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2010年1月17日 (日)

3歩半遅れている竹中平蔵氏の経済政策分析

1月17日放送のサンデープロジェクトに竹中平蔵氏が出演した。サンデープロジェクト司会者の田原総一朗氏が本年3月いっぱいで降板することがすでに発表されているから、竹中氏の出演も最後に近付いていると考えられる。竹中氏には「りそな疑惑」、「ミサワホーム疑惑」、「新生銀行上場認可疑惑」、「かんぽの宿疑惑」に関連して明らかにしてもらわなければならない疑惑が多い。

竹中氏はこれまで繰り返し参考人としての国会出頭要請を拒否してきたが、今後はテレビではなく国会に証人や参考人で出頭してもらいたい。

これまでの参考人招致では、日程の連絡が遅すぎ、「忙しすぎて出頭できない」とのことであったので、今後は日程連絡を少し早目にして、竹中氏には遺漏なく対応してもらいたいと思う。

1月17日の放送では竹中氏が財政出動の必要性を訴えていた。2002年のNHK日曜討論で「補正予算編成が必ず必要になる。補正を編成するのであれば早期に対応するべきだ」と私が指摘した際、竹中氏が「補正予算編成など愚の骨頂」と発言したのがおとぎ話のように感じられる。

私が2002年度予算について述べたのは、2002年度の当初予算における財政赤字金額が2001年度補正後予算での実質財政赤字金額から大幅減額されており、財政運営が強度のデフレ効果を与えることだった。財政の経済への影響は、短期的には財政赤字の前年度比増減で決定される。

小泉政権は2001年度に超緊縮財政を強行実施した。私はこの政策を小泉政権発足時点から批判したが、小泉政権は警告を無視して超緊縮財政に突き進んだ。その結果、日本経済が崩壊に直行した。結局、小泉政権は5兆円の財源追加調達を柱とする大型補正予算編成に追い込まれた。

2002年度も小泉政権は超緊縮予算を編成した。2002年度予算から5兆円規模のデフレ効果が予想された。私は、2002年度のデフレ予算が日本経済再悪化をもたらすことを指摘し、早期に補正予算編成の方針を示すべきだと主張した。

これに対して竹中氏が「補正予算編成など愚の骨頂」だと発言した。この竹中発言を契機に株価が暴落に転じた。株価はそのまま2003年4月28日の7607円へと暴落した。結局、小泉政権は2002年度も5兆円規模の大型補正予算編成に追い込まれた。

この政策失敗で日本経済は戦後最悪の不況に陥った。無数の国民が失業、倒産、経済苦自殺の灼熱地獄に追い込まれたのである。株式市場は竹中氏が示した「大銀行破綻も辞さぬ」との政策方針により日経平均株価が7600円に暴落したが、最終局面で小泉政権はりそな銀行に2兆円の公的資金を投入し、りそな銀行を救済した。

大銀行を税金で救済する方針があるなら、株価が暴落する必要はなかった。多くの国民が灼熱地獄に追いやられる必要もなかった。小泉竹中政権は経済政策運営の大失敗の責任を取って、2003年春に総辞職すべきだった。

ところが、民主党の小泉政権追及が甘く、また、御用メディアが小泉竹中政策を糾弾するどころか絶賛したために小泉政権は延命した。この歴史事実を正確に把握する人は現段階でも少数にとどまっている。竹中氏はとうの昔にテレビ画面から姿を消していなければならなかった人物である。

 

これらの経緯については拙著『知られざる真実-勾留地にて-』に詳述したので、ぜひ一度ご高覧賜りたい。

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この竹中氏が当時の私の主張を全面的に踏襲する発言を示すに至ったことは驚きである。

1月17日の放送で、竹中氏は次のように述べた。

「2009年度の国債発行が53兆円になったのに対して、2010年度の国債発行金額は44兆円である。9兆円のデフレインパクトが予想されるから、激しい財政デフレが生じる。大型の財政政策対応が必ず必要になる。」

