政治スキャンダルを政治闘争の断面と見る視点
元秘書が政治資金規正法違反容疑で在宅ならびに略式起訴された問題で、鳩山由紀夫総理大臣が12月24日、記者会見した。鳩山総理大臣は「国民に率直に深くお詫びする」と述べるとともに、引責については、「(辞任してしまえば)政権交代を選択した国民の多くへの責任を放棄してしまう。使命を果たしていくことが私の責任だ」と述べて、引き続き内閣総理大臣の職責を果たしてゆく考えを述べた。
偏向マスメディアは懸命に鳩山総理辞任の道筋をつけようとしているが、鳩山総理の判断は妥当である。ルール違反があったのなら正す必要があるが、進退についての検討は、ものごとの本質に則して考えるべきだからだ。
鳩山総理が会見で示したように、問題とされている事案は企業と癒着して賄賂を受け取ることや、政治の本質をねじ曲げる性格のものでない。しかも、問題の概要は総選挙前に明らかになっていた。金額等の変化は生じたが、問題の本質は変わっていない。
主権者である国民は、問題の存在を認知したうえで、鳩山由紀夫氏を内閣総理大臣に就任させることに同意したと解釈することができる。これまでの各種世論調査でも鳩山総理の辞任を求める声は少数である。
マスメディアが偏向報道を繰り返し、世論を無理やり操作すれば、異なる結果を得ることも可能かも知れないから、今後発表される「世論調査」と称されれるものについては、歪んだ情報操作が行われていないかを十分にチェックする必要がある。
検察庁に対して多くの刑事告発が行われているが、鳩山総理大臣周辺や小沢一郎民主党幹事長周辺に関する捜査だけが突出して実行されている感を否めない。
警察・検察権力、裁判所権力は、究極の国家権力と言ってよいだろう。日本の最大の構造問題は、この三者、警察・検察・裁判所の公正性、公平性が著しく損なわれている点にある。警察・検察・裁判所の機能が歪んでいる国家を暗黒国家という。日本はこの意味で世界有数の暗黒国家であると言えるのだろう。
今、マスメディアを通して国民に伝えられる情報は、すべて、ひとつの目標点に向けて発せられていると考えるべきである。
その目標点とは、2010年7月に見込まれる次期参議院選挙である。鳩山政権は記録的な高支持率で発足した。この高支持率が維持されて2010年夏の参議院選挙が実施されれば、野党自民党に勝機はない。2013年に見込まれる衆参同日選挙までの丸3年間が民主党を軸とする与党政権に付与されることになる。
十分条件ではないが、日本政治刷新が実現する可能性は飛躍的に高まる。これまで日本政治を支配してきた利権複合体=政官業外電悪徳ペンタゴンの構造は崩壊せざるを得ない。
政治利権を欲しいままにむさぼる構造が根本から破壊される可能性が著しく高まるのである。
「悪徳ペンタゴン」の一角を占め、主権者である国民の意思決定に深く関与できる立場にあるのがマスメディアである。当然のことながら「官・業・外」の勢力は「電」=「電波」=「マスメディア」を完全に支配下に収めてきた。
政権交代は実現したが、悪徳ペンタゴンによるマスメディア支配の構造は、現段階ではほとんど変化していない。この偏向マスメディアが朝から晩まで偏向報道を繰り返すのだから、国民が影響されないはずがない。
西松建設事件でもあてはまることだが、「政治とカネ」の問題で限りなく黒に近いグレー色に染め抜かれているのは、多数の自民党議員である。検察捜査が多数の自民党議員にほとんど波及しない「構造」こそ、真相を解明すべき真のターゲットである。
自民党二階俊博議員の秘書が略式起訴されたが、この立件でさえ、政権交代が実現していなければ実行されなかった可能性が高い。
千葉県知事の森田健作氏に対しても、「かんぽの宿」疑惑に関しても、正式に刑事告発がなされている。
しかし、これらの問題についての検察捜査は一向に進展する気配を見せない。
次期通常国会に合わせて、「悪徳ペンタゴン」の「日本政治刷新」に対する攻撃は激しさを増すことは目に見えている。主権者である国民は、偏向マスメディアが取り上げる問題に目を奪われてしまいがちだが、こうした「情報操作」の裏側にある「大きな構造」を意識して考える習慣を持たねばならない。
主権者である国民にとって最も重大な事案は、表面を彩る「小悪」ではない。「情報操作」の裏側で蠢(うごめ)く「巨悪」なのである。
日本政治の本当の正念場は2010年に訪れる。この壁を打破して、初めて日本政治刷新の黎明が日本国民全体に届くことになる。
われわれの目の前で繰り広げられている「人為的な光景」は、すべてが「政治闘争」の一場面なのである。この基本を確実に押さえて、すべての問題を見ることを主権者である全国民が意識しなければならない。
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売国者たちの末路 著者:副島 隆彦,植草 一秀 |
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知られざる真実―勾留地にて― 著者:植草 一秀 |
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