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2010年3月17日 (水)

沈む自民丸から逃げ出す議員の冴えない顔ぶれ

 沈没船から大海に逃げ込む議員が続出している。

「みんなの党」がその先駆けだ。自民党の政策・思想を捨て、民主党の政策・理念・思想に賛同するなら、自民党を離党して民主党に入党すればよいはずだ。

ところが、みんなの党を結党した渡辺喜美氏は民主党と敵対する政治姿勢を示している。また、鳩山邦夫氏が自民党を離党した。与謝野馨氏も月刊誌に小論を寄せて離党をほのめかしている。舛添要一氏も政界再編に強い色気を示している。さらに、平沼赳夫氏の名前も取り沙汰されている。

本年夏の参院選で鳩山政権与党が参議院過半数の議席を維持すれば、政局は安定化する。鳩山政権は2013年秋の任期満了までの丸3年間をフルに活用することができる。

これまで日本政治を支配し続けてきた悪徳ペンタゴンが断末魔の叫びをあげていると理解することができる。

利権を軸に結束を保ってきた人々であるから、利権という接着剤がなくなれば、ばらばらに離散することは避けようがないのかも知れない。

鳩山邦夫氏が自民党を離党して新党結成が叫ばれ、鳩山邦夫氏は与謝野馨氏と舛添要一氏の連携を提唱するが、そもそも舛添氏と与謝野氏の主張には大きな隔たりがある。

鳩山由紀夫政権はこれまでの自民党政権と対峙する五つの基本方針を示している。五つの基本方針とは、

①市場原理主義に対するセーフティーネット重視

②財政再建原理主義に対する経済成長重視主義

③政治権力と大資本の癒着排除

④官僚特権の根絶

⑤対米隷属外交からの脱却

である。

 この五つの基本方針に関して、新党結成を掲げる各グループの主張は必ずしも一致していない。

 与謝野馨氏を中心とするグループの最大の主張は②財政再建原理主義である。与謝野氏は麻生政権の経済政策司令塔として史上空前のバラマキ財政を実践して日本の財政赤字をわずか1年で25兆円から53兆円に倍増させた。その政策責任者が財政再建を主張するのは笑止千万だが、与謝野氏は財政再建原理主義に回帰して消費税大増税主張の急先鋒になっている。

 これに対して舛添要一氏、菅義偉氏、塩崎恭久氏、世耕弘成氏などをメンバーとする経済戦略研究会は、①市場原理主義を中心に据えて、経済政策では超金融緩和政策によるインフレ誘導政策を提唱する。

 研究会の講師に松原聡氏を招いたことなどに示されるように、小泉竹中政治を踏襲する市場原理主義的色彩が色濃い。

 大資本と政治権力との癒着排除にも消極的であり、対米隷属の傾向も強いと窺われる。この点で舛添氏のグループの主張はみんなの党の主張とほとんど重なると言ってよいだろう。

①市場原理主義

②大資本と政治権力の癒着容認

③対米隷属主義

を基本に据える勢力は、民主党内にも存在する。

 これらの人々がひとつの政党に結集してもらわなければ、主権者である国民は安心して選挙での投票を行えなくなる。民主党から市場原理主義者を一掃することも急務である。

 結局、突き詰めれば、自民党内の小泉竹中政治シンパが自民党を離れて結束を固め、ひとつにまとまれば分かりやすいのだ。

 残る自民党は利権に群がってきた人々の残骸になる。

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 みんなの党は脱霞が関を掲げるが、渡辺喜美氏は行革相の立場にあり、法改正を主導したにもかかわらず、天下り根絶に積極的な姿勢を示さなかった。公設の天下りあっせん機関を創設して天下りを温存しようとしたのである。したがって、渡辺喜美氏の天下り根絶の主張を信用するわけにはいかない。

 みんなの党結成の狙いは、民主党に集中する反自民票の一部をかすめ取る点にあると考えられる。衆議院小選挙区制も参議院選挙も、どの政党が第一党を勝ち取るかが最重要である。民主党に向う票を二分し、結果として自民党が漁夫の利を得れば、権力の移行を阻止できる。みんなの党はそのうえで自民党と連立を組むことを目論んでいたと考えられる。

 ところが、2009年8月30日の総選挙では、民主党が圧勝したため、この目論見は無残に打ち砕かれた。みんなの党が自民別働隊であることがかなりの国民に認知されたことが大きかったとも言えるだろう。

 河村たかし名古屋市長が唱えるように、政治家は政治を職業としてではなく、社会的使命を果たす手段として捉えるべきである。したがって、政治家に高給は必要ないのだ。

 ところが、現実には多くの人間が金儲けのために政治家を志している。半世紀にわたって与党の地位に君臨し、政治利権を欲しいままにしてきた自民党議員の大半が金儲けのために政治に携わってきた。

 これが「政治とカネ」問題の根源である。この問題を解消する上で、何よりも有効であるのが企業団体献金の全面禁止である。企業団体献金全面禁止提案に対する姿勢で、議員の「政治とカネ」問題への基本姿勢を知ることができる。

 みんなの党は企業団体献金全面禁止に積極的な姿勢を示さない。自民党議員の大半も同様である。彼らは社会的使命を果たすためではなく、カネのために政治に携わっているのだ。

 公明党が企業団体献金全面禁止に積極賛成の姿勢を示しており、参院選後は公明党が政界再編のひとつの核になる可能性が生まれている。

鳩山政権は

①セーフティーネット整備にさらに注力し、

②天下り根絶

③企業団体献金全面禁止

④対米隷属脱却

⑤経済成長重視

の方針を明示して参院選に臨むべきである。

セーフティーネット整備にはお金がかかる。財政再建原理主義者は鳩山政権の財政再建論を批判する。

この点について、鳩山政権は、

①景気回復持続による税収自然増の確保

②政府支出の徹底した仕分けによる政府支出の無駄排除

③必要最小限の増収措置

の順序で、中期的な財政再建を実現する方針を明示するべきである。

2013年までの衆院任期中は増収措置に踏み込まないことを確約し、この間は景気回復の確実な達成と政府支出の無駄完全排除に全力を注ぐことを明示するべきだ。

自民党が自爆する対岸の火事の延焼が進む間に、鳩山政権は参院選に向けての政権公約確定を急ぐべきである。

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