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2010年3月12日 (金)

尾辻秀久氏が平成の借金財政王与謝野氏を一喝

 軸がぶれる、軸が定まらないというのは与謝野馨氏のことだ。

 与謝野馨氏は安倍政権で官房長官、福田政権で経済財政政策担当相、麻生政権で経済財政政策担当相兼財務相・金融相を務めた。

 麻生内閣での経済政策指令塔の役割を務めたわけだ。

 2008年秋の自民党総裁選では総裁に立候補して経済政策について意見を開陳した。

サブプライム金融危機の及ぼす日本経済への影響について質問され、与謝野氏が示した見識は、「蚊に刺された程度のこと」だった。

 麻生政権が発足して直ちに補正予算が編成されたが、この補正予算は「蚊に刺された」ことに対応する措置で、1兆641億円のミニミニサイズの補正予算が編成された。

 日本経済は2008年後半に戦後最大の景気崩落に直面した。民主党は2008年秋の臨時国会に第2次補正予算を提出することを求めたが、麻生政権は第2次補正予算の国会提出を2ヵ月も遅らせ、臨時国会には提出しなかった

 2ヵ月後の2009年年明け後に国会に提出された第2次補正予算案は4.8兆円の規模だった。1兆円の補正予算を編成した直後に5兆円の補正予算を編成した。このこと自体が政策対応の右往左往を鮮明に示しているが、さらに重大な問題は追加の第2次補正予算提出を年明けまで先送りしたことだ。

 麻生首相は月刊誌に総選挙で信を問うことを高らかに宣言した。ところが、自民党が実施した事前調査で自民党大敗予想が示されたため、解散総選挙を見送った。

 補正予算を国会に提出し、成立すれば選挙に追い込まれるために、補正予算の提出を先送りしたのだ。国民生活を犠牲にして、己の政治的利益を追求する姿勢が国民の反発を招いたことは想像に難くない。

 こうした情勢下で、与謝野馨氏が経済政策司令塔を務める麻生内閣の経済政策はさらに混迷の色を極めた。

 麻生政権は2009年度当初予算を国会に提出したが、2008年度当初予算に対して、一般歳出は国民年金の国庫負担増加額を除くと2.2兆円しか増加させなかった。しかもそのうち、1兆円は予備費としての計上であり、執行予定の予算では1.2兆円しか増額しなかった。

 2008年度に2次にわたる補正予算で6兆円予算追加したにもかかわらず、2009年度予算での一般歳出が2008年度当初比1兆円増では景気悪化を加速させることは避けようがない。

 麻生政権は予算案を提出した直後から予算追加検討に追い込まれ、2009年4月に超大型14兆円規模の補正予算を提出するに至ったのである。

 この予算は無駄のかたまり予算で、公的部門の施設整備費に2.8兆円、58の政府基金に4.6兆円の資金積み増しなどを含む、史上空前の官僚お手盛り・バラマキ補正予算だった。

麻生政権は国債11兆円の増発を決定したが、その後に2009年度税収が見積もりを9兆円も下回ることが明らかになり、2009年度の国債発行金額が当初予算よりも20兆円も増加して、53兆円に達してしまったのだ。

2008年度当初予算での国債発行金額は25兆円であったから、たったの1年で国債発行金額を倍増させたことになる。この意味で与謝野馨氏には「平成の借金財政王」の称号が、「平成の迂回献金王」の称号と共に付与されるべきだろう。

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この与謝野氏が今度は消費税大増税を訴え始めた。消費税増税を真正面から論じないのは無責任だと言う。無責任な鳩山政権に経済政策を任せるわけにはいかないのだと言うのだ。

どの顔をつけてこんな寝言を述べるのかと思うが、本人はまったく意に介さぬ様子であることから、すでに思考回路が完全に停止しているのではないかと思われる。

経済政策運営において大切なことは、

①経済状況の推移を的確に洞察すること

②その経済状況に最適な経済政策を遅滞なく策定し、早めに対応すること、

③中期的な財政健全化の要請を踏まえて、支出内容を厳選し、必要不可欠な支出のみを選択して予算に計上すること

④政策運営の混乱を招かぬよう、税収予測の正確を期すこと

⑤景気回復優先と財政健全化優先の時期を明確に区分すること

である。

 与謝野氏の政策運営の実績は、与謝野氏がすべての面において最高の反面教師であることを示している。

①100年に1度と言われることになった経済悪化を「蚊に刺された程度」と見誤ったのでは話にならない。

②2008年度第1次補正、第2次補正、2009年度当初、2009年度第1次補正、と政策対応は、1回ずつ反対方向にぶれているのだ。これほどまでに不的確な政策運営を実施することは極めて困難であると思われる。

③とりわけ、2009年度第1次補正予算は無駄の塊であった。14兆円もの支出追加を実施するなら、国民生活を根底から支えることも可能だったはずだ。官僚利権だけが焼け太りしたのだが、この焼け太りを誘導したのが与謝野氏である。

④2009年度の税収見積もりを9兆円も過少にしたことが、日本財政の崩壊を招いた。与謝野氏の政策運営は25兆円の財政赤字をたったの1年で53兆円の財政赤字に導いた点で、「借金財政王」として右に出る者がいない。

⑤2010年、日本経済は極めて緩やかな景気回復の初期にある。この景気回復を破壊せず、持続させることが現在の経済政策の課題のなかでの最優先事項である。この段階で、消費税大増税を参院選の公約に掲げるというのだから、やはり反面教師の世界殿堂に入ってもらうよりほかはない。

 与謝野氏は2009年度第1次補正予算で一気に14兆円のバラマキを決めながら、一方で社会保障支出を毎年度2200億円切り込む、血も涙もない弱者切り捨て政策を断行していた。

 厚生労働大臣を経験し、弱者切り捨ての社会保障支出切り込みに強く反対した尾辻秀久自民党参議院議員会長が与謝野馨氏の横暴に怒り心頭になるのは当然である。

 3月11日、与謝野馨氏は自民党本部で与謝野氏が会長を務める社会保障制度の研究会に東大教授の吉川洋氏を講師に招いた。

 会の冒頭、尾辻氏が会議室に入室し、吉川氏を罵倒した(貴重な動画あり)。

尾辻参院会長は「経済財政諮問会議で、何て言った!? いいかげんにしろ! どの面下げて出てきたんじゃ、ばかもん!!、「いやいやいや、言わにゃいかんよ、こいつには。絶対言わないかんよ、こいつには」と怒鳴り散らした。

さらに、「曲学阿世の徒というのはこいつのためにある言葉じゃ」と切り捨てた。

昨年8月の総選挙で自民党が大敗した第一の原因は、小泉政権以降の自民党政権が市場原理主義を採用し、官僚利権を温存する一方で、一般国民の生活を切り込む血も涙もない政策を強行したことにある。

与謝野氏は財政再建が大事であることを根拠に大増税や、弱者切り捨ての政策の旗を振りながら、他方で官僚利権増大の超大型バラマキ財政を実行してきたのである。自民党大敗のA級戦犯とも言える与謝野氏が、自らの行状を反省することもなく、月刊誌に執行部批判の論考を提示したことも不見識極まりないと尾辻氏は考えたのだろう。尾辻氏の主張に圧倒的な理があると言わざるを得ない。

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