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2010年3月30日 (火)

景気回復最優先政策の正当性と国民新党の貢献

鳩山政権の郵政改革案がまとまった。亀井静香郵政担当相と原口一博総務相が中心になってまとめた原案が閣僚懇談会で了承された。

ドタバタが露見してしまったが、落ち着くべきところに落ち着いたと言える。ゆうちょ銀行、かんぽ生命の預け入れ限度額の引き上げは、2005年9月の総選挙に際しての民主党の方針と異なることが問題とされたが、現在とは局面が違う。

当時の民主党は郵政を民営化する方向に反対のスタンスではなかったが、民営化するのであれば、巨大なゆうちょ、かんぽの規模を縮小することが先決であると主張していた。

今回、限度額引き上げが提示された背景は、日本郵政が担うべきユニバーサルサービスを追加財政負担なしに賄うための財源を安定的に確保するという、まったく異なる視点からの検討にあった。

民主党内部にはかつての小泉郵政改革に対して、賛意を示した議員も存在する。ところが、実際に小泉政権が郵政民営化を強行実施した結果、多くのひずみ、歪みが表面化したのである。

郵政選挙の空気に煽られて小泉改革に賛同した国民も、その後の日本経済、日本社会の現実を知って、小泉改革の全面否定に向った。これが、2007年7月の参院選、昨年8月の総選挙結果に反映された。

かんぽの宿疑惑は、国民共有の1000億円の資産がたったの125億円でインサイダー企業に横流しされようとしていたことが明るみに出されたものだった。

地方に住む国民にとってかけがえのない貴重なサービスとコミュニティーの核を提供してきた特定郵便局ネットワークが、冷酷に切り捨てられることを推進するのが小泉竹中郵政改革の実相だった。

こうした現実を踏まえ、所管の閣僚が与党関係者と協議を重ねて練られたのが亀井郵政相の提示した政府原案だった。

仙谷由人国家戦略相は政府案策定の過程で協議にあずかっていないと亀井郵政相の提示した案を批判したが、内閣では各閣僚が分業によって政策立案を行っている。

仙谷氏が所管する分野の政府案決定について、仙谷氏が関係者による協議を繰り返し、正当なプロセスを経て決定した案が、その確定後に所管外の閣僚から批判されたら、仙谷氏は激怒するだろう。

鳩山総理が収拾に乗り出し、適正な着地点を見出したために事なきを得たが、国民の期待を背負って発足した新政権なのだから、閣僚には身勝手な行動を慎んでもらいたいと思う。

鳩山政権が解決しなければならない問題は山積している。天下り根絶、企業献金の全面禁止、対米隷属からの脱却が構造改革の三大テーマである。警察・検察・裁判所の近代化も喫緊の課題だ。また、市場原理主義を排して共生社会を構築することが求められている。

これらの構造改革に取り組むことはもちろん重要だが、直面する生活問題への取り組みが短期的には何よりも重要である。

国民の生活を支えるとは、日本経済の回復を確実に維持することである。

日経平均株価が11000円台を回復した。心配された景気二番底への転落も回避できる可能性が生まれてきている。

財政赤字が拡大するなかでの景気支持政策の遂行は針の穴に糸を通すほどに困難な課題であるが、これまでのところ鳩山政権は、見事にこの課題をこなしている。

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クリティカルなポイントになったのは、2009年度第2次補正予算を当初の想定よりも4兆円拡大したことである。

鳩山政権は政権発足直後に事業仕分けを実行して2009年度第1次補正予算を3兆円凍結した。第2次補正予算は、当初、この3兆円を財源とする小規模なものとすると想定されていた。ところが、国税収入の減少に連動して地方交付税が大幅に減少することになり、国家財政だけでなく地方財政が窮地に追い込まれるリスクが表面化した。

こうした情勢を踏まえて、鳩山政権は第2次補正予算規模を4兆円積み増したのである。

第2次補正予算の支出が2010年度にずれ込むことが影響して、2009年度から2010年度にかけての財政デフレのリスクが大幅に減殺された。仙谷行刷相が財政政策運営の方針転換を明言した昨年11月29日を境に日経平均株価は、下落トレンド入りを免れて上昇波動に転じたのである。

鳩山政権が景気重視の政策スタンスを維持して今日に至ったことが、株価上昇持続、景気回復持続の最大の要因である。鳩山政権内部には財政再建原理主義に近い主張を示す閣僚も存在していたが、結果的には財政再建原理主義が抑制され、景気回復重視の政策が損なわれずに済んだ。

この結果が生まれたことに対して最大の貢献を示したのは国民新党である。亀井静香国民新党の乱暴とも言える積極行動が、鳩山政権の景気回復重視政策を牽引したことは誰も否定できない事実である。

鳩山政権閣僚、民主党議員は、この事実を公正に見つめる必要がある。国民新党が乱暴な景気回復重視政策を次々に提案してこなかったなら、鳩山政権の経済政策は、これまでの現実よりははるかに財政緊縮の方向に引き寄せられていただろう。

日本の財政は深刻な状況にある。税収が37兆円で国債発行が53兆円という姿が異常であることは誰も否定しようがない。

しかし、問題はこの現状を踏まえてどのような経済政策運営の手法を展開するかである。96年の橋本政権、00-01年の森・小泉政権は景気回復初期に超緊縮財政に舵を切って日本経済を破壊した。経済を破壊しただけでなく財政をも破壊したのである。

景気回復初期における経済政策の鉄則は、景気回復の維持優先である。景気重視政策は財政収支悪化要因になると主張する似非専門家が多いが、事実は逆だ。

財政再建には税収の増加が不可欠で、税収は景気回復が持続しない限り絶対に増加しない。法人税を減税して消費税を増税する話が取り沙汰されているが、日本の法人実効税率は必ずしも高くない。生活者ではなく大資本に有利な税制を追求するなら、これまでの自民党政権と同じになる。

歳入増加策を検討するのは、政府支出の無駄を排除し終えた後の話で、いま論議すべきテーマでない。

まずは、景気回復を確実に持続させることが最重要の政策課題である。少数政党である国民新党のプレゼンスが大きいことを不満に思う民主党議員が存在するのだと思うが、国民新党の大きな働きによって鳩山政権が持ちこたえている現実を直視しないと、民主党は本当に足元をすくわれることになる。

株価が11000円を回復したことを受けて、鳩山政権は景気回復重視の政策スタンスを今後も維持する方針を再確認するべきだ。

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