2001年度、2002年度の政策運営大失敗を認識して、転向したのだろう。竹中氏の発言は私が昨年示した基本見解とまったく同じものである。誤りを認めて改心したことは望ましいことだが、経済政策がこのような人物の指揮下に置かれたことは、日本国民にとって不幸なことだった。

私は昨年後半、『金利・為替・株価特報』で2010年度の財政デフレの危険性を繰り返し指摘した。既述したように竹中氏の主張は『金利・為替・株価特報』で私が指摘した内容と同一である。

しかし、本日の竹中氏の発言は三歩半遅れている。現実のデータを詳細に分析することを怠っているのか、分析の手法を持ち合わせていないかのいずれかである。

『金利・為替・株価特報』が鳩山政権与党国会議員120名以上の手元に届けられている。もちろん、鳩山由紀夫首相、小沢一郎幹事長、菅直人財務相、亀井静香金融相兼郵政相、仙谷由人行政刷新相にも届けられている。

鳩山政権幹部が『金利・為替・株価特報』を熟読されたのだと考えられる。仙谷行政刷新相が昨年11月29日の「サンデープロジェクト」で、基本方針大転換の方向を示した。

日経平均株価はチャート上のクリティカルなポイントに差しかかっていた。11月27日金曜日、日経平均株価は9081円に下落した。7月13日の9050円を下回れば、チャートは株価下落トレンド入りを示す局面だった。

このタイミングで仙谷行政刷新相が財政運営の軌道修正を表明し、鳩山政権が7.2兆円規模の補正予算編成に動いた。同時に日銀と緊密に連携し、極めて効果的な追加金融緩和政策が発表された。

この政策対応を反映して日経平均株価は反発し、10,982円にまで急騰した。昨年8月26日の10,639円を突破し、1年3ヵ月ぶりの高値を記録した。

財政政策でどのような工夫が実行されたのか。

その詳細を私は『金利・為替・株価特報』2009年12月25日号ならびに第100号=2010年1月12日号に記述した。竹中氏の勉強不足は深刻である。『金利・為替・株価特報』に詳述した私の解説をまだ入手されていないようだ。

ポイントをかいつまんで説明する。

①鳩山政権は2009年度予算の執行を差し引き約4兆円減額した。2009年度歳出が実質的に約4兆円減少する。

②一方で、鳩山政権は2009年度第2次補正予算に約4兆円の追加支出を盛り込んだ。この支出が実行されるのは2010年度に入ってからになる。

③この結果、2010年度に予想されていた約10兆円のデフレ効果が、約2兆円に圧縮されることになった。

④さらに亀井金融相が2010年度予算の前倒し執行を主張している。上記予算実施効果を織り込むと2010年度の財政赤字減少額が2兆円に圧縮され、さらに予算の前倒し執行が実現すれば、2010年度の財政デフレ発生の懸念は基本的に遮断される。

2009年第2次補正予算での7.2兆円の歳出追加のうち、3兆円は地方交付税減額の補てん分で、この金額は2009年度支出になる。その他の4兆円分が実質2010年度支出に回されるのだ。

「サンデープロジェクト」司会の田原総一朗氏は、つい数週間前までは、「鳩山政権の2010年度予算での国債発行が44兆円を超えたらただでは済まさない」との姿勢を示していた人物である。1月17日の放送では、竹中氏の発言に合わせて、今度は44兆円の国債発行では日本は財政デフレに陥る心配が強まるとの趣旨の発言を示した。竹中氏同様に発言の一貫性も節操もない。

いずれにしても、テレビメディア番組や出演者の質の低下、偏向が著しい。出演者のなかには良質な人も存在するが、低質な人々の比率が圧倒的に高い。『金利・為替・株価特報』では、日本経済回復に向けての政策提言を今後とも提供して参る所存である。政策立案ならびに先行き情勢を判断する一助にしていただければありがたく思う。

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