偏向解説者田崎史郎氏起用の報道ステーション
12月7日のテレビ朝日番組「報道ステーション」に偏向コメンテーターの田崎史郎氏が出演した。田崎氏は本年1月に「かんぽの宿」疑惑が表面化して以来、また、本年3月3日に民主党代表小沢一郎氏の公設第一秘書が政治資金規正法違反容疑で逮捕されて以来、徹底して偏向民主党攻撃を続けてきた人物である。
「かんぽの宿」疑惑では、小泉竹中一家が展開するまったく筋の通らない詭弁をそのまま代弁する姿勢を貫いてきた。このような偏向コメンテーターが依然として跋扈(ばっこ)しているのがマスメディアの現状であり、鳩山政権の影響力は現段階ではまだ弱いことを痛感させられる。
小沢前代表の秘書逮捕事件では、田崎氏は無理やり小沢氏の民主党代表辞任を誘導しようとした。「かんぽの宿」疑惑では、2400億円投入した施設を109億円で売却することが問題とされたにもかかわらず、田崎氏は「109億円の価値しかなくなったものに2400億円もの資金を投入したことが問題」だと発言した。
また、かんぽの宿売却に際しては3000人の雇用維持が義務付けられており、オリックスへの売却決定は正当だとの主張を展開した。いずれも竹中平蔵氏が発言する詭弁と軌を一にするものだった。
「かんぽの宿」の固定資産税評価額は857億円であり、時価評価するなら1000億円程度と見られる物件である。日本郵政が安値売却を実現するために、無理やり簿価を引き下げる工作活動を展開したことも、各種調査によって明らかにされつつある。
簿価を無理やり引き下げる手法は、「かんぽの宿」事業収支において赤字を多額計上し、この赤字を事業収支として収益還元法をあてはめるという、意図的な簿価引き下げ工作が実施されたものであると判断される。
「かんぽの宿」は加入者に対する利益還元施設であり、「かんぽの宿」収支を通常のホテル業における収支と同列に扱うことは経済合理性を持たない。
また、雇用維持条件も正規社員620人のうちの550人について、1年限りで雇用条件を維持するというもので、3000人の雇用維持義務というのは事実無根も甚だしいものだった。
12月7日の放送では、本ブログ12月7日記事
に記述した二つの問題が論じられた。
田崎氏は沖縄基地問題について、鳩山首相が最終的な判断を米国に提示すると言いながら、方針を示さないのはリーダーシップに欠けると発言した。追加経済対策については、麻生政権の補正予算を2.9兆円凍結しながら、今度は第2次補正予算を編成するのなら、麻生政権の補正予算をそのまま実施していれば良かったのだと述べた。
沖縄問題について鳩山首相は、「政府としての考え方を、最終的にどういう風に米国に申し上げるか決める時が来た」と述べたのである。
鳩山首相は結論を述べると発言したのではない。米国にどのように日本政府の考え方を伝えるのかを近々に決めると発言したのだ。この二つはまったく異なる。
田崎氏も日本語の文章を書く機会があるのなら、この程度の違いを把握することは必要不可欠ではないか。
例えば、日本政府の最終結論は1月の名護市長選の結果などを踏まえて、年が明けてから判断するとの考え方を米国に伝えることも、選択肢のひとつにはなり得るのだ。近く、最終結論を提示するとは一言も言っていない。
日本語を不正確に解釈して、その不正確な発言内容を前提にして批判をするのは、文章を扱う立場の人間としては失格ではないか。
景気対策についての鳩山首相批判は自民党の石破茂政調会長の発言をそのままなぞったものである。自分の意見ではなく、石破氏や竹中氏の発言をそのままなぞるところに田崎氏の本質が如実に表れている。
鳩山政権の補正予算凍結と、補正予算の再編成には大きな意味がある。
12月3日付記事
に記述したように、麻生政権の補正予算には重大な欠陥があった。以下に記事の一部を転載する。
「麻生政権が編成した第2次補正予算は14兆円規模で、極めて大型の対策だったが、その支出内容は公的施設の営繕費2.8兆円や天下りの温床となる58の政府基金への4.8兆円の拠出など、官僚利権に対するお手盛り満載のものだった。
鳩山政権の対応は、貴重な国費の支出先として妥当でないもの、無駄と思われるものに大胆にメスを入れ、そのうえで国民生活を支えるための支出を適切に確保しようとするものである。
鳩山政権は2010年度予算編成に向けて「事業仕分け」を実施した。極めて短い時間での作業であったが、予算に計上される事業の15%を対象とした査定作業で1兆8000億円予算削減の道筋を確保した。短時間での予算査定であったため、きめ細かさの不足など多くの問題点をあげることができるが、鳩山政権が総選挙の際に示していた予算の無駄排除は確実な第一歩を印したと言える。」
財政支出には三つの機能がある。資源配分、所得再分配、景気安定化の三つの機能だ。
これまでの財政政策に欠落していたのは、「資源配分」の吟味だった。無駄なところに貴重な国費が大量に注がれる一方で、本当に必要なところには財政支出が配分されていなかった。
支出を精査して無駄な支出を排除し、そのうえで、本当に必要な対象に財政支出を振り向ける。鳩山政権が着手した支出凍結、事業仕分けによる無駄な支出排除とマニフェストに基く新規支出政策の実行により、初めてこの課題が実現し始めているのだ。
無駄な支出をそのまま実施することと、無駄を排除して真に必要な支出に振り向けることを同一視する判断が大きな間違いであることに、田崎氏は気付いていない。自民党の代表者の主張をそのまま代弁することが、恐らく田崎氏のミッション(使命)なのだろう。
このような偏向コメンテーターを起用し、歪んだ情報が公共の電波に乗せて垂れ流しにされたのでは、国民はたまらない。放送法の規定にも反していると言ってよいだろう。
これほどまでに日本のマスメディアが汚染され尽くされていることを、広く国民に伝えてゆかねばならないことを痛感する。
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売国者たちの末路 著者:副島 隆彦,植草 一秀 |
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知られざる真実―勾留地にて― 著者:植草 一秀 |
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