ではオバマ政権が所得税率の累進度を強め、税制による所得再分配機能を強化する政策が採用されている。日本においても所得税の累進税率制度を強化することが検討課題に浮上する。

日本の税収が激減した最大の要因は法人税収が激減したことである。したがって、税収を回復するためには法人税収を確保できるようにすることが先決である。現時点で法人税減税が論じられることは誠に奇異である。

消費税の増税を検討する前に、政府支出の無駄を排除することが先決である。消費税増税を容認してしまえば政府支出の無駄排除が骨抜きになることは明白である。必要な政府支出を賄うための財源確保の必要性を多くの国民が認めるだろう。しかし、官僚利権を温存したままで国民に負担を求めることに主権者国民は同意し得ない。

多くの天下り機関に巨大な国費が投入されている。公益法人、独立行政法人のすべてが不要だとは思わないが、これらの機関への政府支出の多くが天下りを維持するために実行されていることは間違いない。官僚利権を排除する施策を優先して実施しなければならない。

鳩山政権は事業仕分けを実施して、政府支出への切り込みを開始した。しかし、公益法人や独立行政法人等への政府支出を一気に切り込めば、これらの機関における大きな雇用問題が発生する。この点に着目するなら政府支出切り込みには一定の時間をかける必要がある。

マニフェストの実現は大切だが、マニフェストを実現することに伴って重要な問題が発生するなら、その点を踏まえて現実的に柔軟に対応することは不可欠である。

無駄な政府支出排除は中期的な実施プログラムを策定して、計画的に実行してゆく必要がある。景気回復による税収の確保、所得税制の見直し、資産課税の見直し、これらと政府支出の無駄排除を総合的に検討したうえで、消費税の見直しを検討するべきである。

自民党の与謝野氏は次期参院選で自民党が消費税増税を公約に掲げることを肯定したが、自民党のコンセンサスを確保しているのだろうか。政党を代表して政党討論会に出演して発言しておきながら、党としての見解を示していないというのなら、今後は誰も与謝野氏の発言に耳を貸さなくなるだろう。

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経済政策においては、当面の財政政策運営が焦点である。日本の財政収支が大幅に悪化していることを踏まえて、財政政策の活用に対する慎重論が噴出している。しかし、財政政策慎重論や消費税増税論を主張する与謝野馨氏自身の言動が最も激しくぶれていることを見落とせない。

サブプライム金融危機が本格化して日本経済が戦後最悪の不況に陥った2008年後半、与謝野馨氏は自民党総裁選に際してサブプライム危機に伴う日本経済への影響について、「蚊に刺された程度のこと」と明言した。

与謝野氏は麻生政権の閣僚に起用され、極めて小規模の2008年度第一次補正予算を編成したが、日本経済の急激な悪化に動揺してすぐに第二次補正予算編成に追い込まれ、さらに、2009年度は年度に入ってすぐに14兆円規模の補正予算編成に追い込まれた。

経済の見通しを誤り、政策対応が右往左往したことが政策の軌跡に鮮明に示されている。

日本財政を劇的に悪化させたのが2009年度第一次補正予算である。歳出を14兆円拡大する一方で、税収見積もりを9兆円も読み誤った。この究極のバラマキ政策と税収の見積もり誤りが、日本財政を崩壊させたのである。与謝野氏は日本財政破壊の主犯の一人であり、この人物が鳩山政権の財政運営を批判することは笑止千万である。

日本経済回復と財政健全化の二つの課題を実現させる方策を示すことが求められている。この問題を考える際に、何よりも重要なことは、景気回復と財政健全化の因果関係を正しく把握することである。

1990年代以降、何度も繰り返してきた経済政策の誤りは、

景気回復持続の重要性を無視して性急な緊縮財政に走ったこと

である。

戦後最悪の不況から半歩抜け出すことに成功した日本経済にとって、いま最重要の課題は日本経済の緩やかな回復を維持させることである。財政収支の悪化が進行してしまったのは事実であるが、この段階で財政政策の基本方針を景気支持から財政再建に転換することは明らかな間違いである。

日曜討論では、菅直人副総理が与謝野氏に的確な指摘を示した。いまこの時点で財政政策の基本路線を転換することを与謝野氏は主張するのかと。

短期的には必要な範囲で財政収支がさらに悪化することを容認せざるをえない。財政健全化プログラムは中期の制度変更で対応するべきものであり、短期の政策運営のなかで実行するべきものでないからだ。

日本財政の破綻懸念を煽る論調が散見されるが、日本のマネーフローを見る限り、短期的な懸念は存在しない。政府資産を含めた国のバランスシートに懸念は乏しく、短期的な日本財政の破綻懸念は存在しない。

短期のマクロ経済政策では景気回復持続を確保することに軸足を置くべきである。財政バランスの健全性回復は景気回復を通じ、さらにその上での制度改革を通じて実現するべきものである。鳩山政権にはこの点の再確認が求められる。

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