外資による国民資産収奪を阻んだ鳩山郵政改革
鳩山政権には五つの課題がある。
①官僚主権政治からの脱却
②政治権力と大資本の癒着解消
③対米隷属からの脱却
④市場原理主義を排しセーフティネットを整備
⑤郵政改革の実現
いずれの課題も道半ばであるが、着実に進歩を遂げている。
しかし、敵は「悪徳ペンタゴン」。総力をあげて抗戦している。
とりわけマスメディアが「悪徳ペンタゴン」の一角を占めており、鳩山政権を攻撃する情報操作が展開されている。
また、検察権力が既得権益勢力に取り込まれたままであり、検察の偏向した鳩山政権攻撃も持続している。2010年7月11日と見込まれる参議院選挙が政局の天王山になる。日本政治刷新を推進する主権者は、マスメディアの情報操作、検察権力の暴走を冷静に洞察し、守旧派勢力=悪徳ペンタゴンとの最終決戦に必ず勝利しなければならない。
①と②の課題については、「天下り根絶」と「企業献金の全面禁止」を実現することによって達成される。強い抵抗が予想されるが、新政権は必ずこの二つの課題を実現しなければならない。
③「対米隷属からの脱却」の視点に立てば、沖縄普天間基地移設問題の処理は極めて重大な意味を有する。普天間基地返還と辺野古キャンプシュワブ海岸を破壊する滑走路建設中止を実現する代替策を見出さねばならない。本年前半の最重要の政治課題になる。
④「市場原理主義の排除、セーフティネット整備」は着実に進展する状況を示している。経済悪化に伴う税収の激減がマニフェスト実現の最大の阻害要因になっているが、強い制約要因が存在するなかで、鳩山政権は大きな努力を注いでいると評価することができる。
⑤「郵政改革の実現」について、鳩山政権は極めて迅速な対応を示している。小泉政権が掲げてきた「郵政民営化」の実態が「郵政米営化」、「郵政私物化」であることが多くの国民の知るところとなった。
地域コミュニティーの核であった特定郵便局ネットワークが無残に破壊され、営利優先の市場原主義経営が地域社会に住む人々に対するサービスを排除してしまった。お年寄りに対するきめ細かなサービスが破壊され、すべての国民に身近な金融口座を付与するユニバーサルサービスが破壊されつつあった。
「かんぽの宿不正売却未遂疑惑」では、貴重な国民資産が政商とも呼ぶことのできる特定の事業者に破格の安値で横流しされようとしていた実態が白日の下に晒された。2400億円の国費が投入され、時価が1000億円を超すと見られる「かんぽの宿」が109億円の安値で売却されようとしていたことが明らかにされたのだ。
小泉竹中政治は、日本郵政グループのゆうちょ銀行とかんぽ生命の全株式を市場売却する方針を示していた。これらの株式が外国資本の支配下に置かれれば、300兆円の国民資金が外国資本の目的のために使われてしまうところだった。
日本郵政は日本最大級の一等地不動産保有企業である。日本郵政株式の3分の2が市場売却される予定になっていたが、この株式の過半が外国資本の支配下に入れば、一等地不動産の所有権も移転してしまうところだった。
ぎりぎりのタイミングで「売国政策」が排除された。政権交代実現の最初の偉大な成果が日本郵政関連株式売却凍結法制の整備であったと言える。
日本郵政社長には三井住友ファイナンシャルグループの西川善文氏が起用されていたが、この人事は竹中平蔵氏が主導したもので、巨大利権が背後に蠢(うごめ)いていると推察される。その根拠については、「りそな疑惑」に関連して本ブログでも繰り返し指摘してきたところである。
鳩山政権は政権発足直後に日本郵政人事を刷新した。これまでの日本郵政は一部財界に支配されたものであった。地域住民、郵政サービス利用者、郵政プロパー職員、為政者が日本郵政の経営に関与しない、極めていびつな経営体制であったと言わざるを得なかった。
報道によると、日本郵政グループの経営形態見直しに関して、政府と日本郵政が、持ち株会社と郵便事業会社、郵便局会社を統合した新会社の下に、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の金融2社を置く3社体制への移行でほぼ合意したとのことである。
小泉政権は350兆円の国民資金が政府部門に滞留して、民間で活用されてこなかったことを是正するのが郵政民営化だと説明してきた。しかし、郵政民営化実施後も、滞留した資金が民間に供給されることはまったくなかった。郵政民営化の本当の狙いは、300兆円の国民資金と膨大な不動産資産の外国資本および一部特定資本による収奪にあったのだと考えざるを得ない。
巨大な国民資産の収奪を防ぐことができたことは最大の成果である。これだけをもってしても、政権交代実現は偉大な成果をあげたと言うことができる。
「かんぽの宿」売却は当面凍結される方針である。一部施設は社会福祉施設に転用することも検討されるという。貴重な国民資産であるからには、国民にとって最善の利用方法を検討するべきであるし、売却する場合には、可能な限り高い価格で売却することが求められる。いずれにせよ、これまでのような不透明極まりないいかがわしい取引は完全に排除されなければならない。
マスメディアが不自然に鳩山政権および鳩山政権与党攻撃を続けているが、このマスメディアの基本姿勢、検察当局の偏向姿勢こそ、糾弾されるべき対象であることを、一人でも多くの国民に伝えてゆかねばならない。
「ものを見る基準」が大切なのである。マスメディア報道を「中立公正」と勘違いしてしまうと正しい判断を下せなくなる。「マスメディア報道や検察の行動が根本的に歪んでいる」との基本をしっかりと押さえてものを見れば、真実がおぼろげながらも浮かび上がってくる。
鳩山政権の日本政治刷新をしっかりと支援してゆかねばならない。
売国者たちの末路 著者:副島 隆彦,植草 一秀 |
知られざる真実―勾留地にて― 著者:植草 一秀 |
« 「悪徳ペンタゴンとの最終決戦」がキーワード | トップページ | 政局の正念場を迎える鳩山総理大臣年頭会見 »
「郵政民営化・郵政利権化(2)」カテゴリの記事
- 公的企業営利化で私的利益を追求するシロアリ族(2019.12.22)
- 松下忠洋金融相急逝は本当に「自殺」によるものか(2012.09.21)
- 外資による国民資産収奪を阻んだ鳩山郵政改革(2010.01.03)
- 日本郵政株式売却凍結法を成立させた鳩山政権(2009.12.06)
- 竹中平蔵氏対亀井静香金融相直接対決でのウソ(2009.11.30)
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: 外資による国民資産収奪を阻んだ鳩山郵政改革:
» 4873 阿修羅など お勧めブログ 記事川柳 (01/04)/ネットする 横で家猫 睦まじき [アルデバランの 夢の星]
新年おめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
色々引用させていただきました。どうぞ、よろしくお願いします。 [続きを読む]
» Disaster Privatization [Tokyonotes 東京義塾]
マスコミの報道によれば、12月24日、民営化で分社化した日本郵政の郵便事業部門と日本通運が挙動出資で設立した宅配便事業会社「JPエクスプレス」を精算して、「ペリカン便」を来年七月に郵便事業会社に移管して「ゆうパック」ブランドに統一すると発表した。人員や設備の大半を日本郵便が引き受け、「ペリカン便」は消滅して、日本通運は宅配便事業から撤退する。24日、日本郵便と日本通運は宅配便事業統合計画について見... [続きを読む]