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2009年12月 9日 (水)

亀井金融相の財政政策主張に歴史的正当性あり

鳩山政権は12月8日、事業規模24.4兆円、経済対策7.2兆円の緊急経済対策を閣議決定した。8日朝の基本政策閣僚委員会での菅直人国家戦略相と亀井静香金融相の意見対立がメディアに大きく伝えられているが、連立政権内の意見対立を超えて経済対策が決定されたことは意義深い。

『金利・為替・株価特報』098号を12月8日に発行した。本レポートは鳩山政権閣僚をはじめ120名を超す与党国会議員120名以上の手元に届けられているが、11月29日の仙谷行政刷新相の発言は本レポートの内容を熟読されてのものであると思われる。

11月27日、日経平均株価は9081円の水準にまで下落した。7月13日の9050円を下回ると、チャート上は三尊天井が成立し、株価の下落トレンド入りが示唆される局面にあった。

円高の進行とあいまって日本経済の再悪化懸念が広がっていた。本ブログおよび『金利・為替・株価特報』に詳述してきたが、株価の下落傾向、日本経済の再悪化懸念が強まっている最大の要因は、鳩山政権の財政政策運営が2010年度に向けて超超緊縮に向かい始めたことにある。

詳細は『金利・為替・株価特報』をご高覧賜りたいが、2009年度財政が第1次補正予算で大幅に増額された一方で、2010年度予算が2009年度当初予算をベースに編成されつつあるために、2010年度当初予算が2009年度補正後予算と比較して著しく小型の予算になることが懸念されるのだ。

過去を検証すると、1997年度、2000年度、2001年度が強度の緊縮予算だった。経済状況に不安がある情勢の下で超緊縮財政を強行した結果、いずれのケースも日本経済を破壊してしまった。

97年度の大増税政策のケースでは、96年6月に22,666円の水準にあった日経平均株価は98年10月には12,879円にまで暴落した。2000年のケースでは、2000年4月に20,833円の水準にあった日経平均株価が2003年4月に7607円にまで暴落した。いずれも、性急な緊縮財政政策を強行したために日本経済は破壊されたケースである。

日本経済破壊を誘導したのは財務省だった。亀井静香金融相が財務省の言いなりになる政策の危険性を指摘したことは正鵠を射ている。

2009年度財政は、税収が36.9兆円に減少し、国債発行が53.5兆円にまで拡大する。税収と国債発行のバランスは、日本財政の危機を鮮明に示している。藤井裕久財務相が「財政は危機的な状況にある」と発言するのは当然である。

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問題は、こうした現状のなかで、経済政策の舵をどの方向に切るのかである。菅直人国家戦略相は財政支出の追加に慎重な姿勢を示す。これに対して亀井静香金融相は財政支出の追加が不可欠であることを強調する。

歴史を検証する限り、亀井金融相の発言に正当性がある。過去、日本経済が激しく破壊されたのは、いずれも財務省が近視眼的な発想で、目先の財政収支悪化を回避しようとしたために生じたものである。

2009年度、麻生政権は14兆円の史上最大の補正予算を編成した。公的施設の営繕費や天下り団体への基金積み増しなど、役人お手盛り予算満載という質的な問題があったが、規模としては十分な予算追加を決めた。これだけの補正予算を追加しても経済が十分浮上していないのは、それほど今回の不況圧力がすさまじいことを示している。

米国政府も7800億ドル規模の財政出動を実施している。米国も「平時」ではない「有事」対応を敷いているのだ。

財政収支改善を優先して国民生活を犠牲にする意思決定は間違っている。2010年に向けて日本経済の回復誘導を優先するべきである。過去の歴史は、財政収支を優先する緊縮財政が財政収支の改善につながらなかった事実を残している。景気不安の強い局面での超緊縮財政は、景気悪化を加速させ税収を激減させる。挙句の果てにより大型の景気対策が必要な状況を招く。

「経済あっての財政」でその逆でない。財政を健全化するには、経済の回復が不可欠なのだ。景気回復なくして財政再建はあり得ない。

私が主張しているのは「積極財政」ではない。「超緊縮財政」を否定しているだけである。2010年度にかけての財政運営を「超緊縮」から「中立」に戻すことが必要なのである。

本来は、追加財政支出は2009年度補正予算にではなく、2010年度当初予算に盛り込むべきである。補正予算よりも本予算の方が、骨太の政策を実施しやすいからだ。ただし、本予算に追加を盛り込むと、次年度以降にもその影響が強く残りやすい。財政状況が危機的状況に直面するなかで、財政当局が当初予算の規模拡大に慎重になることは理解できなくはない。

現段階で補正予算を策定しても、国会提出は年明けになる。補正予算の実行は2010年度にずれ込む。この意味で2010年度支出の追加を2009年度補正予算に盛り込むことは窮余の一策ではあると考えられる。

11月29日のテレビ番組で仙谷行刷相が財政運営の軌道修正を表明して以来、日経平均株価はたったの5営業日で1万円の大台を超えた。鳩山政権の危機が国民新党の主導する財政支出追加主張によって救済されたというのが現実の正しい評価である。

菅直人国家戦略相が財政事情を心配する心情は理解できるが、これまでの日本経済財政の歴史について、財務省の歪んだ説明でなく、正しい客観的事実に基いた検証を把握し直す必要があると思われる。

とえあえず2009年度補正については決着を見たが、2010年度予算編成に向けて、再び財務省流の近視眼的発想が表面化してくると、金融市場では先行き不安が再び台頭してくるだろう。鳩山政権の経済政策運営の軸が定まらないところに大きな不安が残されている。

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